
ブースター・ペダルは、音を“ブースト=押し上げる”ためのエフェクターです。具体的には、ギターの信号を増幅して、音の存在感や迫力を高める役割を果たします。このページではブースター・エフェクターの特徴や使い方、おすすめモデルについて紹介していきます。
- ブースターの使い方
- ブースター・ペダルの種類
- おすすめのブースターペダル
- 歪み + ブースター一体型:ツインペダル式歪みエフェクター
ブースターの使い方
たとえば、バンドアンサンブルの中でソロを弾くとき、「もうちょっと音を前に出したいな」と感じたことはありませんか?
そんなときにブースターを踏むと、音量が少し持ち上がり、音の輪郭がクッキリして、グッと前に出るような印象になります。
ブースターの魅力は、音色を大きく変えずに、音に密度や厚みを加えることができる点です。
「音が小さい」「存在感がない」と感じたとき、まず最初に試してほしいエフェクターのひとつです。
六弦かなで「静かな音で弾いていたBメロから、サビで一気にゲインアップしたい!って時に使ったりするよね。」
エレキギター博士「ウム。他にも、アルペジオの時にだけ掛けて煌びやかな音を得るとか、あえてブースターを2個つないで、3段階の音(アンプのみ、アンプ+ブースト1、アンプ+ブースト1+ブースト2)を使い分けるとか、工夫次第でいろいろな使い方ができるんじゃよ!」
歪ませる目的だけじゃない:音量アップと音質補正
ブースターと聞くと、「歪みを強くするためのエフェクター」と思われがちですが、それだけではありません。
たとえば、クリーントーンでジャズを弾く人が、音の芯を出すために軽くブースターをかける、というのもよくある使い方です。
音をただ大きくするのではなく、クリーンな音作りにも大きく貢献します。
音の輪郭やバランスを整える“調味料”のような存在と考えると、ぐっと親しみやすくなります。
ブースターとオーバードライブの違いは?
ブースターとオーバードライブは、どちらも音を増幅させるエフェクターですが、目的と効果に違いがあります。
ブースターは、自らはほとんど歪まず、「押し上げて歪ませる・音を際立たせる」タイプ。
一方、オーバードライブはペダル自体が音を歪ませる設計で、歪みの深さや音質を調整できます。
オーバードライブは、歪み自体を目的として作られていますが、ブースターとして使用されることも多いエフェクトです。
ブースターとして使用されることが多いオーバードライブ
Ibanez Tube Screamer TS-9
Ibanezが誇る銘機チューブスクリーマー「TS-9」は、一般的にはオーバードライブとして知られています。しかし、中域が強く太いコシを感じるものの、低域が締まってブーミーにならず、さらにゲインが高すぎないという設計が、ブースターとしてあまりに最適すぎたため、圧倒的にブースターとして使われることが多いモデルです。
真空管アンプの前段に繋ぐことで、滑らかでキメが細かく、かつ豊かな中域を与えることが出来ます。これを使用するギタリストは非常に多く、これほど愛されるブースターは他にありません。
ただ、定番であることは間違いないのですが、クセがないというわけではなく、中域のピークが強く、ややレンジが狭まる印象を受けることも確かなので、自分のスタイルに合うかどうかはそのクセを理解した上で導入しましょう。
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チューブスクリーマーってどんなもの?TS系オーバードライブ特集 – Supernice!エフェクター
ブースターを使った有名なギタリスト
数多くのギタリストがブースターを使っていますが、最も有名なのが「TS-9」と「TS-808」を2台同時に使った「スティーヴィー・レイ・ヴォーン」でしょう。
レイ・ヴォーンは前段に TS-9 を、後段に TS-808 を繋いでいた訳ですが、後段の TS-808 はアンプの裏で常時オンの状態にしていました。前段の TS-9 はゲインを9時に設定しており、「TS-808をブースト」して必要な歪みとサステインを得るために使っています。TS系ペダル2台をブースターとして使う手法は、後のギタリスト達に多大な影響を与えました。
以下のリンクは、ギター博士がブースター・ペダル10個を演奏して比較した記事です。ブースターとして知られるモデルの演奏はもちろん、登場するオーバードライブ・ペダルはブースターとして使っているので、その違いがわかるでしょう。是非チェックしてみてください。
ブースター・ペダルの種類
ブースターは
- 音量を上げても歪まないように作られた「クリーンブースター」
- 高域を中心にブーストする「トレブルブースター」
- 中域を中心にブーストする「ミッドブースター」
- ゲインアップを主とする「ゲインブースター」
などと分類されることがあります。
それぞれ狙ったサウンドに合うものを選びますが、EQの付属したモデルだと、狙った帯域だけのブーストも可能なため、そのカテゴリ分けは曖昧なものです。
クリーンブースター:音を変えずに持ち上げる
クリーンブースターは、ギターの音色そのものを変えずに、音量や信号の強さだけを持ち上げるタイプのブースターです。EQ(音のバランス)にはほとんど手を加えず、「そのままの音を大きくする」というのが大きな特徴です。
たとえば、ソロで少しだけ音を前に出したいとき、アンプの歪みを少しだけ深くしたいとき、音質は変えたくないけど”あとひと押し”が欲しい場面にぴったりです。
代表機種:
Xotic RC Booster
TC Electronic Spark Mini Booster
ミッドブースター:中域を強調して存在感アップ
ミッドブースターは、中域(ミッド)の帯域を持ち上げることで、音に“厚み”や“芯”を加えるタイプのブースターです。中域は人間の耳にもっとも聴き取りやすい帯域と言われており、ここを強調するとバンドアンサンブルの中でギターがしっかり前に出てくるようになります。
たとえば、ロックのリードギターで「音が埋もれてしまう」「音が細い」と感じたとき、ミッドブースターを使うと音がぐっと中央に集まり、前に飛び出すような力強さが出ます。特にブルースやハードロック系のソロでは、中域の粘りと濃さがサウンドの説得力を左右します。
代表機種:
MXR Micro Amp
トレブルブースター:高域を際立たせる
トレブルブースターは、その名の通り高域(トレブル)を中心に持ち上げるブースターです。もともとは60〜70年代のビンテージアンプ(特にVOXなど)と相性が良く、そのこもりがちなアンプの音をシャープに“切り裂く”ように補正するために誕生しました。
代表的な使用例として有名なのが、クイーンのギタリスト、ブライアン・メイ。彼はVOXアンプとトレブルブースターの組み合わせで、独特のキラキラしたトーンとサステインを生み出しています。
ブースターの接続順
ブースターは接続する目的によって順番を変え、それぞれ
- 「ゲインブースト(歪みの量を増やす)」の場合、「歪み系ペダルの前段」に
- 「ボリュームアップ(音量を増やす)」の場合、「歪み系ペダルの後段」に
接続します。
クリーンブースターを使用する場合、ギターの直後に接続すると、より自然なブースト感を得ることができます。
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エフェクターのつなぎ方 – Supernice!エフェクター
おすすめのブースターペダル
はじめの1台にもおすすめ!手に入れやすい価格帯のブースターペダル
手頃な価格だからといって侮るなかれ。ここで紹介するブースターペダルは、初心者の最初の1台としてはもちろん、中級者以上でも十分に使えるクオリティを備えています。サウンドの押し出し感にも妥協はなく、ライブや録音でもしっかり活躍してくれるモデルを4つ紹介します。
定番のブースターペダル
ブースターとしてロングセラーを誇る人気モデルをみてみましょう。
その他おすすめのモデル
歪み + ブースター一体型:ツインペダル式歪みエフェクター
ブースターで音をプッシュする感覚に慣れてくると、次に気になってくるのが歪みとブーストを一体でコントロールできる「ツインペダル式」エフェクターです。
このタイプのペダルは、ひとつの筐体に歪みペダルとブースターを搭載し、それぞれを独立または連動して使うことが可能。ソロ時に一気に音を持ち上げたり、歪みのキャラクターを瞬時に切り替えたりと、実践的な使い方が可能です。
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