Gretsch G6118 Anniversaryについて

[記事公開日]2018/8/13 [最終更新日]2025/8/3
[編集者]神崎聡

Gretsch G6118 Anniversary G6118T Players Edition Anniversary

グレッチの「G6118 アニバーサリー」は、グレッチ設立75周年を記念してリリースされたギターです。とはいえ、この年にしか製造されなかったというわけではありません。生産はその後も存続し「アニー(Annie)」の愛称で長らく親しまれ、近年では新しいモデルも発表されています。今回は、このG6118アニバーサリーに注目していきましょう。


Gretsch 2016 Players Edition G6118T Anniversary Demo
ルックスはそのままに、現代的な機能をもりもり盛り込んだ「プレイヤーズ・エディション」。グレッチの「あの音」が、しっかり出ます。

1958年、「アニバーサリー」登場

G6118T Players Edition Anniversary:ヘッド G6118T Players Edition Anniversary:ヘッド部分

G6118 アニバーサリーは「グレッチ設立75周年」記念モデルですが、50周年でも70周年でもなく、なぜ「75周年」なのでしょうか。グレッチの歴史において「1958年」は、とても意味のある年だったのです。

この年、1958年は、

という年でしたが、この中でも今なお愛される「フィルタートロン」の登場は、グレッチ史上最大級の出来事だったと言っても過言ではありません。それ以前のピックアップはディアルモンド社製「ダイナソニック」すなわち社外品でした。当時のグレッチは「エレクトリックギターのメーカーでありながら、サウンドの中核であるピックアップは他社に依存していた」という状況にあったのです。フェンダー、ギブソンしかり、リッケンバッカー、モズライト、ダンエレクトロしかり、50年代当時の代表的なエレキギターメーカーは、おしなべてオリジナルピックアップを持っていました。

満を持して登場した「フィルタートロン」ピックアップは、グレッチがエレクトリックギターメーカーとしてのアイデンティティを確立する、大きなきっかけとなりました。グレッチとしては、記念モデルを作りたくなっちゃうくらいに嬉しかったわけです。

発表当時の「アニバーサリー」

1958年から生産された「アニバーサリー」には、いくつかのバリエーションがありました。

  • G6117:サンバースト
  • G6118:スモークグリーン塗りつぶし

という2色があり、また

シングル・アニバーサリー フロントにフィルタートロン1基。操作系はマスターボリュームとトーンスイッチ
ダブル・アニバーサリー フィルタートロン2基。操作系は両ピックアップボリューム、マスターボリューム、トーンスイッチ

表:アニバーサリーの二つの電気系

というように、電気系にも2種類ありました。「スモークグリーン」は、米国高級車「キャディラック」のカラーリングから着想したと伝えられています。

この時代のアニバーサリーは「プロモーション価格」で販売するため、

  • ローズ指板
  • ビグスビー非搭載
  • クローム(シルバー)パーツ
  • 塗りつぶし塗装

で、それ以外ほぼ同仕様の「G6120 ナッシュビル」(エボニー指板、ビグスビー装備、ゴールドパーツ、シースルー塗装)などより低価格で取引されていました。60年代にはピックアップが「ハイロートロン」に変更されましたが、これもフィルタートロンから生まれたピックアップです。のちに指板がエボニーになるなど、時代ごとにさまざまな姿になっているようです。


Gretsch G6118T-60 Vintage Select Edition ’60 Anniversary™ Hollow Body with Bigsby®
ハイロートロン・ピックアップならではのキュッとした音がセクシーですね。21フレット仕様なので、指板とフロントピックアップの間に隙間があいているのもルックス上のポイントです。

G6118 アニバーサリーのラインナップ

それでは、G6118 アニバーサリーのラインナップを見ていきましょう。
現在生産されているアニバーサリーはG6118 ダブル・アニバーサリーの末裔で、ボディトップとサイド&バックでカラーの異なる「2トーン・カラー」となっているのが特徴です。当時はビグスビーが後付けされるカスタマイズが多かったこともあり、現代のアニバーサリーではビグスビーが標準装備されます。また、

  • ネック:弦長6インチ(625mm)、指板R12インチ(305mm)、メイプルネック
  • ボディ:ボディ幅16インチ、メイプル合板製

というようにだいたいの寸法と仕様はG6120ナッシュビルと共通していますが、塗りつぶしカラーとクロームパーツを採用しているという点で、ナッシュビルよりも価格が抑えられています。

Players Editionシリーズ

Vintage Select Editionシリーズ

135周年モデル

130周年モデル

以上、G6118 アニバーサリーをチェックしていきました。グレッチは120周年以降、5年おきに記念モデルをリリースしています。レギュラーモデルはちゃんと日本製でありながら、お値段も若干抑えめで、グレッチを試してみたいという人にうってつけです。ショップで見かけたら、ぜひ手にとってみてください。

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