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エフェクターを繋いでいく際によく聞く「バッファー」(buffer)という用語。なんとなく聞き流して、よく分かっていない方も多いかもしれませんが、エフェクターを使う際にはぜひとも知っておきたい重要項目です。ここではそんなバッファーの定義から、バッファーとして使えるおすすめのペダルまでを一挙紹介しています。
バッファーとは非常に簡便に言うと「インピーダンスを下げるもの」ということになります。
通常のピックアップを搭載したギターやベースは、ハイインピーダンスという、非常に微弱な信号の状態で出力されます。
微弱であるがゆえに外部ノイズなどに弱く、シールドを伝ってアンプに行くまでに様々な外部ノイズの影響を受けます。
ギターからアンプに数十メートルもの長さのシールドを使って接続すると、相当の量のノイズの影響を受け、音質はかなり劣化してしまうでしょう。
バッファーはそんな信号をローインピーダンスに変換し、太く強靱な信号に変えてしまう作用を持ちます。外部ノイズにも強くなり、長いシールドやいくつものエフェクターを繋いでもハイインピーダンスの時に比べ、劣化が目立ちにくくなります。
VZ-B1 Vitalizer Impedance Converter(多弦ギター/ベース用)
Providence独自技術によるインピーダンス・コンバーター「Vitalizer(バイタライザー)」。「VZ-B1」はサーキットとして販売されている。
アンプまでの距離が長いほど信号は劣化しやすくなります。
ライブ会場が広く、シールドを長くせざるを得ない時などは是が非でも利用しておきたいところです。
また、エフェクターを直列に多数繋いでいく際には、ほぼ必須とも言えるでしょう。
エフェクトボードの最前段にはなんらかのバッファー的な役割をするものを設置するのが望ましいと言えます。
そのように聞くと、いかにも特別な機器を置かなければならない、と思ってしまいがちですが、インピーダンスの変換はエフェクターを通すだけで起こります。
つまり、ディストーションなどの歪みエフェクターをオンにすると、それ自体がバッファーの役割を果たし、インピーダンスが変換されます。
ディストーションを常にオンにして演奏する場合は、それをバッファー代わりにするという選択肢もありでしょう。
通常のコンパクトエフェクターにはバッファーが内蔵されているものが少なくありません。
バッファー内蔵のエフェクターはバッファード・バイパス(buffered bypass)と呼ばれ、スイッチをオフにしてエフェクトが効いていない状態でも、バッファーを通っています。
そのため、オンオフに関わらず、繋いだ時点でローインピーダンスになっているのが特徴で、電池が無くなるとオフにしても音が出なくなるのは、バッファーが動かなくなるからです。
例えば、BOSSのエフェクターなどは全製品がバッファード・バイパスとなっていますので、BOSSのエフェクターを最前段に使用する場合、それをバッファー代わりに使うこともできます。
それに対して、トゥルー・バイパス(True Bypass)はその言葉の通り、オフの時に信号をそのまま素通りさせます。
信号はシールドのジャック部分を通るだけになるので、オフ時は原音そのままで基本的にハイインピーダンスの状態です。
音色変化が起こりにくく、構造の簡便さもあって、ハンドメイドのブティック系ペダルなどはこれが主流です。
オフ時にバッファーの役割を果たさないので、トゥルー・バイパスのエフェクターだけを多数並べてエフェクトボードを完結させると、否応なく信号は激しく劣化します。
電池などを使用しない通常のピックアップを「パッシブ・ピックアップ」と呼び、それに対して、電池を使用することで信号を整えて出力できるピックアップを「アクティブ・ピックアップ」と呼びます。
アクティブ・ピックアップでは、数値的に完全なローインピーダンスとまではいかないまでも、パッシブのものに比べるとずっと強力で安定した信号が得られます。
バッファーを通ることでローインピーダンスに変換され、信号が強靱になるという説明だけであればデメリットは無いように思えます。しかし、実際にはローインピーダンスに変わることによって、繊細さが失われるように感じることは多く、俗に「アクティブ臭い」と言われる不自然な音になりやすい傾向にあります。
特に歪みエフェクターなどでバッファーを内蔵しているものの中には、オフ時の音が原音から不自然に変わってしまうものもあるため、嫌がるギタリストは少なくありません。
トゥルー・バイパスがもてはやされる理由の一つがここにあります。
また、ヴィンテージ系のファズやワウペダルなどはハイインピーダンスで受ける前提で作られているものがあるので、そのようなペダルにローインピーダンスで入力すると実力を発揮できません。
つまり、バッファーは常に音質を改善する“魔法の回路”ではありません。バッファを使うかどうかは、手持ちの機材や求めるサウンドに応じて慎重に判断することが重要です。
バッファーペダルはバッファーに特化したペダルのことで、インピーダンスの変換がメインの作業となります。そのため常時オンにしておくことが前提となり、スイッチ類が一切ないものが普通です。基本的には原音をそのまま変えずにインピーダンスの変換のみが出来るように設計してあり、アクティブ臭い不自然さは可能な限り排除されています。
使用する際にはギターの微弱な信号を最初の段階で強くしておくのが基本となるため、通常エフェクターボードの最初に置きます。あるいはハイインピーダンス用のファズやワウペダルを使う場合、その後に置くのが望ましいでしょう。
また、エフェクターボードの最後に置き、アンプまでの信号を安定させるという使い方をしているギタリストもいます。
ここではバッファーペダルの銘機を各種紹介します。クリーンブースターのように音色を積極的に作り込めるもの、スイッチングシステムにバッファーを内蔵したものなど、バッファーとして使えるペダルは多数あります。
BonaFide Bufferは、スタジオ製品からコンパクトエフェクターまで幅広く送り出すTC Electronicのバッファーペダル。ツマミを搭載しないバッファ機能のみのシンプルなモデルです。
原音を変えないナチュラルな掛かりでありながら、その後に繋いだエフェクターの乗りの良さやオンオフ時の音質差を劇的に改善します。
万一の電源落ちの際に自動でトゥルーバイパスに切り替わる機能付きです。
サイズが小さく、ボード内に収めやすいのも嬉しい仕様。非常にコストパフォーマンスに優れ、バッファ機能単体を求めている人にまずおすすめのモデルです。
TC Electronic BonaFide Buffer – Supernice!エフェクター
MC406 CAE Bufferは、アメリカのプロ向けアメリカの音響機器メーカーCustom Audio Electronicsとの共同開発による高品位バッファペダル。
入力段にはハイクオリティなバッファ回路を搭載、さらに独立したラインドライバー出力を備え、アンプや録音機器への安定した信号送出が可能です。
ニスイッチによる音質補正機能やチューナーアウトも搭載し、実践的な機能性が魅力です。
MXR MC406 CAE BUFFER – Supernice!エフェクター
このカテゴリの製品の中では古株といって良い存在のプロビデンス「バイタライザー」。
締まった低域を実現させるため、積極的な音色変化を狙っているのがポイントです。
アクティブ臭くない、自然な音色を保ちながらに、音質を改善できます。
狭いボード内に収めるために、サイズが極小に抑えられているのも嬉しいところです。
ベースや多弦ギター用に特化した「VZF-1 Vitalizer BF」、ギター用に「VITALIZER WV VZW-1」がラインナップされています。
Providence VITALIZER WV VZW-1 – Supernice!エフェクター
Super Clean Bufferは、コンパクトな筐体にハイエンドなバッファー機能と、最大+12dBのクリーン・ブースト機能を搭載したミニサイズのペダル。
オペアンプにJRC4558を採用したディスクリート回路で、Xotic のロングセラーモデル「EP Booster」のようにプリアンプ的に使うことができます。
EQ DIPスイッチによってブーストのキャラクターを High Cut/Hi Mid Boost/Low Mid Boost/Bass Boost から選択可能。
ペダルボードの最前段に置くことでサウンドを元気に出力してくれるでしょう。
Xotic Super Clean Buffer – Supernice!エフェクター
Buffered Splitterは、JHS製の高品質なバッファーを採用したミニサイズのペダル。
バッファーがメインですが、信号を二つに分ける(スプリット)目的も果たせる便利なモデルです。
スイッチも無く通すだけの簡単仕様で、二つの出力は主にチューナーアウトや、別にミキサーなどに送るために使用することが想定されています。
JHS Pedals Buffered Splitter – Supernice!エフェクター
優等生的な使えるペダルを多数送り込むOne Controlのバッファー。
超コンパクトなボディながらバッファー/スプリッター/AB Box/1 Loop Box/インプットセレクターと多彩な機能を搭載し、1台で6通りの使い方ができるなど柔軟な対応が可能です。
バッファーは高品質で色付けの少ないBJF Bufferを採用、側面下のスイッチでON/OFFが可能です。
LEDの点灯、およびBJF Bufferの駆動に電源が必要ですが、それ以外の機能はパッシブペダルとして使うこともできます。
One Control Minimal Series BJF Buffer Split – Supernice!エフェクター
TUNER PRESSは、チューナー、バッファー、ボリューム・ペダル、エクスプレッション・ペダルの4機能をコンパクトな筐体に収めた多機能ペダル。
搭載チューナーはストロボ/クロマチック2種類のモードを用意、精度は±0.01セントと非常に高精度です。
ボリューム・ペダルとエクスプレッション・ペダルの出力は独立しており、フットスイッチで切り替えます。
バッファーはOFFにすることも可能。ハイ/ロー・インピーダンスの切替にも対応し、入力する楽器やシグナル・チェーンに合わせたセッティングが行えます。
HOTONE TUNER PRESS – Supernice!エフェクター
高品質なエフェクトを多数送り出しているEmpress Effectのバッファー専用機。
エフェクトループを兼ねており、チューナー専用のアウトプットも装備しています。
最適な出力レベルで出力するためのブースト機能を持ち、ギターやベース、またはエフェクトチェインの信号レベルもミニスイッチにより微調整可能。
ノイズフィルターも装備し、エフェクトボードの全体的なジャンクションボックスとして機能します。
全ての機能が高品質に統一されており、ペダルボードを統括する1台として真価を発揮してくれるでしょう。
Empress Effects Buffer+ – Supernice!エフェクター
バッファ回路は単体ペダルだけでなく、チューナーやマルチエフェクターに内蔵されているモデルも少なくありません。
上記紹介モデルのように複数機能を搭載するペダルを導入すれば、ペダルボード内のスペースを確保しておくことができます。
あまり目立たない存在である単体でのバッファーですが、電気信号の観点からいくと無くてはならないものです。自分の音色設計にもう一つ満足がいかないという場合、そこに問題があるかもしれません。ボード内を簡潔にまとめられるジャンクションボックスが一体となっているものも多いので、使い勝手を同時に改善させられることも。ぜひ一度導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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