エレキギターの総合情報サイト

日本製フェンダーの歴史は2015年からで、それまでの「フェンダー・ジャパン」は神田商会がフェンダーの許可のもとプロデュースしていた公式コピーモデルでした。本家フェンダーのプロデュースとなってからは、日本製のクオリティはそのままに、本家フェンダーが蓄積したノウハウが反映され、かつ価格を抑えてリリースされることで、これまで以上に高く評価されています。
今回は「低価格&高品質」で人気を集める、日本製テレキャスターに迫り、その特徴をチェックしていきましょう。
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT – ブラッディー・パンキー・ビキニ
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT(ミッシェル・ガン・エレファント)に所属していたアベフトシ氏はエフェクターに頼らず、ギターとアンプの音だけで勝負していました。いわゆる「テレキャスター使い」には、このような武骨なプレイヤーが多くいます。
現体制の製品開発では、フェンダーのマスタービルダーが日本の「フェンダーミュージック株式会社」に赴任し、製品にブラッシュアップを加えました。その甲斐あって、機能性と楽器としてのフィーリングの両方が向上したといわれています。日本製フェンダーの特徴については「メイドインジャパンのフェンダー・ストラトキャスター徹底分析!」でも紹介していますから、ここではテレキャスターならではの特徴を中心に追ってみましょう。
日本製テレキャスターは、50年代から70年代までの名機を後世に伝える「ヴィンテージ・モデル」が中心です。テレキャスターは歴史上、いろいろな仕様の派生モデルがリリースされています。これらがどのようなものか、軽い感じで概観していきましょう。
Made in Japan Heritage 50s / 60s Telecaster
基本モデルのテレキャスターは、50年代式と60年代式に分けられます。
50年代式(50S)は、アッシュボディ、メイプル指板、5点留め黒いピックガード、ブラス製3連サドルで、ボディカラーはバタースコッチブロンドが定番です。いっぽう60年代式(60S)は、アルダーボディ、ローズ指板、8点留めミントグリーンのピックガード、鉄製3連サドルで、3カラーサンバーストが定番です。
「アタックのアッシュ、粘りのアルダー」や「カラッとしたメイプル、甘いローズ」と言われますが、深いこだわりがなければ、木目の見え方や指板の色で選んでも大丈夫です。
Made in Japan Heritage 60s Telecaster Thinline / Made in Japan Traditional 70s Telecaster Thinline
ボディに空洞を持つ「テレキャスター・シンライン」は、60年代式と70年代式に分けられます。
60年代式は、アッシュまたはマホガニーボディ、メイプル指板、鉄製3連サドルで、ボディカラーはナチュラルと3カラーサンバーストが定番です。いっぽう70年代式は、ワイドレンジハムバッカーを2基搭載し、アッシュボディ、メイプル指板、鉄製6連サドルで、ナチュラルカラーが定番です。
ボディに空洞を持つギターの音には、「エアー感」があり、奥行きを感じさせると言われます。テレキャスターの明瞭なキャラクターに奥行き感が付加されるのが、シンラインの魅力です。
Made in Japan Heritage 60s Telecaster Custom / Made in Japan Traditional 70s Telecaster Custom
テレキャスター・カスタムには、60年代式と70年代式の2タイプがあります。
60年代式は、同じ年式のテレキャスターのボディにバインディングが施してあります。70年代式はフロントにワイドレンジハムバッカー、6弦側にセレクタースイッチを備え、各ピックアップそれぞれにボリュームとトーンを備えます。アッシュボディにメイプル指板で、カラーリングはブラックが基本です。
Made in Japan Hybrid Telecaster Deluxe
テレキャスター・デラックスは、ワイドレンジハムバッカーを2基、6弦側にセレクタースイッチを備え、各ピックアップそれぞれにボリュームとトーンを備えます。アッシュボディにメイプル指板、ラージヘッドが基本です。
ワイドレンジハムバッカーは一般的なハムバッカーと異なり、鋭く立ち上がるサウンドが特徴です。シングルコイルのように鋭く、しかもパワーがあって、ノイズに強い高性能です。
アルカラ – 水曜日のマネキンは笑う
アルカラのヴォーカリスト稲村太佑氏のトレードマークは首にかけたタンバリンと60年代スタイルのテレキャスターカスタムです。ボーカリストがテレキャスターを構えているだけで、「あ、このバンドは歯切れのよいサウンドを出そうとしているんだな」と感じてしまうのが不思議です。
ギター博士がフェンダー・ジャパン・テレキャスターを弾いてみた!
Fender Japan Exclusive CLASSIC 60s TELE CUSTOM
ギター博士が弾いたのは「Classic 60s Telecaster Custom」で、カラーリングはCandy Apple Red。アルダーボディ、ローズ指板という本体に、ヴィンテージ・スタイルの丸い指板、小さめのフレット、鉄製3連サドルという構成。ボディの表裏にぐるっと巻きつけられた白いバインディングが「カスタム」の証です。なお、出荷時には0.09~の弦が張られていたところ、博士は0.10~の弦に張り替えています。

テレキャスターといえば、アッシュボディにメイプルワンピースネックをイメージする人も多いかもしれんが、ワシが演奏したこの「Classic 60s Telecaster Custom」は、アルダーボディにメイプルネック、ローズウッド指板の60年代customモデルを意識したスペックになっておる。テレキャスターならではの乾いたサウンドは持ちつつ、少し中域の色気がある音色だと感じたゾイ!
リアはガランとした弦鳴りを感じるサウンドにヂーンとノイジーな高域が個性的で、フロントはソリッドじゃが太く、適度な空気感もあり、幅広い音色に対応出来るとワシは感じておるんぢゃ!
ハードな歪みでは少しノイズが目立つかもしれんが、クランチや飽和感のあるクリーンでの弾けるようなプレイがワシは気に入っておるかのう!
ボディにバインディングもあるため、高級感のあるルックスになっておるゾイ!
ではここから、日本製テレキャスターをチェックしていきましょう。現在のラインナップは、ヴィンテージ・スタイルを中心に、限定モデルも頻繁にリリースされています。

「メイドインジャパン・ヘリテイジ」は、かつての名機の姿を可能な限り再現することを目指すシリーズです。ヴィンテージ楽器に造詣が深い元マスタービルダー、マーク・ケンドリック氏監修のもと、各部にヴィンテージ・スタイルをしっかり採用した上、USA製品から得たデータに基づいて設計されており、実在のヴィンテージギターと同一の形状を達成しています。
またネックシェイプとピックアップに各年代ごとの特徴を反映させ、カラーリングについてはその色調に至るまで、しっかり再現しています。



ネックについては共通して、ナット幅約41mmという細めの寸法です。ボディもネックもトップコートにラッカー塗料を使用しているため、時を経るに従ってゆっくり育っていく経年変化を楽しむことができます。
各年代それぞれに合わせて設計された専用ピックアップは、配線「フォームバー(Formaldehyde Varnish)」やエナメル線など、当時のものに限りなく近い材料を選定しています。
《伝統と、終わりなき探求を》Made in Japan Heritage Series
カスタムショップなどUSA製品の設計で使われるものと同じデータをもとに設計されているとは、とても頼もしい話です。

「ジュニアコレクション」は、もともと欧米人の体格に合わせて設計されているギター/ベースを日本人に合わせて小型軽量化させた、日本国内限定のラインナップです。ボディの大きさを約94%に、弦長を25.5インチから24インチ(約94.1%)にスケールダウンさせていますが、日本人の平均身長が男女ともアメリカ人のだいたい95~96%という数値からも、まさに日本人にぴったりの寸法に設定されています。パーツ類は標準サイズなので、将来的な部品交換にも心配はありません。
Fender Made in Japan Junior Collection 軽くて持ちやすいのにちゃんとグリップ感がある、バリバリ使えるギター。ワシだったら孫にプレゼントしたいかも?!
可愛いのからクールなのまで、カラバリも豊富。

「ハイブリッドII」シリーズは格の高い伝統的なスタイルにモダンスペックを盛り込んだ、幅広いジャンルに浸透できるモデル。ネック仕様は9.5″指板R、ナロートール・フレット、モダンCシェイプグリップというUSAフェンダーの標準仕様にナット幅を日本人に合わせた42mmに設定、現代的な演奏スタイルにおいても握りやすく、サラッサラのサテン仕上げも手伝って弾きやすい設計です。
電気系においては日米スタッフのコラボでイチから開発したピックアップを装備、このほか抱え心地の良いバックコンター採用、弦交換やチューニングに有利なロック式ペグ採用など、スタンダードモデルの域を脱した高いスペックでまとめられています。
ブラックやサンバーストといった定番色のほかシリーズのオリジナルカラー「モデナレッド」と「フォレストブルー」もある、バラエティ豊かなカラーバリエーションも魅力。
「トラディショナル」シリーズは、ヴィンテージ・スタイルを基本とした設計に、ちょっとだけモダン要素を加えるというバランスで組んだギターです。目立った追加機能を採用せず、シンプルにまとめた言わば基本モデルであり、ネックシェイプとピックアップが共通なので、ギター本体の仕様による音の違いを同じ弾き心地で確認できます。
ナット幅約41mmの細身のネックに9.5インチRの指板という現代の標準仕様、やや厚みのあるUシェイプというネックに小さめのヴィンテージタイプ・フレットが打ち込まれ、ネック裏はピッカピカのグロスに仕上げられます。グロス仕上げのネックはヴィンテージ・スタイル本来の姿で、適度なホールド感があります。

Made in Japan Traditional 2025 Collection, 60s Telecaster
既存モデルの限定カラーも積極的にリリースされる。
特別なカラーリングや映像作品とのコラボレーションなど、フェンダーは限定モデルの開発にも積極的です。レギュラーモデルではなかなか踏み込みにくい個性的な意匠が目を引きます。
ここからは、本記事で紹介して生産が終了した旧モデルです。日本製フェンダーのかつての姿、ちょっと見ていってください。
日本製テレキャスターを…
Aアマゾンで探す
R楽天で探す
YYahoo!ショッピングで探す
Sサウンドハウスで探す
石石橋楽器で探す
※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。