エレキギターの総合情報サイト
杉本 お昼休みなので誰もいませんが、ここがセットアップをする部屋です。奥のフェンダーは従業員の私物で、サウンドの比較用に置いています。他にも私物が積んであり、「城」になっています(笑)。
杉本 現在ここで組み上げているものは、すべて販売先が決まっています。スタンダードシリーズでも、たまたまネックに杢が入るということがあります。アーティストさんの楽器が調整などで運ばれるのも、この部屋です。
杉本 エキゾティックメイプルをトップにあしらったこのベースは「エメラルドグリーン」の象徴色ではなく、エメラルドが集まった画像をイメージしています。
杉本 機械加工室にも機械はこれだけしかありません。専用機は少なく、木工所ならどこにでもあるような汎用機が多いです。これだけあればギターは製作可能です。
──歴史を感じさせるような、貫禄のある機械が多いですね。
杉本 木工の工作機械は耐用年数がとても長いですね。これは昭和45年製ですが、私よりも年上、昭和27年製もありますよ。フェンダーに行けば、レオ・フェンダーが使っていた機械がいまだに現役です。
──これは加工中のボディなんでしょうか。
杉本 これは「倣い加工」というもので、手前のボディをマスターにして、このマスターをなぞっていくと、連動している刃が向こうで同じ形状に切ってくれるわけです。NCはプログラム通りの加工ですが、こちらは一個一個木に応じて手許で微調整ができる自由度が有り、それなりに便利です。
杉本 BATインレイを貼付けているところです。
──これはまた、ずらりと木材が並んでいて壮観ですね!木が好きな人には堪らない空間です。
杉本 オーダーを検討していて、この部屋に入ってオーダーせずに帰った人はいません(笑)。
丸野内 別名「魔性の部屋」と言われています(笑)。
杉本 これはエキゾティックメイプルです。ウェスタンメイプルは北米西海岸のものです。ワンピースのスポルテッドメイプルなんかもありますが、これは大変貴重なものです。
杉本 これはイースタンカーリーメイプルで、東海岸のものです。ヴィンテージのレスポールにはみんなこれが使われています。色や堅さ、詰まり方が西海岸とは全く違っています。奥にはテーブル状のハカランダがありますが、コレは弊社の宝ですね。
杉本 こちらはパープルハート、ブビンガ、ブラックウォルナット、ゼブラウッドなど珍しい系のものですね。30年前に買ったホンジュラスマホガニーが残っていたりもします。
──隅っこに途中まで作ってあるアコースティックがありますね。
杉本 削り出しのハコモノもやりかけたんですよ。ところがベース製作のプロジェクトが先に盛り上がってしまったんで、ハコモノは一時休止しています。早く作りたいんですけどねぇ。近いうちに、やりますよ。
──ありがとうございました。
以上、杉本社長が自ら案内する「プレミアム工場見学」でした。
全体を通して、職人として、また経営者としてギターやロマンを語る杉本社長、実務的内容でサポートする丸野内さん、というチームワークを見せてくれた取材でした。
Sugi Guitarsはギター本体だけでなく、会社全体、また業界全体を見通した事業を展開しています。日本の楽器業界がもっと盛り上がり、メイドイン・ジャパンがもっと面白くなる、そんな未来を予感させてくれました。また杉本社長がフェンダー工場の技術指導に携わった話は有名ですが、バスケットボールでも指導力を発揮していた、というのが驚きでした。
現在、Sugi Guitarsのギターと対面する機会はなかなか無いかもしれませんが、ショップや展示会などで見かける機会があったら、ぜひ試奏してみてください。
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