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普段の練習には「クリップチューナー」や「据え置き型チューナー」が便利ですが、ライブをやるなら足元に「ペダルチューナー」があると、とっても便利です。作動に手を使わないし、大きな表示は見やすく、ヴォーカルのMC中にササっとチューニングを済ませてしまうことができるからです。そんなわけで今回は、ステージで頼りになるペダルチューナーに注目してみましょう。
ペダルチューナーは、エフェクターと同じように足元に置いたりエフェクターボードに組み込んだりして使用するチューナーのことです。
Input(インプット)端子から受け取った信号を検出するもので、クリップチューナーのように楽器の振動を検出したり、あるいは据え置き型のチューナーのようにマイクで音を拾ったりという機能はありません。
チューナーにはいろいろなタイプがあり、さまざまなシチュエーションで使い分けられています。
概要 | |
据え置き型 | 机や譜面台に乗せて使う。 マイクが付いているからアコギもチューニングできるほか、メトロノームが付いている「メトロチューナー」もあり、練習に有利。 |
クリップチューナー | ギターのヘッドにつけ、楽器の振動を読み取る。 シールドをつなぐ必要がない。 |
ペダルチューナー | 足元に置いて使う。ライブでの使用を想定した設計になっている。 多くの場合、頑丈にできている。 |
マルチエフェクターのチューナー機能 | マルチエフェクターに組み込まれているチューナー。 シールドでいちいちつながなくてよい。 |
ラックチューナー | ラックシステムに組み込む前提の、大型チューナー。 非常に見やすいが、高価。 |
音叉 | 440Hzや442Hzの基準音を出す。 これを聞きながら耳を頼りに合わせるという、昔ながらの方法。 電源がいらない。 |
ピッチパイプ | 各弦の開放弦の音が鳴る笛。 これも耳が頼りで電源がいらない。 |
ペダルチューナー最大のメリットは、エフェクターボードに組み込んでしまえるため、セッティングの手間がかからない、スイッチ「ポン」でチューニングできる、という便利さにあります。
立ったままでも操作できること、周りがうるさくても関係なくチューニングできること、また大きな画面を持っているのがふつうで、たいへん見やすいのも大きなメリットです。
ペダルチューナーは足元に置いてこそ、またボードに組み込んでこそ機能を十分に発揮できるように作られています。頑丈なので重さもあり、電池で駆動しないものもあります。ですから、普段のちょっとした練習やギター教室のレッスンなど、エフェクターボードを使用しない時に使いやすいものではありません。
多機能なものもシンプルなものもありますが、ペダルチューナーにはいろいろな機能があります。主な機能を代表モデルと共にチェックしてみましょう。
メインの機能であるチューニングにはさまざまなやり方があり、多機能なものではいくつか用意された「チューニングモード」を選択できます。
その名の通り、ギターとベースに特化したチューニングモードです。弦をはじくと「1E」や「5A」のように弦の番号と開放弦の音名が表示されます。「使用するチューニングは一つに決まっている」というギタリストにとって非常に見やすく、スピーディーにチューニングできるメリットがあります。
どんな音にチューニングにしたいかをあらかじめ設定する必要がありますから、カポタストを使用したりいろいろなチューニングを使い分けたりする場合には、下記「クロマチック」モードに慣れておく必要があるでしょう。
クロマチック(chromatic)は「半音」の意味で、クロマチック・モードでは「いま鳴っている音がどの音に近いか」がアルファベットで表示されます。このモードで使うならどんな音・どんな楽器でもチューニングできますから、チューニングの違うギターに差し替えたり、カポタストを使ったりするときにも特別な操作がいりません。
ポリフォニック(polyphonic)は「多声の」、つまり「たくさん音が鳴っている」という意味で、このモードでは全弦のチューニング状況を一気に表示します。開放弦をジャーンと鳴らしている間にチューニングができるわけで、時間短縮に大いに寄与します。
ストロボ・モードは、超高精度のチューニングに欠かせないストロボ・チューナーの表示法を持ってきたモードです。「光や針を真ん中に合わせる」という通常のチューニングでは、LEDや針の幅以上に精度を上げることができません。しかしストロボ・モードはチューニングのずれを光の「動き」で表示するので、さらに精度の高いチューニングができるのです。
《ワンランク上のチューニングができる!》VOX VXT-1 ストロボペダルチューナー
ストロボモード時のチューニング精度は±0.02、最高水準の高精度でチューニングできます。じっくりと追い込む超高精度のチューニングと、手早く完了できる標準的なチューニングが、フットスイッチの操作で切り替えられます。
ミュート機能は、チューニングしている間はアンプに音を送らなくする(OFFにする)機能で、ほぼ全てのペダルチューナーに備わっています。チューナーを起動すればギターの音が出なくなるわけですから、それを逆手にとってチューナーを「キルスイッチ」として使用するギタリストもいます。
「他のエフェクターに電源を供給する機能」を備えているチューナーもたくさんあります。チューナーから電源が取れれば「パワーサプライ」を導入する必要はなくなり、そのぶんエフェクターボードの空間を確保することができます。
ちょっとこだわりたい人は、こうしたキーワードもチェックしておきましょう。
キャリブレーション(calibration。目盛り)は、「基準ピッチ範囲」とも言われます。
これはチューニングの基準となる「A(ラ)」の高さ(Hzヘルツ)を変更できる範囲で、高機能なものは広く設定されています。
ロックやポップスでは、「440Hz」に設定しておけばだいたい問題ありません。しかしアコースティックピアノや吹奏楽では「442Hz」でチューニングするのが普通です。わずか2ヘルツの違いですが、これを合わせないと気持ちの悪いハーモニーができてしまいます。
多くのペダルチューナーがキャリブレーションを変更できますが、たとえば「ロックバンド(440Hz)もやるけどピアノとのセッションやブラスバンド(442Hz)でも演奏する」という人は、キャリブレーション変更をしやすいチューナーを選ぶと良いでしょう。
チューニング精度を表す時に使われるセント(cent)は、「半音(1フレット分)の100分の1」を表します。標準的なペダルチューナーは±1セントという精度ですが、これは「+に1セント、-に1セントまでの誤差はある」という意味で、この数値が小さければ小さいほど精確なチューニングができます。
しかしシビアにチューニングするにはそのぶん時間がかかってしまいます。ライブでのスピーディーなチューニングのため、あえて精度を甘くしているモデルも作られています。
普通のペダルチューナーやエフェクターは、OFF(バイパス)のときでもバッファー回路が生きていて、入力された信号はこのバッファー回路を通過してローインピーダンス化されます。これを「バッファードバイパス」といいますが、これに対してOFFのときに入力された信号が直接アンプに送られるのが「トゥルーバイパス」です。
トゥルーバイパスは名前の響きが良く、最近では高品位エフェクターの条件のように見られています。それはペダルチューナーでも例外ではなく、トゥルーバイパス採用機や、トゥルーバイパスとバッファードバイパスを選択できるモデルがあります。しかし実際のところ二つの間に優劣はなく、メリットもデメリットもおのおの持ち合わせています。両者の違いについて、簡単にチェックしてみましょう。
バイパス方式 | メリット | デメリット | デメリットの対処法 |
トゥルーバイパス | 入力された信号に一切の加工をしない | 電気的に強化されない信号はノイズに弱く、シールドが長いと劣化する | 前段にバッファー回路があること |
バッファードバイパス | バッファー回路により、信号が電気的に強化される | ギターサウンドがバッファー回路の影響を受ける | 影響が気にならない高品位のものを使う |
表:トゥルーバイパスとバッファードバイパスのメリットとデメリット
ボリュームペダルやスイッチャーなどには、「チューナーアウト」という端子がついているものがあります。これはいついかなるときでもチューナーに信号を送り続けるもので、たとえばボリュームペダルで音量をゼロにしてもチューナーにだけは信号が送られますから、余計な音を出さずにチューニングできるというわけです。
ギターからアンプまでの経路にチューナーを組み込むときには、バイパスの仕様に気を使いたくなります。どんなバイパス法が良いかはギタリストの目的によってさまざまで、ローインピーダンス化による信号強化のためにバッファーを使用するという人も、バッファーは他にあるのでトゥルーバイパスが必要だという人も、そんなこといちいち気にしないという人もいます。
しかしふつうのエフェクターと異なり、ペダルチューナーはボリュームペダルやスイッチャーに付いている「チューナーアウト」を利用することで、ボードは少し複雑になるけどバイパスのことは考えなくてもよくなります。
現代のペダルチューナーは、LEDの鮮やかな表示を売りにしているものが大多数を占めています。しかし、その美しいLEDの輝きが「夏の炎天下でも明瞭に読めるか」と言ったら、ちょっと心配です。強い日差しが予想されるフェスなどの出演では、念のためボードに日よけを当てるなどの工夫が必要です。
チューナーの分野で日本の製品は、世界的に高く評価されてきました。世界初のデジタルチューナーを開発したのも(KORG)、世界初のペダル式ギターチューナーを開発したのも(ARION)日本です。「日本一強」と豪語してもよい状況の中、ポリフォニックチューニングを開発して一気に注目を集めたのが、デンマークのTC Electronicです。
現在では、日本のKORGとBOSS、デンマークのTC Electronicという3社がチューナーの三大定番ブランドとなっています。この三つのブランドとその他おすすめのチューナーをチェックしてみましょう。
2010年に初代機が発売、ギタリスト達の間で瞬く間に話題となった「POLYTUNE」シリーズ。開放弦を6本同時に鳴らしてまとめてチューニングできる「ポリフォニック・チューニング」の機能を世界で初めて搭載し、それまでは1本ずつでしかチューニングできなかったペダル・チューナーに革命を起こしました。
その後も小型化や輝度の向上、バッファーの搭載などマイナー・チェンジを行い、現在ではペダル・チューナーのスタンダードと言っていいほどの人気を見せています。
KORGが新たに開発した高性能バッファー「ULTRA BUFER」を搭載したシリーズです。
一般的なペダル・サイズの筐体からラップ・タイプのチューナーまで4種類をラインナップしており、すべての機種にULTRA BUFFERが搭載されています。
従来機と比較してディスプレイが大きく、明るく、そしてLEDの数も増えたため視認性が高く、通常モード/ブライト・モードの切り替えにも対応しており、日の照りつけるステージや暗いライブハウスでも活躍するシリーズです。
BOSSのペダルチューナーは、名機「TU-3」をベースに、技クラフト・シリーズ入りした高機能モデル「TU-3W」、エフェクトボードに組み込むことを想定してフットスイッチをなくした「TU-3S」の3機種を展開しています。
以上、ペダルチューナーについていろいろチェックしていきました。ペダルチューナーは「ステージチューナー」と呼ばれることもあり、本番での使用を想定しています。ギターを始めたばかりの人にとってはまだ縁遠いアイテムかもしれませんが、ライブをやるようになったらペダルチューナーの存在を思い出してくださいね。
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