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Cホールトーンスケールの5線譜表記
ホールトーンスケール(全音音階)は、その名の通り「全音」だけで構成される6音のスケールです。例えばCから始めると C–D–E–F#–G#–A#–C となり、半音が一切存在しません。この「対称性」が最大の特徴で、結果として音の解決感が弱く、常に宙に浮いているような印象を与えます。
メジャースケールをはじめ通常の7音音階には半音進行が含まれるため、主音に向かう導音(半音下の主音に解決する音)や長三和音・短三和音といった多様なコードが含まれます。一方、ホールトーンスケールは半音が排除されているため、「どこに向かうのか分からない不安定さ」 が常に漂います。これが「夢の中」「浮遊感」といった形容に繋がります。
またディミニッシュスケールと比較されることが多いですが、ディミニッシュは全音と半音が交互に現れるため張り詰めた緊張感が強いのに対し、ホールトーンはもっと「開放的」で「不思議な明るさ」を持ちます。どちらも対称性を持ったスケールですが、そのキャラクターは大きく異なります。
ホールトーンスケールは、増5度を含むドミナント7thコード(特にV7#5やV7b5)に対して効果的に作用します。
例えばG7#5に対してGホールトーンスケール(G-A-B-C#-D#-F)が使えるように、全音音階は構成音に3rdと#11(増4度)、#5(増5度)、b7を含むため7thコードにテンションを加えるスケールとして機能します。
ドミナントコード上でホールトーンを用いると、♯11や♯5によるオルタード的な響きが得られ、解決先のコードに向けた強い緊張感を作り出せます。
加えて、ホールトーンは増和音の連続を生む性質上、オーギュメントコードや不安定な和音の上でも効果を発揮します。
作曲の場面では夢や幻影を表現したいときにホールトーン由来の和声が用いられることもあり、1930年代以降はハリウッド映画音楽で乱用された歴史もあります。
ジャズギタリストやフュージョン系プレイヤーは、ドミナントに向かう一瞬にホールトーンを挿入して「モーダルな色彩」を付与します。半小節〜1小節程度で短く挟むと、サウンドが濁りすぎずに程よいアクセントになります。
Thelonious Monk – Four In One (Live)
ホールトーン的なラインが頻繁に登場し、鋭いユーモアと不安定さがピアノで体現されています。
プログレッシブ・ロックでは、ホールトーンを使って不安定な浮遊感を楽曲全体に持ち込むケースがよく見られます。ディレイやモジュレーションなどのエフェクトと組み合わせると、「夢の中をさまよう」ようなトーンが強調されます。
King Crimson – FraKctured (Live in Bonn, Germany 2000)
曲全体を通してホールトーンスケールで構成されており、ギターリフからソロまで全音階の不思議な響きに貫かれている。バンドのリーダーでありギタリストのロバート・フリップ氏は独自の音階アプローチを重視しており、ホールトーンのような非典型スケールの活用にも積極的でした。
Allan Holdsworth – Devil Take the Hindmost
フュージョン系ギターの巨匠。Devil Take the Hindmostのソロ部分では、ホールトーンスケールを駆使した流麗なラインが随所に登場します。まるで重力から解き放たれたかのような響き。
慣れ親しんだペンタトニックスケールにホールトーンの音使いを織り交ぜると、馴染みのフレーズに意外性を加えることができます。
ペンタトニック上でフレーズ展開しつつ、「ここぞ」でホールトーン由来の全音階的フレーズを差し込み、すぐにまたペンタトニックに戻る、という方法です。
ポイントはペンタトニックを軸(ホーム)に据えておくことで、ソロ全体の着地感を失わないようにすることです。
ギターでホールトーンスケールを弾く際はいくつかの代表的なパターンがあります。構成上実質2種類のスケールしかないため、指板上の形も覚えるべきパターンは二通りです。
E|————————-4-6-8-
B|——————-5-7-9——-
G|————-5-7-9————-
D|——-4-6-8——————-
A|-5-7-9————————-
E|——————————-
5弦5フレット(D)からスタートする場合
このように3音ずつ規則的に並び、フレーズを横方向へスライドさせても同じ構造が保たれるため、機械的な運指が可能です。
2音ずつのパターンや3音ずつのパターンを覚えておけば指板全体で自在に展開可能なので、まずは代表的な形を覚え、7thコードや7#5コードをバックにホールトーンスケールを上下する練習から始めると良いでしょう。
ギター博士「夢の中にいるような不思議な気分になるのぅ」
ギター博士「ホールトーンスケールは、2つのオーギュメント(aug)トライアドに分けることができる。Cホールトーンスケールなら『Caug(C, E, G#)』と『Daug(D, F#, A#)』なので、この2つを行き来するだけでもホールトーンスケールでプレイしていると言えるのぅ。
今回のように、ワシはコードとスケールというものを別で考えておらず、何なら『一緒』として考えておる。色んなスケールでこのアイデアが使えるので、みんなも是非チャレンジしてみて欲しいのぅ!」
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