フジゲン(Fujigen)のギターについて

[記事公開日]2020/6/25 [最終更新日]2023/9/30
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

フジゲンのギター Expert OS(EOS)

「FUJIGEN(フジゲン)」は、老舗ギターメーカー「フジゲン株式会社」がプロデュースするブランドです。品質が高くて性能がよい、かつ手に入れやすい価格が支持され、初心者からプロフェッショナルまで幅広く愛用されています。今回は、このフジゲンに注目していきましょう。

「フジゲン」とは

フジゲン大町工場

ギター工場「フジゲン」の歴史は、昭和35年創業のクラシックギター工場「富士弦楽器製造株式会社」に始まります。翌36年には世界市場を見据えてエレキギター製造へ転向、エレキブームに乗って内外各社のギターをOEM製造していきます。高品位なギターを作ることにかたくなにこだわる姿勢が支持され、昭和58年には「ギター生産数世界一」を記録しました。

またエレキギター製造で培ったノウハウを活かして設立されたCA(Car parts and Audio)事業部では、高級乗用車のウッドパネル、高級音響機器のキャビネット、ウッドホーン、自社ブランドのオルゴール、ウクレレ、和太鼓の生産を行っており、本社工場の一画で太鼓道場も開講しています。

《職人の手は、速い》フジゲン大町工場訪問インタビュー

FUJIGEN ギターの特徴

ギター工場としてのフジゲンは、現在でも多くのブランドのギターをOEM生産しています。しかしギターブランド「FUJIGEN」のギターはそのどれとも違う独自性のある設計が採用され、高い演奏性や美しいサウンドを実現しています。特にネックに対して深いこだわりの見られる、FUJIGENの特徴をいくつか見ていきましょう。

サークルフレッティングシステム(CFS)

Fujigen EOS EOS-ASH-M

2002年より採用されたフジゲンだけのテクノロジーで、ナットから順に弧を描くように湾曲させたフレットを打ち込みます。これによりナットから末広がりに張られる弦がフレットに直交し、ポジションを問わずクリアな響き、豊かなサスティーンを実現しています。デメリットは、フレットの打ち替えがフジゲンにしか出来ない事です。

コンパウンドラディアス指板(=円錐指板)

「コンパウンド・ラディアス指板」は、ローポジションでは丸く、ハイポジションでは平たくなる指板です。高い加工精度が求められる設計ですが、弦高を下げたセッティングがしやすく、高い演奏性が得られます。

弾きやすくなるネックジョイント、触り心地の良いネック

FUJIGEN:ネックジョイント

「ローセッティングセットアップ(=Low Setting Set Up)」、ネックを通常より1mm深く彫り沈めることで、ボディからの弦高を抑えた絶妙な演奏性を実現します。

スムーズグリップ

また、多くのモデルでネック裏は摩擦の少ないサテン仕上げが採用されます。

ブラス製FJTP テールピース

TOMブリッジを持つギターのほとんどで、このブラス製「FJTP」テールピースが搭載されます。ブラスはホルンやトランペットなど金管楽器で多く使われることからも分かるように、振動伝達にたいへん優れるのが特徴です。また、テールピースに弦を固定(トップロード)する通常の張り方と、ボディ裏から弦を通す(裏通し)を弦ごとに選ぶことができます。

ウェブ・オーダーシステム

フジゲン:ウェブ・オーダーシステムhttp://shop.fujigen.co.jp/Contents/Default

フジゲンでは「ウェブ・オーダーシステム」を採用、自宅にいながらにして自分の夢の一本を設計し、見積もりを立て、発注する事が出来ます。

LPスタイルの「EFL」、スーパーストラトの「EOS」から基本モデルを選択、そしてボディ材、カラー、ハードウェアなどをセレクトしていくと、画面上でギターが完成していきます。画面上でいろいろな組み合わせのギターを作る事が出来ますから、買うつもりがなくても楽しいですよ。完成形のイメージがしやすく、ネットなので内気な方でも大丈夫。カーリーメイプルネック、ハカランダ指板などの高級木材の使用、またこだわりの仕様変更などにも応じてくれます。

フジゲンのレギュラーモデルには「FGN」のロゴが記されますが、オーダーで作った一品ものやショーモデルなど特別なギターには「FUJIGEN」のロゴが使われます。

Fujigen EOS:ヘッド

エレキギターのラインナップ

FUJIGENは、オリジナルモデルに3つのグレードがあり、ホロウボディもヴィンテージモデルもある、大変豊かなラインナップを揃えています。全機種に共通してCFSが採用されているほか、各機種それぞれのコンセプトに沿った設計が採用され、オリジナルパーツが採用されているモデルもあります。

《最高グレード》Expert Series

Fujigen EOS:ジョイントプレート

「エキスパート(Expert)」シリーズは、FUJIGENのレギュラー生産モデルにおける最高グレードです。厳選された高品位な木材とFUJIGEN独自のさまざまな仕様が投入され、見た目の美しさ、演奏性の高さ、サウンドの良さを兼ね備えています。

《進化したLP》Expert FLAME(EFL)

FUUJIGEN EXPERT FLAME

「エキスパート・フレイム(EFL)」は伝統的なLPスタイルの弱点を見事に克服した高性能なシングルカッタウェイ機です。フレイムメイプルトップ&マホガニーバックのボディにマホガニーネックをセットイン、ローズ指板、ハムバッカー2基といった定番仕様はそのままに、スムーズ・ヒール・ネック・ジョイント工法によってハイポジションへのアクセスを飛躍的に高めています。またこのタイプのギターでは珍しく、ネック裏はサラッサラのサテン仕上げでスムーズなポジション移動ができます。オリジナルのブラス製FJTPテールピースは、弦高の張り方を通常のトップロードと裏通しから選択できます。

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《ハイエンド・スーパーストラト》Expert ODYSSEY(EOS)

FUUJIGEN Expert ODYSSEY

Fujigen EOS EOS-ASH-M

「エキスパート・オデッセイ(EOS)」は、演奏性とサウンドバリエーションを極限まで追求したスーパーストラトです。FUJIGENのさまざまな独自工法が採用され非常に弾きやすく、さまざまなジャンルの音楽で使用できます。大規模工場の生産力によって比較的手に入れやすい価格に抑えられていますが、高額な他社ハイエンドモデルと比べてもまったく引けを取らない優秀なギターです。
また、標準的なグレードの「J-Standard ODYSSEY(JOS)」、これから始める人にとって手に入れやすい入門機「Boundary ODYSSEY(BOS)」がリリースされています。これらは低価格モデルでありながら、オデッセイの特徴であるCFS&コンパウンド・ラジアス指板を備えており、極めて高い演奏性を持っています。

《手が届くハイエンド》フジゲンのフラッグシップモデル「EOS」シリーズ

《ヘヴィ系セットネック》Expert ELAN(EEL)

FUUJIGEN Expert ELAN

7弦と6弦の両面でリリースされている「エキスパート・エラン(EEL)」は、ハードメイプルトップ&マホガニーバックというサウンド重視のボディにメイプル&ウェンジの5層ネックをセットイン、全弦1音下げチューニングでセットアップされるヘヴィ志向のギターです。ネックは高音弦側の厚みを落とした「非対称グリップ」で、テクニカルな運指を陰ながらサポートしてくれます。
セイモア・ダンカン社製「AHB-1( Blackouts)」ハムバッカー・ピックアップは、爆音級の音量がローノイズで得られる、メタル志向のアクティブ・ピックアップです。メタルのために開発されたピックアップですが、楽器の個性を素直にアウトプットする優秀さを持っており、メタル以外にも幅広く使用できます。

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《トラッド系セットネック》Expert RISE(ERS)

Fujigen ERS

フレイムメイプルトップ(ERS-FM-R)とハードメイプルトップ(ERS-HM-R)の2タイプがリリースされる「エキスパート・ライズ(ERS)」は、オリジナルモデルでありながらどことなく懐かしい、伝統的なスタイルが採用されたモデルです。SGタイプをほうふつさせる左右対称デザインの本体は、メイプルトップ&マホガニーバックのボディにマホガニーネックをセットインし、指板はローズウッドというLPスタイルの木材構成です。
ここにCFS、ローセッティング、FJTPテールピースといったフジゲンの独自設計が採用されます。懐かしのルックスでありながら、中身はバリバリの最新鋭です。

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《標準機》J-Standard Series

J-スタンダード・シリーズは、実売価格で10万円近辺に設定された標準機です。価格帯こそ標準的ですが、背系にはしっかりコンセプトがあり、無理に高級感を演出しない実用的なギターとして仕上がっています。

《ロック系TLスタイル》J-Standard ILIAD(JIL)

Fujigen JIL

「Jスタンダード・イーリアス(JIL)」は、シングルカッタウェイ&ボルトオンジョイントのTLスタイルにハムバッカーを2基搭載させた、ヘヴィ路線も充分いけるロック向けのギターです。現在リリースされている3機種はグラナディロ指板を共通点としながら、ボディ材や搭載ピックアップなどでキャラクターが設定されています。

  • J-Standard JIL2-EW1-G:インブイヤトップ、アッシュバック。ハードテイル・ブリッジ。セイモア・ダンカン社製ピックアップはコイルタップ可能。操作系の配置はストラトキャスターに近い。
  • J-Standard JIL2-AL-G-HH:アルダーボディにTLスタイルのブリッジプレート。ハムバッカーはコイルタップ可能。
  • J-Standard JIL2-ASH-DE664-G:弦長664mm、フレット数24。アッシュボディ。フィッシュマン社製Fluenceピックアップ。ドロップCチューニングで出荷。

イーリアスの入門機「Boundary ILIAD(BIL)」はメイプル指板で、リアピックアップにTLスタイルの大型シングルコイルが採用されています。

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《最初から重低音》J-Standard MYTHIC(JMY)

Fujigen JMY

「Jスタンダード・ミシック(JMY)」は、アッシュボディに強固な5層ネックをボルトオンジョイントした、ヘヴィ志向のギターです。高音弦側が若干薄い非対称ネックグリップは、テクニカルな運指に有利であり、かつ握りやすい厚さが残されています。出荷時点で「ドロップCチューニング」にセットアップされていますから、買ったその日からズムズム言わせることができます。2基のフィッシュマン社製Fluenceピックアップは、トーンポットのスイッチでモダンなサウンドとトラッドなサウンドを切り替えることができます。

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《ホロウボディ》Masterfield Series

「マスターフィールド(Masterfield)」シリーズは、FUJIGENらしさを注入したホロウボディです。やはりCFSが採用されるほか、フレットのエッジが美しく球面に仕上げられており、無上の弾きやすさを持っています。

《フルアコ》Masterfield MFA

Fujigen MFA HH MFA HH

オーソドックスなスタイルを守っているフルアコ「MFA」は、太めのFホールが外観上の特徴です。ボディはスプルーストップ、カーリーメイプルサイド&バックという木材構成で、このジャンルの王道をしっかり押さえています。ウッディな感触で支持の厚い木製ブリッジを搭載して出荷されますが、シビアにオクターブ調整できるGOTOH社製TOMブリッジが付属します。

  • Masterfield MFA-FP:エボニー指板。電気系を全てピックガードにマウントしており、ボディ鳴りを邪魔しにくい。ミニハムバッカー1基の仕様だが、コイルタップができる。
  • Masterfield MFA-HH:ローズ指板。電気系はオーソドックスな配置。

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《セミアコ》Masterfield MSA

fujigen-masterfield-msa

日本人のサイズを意識したセミアコ「MSA」は、「15インチ・オリジナル・フィッティング・ボディ」と呼ばれるちょっと小さめのボディと、サイド材とセンターブロックが一体となっている独自構造「スクープド・リム&インナーブロック」を大きな特徴としています。1枚のマホガニー板を、外周とセンターブロックを残してくり抜き、表裏にメイプルを貼りつけるというボディは弦からボディ全体への振動伝達効率に優れ、アルニコ3を使用するハムバッカー・ピックアップと相まって、美しい響きを生じさせます。

  • Masterfield MSA-HP:セミアコの標準機。ローズ指板でドットインレイだが、ボディカラーが4色あり、選ぶのが楽しい。
  • Masterfield MSA-HP-C:セミアコの上位モデル。エボニー指板でボックスインレイ。ボディカラーはブラックの一択。

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《ヴィンテージモデル》Neo Classic Series

「ネオ・クラシック(Neo Classic)」シリーズは、伝統的なエレキギターをFUJIGEN流に再現したギターです。トラッドなルックスはそのままに、CFSによる高い演奏性によって現代の優秀な楽器として仕上がっています。

《LPスタイル》Neo Classic NLC & NLS

NLC 20EMH EX

LPスタイルは、レスポールの伝統に根ざした4タイプがリリースされています。ゴールド以外は「ロー・グロス」仕上げて、グロスほどのツヤが抑えられた、渋く落ち着いた雰囲気を持っています。

  • Neo Classic NLC20EMH-EX:レスポール・カスタムタイプ。ボディはオールマホガニー。
  • Neo Classic NLS20GFM-EX:レスポール・スタンダードタイプで、フレイムメイプルトップ。
  • Neo Classic NLS10GMP-EX:レスポール・スタンダードタイプで、トップは杢のないメイプル。
  • Neo Classic NLS11GMP-EX:P-90タイプ搭載&ゴールドトップ。

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《STスタイル》Neo Classic NST

Fujigen NST NST 20RAL

STスタイルは、CFS&コンパウンド・ラジアス指板の組み合わせに、ロック式ペグとステンレス製ジョイントプレートを備える高性能機です。ステンレス製のジョイントプレートは、アタック感や音の立ち上がりを向上させます。ネックをジョイントするネジもステンレス製です。

  • Neo Classic NST10RAL:STタイプの標準機。アルダーボディ、ローズ指板。
  • Neo Classic NST20RAL:上記「10RAL」にセイモア・ダンカン社製「SSL-1」を搭載したアップグレード版。
  • Neo Classic NST11RAL:上記「10RAL」のSSH配列版。コイルタップもできる。
  • Neo Classic NST11MAH:アッシュボディ、メイプル指板のSSH配列。やはりコイルタップできる。

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《TLスタイル》Neo Classic NTL

Fujigen NTL

TLタイプは、CFS、コンパウンド・ラジアス指板、ステンレス製ジョイントプレートというST同様のアレンジが施されています。ボディ構造にも違いが見られ、豊かな製品群を展開しています。

  • Neo Classic NTL10MAH:世界はここから始まった。アッシュボディ、メイプル指板の50年代式。。
  • Neo Classic NTL10RAL:アルダーボディ、ローズ指板の60年代式。
  • Neo Classic NTL10MAHT:Fホールを持つ60年代式のシンライン。
  • Neo Classic NTL10RAH:アッシュボディ、ローズ指板の70年代式。
  • Neo Classic NTL11MMHT:マホガニーボディの60年代式シンライン。
  • Neo Classic NTL21RAH:フロントにハムバッカーを載せたアップグレード版。4WAYセレクタースイッチでコイルタップできる。

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