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PRS S2 Custom24
ポール・リード・スミス(以下、PRS)の「S2シリーズ」は、「これまで手が届かなかったユーザーにUSA製のPRSを届ける」ことをコンセプトに開発された、PRSの価格を抑えたグレードです。「好評を博しているSE(韓国製)より一ランク上」で、木材のグレードやパーツの機能などがSEを上回っています。Custom 24など上位機種を踏襲したモデルが人気ですが、S2にしかないモデルもあり、存在意義を発揮しています。
という基本姿勢はそのまま継承、中域が適度に存在感を主張する聴きやすいトーンも継承した上で、ボディトップのデザインと工程を見直し、またカラーリングをシンプルなものに絞り、ネックグリップを全モデル共通にするなどの企業努力により、標準(世間的には高級)グレード(=コア・モデル)と同じ工房で生産される「メイドインUSA」でありながら、求めやすい価格を実現しています。
PRS S2 Custom 24
美しい音、美しい仕上がり。身近な値段だからって、決して安っぽくはない。PRSの心意気が分かるギターです。
「S2」というシリーズ名は、
USAメリーランド州「スティーヴンスビル工場第2生産ライン」
がその由来です。企業努力の結果として価格は大幅に圧縮されていますが、PRS側としては安いギターを作っているという意識は毛頭なく、S2は標準機コア・モデルに次ぐ「第二のスタンダード・モデル」といった位置づけです。コア・モデルと同じ工場で作られ、使用する木材も同じです。ピックアップや金属部品についてはこのシリーズ専用に開発、ボディトップの加工には新しいスタイルを取り入れ、一味違う雰囲気のギターに仕上がっています。価格を抑えたシリーズと言えど開発に手を抜くことはなく、個性と魅力のあるモデルを発表するのがPRSのアイデンティティと言えるでしょう。
それでは定番機種「S2 Custom 24」を例に、S2の特徴を探していきましょう。
S2では、PRSのUSA工場で使用できる基準を満たした木材が使われます。ボディトップのメイプルにはしっかり杢(もく)が入り、ボディバック、ネックのマホガニーは木目が均一で、指板のローズウッドにも美しいものが使われます。ネック接続は、その幅を保ったままボディに挿入される「ボックス・ジョイント」です。フロントピックアップの下部に届くほど深くジョイントしますが、この工法は高い加工精度が求められ、ごまかしが効きません。
S2シリーズでは、ダブルカッタウェイモデル(S2 Custom 22/24など)に「85/15”S”」、シングルカッタウェイモデルに「#7”S”」ピックアップがそれぞれ搭載されます。こちらはコア・モデルや高級機「プライヴェート・ストック」でも使用されるPRS定番ピックアップをベースに、S2シリーズ向けに設計しなおしたものです。
S2のダブルカッタウェイモデルでは、ボリュームポットに「ハイパス・フィルター」が備わります。これはボリュームを絞った時に作用し、音量を下げても高音域がある程度残され、音抜けをよくします。太いソロ用の音からボリュームを絞るだけで、高音域が豊かに残るコード用の細い音を作ることができるわけです。
S2シリーズでは、トーンポットにコイルタップのスイッチが仕込まれます。
です。これによって、ハムバッカー2基、あるいはシングルコイル2基の組み合わせ、合計6種類のサウンドバリエーションが得られます。特に、リア及びフロントのシングルコイル単体、というサウンドはコア・モデルにはなく、S2のちょっとしたポイントになっています。
また、「二つあるコイルの片側だけを生かす」というのが一般的なコイルタップで、コア・モデルでもこれに準じていますが、S2では「生かさないほうのコイルをちょっとだけ生かす」という特殊配線が敷かれています。これにより、細すぎず音量が下がりすぎない、使いやすい疑似シングルコイルサウンドが得られます。
S2シリーズで使われるペグは「PRS ローマス(軽量)チューナー」と呼ばれる、ストリングポストで弦をロックする機能を持つロッキングチューナー(ロック式ペグ)です。弦交換の時間短縮、チューニングの安定にたいへん有利です。
また、ブラス製のストリングポストを採用し、その名の通りロトマチックタイプでありながら、軽量に作られています。PRSはヴィンテージギターへのリスペクトが厚く、「ブラス製の軸を持った軽量なペグの音響特性」をたいへん重視しています。
PRSのトレモロユニットは、肉厚で強固なブリッジプレートとブロック状のサドルを組み合わせた、特許取得構造が売りです。S2のトレモロユニットもその例にならった特許構造で、豊かなサスティンが得られ、サドルはガタつかずチューニングは安定する、シンプルながら高い性能を誇ります。
ここでコア・モデルとS2、ふたつのCustom 24を並べ、違いを探してみましょう。どんなところに違いがあるのでしょうか。
左:S2 Cutsom24
右:Custom24(Core Model)
S2シリーズで使用される木材はコア・モデルと同じで、さすがにフィギュアドメイプルのグレードこそ差はありますが、ボディ&ネックに使用するマホガニー、指板に使用するローズウッドに目立った差はないようです。ボディやネックの貼り合せなど楽器の根幹をなす工程にも違いはなく、材料の違いこそあれPRSの象徴「バードインレイ」もしっかり埋められます。S2は「ボディトップのメイプル以外、楽器本体はコア・モデルに匹敵するギター」だと言えるでしょう。
なお、
というように、バリエーションを絞って生産効率を上げたことで、コストダウンを図っています。
上:S2 Cutsom24
下:Custom24(Core Model)
最もわかりやすい違いが、ボディトップのメイプルです。今回ピックアップしたコア・モデルはオプションの「10Top」が付いた上位モデルで、さすがに美しく均一な杢が出ています。S2にはこうしたオプションはありません。
また、立体的なカーヴィングも個性が分かれます。S2では、6弦側は緩やかな角度で面積を広めにカット、1弦側は急な角度で幅を狭くカットします。この「非対称ベベルド・トップ」は全モデル共通で、S2シリーズの直線的な雰囲気を演出しています。このボディトップには多く平面が残されているので、そのままピックガードを貼付けることが可能です。それを活かし、PRSのラインナップの中ではS2の「Standard」モデルのみ、ピックガードのあるモデルがリリースされています。
コア・モデルでは、杢の美しさを引き立てる曲線的なカーヴィングが施されます。今や多くの工程が機械化されたとはいえ、仕上げは職人の手作業にゆだねられます。
ペグはいずれも、ストリングポストの先端から弦を固定するタイプのロック式ペグです。S2の「PRS ローマス(軽量)チューナー」は、本体を小型化軽量化しつつ、コア・モデルではこの裏フタまで取り去ってさらに軽量化させた「PRS Phase III(第三段階)Locking」ペグが使われます。
特許取得のブリッジに、一見すると違いは見いだせません。ブリッジではブリッジプレート本体の作り方に違いがあり、S2は溶かした金属を型に流し込む「鋳造(ちゅうぞう)」で作り、コア・モデルではブラスの削り出しで作ります。工程の違いでコストに大きく差ができるのですが、削り出しの方がサウンドが煌びやかになる傾向があります。
では、S2のラインナップをチェックしていきましょう。決してコア・モデルを追いかけているだけではない、個性の立った製品群が展開されています。
S2 Custom 22
S2 Custom 24
オールマホガニーボディだったPRS Standardシリーズのボディ・トップに模様の美しいメイプルを貼付けたCustomシリーズは、多くのユーザーに愛されておりPRSを象徴するモデルになっています。中央部分を残してボディをくり抜く「セミホロウ」構造は今のところコア・モデルにはない、個性的な存在です。
「Custom 22」と「Custom 24」とは単にフレット数が違うだけでなく、ネックを挿しこむ深さ、ジョイントヒールの形状、フロントピックアップの位置にも違いがあり、個性の違う楽器になっています。
S2 Custom 22 を…
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S2 Custom 24 を…
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S2 Standard 22
S2 Standard 24
名機Custom 24のベースとなったStandardシリーズですが、S2ではオールマホガニーボディにピックガードを合わせた仕様となっており、ピックガードモデルの少ないPRSのラインナップの中で異彩を放っています。ボディ形状はS2 Customシリーズと同じですが、バードインレイが非採用となっていることもあり、全く違った印象になりますね。それぞれに艶消し塗装を施した「Satin(サテン)」版もリリースされています。おかげでS2 Customシリーズよりもさらに踏み込んだ価格圧縮を成功させています。メイドインUSAを、かなり身近に感じることができるモデルです。
ピックアップは共通して「85/15”S”」が採用されており、パーツも共通するなど、ボディ以外は上記Customシリーズと同一スペックとなっています。
S2 Standardを…
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いまのところS2のみでラインナップされている「ヴェラ」は、PRSの伝統を打ち破る新しいアプローチのギターです。ボディ形状は新しく設計されたオフセット・タイプで、ピックアップはフロントの大きめシングルコイル、リアのハムバッカーともにこのモデル専用に開発されたものです。ブリッジはブラス製の2連サドルを採用し、弦を裏から通さずトップ側からブリッジプレートに引っ掛ける「トップロード」型になっています。ルックス、サウンド共にPRSでは新しいモデルですが、どことなく懐かしさ、シブさが演出されており、これまでのPRSのイメージとは全く異なるアプローチのギターになっています。
The PRS S2 Vela
PRSのゴージャスなイメージから一転した、シブいルックスが特徴。サウンドもどこか懐かしさを感じさせます。
S2 Velaを…
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S2 Singlecut、S2 Singlecut Semi-Hollow、S2 Singlecut Standard、S2 Singlecut Standard Satin
コア・モデルにラインナップされている「SC245」に近いモデルのS2 Singlecutシリーズですが、SC245のネックスケールが24.5インチであるのに対してこちらはPRS標準の25インチ、ブリッジはSC245がチューン・O・マチックタイプであるのに対してこちらではバー・ブリッジになっているなど、違った個性が演出されています。
S2 Singlecutは22フレットで「#7」ピックアップを搭載、マホガニーボディにフレイムメイプルが貼られています。S2 Singlecut Standardは同じ仕様でボディがマホガニーで、レスポールタイプのギターでは珍しくボディの大部分を覆うピックガードが付けられています。このことから、このモデルはS2 Custom 22及びS2 Standard 22の仕様をベースにしてレスポール的なルックスにアレンジしたギターだと言ってもいいでしょう。
シングルカッタウェイモデルはダブルカッタウェイモデルに比べて、ボディから出ているネックの長さが短くなります。これによりネック剛性がアップし、弦振動にコシや張りが加えられる傾向にあります。S2 Singlecut ではメイプルトップのセミホロウモデルもリリースされています。
S2 Singlecutを…
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サンタナモデルのように左右対称に近いボディのシルエット、シンプルなピックガードモデルというコンセプトで開発されたMiraは、2007年にレトロな雰囲気を持つ新しいコンセプトのコア・モデルとしてデビューしました。現在ではS2独特のモデルという扱いで、セミホロウモデルもリリースされています。
楽器本体はマホガニーボディにバー・ブリッジという仕様で、ボディが薄く軽量であることから、ある意味レスポールに対するSGスペシャルのような位置を連想させます。
ピックアップはMira専用に開発されたもので、リアはリッチできらめくようなトレブルと引き締まった低音を持っており、一方フロントではややダークな印象になるように設計されています。優等生なトーンを身上とするPRSにしては珍しく、トレブルがやや暴発するように設計されておりアクの強さを感じさせますが、歪ませた時にガツンと主張してきます。
シングルカッタウェイのマホガニーボディにビグスビーをマウントすることで、PRSの現代的で洗練されたイメージを一転させたレトロな雰囲気のあるモデルです。ビグスビー搭載モデルはPRSのラインナップでは唯一の存在であり、ひときわ存在感を主張しています。
ピックアップはStarla専用に開発されたもので、中域が心地よいPRSのトーンを維持しつつ出力を若干抑えており、プレイヤーのタッチがより生きるようになっています。激しく歪ませるより、ピッキングのニュアンスを活かすセッティングでブルーズやロカビリー、ロックンロールをプレイするのが似合いそうですが、もちろんどんなジャンルにも対応することができます。
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