エレキギターの総合情報サイト
「Greco(グレコ)」は、1960年に日本で設立されたギター/ベースブランドです。楽器総合商社の「神田商会」が保有するプライベートブランドとして立ち上がり、国内生産の高品質なコピーモデルとキャラの立ったオリジナルモデルで一時代を築きました。近年ゼマイティスのライセンス生産で話題になりましたが、現在では品質が高く個性的なオリジナルギターをリリースしています。
人間椅子@渋谷公会堂公演ダイジェスト(NINGEN ISU)
ギブソンをメインとするギタリストは、サブにグレコを所有するのが80年代の基本スタイルでした。人間椅子の和嶋慎治氏もその一人で、SGタイプなど何本もグレコを所有しており、ダウンチューニング専用機にするなど積極的に使用しています。
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1: ブランドホルダーの神田商会とは 2: 日本のロックを支えたグレコの名機群 2.1: レスポールタイプ「EGシリーズ」 2.2: 時代の最先端を往く「GO」シリーズ 2.3: 日本発祥の変形ギター「M」 2.4: リッチなダブルカッタウェイモデル「EW」シリーズ 3: グレコギターのラインナップ 3.1: 対称型ダブルカッタウェイモデル「MR」シリーズ 3.2: 他にない独特なサウンドが出せる「Bg.」シリーズ 3.3: これからギターを始める人にお勧め「WS(Wild Scamper)」シリーズ 3.4.1: ストラトキャスター・タイプ:WS-STD 3.4.1.1: WS-STD SSH 3.4.1.2: WS101 SH 3.4.1.3: WS-QT 3.4.1.4: WS-BG101 3S、WS-BG101 SH 3.4.2: テレキャスター・タイプ:WST-STD
1948年に設立された神田商会は、音楽関係の商社として
といったさまざまなブランドを取扱っていますが、輸入や販売だけでなく、製造にも力を入れています。
グレコの製品を展開するため1973年に楽器メーカー「ダイナ楽器」を立ち上げており、ギターの自社生産ができる体制を持っています。カントリーのシンガーとして名を馳せた斉藤任弘(さいとうたかひろ。代表曲に「マンダム~男の世界」など)氏はもともと神田商会の社員で、日本人で初めてフェンダーとギブソンの工場へ行き、学んだ技術を日本に伝えたのだと言われています。
米国のフェンダー社との関わりが深く、フェンダー株を山野楽器の約14%に次ぐ13%近く保有する主要株主になっています。2015年3月までは「フェンダー・ジャパン」ブランドとしてライセンス生産をしていましたが、それ以後はフェンダーの「ジャパンエクスクルーシブシリーズ」をダイナ楽器にて生産しています。
《他社ができたことはウチもできます》ダイナ楽器訪問インタビュー
既に生産終了となったグレコのギター:左から EJr-188、SJR-82、EG-265F、WS-43、CEG-230
半世紀以上の歴史で、グレコは時代の人気アーティストの意見を取り入ながら、いくつもの伝説的なギターを生産してきました。特に日本にロックが普及していった1970年代は、多くのプレイヤーがグレコのギターを愛用しました。現在でも当時の活況を物語るかのように、中古やジャパンヴィンテージとして多数の古いグレコが取引されています。今なお存在感を発揮するグレコの名機を、時代と共にチェックしてみましょう。
「グレコのレスポール」は控えめな価格でありながら、本家ギブソン・レスポールに迫る品質を誇る、まさにグレコを象徴する名機でした。1970年代のレスポールコピーモデルとしてはトーカイのLSシリーズをライバルとして競っていましたが、低価格と釣り合わない品質が人気を集め、本家ギブソンの売り上げを脅かすまでになっていました。遂に1980年、本家ギブソンより「偽造品製造をしている」と提訴されて生産は縮小、現在では生産終了となり、稀に限定生産されるのみとなっています。
EGシリーズが誕生した1970年には「日本語ロック論争」と称して、ロックを英語で歌うべきか日本語で歌うべきかが真剣に議論されるほど、ロックは身近になっていました。この時開発されたレスポールコピー「EG-360」は「本物が手配できず写真から寸法を割り出した」というもので、中空のアーチトップボディにデタッチャブルネックという仕様でした。当時国内随一の腕前を誇り「日本のジミー・ペイジ」とまで言われた成毛滋(なるもしげる。1947-2007)氏が、手の大きさに合わせてネックを細くしたという特別製のEG-360を愛用、またレッド・ツェッペリン来日の際にジミー・ペイジ氏が使用したことから大ヒットします。バージョンアップやバリエーションを展開していく中、ギターのおまけで教則テープが付属していたことも話題となり、レスポールタイプの国内シェア一位になっています。
B’zの松本孝弘氏、ザ・クロマニヨンズの真島昌利氏が初めて買ったエレキギターは、グレコのレスポールだったことが知られています。現在プロミュージシャンとして活躍しているというギタリストの中にも、最初はこのおまけの教則テープで練習したという人は少なくないようです。
GOシリーズは1977年にデビュー、
を特徴としたオリジナルモデルで、テクニカルなプレイが要求されるロック/フュージョンにフィットしました。最上位機種「GO-III」は「ゴダイゴ」のギタリスト浅野孝巳(あさのたかみ)氏が開発に加わり愛用したことから、この時代のプロミュージシャン御用達のギターになっています。
3タイプがリリースされましたが、仕様ごとにボディシェイプにも違いが設けられていました。
Mirage 30th Anniversary Black Diamond
1978年にデビューした「M(ミラージュ)」は、「魅力ある日本発のオリジナルギターを作る」というコンセプトにより神田商会(グレコ)、星野楽器(アイバニーズ)、富士弦楽器製造(フジゲン)3社共同で開発された日本発祥の変形ギターで、
として販売されました。両者はピックアップや金属部品に違いこそあれ、いずれもフジゲンで製造された同様のギターです。アイスマンが「キッス」のポール・スタンレー氏に愛用されたことから、ミラージュも国内でヒットしました。
左から:EW-82 T.O.M、EW-88、EW-195Q/P、EW-265F/H、EW-270Q/P
グレコ「EW」シリーズは、PRSのカスタム22を思わせるダブルカッタウェイの外観に、グレコの個性的な設計を詰め込んだ高級感あるモデルです。グレードの高い木材をぜいたくに使った、またセットネック/カーブドトップといった高級な仕様のギターでありながら30万円を下回る価格設定ができており、グレコの生産力がいかにすごいかを感じさせられます。
このEWシリーズで特徴的な設計は、ボディ側からネック調整ができる「ホイールアジャスト式トラスロッド」です。ロッドカバーも特にないため調整したいときにすぐ操作できるほか、ネックの根元までトラスロッドが来ているぶんこの部分での剛性が向上、「元置き」や「腰折れ」といったネック接合部分付近でのトラブルが起こる可能性を大幅に低減させることができています。
EW-82などボルトオンのネックは、アンカーを仕込んで結合を強化させる「アンカーボルトネックジョイント」で接合されます。これは同じくダイナ楽器で生産されていた、フェンダー・ジャパンのイングヴェイ・マルムスティーン氏シグネイチャーモデルに採用されていました。
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現在のグレコは、ブランドカラーを前面に打ち出したオリジナルモデルをリリースしています。設計やデザインにこだわりが反映された個性的な楽器群は、楽器として頼もしい「汎用性」とそのギターを選んだ演奏者の個性を引き立てる「キャラクター」の両方がしっかりと存在しています。
左から:MRn-140、MRn-150、MRn-170G、MRn-180G
伝説的なボーカリスト、ポール・ロジャース氏(現:クィーン)率いるハードロックバンド「バッドカンパニー」来日(’75年)の際、ギタリストミック・ラルフス氏がオーダーしたことから誕生したのが「ミスターモデル」と呼ばれる「MR」です。ギブソン系の仕様を踏襲しながら、左右対称ボディのダブルカッタウェイ仕様で24フレットまで余裕で手が届く思い切ったデザインが特徴的です。ハイポジションの弾きやすさは尋常ではなく、それゆえ他のギターと比べてネックが長くなったかのような印象になります。
現在では「MRn」シリーズとして、コントロール系やパーツの選択などで現代的なアレンジが施されています。
といった特徴を持っています。
基本モデルのMRn-140から最上位機種のMR-180までバリエーションがありますが、これらはインレイがドット(点)かブロック(四角形)か、パーツはゴールドかシルバーかなどといった外観上の違いで分けられており、音に肝心なウッドマテリアルやピックアップなどのパーツ類はすべて共通しています。
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左から:BG-800 Metallic Red、BG-800 Metallic Blue、BG-800 Black、BG-1000、BG-1400
1979年に「ブギー(boogie)」のモデル名でデビューしたBGは、フェンダー的なスタイルながら弦長628mm(ミディアムスケール)のネックを持ち、両側を覆うピックガード、リバースヘッド、シングルコイル2:1という独特のピックアップレイアウトを持つ、特にロックにフィットすることを目指したオリジナルデザインのギターです。
ジミ・ヘンドリックス氏のストラトキャスターでも有名なリバースヘッドは、ナットにかかる弦の角度が通常と逆になります。低音弦のテンションを上げ、反対に高音弦のテンションを抑えることから、パワーコードで張りのあるサウンドをプッシュしつつ、チョーキングなどリードプレイがスムーズになるようなテンションバランスを作っています。
シングルコイル3基に見えるピックアップ配列ですが、リア側の二つでハムバッカーを構成しているSH配列です。「コイルタップバランサー」つまみの操作でリアシングルとリアハムバッカーを無段階にブレンドし、プレイヤーが欲する絶妙なところのトーンを出すことができます(Freedom Custom Guitar Researchの「タップコントロール」もこれと同様です)。それぞれのピックアップはセラミック磁石を2つずつ内臓、コイルのターン数を普通のシングルコイルの倍に設定しており出力を強化していますから、スマートなルックスとは裏腹の太いトーンを得ることができます。
現代によみがえったBGは、ナット幅40mmの細身のネック、5%ほど縮小したボディサイズによりコンパクトで取り回しの良いギターになっていますが、細いネックのギターはストラップを長くして低く構えても弾きやすいというメリットがあり、小柄なプレイヤーに寄り添う優しさと、ロックをガンガン演奏する凶暴さとを併せ持っています。
Bg.シリーズを…
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2016年に登場した BG-CUSTOM は、Bg.のルックスを継承しながらも、現代のミュージック・シーンに対応できるよう新しいコンセプトで生まれ変わったシリーズ。国内工場で製造されるメイド・イン・ジャパンのエレキギターです。
「BG-800」と同じボディ・シェイプにエッジを大きくとった丸みを帯びたフォルムと、ボディ表裏のコンターによって演奏性が増しています。アルダーボディ/メイプルネック/ローズウッド指板/628mmミディアム・スケール/22フレット(ミディアム・ジャンボ)という仕様は Bg.シリーズと同様。Bg.にはない6点支持のトレモロ・ブリッジを装備、オリジナル・シングルコイル「BG-CUSTOM-S」はセンターの位置が若干リア寄りに設定された Bg.シリーズならではの5Wayで、リア時にハムバッカー/ミックス時はハムキャンセルと、多彩なサウンドバリエーションを誇ります。
ヘッド部分はノンリバース・デザイン/14度のヘッド角度/スカーフ・ジョイントと大きく仕様変更されたのが特徴となっているほか、ピックガードもデザインを一新し、オリジナリティを深化させています。
BG-CUSTOMを…
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豊富なカラーラインナップのWS-STDシリーズ
「WS」シリーズは初心者を強力にバックアップするストラトキャスター・タイプ/テレキャスター・タイプのラインナップで、
を特徴としています。
次のページではこの「WS」シリーズのギターを詳しく見ていきましょう。
WSシリーズのギターを…
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