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Magneto GuitarsのP-90″タイプ”のピックアップ
ギブソンの名シングルコイル「P-90」はフェンダー「ブロードキャスター(1950)に先立つ1946年に開発され、PAF(ハムバッカー)が開発される1957年まで同社の主軸ピックアップとして君臨し、それ以降もさまざまなギターに採用されてきた、歴史あるピックアップです。
他社製品でも「P-90タイプ」という呼び方が通用する、製品名が一般化した珍しいピックアップでもあります。現在ではPAF型ハムバッカーやフェンダー型シングルコイルに次ぐ第3の定番ピックアップとみなされており、ギブソン以外にもいろいろなギターに採用されています。
第3の定番ピックアップ「P-90」とはどんなピックアップなのか、その特徴や他との違いについてじっくり見ていきましょう。
MAGNETO Guitars T-WAVEをギター博士が弾いてみた! 0:31〜3:00
P-90タイプをフロントに搭載したギターのサウンド。シングルコイルが持つタッチニュアンスを持ちながら、歪ませたドライブサウンドではジューシーで迫力があり、かき鳴らした時のジャランとした感触は独特だ。リードトーンもシングルコイルよりふくよかで存在感がある。
上;ドッグイヤー型
下:ソープバー型
P-90を一言で表現すると。「大型で高出力のシングルコイル・ピックアップ」です。事実、ギブソンのハムバッカーは「改良型P-90」を目指して開発されており、P-90と同じ出力になるよう設計されました。逆に言えばP-90は、クラシックなPAF型ハムバッカーと同等の出力を持っているわけです。
P-90にはピックアップ本体にネジを通す「ソープバー」と、左右に「耳」が出ている「ドッグイヤー」の2種類があります。ソープバーはソリッドボディとセミアコに設置でき、ピックアップ本体の高さを調節できます。ドッグイヤーはフルアコにも設置できますが本体の高さ調節はできず、ポールピースの調整で対応します。
なお、二つの違いはマウント方法のみで、サウンドに違いはありません。
左から:ストラト、ジャズマスター、レスポール・スタンダード、P-90
P-90でよく語られるのが、「フェンダーのシングルコイルとはどこが違うか」です。P-90はジャズマスターに搭載される大型シングルコイルと同じに見えますが、両者は構造上の違いから異なるサウンドのキャラクターを持っています。それでは、P-90、PAF型ハムバッカー、フェンダー型シングルコイルの大まかな違いを見てみましょう。
P-90、PAF型ハムバッカー、フェンダー型シングルコイルの大まかな構造。磁界(Mag. FIELD)はあくまでもイメージで、実際にはこんなキレイなマルにはならない。
P-90は底面に配置した磁石からポールピースを立てる設計で、ハムバッカーの構造もこれにならっています。この設計では弦に対して磁石が遠くなる代わりに、広い磁界を展開できます。これに対してフェンダーのピックアップはポールピース自体が磁石となっており、磁力が強い反面、磁界は狭くなります。
磁界が狭いとサウンドは鋭く、反対に広いと太くなる傾向にあることから、P-90はフェンダー型より太いサウンドが得られます。またP-90はネジ式のポールピースが使用できるので高さ調節が可能で、弦ごとの出力を調節可能です。磁石は欠けてしまう恐れがありネジとしては使えないため、フェンダー型のシングルコイルではポールピースの高さ調節ができません。
Seymour Duncan「P90 Stack(STK-P1b / STK-P1n)」
P-90のサウンドはそのままに、ハムノイズの克服に成功したモデル。
P-90の「シングルコイル」という基本構造には、60サイクルのハムノイズが宿命的につきまといます。これを克服するために発明されたのがギブソンのハムバッカー、通称「PAF」です。「P-90のハムノイズ除去」が開発の目的だったため、PAFは基本構造の多くをP-90から踏襲し、出力/サウンドともにP-90を目指しています。その甲斐あって誕生したPAFは見事にハムノイズを克服しましたが、その構造から「インダクタンスが上がる」という電気的な特性によって高域がやや削られ、また相反するコイルによって特定の波形がキャンセルされる宿命を背負ってもいます。
これに対してP-90はハムノイズこそあれ、高域の特性が低下することも特定の波形がキャンセルされることもない、「素直で明るいサウンド」が得られます。
「与える男②」~カンタンカンタビレ#22~
P-90は、シングルコイル特有の「明瞭で、歯切れよくハッキリとした抜ける音」、またコイルサイズや磁界などの設計に由来する「太くて丸い音」のバランスが絶妙に取れている優秀なピックアップです。現代ではロックやパンク、あるいはジャズやネオソウルで多く使用されるイメージが定着していますが、その一方でメタルやハードロックといったエクストリームなジャンルでは、あまり使用されません。
奥田民生さんは、「中音域がおいしい」として、それゆえ分厚いバンドサウンドを作ってもハムバッカーほど「こもらない」ところが魅力だと、また楽器のボリューム操作や右手のタッチなどでサウンドのキャラクターを操作しやすいため、歪みやダイナミクスの切り替えをエフェクターに頼らなくても済むことがメリットだとも述べています。
佐藤タイジさん(THEATRE BROOK)は、自身のシグネイチャーモデルとしてP-90とビグスビーを搭載したYAMAHAのSGを使用しています。氏はP-90を搭載した自身のモデルに対して「音がザクッとしてクランチサウンドがすごく気持ちいい」、「歪んだ時にジャラっとした感じが出る」というコメントを残しています。
多くの場合、既存のピックアップをP-90に載せ替えようとすると、ピックアップキャビティやピックガードなどを加工したり隙間を埋めたりする必要があります。また既存のネジ穴を利用するのも難しく、新たにネジ穴を開ける必要があります。大掛かりな施工が必要になるケースが多いので、改造はショップに依頼するのがお勧めです。
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Montreux「Custom CTS A300K Split」
ポットの抵抗値は底面に刻まれる。なお300kオーム・ポットではインチサイズが基本仕様。
ボリューム&トーン両ポットの抵抗値は、高域と低域の響き方に影響する重要なパラメータです。抵抗値が低ければ高域が丸くなって低域が膨らみ、逆に高ければ高域が鋭くなり低域が絞られます。
ピックアップごとに標準的な抵抗値は定まっており、ストラトタイプのシングルコイルならば250kオーム、PAFタイプのハムバッカーなら500kオームが適正です。我らがP-90に適正な抵抗値は300kオームと言われていますが、ギターによってはピックアップ組み合わせの都合で250kオームや500kオームのポットが使われることもあります。ピックアップ交換には、ポットをどうするかも併せて検討するといいでしょう。
Seymour Duncan「Phat Cat」
ピックアップ本体の構造はP-90だが、ハムバッカー搭載のギターに無加工で取り付け可能。ブリッジ用とネック用があり、各ポジション用に適切な出力に設定されている。
P-90は独特な寸法でありマウント方法も独特ですから、気軽に交換するわけにはいかないかもしれません。そういう状況から、ハムバッカーと同じサイズのP-90が開発されています。標準的なPAFスタイルの寸法にキチンと収まり、かつハムバッカー・ピックアップと同じ方法でギターに取り付けることができます。こちらを利用すれば、本体への加工なくP-90のサウンドを手に入れられ、もし気に入らなければ元に戻すことまで比較的容易です。
以上、ギブソンの名シングルコイル「P-90」の特徴や構造をチェックしていきました。今でこそPAF型ハムバッカーやフェンダー式シングルコイルに次ぐ「第3の定番ピックアップ」という扱いですが、この3つの中では最も古い歴史を持っています。テレキャスターもレスポールもまだ生まれていない時代から、P-90は音楽を奏でてきたのです。ストレートで素直に響く、どこか懐かしいサウンド、ぜひ実際にチェックしてみてください。
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