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現代エレキギターの礎(いしずえ)となったのは、間違いなくフェンダー・テレキャスターです。「エレキギターの定番」と言われながら、仲間のフェンダー・ストラトキャスターやギブソン・レスポールにトップを譲っているような印象があるけど、逆にそこがいい。キース・リチャーズ氏(ローリング・ストーンズ)を筆頭にJOHN5氏、ジョニー・グリーンウッド氏(レディオヘッド)、日本では山下達郎氏や布袋寅泰氏など、テレキャスターは多くの名手のトレードマークとなっています。またテレキャスターをメインにしていないギタリストにも「テレキャスターは一本持っていたい」と思わせる、不思議な魅力を帯びたギターです。Squireのテレキャスターを、シリーズごとに見ていきましょう。
ポルカドットスティングレイ「テレキャスター・ストライプ」MV
しゃにむにコードをかき鳴らす、それでいてソロもバリバリ弾く。ロックバンドで鳴り響くテレキャスターのサウンドは、とても心地よいですね。スクワイアなら、比較的お財布に優しい値段で本物のテレキャスターが手に入ります。
「クラシック・ヴァイブ」シリーズは、過去にあった象徴的なギターの雰囲気(=vibe)を帯びた、スクワイアの最上級モデルです。ギター博士が動画で使用しているスクワイアのストラトキャスターも、このシリーズのものです。
ベーシックなテレキャスターは、ネック仕様、ピックアップなど電気系、ペグやブリッジなど金属部品を共通としながら、木材構成とルックスの違いでキャラクターを作っています。「’50s」はメイプル1Pネック&パイン製ボディ、「’60sシンライン」はローレル指板&空洞を設けたナトー製ボディ、「’60sカスタム」はローレル指板&バインディングを施したナトー製ボディです。
テレキャスターの祖先「エスクワイア」は、バインディングを施した60年代仕様でのリリースです。ナトー製ボディにリアピックアップ1基のみというピックアップ構成に、3WAYセレクタースイッチでサウンドバリエーションが得られます。ポジション「1」でボリュームのみ反映、「2」ではボリューム&トーン共に反映、「3」では高域をがっつりカットするキャパシターが起動します。
きらめく高音域を持つ「ワイドレンジ・ハムバッカー」を採用した70年代式テレキャスターは、1Pメイプルネックを共通仕様とした3機種がリリースされており、ピックアップ構成とボディ仕様で個性が設けられています。
「’70sシンライン」はHH配列で空洞を設けたソフトメイプル製ボディ、「’70sカスタム」はSH配列でポプラ製ボディ、「’70sデラックス」はHH配列でバックコンターを施したポプラ製ボディです。
Classic Vibe Telecasterを…
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「アフィニティ・シリーズ」は、お値段と抱え心地の両面で、まさに「近親感(affinity)」を感じさせるスタンダード・モデルです。このシリーズのテレキャスターは、ボディ背面にはコンター加工が施され、セラミック磁石を採用した高出力なピックアップ、肉厚で重厚な金属部品を採用する、モダン・スタイルに仕上がっています。ペグポスト(軸)には伝統的なスリットが刻まれており、特に弦を外すときの作業時間を短縮できます。弦の切れ端が突出しないので、ソフトケースの内側にも優しい設計です。
「アフィニティ・テレキャスター」は、現代的な弾きやすい本体と、明瞭で力強いサウンドを共存させた、モダン系スタンダード仕様のテレキャスターです。「アフィニティ・デラックス」は標準的なハムバッカーを2基備え、太く分厚いサウンドを持っています。
Exploring The Squier Affinity Series Telecaster Models | Fender
低価格なながら、まさにテレキャスターの音。デラックスの音は丸く太く、ドライブサウンドとの相性が抜群です。
Affinity Telecasterを…
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「コンテンポラリー(contemporary)」は「現代」を意味しますが、ちょっと前の時代も含む「モダン(modern)」より狭い、「まさに今」というニュアンスを持ちます。この名を関する「コンテンポラリー・シリーズ」は、日増しにハードかつヘヴィになっていく、まさに今の音楽を弾くための、最新のサウンドと演奏性を備えています。
「コンテンポラリー・テレキャスターRH」は、フロントにパワフルなハムバッカー、リアにシングルサイズのハムバッカーを搭載した、ヘヴィ・ミュージックに特にフィットするテレキャスターです。ネック材にはローステッドメイプルを採用しており、従来よりネックの安定性が向上しています。このほか「スカルプド・ネックヒール」採用によりハイポジションへのアクセスが向上し、バックコンターがあるので抱え心地が良好です。
Exploring The Squier Contemporary Telecaster RH | Fender
ヘヴィなディストーションが似合う、図太いサウンドです。12″指板Rとジャンボフレット採用により、テクニカルなプレイへにも挑戦しやすくなっています。
BLACK METALLIC / DARK METALLIC RED / PEARL WHITE
2018年1月に初登場。「完全なモダン仕様のギター」を目指し、コントロール系統は従来のテレキャスターと同様ながら、2基のカバードセラミック・ハムバッカー搭載、6サドル・ブリッジ、マッチングカラー・ヘッド、Cシェイプ・ネック、ジャンボフレット/305 mm R指板を採用。弾きやすさ(テクニカルなスタイル)を追求した仕様となっています。
Contemporary Telecaster HHを…
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「Paranormal(パラノーマル:超常的な)」シリーズでは、かつて実際にリリースされていた珍しいモデルや、かつて実際にリリースされていたかもしれない特殊なモデルをリリースしています。マイナーモデルのみが身にまとう不思議な魅力や、珍しい仕様が帯びるチャレンジ精神にあふれた、たいへん面白みのあるモデル展開となっています。
「バリトン・カルボニータ」は、弦長を27インチにまで拡張したバリトンギターです。バリトンギターは通常のギターと比べて5フレットぶん低いチューニング、6弦からB、E、A、D、F#、Bで演奏します。専用の楽譜や参考音源が大変乏しいギターですが、7弦ギターのような低音が出せる、ギターとベースの間の音域をカバーできるなど、クリエイティブ心をくすぐる面白みのある楽器です。
TONE CHECK: Squier Paranormal Baritone Cabronita Telecaster Demo | No Talking
ヘヴィリフはもちろん、アルペジオやカッティングでも一味違った雰囲気が得られる、とても楽しいギターです。
ストラトキャスター/テレキャスター以外の機種も、Squierではオーソドックスから個性派まで、いろいろなシリーズで豊かな製品群を展開しています。それぞれについてざっと見していきましょう。
Dinosaur Jr. – The Wagon (Live on KEXP)
ノイジーなギターサウンドと気だるいヴォーカルを特徴とするオルタナティブ・ロックバンド「ダイナソーJr.」のギターヴォーカル、J.マスシス氏のシグネイチャー・ジャズマスターは、ヴィンテージホワイトとアノダイズドピックガードのカラーリングが特徴で、「リード/リズム」スイッチにより2系統のヴォリューム/トーンを切り替えられるようになっています。
フェンダー系「第三のスタンダード」になりつつあるジャズマスターは、新旧それぞれの仕様でキャラの立ったラインナップです。「’60sジャズマスター」は、特徴的なピックアップ、フローティングトレモロ、プリセットスイッチをしっかり再現しています。「アフィニティ・ジャズマスター」は、操作系をシンプルに再編、シンクロナイズド・トレモロユニットに換装した現代版です。
「コンテンポラリー・ジャズマスター」は、アクティブ回路とTOMブリッジを採用した、ヘヴィ/ラウド志向のアレンジです。「ミニ・ジャズマスター」は、可愛らしい色調に敢えてのHH配列を採用、パワフルなサウンドを持っています。
「’70sジャガー」は、24インチのショートスケール、ギザギザの付いた独特のピックアップ、複雑な操作系など、フェンダー・ジャガーの特徴をしっかり再現しています。「コンテンポラリー・ジャガー」はショートスケールはそのままに、ネック材にローステッドメイプルを採用、2基のアトミック・ハムバッカー・ピックアップを備え、低音側のスイッチでコイルタップとハムバッカーの直列/並列を切り替えられます。
ムスタングは小型軽量であることに加え、ヴィンテージ・スタイルでも22フレットあるのが魅力です。「’60sムスタング」は特徴的なカバードシングルコイル、フェイズサウンドが得られる独特の操作系など、特徴をしっかり再現しています。「バレット・ムスタング」はシンプルな操作系に2基のハムバッカーを備える、見た目以上にパワフルなギターです。
Fender Mustang:フェンダーのショートスケール・ギター
フェンダー解釈のセミアコ「スターキャスター」は、個性的な3モデルで展開しています。こちらの記事を参照してください。
フェンダー初のセミアコ「Starcaster(スターキャスター)」について
「パラノーマル・スーパーソニック」は、1990年代にSquireからリリースされた同モデルの復刻版です。リバースのヘッド&ボディが大きな特徴ですが、操作系がボリュームノブ2基のみ、という仕様もポイントです。トーン回路を持たないことから、2基のハムバッカーから凶暴なサウンドが得られます。
「パラノーマル・オフセット・テレキャスター」は、ジャズマスターのボディにテレキャスターの電気系を搭載した、近年「テレマスター」とも呼ばれるギターです。オフセットウェスト・ボディ形状の演奏性とテレキャスターのサウンドが、絶妙なマッチングを見せます。
Fender Cyclone:フェンダー各ギターの仕様を組み合わせた個性的なギター
Fender Tornado:ハムバッカーを搭載したフェンダー・ギター
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「ヴィンテージ・モディファイド」シリーズは、トラッドなテイストを持つモデルのシリーズです。かつてフェンダーから生産されていたギターを復刻したものや、新しいアイディアをヴィンテージライクなスタイルに落とし込んだもののある、大変おもしろいラインナップを展開しています。
「カスタム」、「デラックス」の両機は
というような主だった仕様を共通とし、トラッドとモダンが融合した作りになっています。
というピックアップ配列、またカラーリングに違いのあるギターです。いずれも70年代、実際にフェンダーで生産されていたテレキャスターの復刻盤で、
という操作系がギブソン的なイメージを演出しています。カスタムのサドルがクロームメッキを施したバレルサドルとなっているのは、70年代を意識した仕様です。
カスタムではフロントに1基、デラックスでは2基搭載されている「ワイドレンジ・ハムバッカー」は、ギブソン系のハムバッカーとは磁石の扱いが異なっており、トーンキャラクターに違いがあります。ギブソンのハムバッカーは中音域の押し出しに特徴がある半面高音域が若干薄くなりますが、ワイドレンジ・ハムバッカーは煌びやかな高音域を持っており、テレキャスターのアップグレードにはうってつけのピックアップです。また、カスタムのリアピックアップは、このモデルのためにセイモア・ダンカン社が設計したものを採用しています。
Squier Vintage Modified Tele Deluxe | Fender
ワイドレンジハムバッカーのサウンドは、パワーがありながらもその名の通りレンジが広く、くっきりとした高音域までしっかりアウトプットされています。クリーンにも太さがありますね。
ボディ:バスウッド
グリップ:C
フレット数:22(Jaguar / Mustang)、21(Jazzmaster)
ペグ:クルーソンタイプ
ブリッジ:フローティングトレモロ(Jaguar / Jazzmaster)、ダイナミックトレモロ(Mustang)
ピックアップ:Duncan Designed
ジャガー、ジャズマスター、ムスタングそれぞれ、弦長やボディシェイプ、トレモロ、ピックアップなどに各モデルごとの特徴をしっかり反映させ、またピックアップは全てセイモアダンカンの設計による高品位なものが採用されており、この価格帯から考えると充分なクオリティのある復刻盤になっています。
以上、Squire(スクワイア)のギターをチェックしていきました。フェンダーの遺伝子を受け継いでいるギターなので、これからギターを始める人の最初の一本として、あるいは経験者のサブギターとして、たいへん良好です。また総じて価格が抑えられているので、気になる仕様のギターをちょっと試してみる、というハードルが低いのも魅力です。ショップで見かけたら、ぜひ手にとってみてください。
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