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ちゃんとチューニングしたのに、コードを鳴らすと変な音。そんなことありませんか?弦を押さえると弦高のぶんだけ弦は引っ張られ、チューニングにズレが生じることがあります。このような「開放弦のピッチと押弦時のピッチとのズレ」というギターの宿命と向き合うメンテナンスが「オクターブチューニング(オクターブ調節)」です。ここでは、オクターブチューニングの基本から、さまざまなギターのオクターブチューニングまでを見ていきましょう。
SNARK SN-5 G
オクターブチューニングには、第一にチューナーが必須です。ちゃんと動くものなら何でも大丈夫ですが、ある程度の時間のかかる作業なので勝手に電源が切れないチューナーがベスト。このほかプラスドライバーやマイナスドライバー、6角レンチなどギターに応じた工具が必要です。
初級/中級/上級別、オススメのクリップチューナー
オクターブチューニングは「12フレットのハーモニクス音と、12フレットを押さえた音(実音)の高さを一致させる」ことを第一に目指します。
12フレットのハーモニクスは、開放弦のちょうど1オクターブ上の高さになります。オクターブチューニングが合っていれば、12フレットのハーモニクスと12フレットの実音の高さは完全に一致するはずです。ココが合っているならば、他の音も合っているだろう、というわけです。
この方法なら、自分のギターのオクターブチューニングが合っているか、一瞬で分かります。チューナーでようやく確認できるくらいのわずかなズレならば、妥協してこのままでもまあまあ大丈夫です。自分の耳で分かるほどズレていたら、確実に調整が必要です。まずはすべてのギターに共通する基礎的な手順を見ていきましょう。
古い弦では正しい調整ができません。また、オクターブチューニングは弦高と密接に関わります。作業に入る前に、弦を新品に交換し、ネックの反りと弦高をチェックしておきましょう。トレモロをフローティング設定にしている場合は、ブリッジ位置も確認しておくとよいでしょう。
弦高を調整してみよう
ネックの反りを確認・調節する
まずはすべての弦をチューニングします。チューニングはネックの反りやブリッジ位置にも影響しますから、気になる弦だけでなくすべての弦をビシっとチューニングしてください。
チューニングを終えたら、12フレットのハーモニクス音と12フレットの実音を比較します。チューナーを頼りにするなら、ハーモニクスの代わりに開放弦の実音でも大丈夫です。
ハーモニクスより実音が高いのか低いのかで、対応は異なります。高ければ弦が短いということなので、サドルを後退させて長くします。低ければ弦が長いということなので、サドルを前進させて短くします。高ければ後退、低ければ前進、コレをしっかり覚えておきましょう。
サドル位置を変えるとチューニングが狂うので、改めてチューニングし直し、ピッチの差を確認します。ピッタリと合うまで、ピッチ確認とサドル位置調整を繰り返します。
ここからは、オクターブチューニングの具体的な方法を見ていきましょう。サドルのタイプによって調節方法が異なります。
プラスドライバーを使ってネジを回す
フェンダー・ストラトキャスターの場合は、図のようにサドルのネジ部分をプラスドライバーで回します。
ウィルキンソンでは6角レンチを使用しますが、サドル位置を動かす前に上面のネジを緩める必要があります。サドル位置が決まったら上面のネジを締めて、サドルを固定します。
マイナスドライバーを使ってネジを回す
ギブソン・レスポールのようなチューンオーマチック・タイプのブリッジの場合、ネジ部分にはマイナスドライバーを使います。
バーブリッジでは弦ごとの微調整はできませんが、両側のネジでブリッジ全体の位置を微調整して妥協点を探ります。
フロイドローズの場合、サドルを固定するネジを6角レンチで緩め、サドルを前後にスライドさせて位置を設定します。弦とネジを緩めて、サドルを目分量で移動させて、ネジを締めて、チューニングして、オクターブピッチを確認して、という作業を繰り返すので、なかなか大変な作業です。
Monterux「The Key Intonation Tool」を装着したところ。弦を緩めなくてもサドル位置をネジで微調整できる。なおこの場合、サドル固定ネジはアームダウンしている間に緩める。
FRTのオクターブチューニングには、とにかく手間がかかります。これを盛大に解消できるソリューションが、各種「オクターブ調整ツール」です。弦を緩めることなく作業できるので時間が大幅に短縮でき、その上ネジで調整するのでチューニング精度が向上します。
左:フロイドローズ・オリジナル専用:Monterux「The Key Intonation Tool」
中央:Ibanez Edge、Lo-Pro Edge、Edge Pro専用:Ibanez「EJK1000」
右:FRTもIbanezも調整できるRED BISHOP「ACCU-LOCATOR」
このうちレッドビショップ社はFRT各種への対応に力を入れており、3タイプの調整ツールをリリースしています。
Hollow Point Intonation System Installation for Double Locking Tremolos
弦をロックするネジを交換するだけで、いつでもオクターブチューニング可能!
ブラックチェリーUSA「ホロウポイント」は、弦をロックするネジにオクターブチューニングの機能を追加した製品です。すべての弦にオクターブチューニングの準備をさせている状態になるため、理論上もっともスピーディーに作業ができます。
ギター博士「ハーモニクス音と実音が同じ音程になったら調整完了じゃ。どうじゃ、うまくできたかな?」
アコースティックギターのオクターブチューニングの確認はエレキギターの場合と同様ですが、音程の調節は「サドルを削る」ことのみで行います。しかし大きなピッチのズレは直すことができませんし、作業に失敗してしまうとサドルの交換が必要になってしまうので、楽器店やリペアショップなどにお願いするほうがいいかもしれません。
StewMac社「イントネーター」は、アコギの正しいサドル位置を正確に割り出すための計測器です。各弦ごとに正しい位置が分かりますから、勘に頼って調整が甘くなったり削りすぎたりといった失敗を回避できます。
Where to cut the saddle slot on this guitar bridge?
やはり慎重な作業は必要だが、正しい隆起の位置が弦ごとに分かる。
ギターのポテンシャルを引き出すためにも/良い音で鳴らすためにも、オクターブチューニングはしっかりと合わせておきましょう。ギターの状態で狂うこともありますから、いつもと違う弦を張ったり、しばらく弾いてなかったギターを久しぶりに弾いたり、といった時には確認しておくと良いですね。失敗が少ない作業でもあり自分のギターの事を理解する作業にも繋がりますので、積極的にやってみて下さい。
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