ハイゲイン/モダン系ハムバッカー・ピックアップ特集

[記事公開日]2024/3/5 [最終更新日]2024/6/23
[ライター]森多健司 [編集者]神崎聡

ハイゲイン/モダン系ハムバッカー

ハイパワーなハムバッキング・ピックアップの世界では、2000年代以降に続々登場したデスメタル、プログレッシブ・メタル、ジェント、あるいは複雑かつ機械的なインストを演奏するマスロックなどの隆盛を受け、多彩な商品展開がなされるようになりました。かたや重低音を受け止め、きらめくような高域を再生する、様々に特徴的なピックアップが世に溢れています。今回はそのようなハイゲイン・ハムバッカーに迫ってみましょう。

ハイゲインピックアップの選び方

ピックアップを選ぶ際にはいくつかチェックしていきたい項目があります。まず機能面で最も重要視されるのはその出力、そして次に音質です。特にサウンド面はドンシャリ傾向のものや中域に寄ったもの、レンジが広いものなど、様々な種類のものが市場に溢れています。ピックアップについては試奏も難しく、音色は付けてみるまでわからないため、ある意味でどうしても賭けのようになりやすい製品ですが、現在では動画サイトで傾向程度であればチェックできますし、多くのレビューも見ることができます。

またライブを頻繁に行うギタリストにとっては見た目も重要。色やポールピース部分のデザインなども気になるところです。昨今、アーティストのシグネイチャーモデルピックアップも多くリリースされています。好きなギタリストが使っているものと同じものを選ぶ、というのもまた一つの選択肢でしょう。

モダンメタルと従来のHR/HM系サウンド

多弦ギターやダウンチューニングを用いてのスピーディなリフ、ドラマティックで複雑な構成、レガートを多用した滑らかなギターソロやそれに絡むデスボイスなど、2000年代の中盤ごろから続々と登場したメタルはこれらの要素が組み合わさっていることが多く、従来のHR/HM(ハードロック/ヘヴィメタル)とはまた違った進化を遂げています。このような音楽的特徴から、求められるギターの音も少しずつ変容してきており、昨今の機材では次のような要素が重要視される傾向があります。

  • 1. レンジの広さ、弦ごとの分離感
  • 2. 高音域の粗い成分、低音域のタイトさ
  • 3. 立ち上がりの速さ
  • 4 .人間味を排した無機質感

1、2は低い音域でリフを弾いたときの質感を出すために重要な要素となり、3はスピード感に直結します。4が現在のディストーションギターの特徴の一つで、フレージングも音色も機械的なものが多用される傾向にあります。ハードロックにおいて「泣きのギター」が隆盛を誇った80~90年代を経て、メタル系のギターがそこから脱却してきたことは、2000年代以降のギターを語るうえで一つのポイントとなります。昨今リリースされるハイゲイン系の機材は、ピックアップに限らず、ある意味で人間味を排した冷たさを感じるものが多く、それはこのようなニーズに合わせたものと言えるでしょう。

ただ、好まれるサウンドが変わってきたといっても、あくまでもディストーションギターの「良い音」の基準はそう激変しているというわけではありません。DiMarzioのTone ZoneやSaymour DuncanのJB、Duncan Distortionのように、昔から存在する定番のピックアップが今でも愛されているのもまた事実。ピックアップを選ぶ際には先入観を排し、自分が求める音色を良く理解したうえで臨みたいものです。

出力と音質をチェックする

出力は一般的に音量を表しますが、歪んだエレキギターの世界では高出力なほど楽に深い歪みを作ることができます。十分に歪ませてリフを刻むような音楽では、この点は非常に重要。低出力のピックアップで無理やりハイゲインを作ろうとすると、ハウリングが起こったりして無理が出てくるため、始めから一定以上の出力を持つピックアップを選んでおくことが肝要となります。ただし、ギターとの組み合わせによっては出力が高すぎて扱いづらいと感じるケースもあるため、ギター本体との兼ね合いも重要となります。

音質についてはそのピックアップの狙う質感をチェックします。現代のピックアップではどのモデルもそこそこレンジが広いものが多いですが、製品ごとに狙ったサウンドには少しずつ違いが見られます。低域から高域までバランス良く鳴るものはリフやアルペジオの演奏などに向いており、中域~高域に掛けてピークのあるピックアップではソロの演奏に向いています。音質はコイルの太さや巻数、ギター本体の材質など、出力以上に様々な要素の影響を受けますが、マグネットによって大まかな傾向を知ることができるので、使用マグネットを参考として見ておくのもおすすめです。(後述)

出力を決める要素~直流抵抗

出力はメーカーが公式サイトでもスペックとして明らかにしている”DCR”(直流抵抗)の値がその参考値となります。ハムバッカーの抵抗値はおよそ7~17kΩと言われており、DCRが17kΩ前後のものは明らかに高出力を狙って作られたものが多いです。メーカーがスペックとして載せるのも、これを出力の参考値としてほしいとの思いからでしょう。
ただ、昨今のメタル系に適したハムバッカーのすべてが高い抵抗値を持つわけではなく、例えばSeymour DuncanのNazgulなどはジェントに適したハイゲイン・ピックアップとして知られていますが、抵抗値は13.6kΩと、そこまで高いわけではありません。

ちなみにDiMarzioのサイトでは他社と違い”Output(出力)”という、読んでそのままのスペック値が参考として出されており、より出力ごとに選びやすくなっています。

出力、音質を決める要素~マグネット

コイルが巻かれているマグネットの種類によって出力やサウンドキャラクターがおおまかに決まります。マグネットにはアルニコ2、3、4、5、8、そしてセラミックがあり、それぞれに違ったキャラクターを持っています。

名前 磁力 特徴
アルニコ3 50年代ごろのストラト用PUに使用。リプレイスメント用としてもシングルコイルに多く見られ、サウンドもブライト。
アルニコ2 磁力が弱く、甘いサウンドが特徴。50年代のテレキャスター用PUにつけられた。
アルニコ4 ギター用PUではあまり使われない磁石。磁力も中程度であることからサウンドバランスは良く、低~高音域がまんべんなく再生される。
アルニコ5 磁力が強く、音圧が得られるところから、ハムバッキングピックアップに最もよく使われる磁石。JB、Tone Zoneなど、往年の名器に使用される。
アルニコ8 アルニコで最大の出力を持つ磁石。そのハイパワーが重宝され、モダンメタル系のハイゲインPUには多く使用される。
セラミック アルニコに比べて経年での劣化が起きにくく、安価でハイパワーなため、さまざまな製品に使用される。
安価であることから、廉価価格帯のギターに付属するPUなどに使われるが、反面、その強い磁力やレンジの広さを活かし、ハイゲインPUにも定番の磁石。

ピックアップの磁石の種類について

フロントピックアップとの相性も考える

メタル系のギターはその使用頻度から、リアピックアップのみが重要視されやすいですが、ソロ時やクリーントーンでのアルペジオなどで、フロントピックアップを使う機会があるギタリストは多いでしょう。その際にあまりにも出力や音色が激変すると、切り替えたあとの違和感に繋がります。あまり差が付きすぎないように選んでおきたいものです。リアとフロントの両方がセットになっているものを選ぶとまず安心ですが、そうでない場合は同じものを二つ載せるか、うまく組み合わせを考えるようにしたほうがトータルで良い楽器になります。

ハイゲイン系の定番モデル

それではハイゲイン系ハムバッカーをみていきましょう。まずは昔から存在する定番モデルから。

SEYMOUR DUNCAN SH-4 / SH-5 / SH-6

SEYMOUR DUNCAN SH-4 SH-4

リプレイスメント・ピックアップの雄、セイモア・ダンカン社の定番モデル3種。それぞれJB、Duncan Custom、Duncan Distortionという名が付けられており、交換用のピックアップが世に出回りだした頃から存在する、超ロングセラー商品です。昔ながらの設計でありながら現代の音楽にも十分対応できる懐の深さを持ち、いずれも抵抗値14kΩを超える高出力を備えます。音質はSH-4がやや中域によったサウンド、SH-5はレンジが少し広くドンシャリ気味、SH-6は一番モダンな鳴り方をします。それぞれ特徴によって棲み分けがなされており、いずれも一度もディスコンにならず売れ続けているところからも、その完成度の高さには驚かされます。

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セイモアダンカンのハムバッカー・ピックアップ

DIMARZIO DP100 / DP155

DP155 DP155

ダンカンに並び、ピックアップの世界では代表的なブランドとなるディマジオ。DP100、DP155はSuper Distortion、Tone Zoneという名が付いており、ポール・ギルバートを始めとして、80~90年代頃のハードロック・ギタリストから大いに愛されたピックアップです。上に述べたダンカンの3モデル同様、かなり古い設計ではあるものの、現在の音楽にも十分に対応する高出力で、長くラインナップを支えています。DP100はそのバランスの良さ、DP155は強力な重低音をその特徴としており、いずれも乾いた使いやすいハイゲインサウンドが得られます。

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EMG 81

EMG 81

ギター用のアクティブ・ピックアップを世に送り出したEMGの定番ハムバッカー。無類の安定性、ローノイズを誇り、どのようなアンプでもパワフルかつ繊細なサウンドが出せる、まさにアクティブ・タイプの良さをそのまま体現したような存在です。メタリカのカーク・ハメットやザック・ワイルドの使用で名高く、深く歪ませても潰れることがなく、再生可能な音域も広いためか、現代のメタルシーンにおける極端なダウンチューニングに対してもしっかりと受け止めてくれます。

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モダン系モデル

続いてはダウンチューニング、プログレッシブ/モダン・メタル、ジェントといった近年のメタルシーンに対応できるモダン系モデルをみていきましょう。

LUNDGREN : M6C

M6C

メシュガーのギタリスト、フレドリック・トーデンダルの使用モデル。もともと7弦用に開発されたものを6弦仕様に落とし込んだということで、多弦ギターおよびダウンチューニング特有の重低音をしっかり受け止めつつ、しっかりした高域をも持ち、突き抜けるようなアタック感を特徴とします。単音でソロを弾いても音の太さはしっかり維持しており、様々なプレイスタイルにマッチする優秀なピックアップと言えるでしょう。Lundgrenはフレドリックと同じくスウェーデンで生まれたピックアップメーカーで、ハイゲイン系のみならず多彩なモデルを提供し、昨今勢いのあるメーカーです。当モデルの姉妹品として、カバーのつかないM6のほか、元となった7弦用のM7、M7C、8弦用のM8、M8Cがあります。

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BARE KNUCKLE : The Juggernaut 6

The Juggernaut 6

昨今、モダン系ピックアップとして勢いのあるベア・ナックル製のハイゲイン・ピックアップ。ペリフェリーのミーシャ・マンソーのシグネイチャー・モデルですが、その完成度の高さゆえに一般のギタリストからも人気のある製品です。アルニコ5とセラミックを組み合わせたという異色の構造から得られる音は、意外にもローミッド近辺にピークを持つ、クラシカルなハードロック的傾向の強い湿ったサウンド。ペリフェリーの音楽で聴けるような重低音に関しては十分な再生能力を持ちつつも、バイト感が強く気持ちの良いディストーションはダンカンのJBなどに通じる、普遍的な魅力を感じます。そのため、モダンメタルにはもちろん、ノーマルチューニングで演奏する普通のロックにも使える、幅広い対応力を持っています。

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BARE KNUCKLE : Aftermath 6

BARE KNUCKLE Aftermath

ベア・ナックル製のモダンメタル向けピックアップの代表的製品がこのAftermath。前述のJuggernautに比べ、より高いゲインを持ち、中高域に粘りや湿り気があまり感じられない、冷たく乾いたサウンドが特徴。その性質から、切り裂くようなスピード感のあるリフや機械的な速弾きなどに特に向いており、ジェントを始めとするモダンメタル系を演奏する際にはその真骨頂を見せてくれるでしょう。

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DIMARZIO : DP259 Titan

DP259

ペリフェリーのジェイク・ボーウェン・モデルのピックアップ。多弦ギターやダウンチューニングに対応する広い低域再生能力を持ちながらも、高域成分にはディマジオ特有の暴れ感のようなものが若干含まれているため、鋭角的な印象を与えつつ、しっかりしたアタックをも感じ取ることができるところが特徴。ハイゲインモデルでありながら冷たさはあまり感じられず、多様な音楽にマッチします。その点では同じくペリフェリーのミーシャ・マンソーのモデルであるJuggernautと似た立ち位置にあるモデルと言えるかもしれません。

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DIMARZIO : DP272F Imperium

DP272F

Revocationのデイヴ・デヴィッドソンのシグネイチャーモデル。ディマジオらしからぬ冷たさを内包する、典型的なメタル用ピックアップで、ハイゲイン時のザクザク感はまさに切り裂くような鋭さを感じさせます。低域に対する立ち上がりの速さ、強烈なスピード感は数あるハムバッカーの中でもトップクラスに位置しており、高速リフを弾くのには最も適したピックアップでしょう。意外にも抵抗値13.7kΩという中程度の出力に設計されており、ウルトラハイゲインというわけではありません。そのため、ニュアンスは出しやすく、ピッキングのダイナミクスによって様々な色付けを可能にします。

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DIMARZIO : DP220 D-Activator

DP220

ディマジオのラインナップでもトップクラスの出力を持つモデル。アクティブピックアップの持つ高出力と安定性を備えつつ、同時に欠点として挙げられやすい追従性の低さなどを克服したパッシブピックアップ、という立ち位置で開発されています。音質的には中高域にリッチな成分を含み、ディマジオらしい明るい音色が特徴。売り文句通り追従性が高く、立ち上がりはかなりの速さを備えており、低域がタイトにまとめ上げられていることも相まって、どのような高速リフでも存分に付いてくる気持ちよさがあります。メタルに適した攻撃的なサウンドはお手の物で、その明るさからクリーントーンでも美しい音色が得られます。

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SEYMOUR DUNCAN : Nazgul、Nazgul-TB

Nazgul

タイトなローエンドと強烈なアタック、突き抜けるような高域を併せ持った、ダンカン社の代表的なメタル・ピックアップ。中域に若干のピークを持ちながら、多くの倍音をも含み、リフを弾くと強力なスピード感や切れ味、ソロを弾くとヌケの良さと分厚さを感じ取ることができ、メタル系に必要とされる要素を多く含んでいます。ディマジオと並ぶピックアップの代表的メーカーであることと価格もさほど高すぎないことから、多くのギタリストから人気の製品で、通常のNazgul、ポールピースの間隔を少し広げたストラトタイプ用のトレムバッカー仕様モデルNazgul TB、そして7弦~8弦モデルまでをラインナップします。

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SEYMOUR DUNCAN : SH-8 Invader

SH-8

オキサイドと呼ばれる特徴的なポールピースが目を引く一品。Avenged Sevenfoldのギタリストが二人共当モデルを使用しています。ダンカンのラインナップでも最大の出力を持つモデルの一つで、中域、低域が非常に強いながらも、暴れることはなくしっかり整理されて再生されます。スペック値は中低域にかなり寄っていますが、聴感上の高域成分は不足を感じません。ただ前述のNazgulに比べてシャリシャリした成分が少ないため、リフを刻む際のザクザク感では一歩劣ります。特上のハイパワーである以外は、意外にもバランスの良いピックアップで、歪ませた音をメインで演奏するギタリストにとっては見た目から想像できない守備範囲の広さを感じるでしょう。

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SEYMOUR DUNCAN : AHB-3b Mick Thomson EMTY Blackouts

AHB-3b

スリップノットのミック・トムソン・モデル。ダンカンがラインナップする数少ないアクティブ仕様のピックアップで、アクティブならではの安定感とレンジの広さが特徴。スピーディな低音リフに対応するためか、低域はかなりタイトに抑えられており、その分、意外なほどジューシーな中域を得ることができます。しっかりした中域からは強力な音圧を感じることができ、さらに刺すような高域成分によるザクザクとしたメタル系特有の雰囲気を併せ持ち、多彩な要素を備えたピックアップです。

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EMG : 81-X

81-X

従来の81にXシリーズプリアンプを備えたEMGの新機軸ハムバッカー。81直系の前面に飛び出してくるようなミドル成分が特徴で、非常に気持ちの良いディストーションのサウンドを得ることができます。Xプリアンプによる恩恵からか、通常の81に比べてパッシブ的なナチュラルさを持ち、幅広いレンジを獲得したことで、高域の伸びもよりはっきりと感じ取れ、こもった感覚などは皆無。出力は高くパワフルなハードディストーションが得られますが、ザクザクとしたメタリックな成分は希薄。アクティブならではのローノイズ、安定感は相変わらずの強みで、7~8弦ギター用もラインナップしています。

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EMG : JH James Hetfield Set

EMG JH Set

メタリカのジェイムズ・ヘットフィールドによるシグネイチャーモデル。明快なアタック感、パッシブピックアップのような自然な鳴りや音圧をアクティブのシステムの中に落とし込む、といったジェイムズ側からの要望を見事に具現化しており、特に幅広いレンジ感や弦の分離感や強力な音圧、そして強烈な立ち上がりの速さはこのモデルの特徴として常々挙げられています。ダウンピッキングを中心とする高速リフの演奏には立ち上がりの速さが大いに寄与してくれますが、幅広いレンジ感や音圧の強さなどは、他のジャンルでも重宝する要素。メタル以外も幅広く演奏するギタリストにとっては、その辺りも魅力的に映るでしょう。

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Suhr : Doug Aldrich Bridge/Neck

Suhr Doug Aldrich

オーソドックスなピックアップが多いSuhrのラインナップでも、最もハイゲインかつアグレッシブなモデル。ダグ・アルドリッチ本人の名をそのまま冠するこのピックアップは、ダグ本人が演奏するホワイトスネイクなど往年のハードロックにはもちろんのこと、近現代のスラッシュメタルやデスメタルまで幅広くカバーできる、優秀なハイゲイン・ハムバッカーとなっています。ダンカンのJBに近い傾向を持ちつつも、中域が塊となって押し出されてくるJBに比べて、当モデルは弦ごとの分離感が素晴らしく、リフを演奏してもアルペジオをしても、音が固まらずにしっかり分離されます。アグレッシブではあるものの、Suhrらしい優等生の感じは拭えないため、暴れる感じを望む方には不向き。メタル系を含め様々なジャンルを演奏するギタリストには魅力的な一品です。

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FISHMAN : Fluence Modern Humbucker

Fluence Modern Humbucker

アコースティックギター用のピックアップではおなじみのFishmanが2013年、突如エレキギターの世界に放った新世代のピックアップ。コイルが巻かれていない、既存のものとはまるで違う構造を持つアクティブピックアップで、ボイスの切り替え機能などを持ち、7色の音が出ると言われることもある異色のピックアップです。Modernはメタル系に向いたサウンドを持つシリーズで、レンジの広さや分離感の良さ、非常に高いゲインが特徴。タイトな低域からはリフを弾いた際のザクザク感が得られ、ソロを弾く際には伸びのある中高域によって、気持ちの良い歪みが感じられるでしょう。立ち上がりも非常に速く、いわゆるモダンメタル、ジェントなどに適したサウンドにチューンされているものの、前述のように、もとより多彩な音が出るため、多様なジャンルにも対応可能です。7~9弦モデルまでがラインナップ。

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ピックアップ技術の革命 Fishman Fluence シリーズ
As I Lay Dying ギタリスト兼 Fishman Fluence ブランドマネージャー:Ken Susi インタビュー


幅広い展開を見せるハイゲイン・ハムバッカーの世界。選ぶのが難しい反面、どれも少しずつ違う個性を見せているため、かならずスタイルに合ったピックアップが見つかるはずです。アクティブタイプもかつてのようにEMG一択というわけでもなく、多くの選択肢が見られるようになりました。様々なソースを参考に、最適な一つを選びたいものです。

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