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Ibanez(アイバニーズ)「AZS」は、同社の全てを傾注した人気機種「AZ」を出発点とした、シングルカッタウェイモデルです。アレンジはボディ形状にとどまらずパーツや配線にまで及び、トラッドな外観とモダンな仕様を調和させています。また演奏性とメンテナンス性ともに高く、「AからZまで」の名をを冠するモデルに相応しい新しいギターとして仕上がっています。今回は、このIbanez「AZS」に注目していきましょう。
《ジャンルを超越したギター》Ibanez 「AZ」シリーズ特集
Ibanez LB1 in WHITE | Here For You (Playthrough) – Lari Basilio
卓越した技巧と楽曲のセンスを持つ、新時代のギタープレイヤーとして世界的に注目されるLari Basilio(ラリ・バシリオ)女史。AZSをベースとしたシグネイチャーモデル「LB1」が、その可能性と表現力を最大化させる。
AZS2200F(Sunset Burst)
正面はシンプルだが、背面のカットは大胆。
新設計のボディは一見トラッドなシングルカットですが、くびれ部分は深く、正面のエルボー・コンターと背面を深くえぐるボディ・コンターが設けてあり、立って弾いても座って弾いてもギターとの一体感を覚えられる、良好な抱え心地です。
「Super All Access(スーパー・オールアクセス)」ネックジョイントは、ボディ裏面から8mm落とす段彫りと球面のジョイントヒールという設計です。ここまで大胆に削っていながらも、低音弦側のカッタウェイは浅めでボディとネックとの接地面積が充分に確保されているので、音響性能も充分に確保しています。
Ibanez AZS2200F-STB Demo by Tom Quayle
Tom Quayle(トム・クゥエイク)さんも、AZSの演奏性は非常に高く評価している。ご自身のシグネイチャーモデルでは木材とカラーを変更しただけで、ネック形状に変更はなかった。
AZSのネックは、「エステック処理」されたメイプル材を使った、「AZ Oval C」シェイプが特徴です。
エステック処理は、窒素充填した無酸素の環境で木材を加熱処理する、日本の特許技術です。これを施した木材は形状安定性や耐水性が向上し、温度変化にも強くなります。音響面では腰高なサウンドになり、豊かなサスティーンが得られます。また加熱処理によって質量が軽くなるため、通常のメイプルよりヘッド側の重量が軽減されます。
AZシリーズの大きな特徴だった厚みと丸みのあるネックシェイプ「AZ Oval C」は、AZSにも採用されています。「1フレット地点で20.5mm」という十分な厚みがあり、コードの押弦やチョーキングなどでしっかりと力を入れやすくなっています。また厚みのあるネックは、低域がタイトに出やすい傾向にあります。
このほか指板とステンレス製フレットのエッジが丸く整えられており、運指やポジション移動はたいへんスムーズです。
AZS2209(Antique Turquoise)
フロントにミニハムバッカー、リアにTLタイプシングルコイルという組み合わせは、アルタースイッチによってサウンドバリエーションが倍化される。
ピックアップはSeymour Duncan(セイモア・ダンカン)社製です。フロントの「Magic Touch-Mini」ミニハムバッカーは、ヘッドルームを大きく確保しておりピッキングへの追従が良好で、丸さと切れの良さを両立させた音色に設定することで音作りをしやすくしています。
リアの「Alnico II Pro Custom」シングルコイルは中域にピークを持たせており、ウォームで自然なサスティーンが得られます。Ibanezオリジナルのスチールプレートに設置されることで、このタイプのギターに期待されるクリアでファット、かつトゥワンギーなトーンキャラクターが作られています。
名付けて「dyna-MIX5 switching system w/Alter Switch(ダイナミックス5・スイッチングシステム・ウィズ・アルタースイッチ)」。3WAYセレクターとアルタースイッチの組み合わせで、5種類のサウンドバリエーションが得られる。アルタースイッチの設定に関わらず、フロントはハムバッカーになる設計。
また「アルタースイッチ」と名付けられたミニスイッチとの組み合わせで、5種類のサウンドバリエーションが得られます。ブルースやファンク、ネオソウルといったジャンルにも浸透できる豊かなサウンドバリエーションがありながら、アルタースイッチのポジションに関わらずフロントはハムバッカーになるという、演奏中の使いやすさを考慮した設計にもなっています。
3連サドル&固定式ブリッジのAZS2209B(左)と、トレモロ装備のAZS2200 (右)。AZSはブリッジの仕様によって大きく2タイプに分化されるが、それに合わせてピックガードの有無、操作系の配置などにも違いが設けられている。
Ibanez AZS2200 | Ichika Nito
弦間ピッチの僅かな差が、極限まで加速する弦移動の成否を分かつポイントになる。ちなみにAZファミリーのプレイヤーは、丸みと艶感を覚えさせるサウンドを使う事が多い。演奏者やピックアップが変わっても共通して残る、AZファミリーの音がそこにある。
固定式ブリッジ仕様とトレモロ仕様の両タイプは、ともに弦間ピッチ10.5mmのチタン製サドルを採用しています。10.5mmの弦間ピッチはギブソン系の標準で、フロイドローズ(10.8mm)やフェンダー系(11.3mm)より狭く、スキッピングやハイブリッド・ピッキングを活用する現代的な演奏スタイルのプレイヤーに好まれる傾向にあります。
チタン製サドルは軽量で、音の伸びと振動の安定性に優れ、どっしりとした低域が得られ、かつ錆びにくいという特徴があります。
トラッドな外観だが正確なピッチが得られ、演奏性が高い。
固定式ブリッジは、Gotoh社製「F1803 bridge」ブリッジベースとGotoh & Ibanez共同開発「”In-Tune” サドル」の組み合わせです。”In-Tune” サドルでは弦溝の加工により、3連サドルの泣き所だったピッチの精度を向上させています。また弦溝は指板Rに合わせて1弦と6弦だけ深くなっており、それぞれのサドルが外側に低くなりすぎないようにしています。
2点支持&チタン製ブロックサドル。アームのトルク調節と着脱は、根元のサムホイールで行なう。
トレモロブリッジは、AZの成功で性能が証明されたGotoh & Ibanez「T1802」です。AZSではボディに密着するよう設置することで、アームアップができない代わりにピッキングのニュアンスの再現性やレゾナンスの良さといった音響性能を保っています。スプリングは5本がけで、泣き止めのゴム製スプリング・ミュートを備えています。
AZS2200F(上)とAZ2402(下)の違いがどれほどのものかを見比べてみた。本記事の主役はAZSなのであたかもこちらの方が優れているかのように読めてしまうかもしれないが、両者の違いはあくまでも個性の違いであって、性能の優劣ではないとご留意いただきたい。
AZSはAZのコンセプトを踏襲して誕生したギターですが、比べてみるとサウンド/感触ともに全く異なる新しいギターに仕上がっていることが分かります。ここでは本体の形状を軸に比べてみましょう。
AZSはエンドピンから離れた位置からカットされるのに対し、AZではエンドピン位置からカットされています。AZは高く構えるプレイヤーも想定しているのに対し、AZSはそこまで高く構えないプレイヤーを想定していると考えられます。
AZは音域24フレット、AZSは音域22フレットで、フロントピックアップの取り付け位置に違いが生まれます。この事から、22フレット仕様機のフロントは甘く柔らかく、24フレット仕様機のフロントはよりブライトになる傾向にあります。
AZSは15フレット地点に、AZは12フレット地点にストラップピンが設置されます。これは立奏時における重量バランスのほか、ネック位置の違いとして現れます。
ピンが12フレット地点のAZはナットが演奏者に近い反面、高音域へ行くには手を深く差し伸べるような形になります。いっぽうピンが15フレット地点のAZSはナットが若干遠くにある代わりに、高音域は手を伸ばしやすい位置に来ます。
AZは17フレット接続で、カッタウェイの深さは24フレット地点です。対するAZSは16フレット接続で、カッタウェイの深さは22フレット地点です。両機とも最終フレットまで無理なく運指できる、十分なカッタウェイが設けられています。
ネック接続位置の違いは僅か1フレットですが、16フレット接続のAZSはボディから伸びるネックが相対的に短くなります。エステック・ウッドのネックはただでさえ頑丈ですが、ちょっと短くなることで物理的な剛性が更に高まり、音響性能の向上が期待できます。
AZS2209B(上)、AZS2209(下)
固定式ブリッジ仕様機はアッシュ製ボディを採用、2タイプのカラーリングで展開しています。ボディバインディングや湾曲したコントロールプレート、そしてピックガードといったパーツは個性的でありながら、レトロ感を伴うオーソドックス感も演出しています。ピックガードは厚みがあるぶんだけボディからの弦高を抑える働きがあり、ボディに指を置いてピッキングする演奏スタイルに有利と考える演奏者は多くいます。
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上から、AZS2200F 、AZS2200(Mint Green)、AZS2200(Black)
トレモロ仕様機はアルダー製ボディを採用、4mm厚のフレイムメイプルトップをあしらったAZS2200FとソリッドカラーのAZS2200という2モデルで展開しています。こちらはピックガードもプレートもバインディングも排した、シンプルかつモダンな意匠です。操作系は前出AZS2209と異なり、ボリュームポットが手元に近い配置です。
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上:LB1(Violet)、下:LB1(White)
Lari Basilio(ラリ・バシリオ)女史の「LB1」は、アッシュ製ボディにセイモア・ダンカン社製SSH配列シグネイチャー・ピックアップを備え、ナット部の228mmから最終フレットの 305mmまで指板Rが変化するコンパウンド・ラジアス指板を採用しています。アームアップ可能なトレモロユニットはブラスもイナーシャブロックもブラス製で、レギュラーモデルとは一味違ったウォームでブライトな音色を持っています。
Lari Basilio – Running To The Other Side (Live)
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FLATV1(Black)
現代のブルースを牽引する重要人物の一人、Josh Smith(ジョシュ・スミス)氏の「FLATV1」は、AZS2209を原点回帰させるアレンジです。表裏ともフラットなボディにサイドジャックプレートを装備、ネックは古今東西どのIbanezギターとも異なるソフトVシェイプ、音域21フレットの指板にはニッケルシルバー製ミディアムジャンボフレット、トラッドなクルーソンタイプのペグ、セイモア・ダンカン社製シグネイチャー・ピックアップに特殊配線なし、という武骨なギターに仕上がっています。
究極のトラッド仕様、4点留めプレートジョイント。
Memorial Day “The Wayfarer” performed with The Jazz Ambassadors of the United States Army Field Band
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TQMS1(Celeste Blue)
Tom Quayle(トム・クゥエイク)氏の「TQMS1」は、AZS2200をベースに4mm厚のメイプル材をトップに貼り、指板材をローズウッドに変更、ピックガードを追加する以外、各種寸法や電気系に変更はありません。木材変更によるキャラクターの違いや、ピックガードの追加によるプレイフィールの違いがどういったものか、レギュラーモデルとの比較が楽しめるギターです。
ボディカラーはトップ面のみで、サイド&バックはナチュラルというカジュアルな外観。トップ材のメイプルがバインディングのように見える独特の意匠となっている。
INNER URGE (Joe Henderson) from the album THE ELBA TRIANGLE – using TWO NOTES REVOLT GUITAR
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以上、Ibanez「AZ」のコンセプトから誕生したもう一つのスタンダード、「AZS」シリーズに注目していきました。現代の最先端を行く設計のギターでありながら、多くの人が受け入れやすいトラッドなテイストを多く含んだギターになっています。ぜひ実際にチェックしてみてください。
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