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Westville Guitars「Full-Hollow “Solar” Dual Pickup」
Kent Armstrong はオーソドックスなピックアップを手広く扱うブランドだが、ジャズのプレイを想定したアーチトップギターに搭載するピックアップとして、特に評価が高い。なお、メイドインUSAモデルは、ケント・アオムストロング氏ご自身による手作り。
「Kent Armstrong(ケント・アームストロング)」は、40年以上の歴史と世界的な支持を誇るピックアップブランドです。現在では特にフルアコやセミアコに搭載するジャズ用のピックアップが有名ですが、各種ハムバッカーのほかP-90タイプ、フェンダースタイルのシングルコイルなど、さまざまなモデルを手広く展開しています。今回は、このKent Armstrongに注目していきましょう。
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ソロアーティストとしてもサイドマンとしてもキャリアを重ね、現代ジャズ・シーンの頂点に君臨すると言われる巨匠、カート・ローゼンウィンケル氏。恐ろしく艶やかで甘い音色が持ち味。
ピックアップブランドKent Armstrongの設立者ケント・アームストロング氏は今なお現役で、同社のUSAモデルはケント氏の手作りです。氏の歩んだ歴史をざっと見していきましょう。
ペンシルベニア州ピッツバーグにて1934年、のちにケント氏の父となるダン・アームストロング(Daniel Kent Armstrong)氏が誕生します。ダン氏は11 歳でギターを弾き始め、腕を上げていきます。ケント氏はオハイオ州レイクウッドにて1953年、5人兄弟の長男として生まれます。
1965年、ダン氏はセッションミュージシャンとして活躍するかたわら、リペアショップをニューヨークの西48番街にオープンします。ダン氏はベースアンプメーカー「Ampeg」のコンサルタントも務めており、1969 年に全く新しいエレキギター、Ampeg「Dan Armstrong Plexi」を完成させます。アクリル製の透明なボディと、名工ビル・ローレンス氏の手によるピックアップが特徴です。
Jimi Hendrix and Keith Richards Check Out Ampeg Dan Armstrong – Awesome Vintage Archive Footage
前代未聞のギター「Dan Armstrong」をチェックする、ジミ・ヘンドリックス氏とキース・リチャーズ氏。
ケント氏は父のいるニューヨークに移り住み、昼間は学校、下校したら父の手伝いという生活を送り、1970年(17歳)でリペア部門の統括を担当します。この頃から専属のパートナーを務めるビル・ローレンス氏から、ケント氏はピックアップ製作の全てを学びます。
1971年にダン氏はショップを閉め、ロンドンに引っ越します。ギターをはじめさまざまな製品を開発するほか、アンプメーカー「Orange」の仕事も受けていました。ケント氏はダン氏と共に渡英、ロンドンの大学に通いつつ、家業を手伝いながらピックアップの制作と研究を続けます。その後ケント氏は 1975 年に大学を卒業、ビジネスを本格化させます。
ケント氏は父の手伝いでピックアップを修理するかたわら、独自のピックアップを設計していました。1978年、25歳になったケント氏は遂に独立し、「レインボープロダクツ」社を設立します。最初に設計したピックアップ「Z+(ゼットプラス)」は立ち上げたばかりのシェクターに採用、ピート・タウンゼンド氏(The WHO所属)が長らく愛用しました。ケント氏のピックアップは低域が整理され、音に艶があることで高く評価されていきます。
Kent Armstrong第一号「Z+」は、海外モデルではあるが今なお作られている。整理された低域と甘く太い高域を持つ、当時としてはモダンの最先端を行くモデル。
ケント氏のピックアップは好評を博し、特にジャズギターの分野で高く評価されました。20年のキャリアで45歳になったケント氏は1998年、イギリスでの業務を息子のアーロン(Aaron Armstrong。当時18歳)氏に引き継ぎます。ご自身は故郷のアメリカに戻り、バーモント州にショップを構えてKent ArmstrongピックアップのUSAモデルを製作しています。
What Is A Guitar Pickup? Legendary pickup maker Kent Armstrong discusses how a pickup works
ピックアップとは何か?という問いに対し、「ただの発電機だ」という答えを出すケント・アームストロング氏。
では、ケント・アームストロングのラインナップを見ていきましょう。今のところ日本国内においては、ピックアップ単体で流通しているのはケント・アームストロング氏のレシピに従った普及価格帯のモデルです。ケント・アームストロング氏ご自身が製作するUSAモデルは、高級アーチトップギターに搭載される形で日本国内でも散見できます。
HJGN3(左)、HJGN6(右)
「HJGN」シリーズは、ピックアップ本体をネックエンドにネジ留めするタイプのフローティング・ハムバッカーです。フローティング(浮いている)ハムバッカーはボディに接触しないので、ボディの振動を阻害しないのがメリットです。本体は1センチに満たない厚さで「スリムバッカー」と名づけられています。この小ささでも性能は十分で、本国サイトでは「プレイヤーが彼(Kent Armstrong氏)に期待する豊かなサウンドという点では何も犠牲にしていません(sacrifices nothing in terms of the full rich sound that players have come to expect from him)」と述べられています。なお、DC抵抗は8kオームです。
HJGN3はフラットな仕上げで、HJGN6には調整可能なポールピースが備わっています。コントロールポットの抵抗値によりキャラクターは変化し、500kオームでは明るめな、250kオームでは暖かなトーンが得られます。
HJGN3 / HJGN6を…
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HJGS3(左)、HJGS6(右)
「HJGS」シリーズはスリムバッカーのサイドマウント版で、ピックガード裏面への接着あるいはネジ留めでマウントします。ネックエンドへの穴あけすらしないので、楽器本体への加工を最小限にとどめることができます。HJGNシリーズ同様、HJGS3はフラットな仕上げで、HJGS6には調整可能なポールピースが備わっています。コントロールポットの抵抗値によりキャラクターは変化し、500kオームでは明るめな、250kオームでは暖かなトーンが得られます。
HJGS3 / HJGS6を…
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M215K Typhoon Ultra Distortion
Mから始まる型番のMシリーズは、3段階の出力が選べる標準サイズのハムバッカーです。いずれも弦間ピッチは50mmなので、アーム付きのギターのリアへはスラントしてマウントする必要があります。
Mシリーズを…
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「ステルス90」は、二重のコイルを内蔵する構造によりハムノイズの除去に成功したP-90です。DC抵抗は17.6kオームと数値としては高めですが、実際の出力はおおむねオーソドックスなP-90と同じくらいです。4芯仕様なので、コイルの片側のみ使用するなど特殊配線が利用できます。
カバーには、プラスチック製と金属製の2タイプがある。
「WPU900」はハムバッカーサイズのケースに収まったP-90で、ハムバッカーを搭載するギターに違和感なくマウントすることができます。DC抵抗は8.5kオームで、現代仕様のP-90としては標準的な出力です。リバース仕様(Rw/Rp)と組み合わせることで、ミックス時にハムノイズを除去できます。
P-90を…
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MFBV-1(左)、MFBV-2(右)。両モデルとも、金属製のエスカッションとネジ、スプリングが付属する。
「MFBV」シリーズは金属製エスカッションが付属する、ギブソン「Firebird」タイプのミニハムバッカーです。クラシックなミニハムバッカーのサウンドを目指しており、標準的なハムバッカーより出力はやや控えめで、ブライトなサウンドを持っています。MFBV-1はDC抵抗5.9kオームで調整可能なポールピースを備え、MFBV-2はDC抵抗6.2kオームでフラットな仕上げです。
ミニハムバッカーを…
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Victor Baker demonstrating one of his “Jazz Solid” model guitars
超がつく高級ブランド「Victor Baker」。高級なジャズギターにマウントするピックアップとして、USA製ケント・アームストロングは定番の地位を獲得している。
Eastman Guitarsは、フルート奏者Qian Ni(チェン・ニー)氏が一代で築いた巨大楽器メーカー、Eastmanグループのギター部門です。アーチトップ・ギターのほかアコースティックギターやマンドリン、ウクレレをリリースするほか、グループ全体ではヴァイオリンやフルートなど管弦楽の楽器を手広くカバーしています。
AR403CEDはメイプル3Pネック、メイプル合板製ボディ、エボニー製指板とエボニー製ブリッジを備えた比較的リーズナブルなフルアコです。総合板のボディは重さのトレードオフとして頑丈で、ハウリングに強いメリットがあります。搭載されている「HPAG-1」ピックアップは、パンチの効いた中音域とスムーズな高音域のレスポンスを備えた、クラシックな PAFトーンを持っています。
The Loarはフラットマンドリンとアーチトップ・ギターに特化したメーカーで、性能とは裏腹の価格圧縮が注目されています。フルアコの最上位モデル「LH-650」は、マホガニー製ネック、スプルース単板トップ、メイプル単板サイド&バック、エボニー指板という高級仕様で、13万円近辺という驚くべき価格圧縮を果たしています。フロントに搭載されているフローティング・ハムバッカーには、調整可能なポールピースが備わっています。
ButterとWaterの違いはセンターブロックのみなので、ボディ内部のラベル以外では、外観で見分けることができない。
Westville Guitarsはギタービルダー西村正樹氏が2013年に立ち上げた国産高級ギターのブランドです。ブランド立ち上げ前から西村氏は名手カート・ローゼンウィンケル氏とやりとりをしており、遂に完成した2台のプロトタイプに対し、カート氏はそれぞれ「Butter(バター)」と「Water(ウォーター)」と名付けました。
両機はシトカスプルース単板トップ、ハードメイプル単板バック、ハードメイプル合板のボディに、Butterはハードメイプル、Waterはマホガニーのセンターブロックが配置されます。ピックアップはケント氏ご自身が製作するというUSAモデルのハムバッカーで、フロントにアルニコIII、リアにアルニコVが使われています。
以上、半世紀近い歴史を持つピックアップブランド、ケント・アームストロングについてチェックしていきました。特にジャズ用のピックアップとして認知されていますが、シングルコイルからハムバッカーまでさまざまなモデルを手広くリリースしています。USAモデルを入手するハードルはなかなか高いのが現状ですが、普及モデルは比較的低価格で入手できます。ぜひ実際にチェックしてみてください。
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