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世界トップクラスのオーディオインターフェイスとして知られる、Universal Audio(ユニバーサル・オーディオ。以下UA)の「Apollo(アポロ)」シリーズ。音質の良さと安定性という基本性能に加え、本体内蔵のDSPがPCに代わって演算処理することで、PCに負荷をかけず高クオリティのプラグインを使ったレコーディング/ミックスダウンが可能です。
そんなApolloシリーズの中で、ギタリストが自宅で使うのにちょうどよい小型モデルが「Apollo Solo」と「Apollo Twin」です。コンパクトで卓上に置きやすく、プラグインも一緒に手に入るのですぐに本格的なレコーディングができます。高品位なプラグインによってギタリストのDTMを1段階レベルアップさせる「Apollo Solo」と「Apollo Twin」に、今回は注目していきましょう。
Apollo Solo – World-Class Recording Starts Here
このサイズで、プロクオリティのレコーディングが可能。
伝説的プリアンプ「610」は、UADプラグインで精巧に再現されている。
UAは1958年、「現代レコーディングの父」と呼ばれるビル・パットナム氏(Milton Tasker ” Bill ” Putnam、1920-1989)により、レコーディングスタジオと並行してハリウッドで立ち上げられたブランドです。様々な製品の中でも「610」真空管コンソールは特に高く評価され、全米のスタジオで標準装備となりました。
アナログの名機を多く開発した創業者のご子息、ビル・パットナムJr.氏とジム・パットナム氏により、UAはデジタルレコーディング・ツールのメーカーとして再スタートを切ります。生まれ変わったUAは、場所を取らず比較的安価で、組み換えや持ち出しが容易というデジタルの利点をフルに活かしながら、アナログの良い音を深く追求する製品開発を重ねていきます。
外部ハードウェアで演算処理する「UAD Accelerator」とオーディオインターフェイスを融合させたヒット作、「Apollo」シリーズのデビューは2012年です。ギター/ベース用のUADプラグインを多く手掛けた延長で、近年では「UAFX」シリーズなどギター用デバイスも多くリリースしています。
《スタジオ品質、濃密で重厚なサウンド》Universal Audio UAFX Pedalシリーズ
レコーディングエンジニアの強い味方、Apollo x6(上)、Apollo x8(中)、Apollo x16(下)。
世界各地のエンジニアに愛用されるオーディオインターフェイス「Apollo」シリーズは、最小の2イン/4アウトから最大の18イン/20アウトまで入出力数にバリエーションがあり、また最大で4台まで連結できる、幅広い選択肢と高い拡張性が強みです。基本操作はシンプルにまとまっていてプロ志向の人でなくても使いやすく、それでいて音質はプロ仕様です。
ラインナップは大まかに、ラックタイプとデスクトップタイプの2種類で構成されています。ラックタイプならレコーディングスタジオやホームスタジオに据え置く機材として、デスクトップタイプならDTMや配信だけでなく、出先へ持ち出すのにも大変良好です。
名機の山・・・。Apollo TwinやApollo Soloの「Heritage Edition」では、1,300ドル相当のUADプラグインが手に入る。
Apolloシリーズはオーディオインターフェイスとしての性能もさることながら、「UADプラグイン」が利用できるのが大きな魅力です。UADプラグインは極めて再現性の高いアナログモデリングが強みのプラグイン・エフェクトで、使用するにはApolloシリーズなどUA製品が必要となります。
これは決してイジワルではありません。UA製品内蔵のDSPが、PCの代わりに高度な演算処理を行なう仕組みになっているのです。Apolloシリーズはオーディオインターフェイスでありながら、複数の高品位なエフェクトを搭載できるというわけです。
UA製品は内蔵DSPでUADプラグインを駆動します。これによりPCは、重いプラグインを走らせる重労働から解放されます。これによりDAWが安定走行しやすく、またモニタリングの遅延を感じさせない「ニアゼロ(ゼロと言ってしまっても大丈夫なくらい極小)レイテンシー」での作業が可能です。
またPCのスペックに依存しないため、多少非力なPCでも駆動に問題はありません。コンピューターベースの作業における諸問題が合理的に解決され、ストレスフリーな制作環境が実現します。
マイクプリアンプを中心に、ギターアンプ、エフェクトなどが用意されている
UADプラグインのアナログモデリングは、NEVEやLexicon、AKGやEventideら、またフェンダーやアンペグ、マーシャルやMXRら、名機をリリースしてきた著名ブランド各社と共同開発することで、実機に肉迫するクオリティを達成しています。
またシミュレート(最終的に出る音を再現)ではなくエミュレート(部品の挙動まで、音の出る過程を再現)にこだわって開発することで、実機の音や感触がそっくりそのまま再現されます。必要なUADプラグインを買い足していけば、理想のレコーディングスタジオを疑似的に建立できるわけです。
今回チェックする「Apollo Solo」「Apollo Twin」にはマーシャルの名機「Plexi」、ディストーションの名機Proco「RAT」、ベースアンプの名機Ampeg「 SVT-VR」のUADプラグインが付属しており、手に入れたその日から実機と代わらない感触が実感できます。またレコーディング機器も充実しており、例えば本格的なレコーディングでは必須のマイクプリアンプを、プラグインで手軽に利用できます。
PCの扱うあらゆる音声に対してUADプラグインが利用できるのも、面白いメリットです。音楽再生アプリや動画サイト、またサブスクなど、本来ならオーディオプラグインに対応しない音声にまで使う事ができますから、好みに合わせたリスニング環境で動画や音楽を楽しむことができます。
またヘッドホンアンプの性能も追求されており、ローノイズかつフラットでパンチのある、細部まで効き取れる明瞭なサウンドが得られます。
アンプやエフェクターのプラグインで作った音をそのまま録音するのが、「かけ録り」という手法です。これはギターアンプから出る音をマイクで拾うのに近い、伝統的な方法です。これに対し、録音時のモニターにはプラグインを使用しつつ、無加工の音を録音するのが「後がけ」または「リアンプ」と呼ばれる手法です。Apolloを使用した録音では、この二つの手法を選択的に利用できます。
「かけ録り」は、演奏の情熱をそのまま保存する美学だけでなく、ミックス時にDSPのマシンパワーを他のプラグインに向けられるのがメリットです(後述するUnisonテクノロジーは、かけ録り専用の機能)。「後がけ」はミックス時にもプラグインがDSPを使用しますが、録音したOKテイクのギターアンプを交換したり、エフェクターの設定を変更したりできます。
専用ソフトウェア「UAD Console」のチャンネルストリップ上部からUnisonスロットが確認できる
「Unison(ユニゾン)テクノロジー」は、「マイクプリアンプとDSP間におけるハードウェアとソフトウェアの統合」を標榜する、アンプやエフェクターの再現度を最大限に高めるUAの独自技術です。
オーディオインターフェイスは、ギターやマイクから送られるアナログ信号をデジタル信号に変換します。このデジタル信号に対し、DAWで編集したりプラグインをかけたりするのが常識です。ところが「Unisonテクノロジー」は、デジタル信号に変換する前の、アナログ信号に対して処理を行います。これは、オーディオインターフェイスとDSPが一体化した「Apollo」にしかできない芸当だと言えるでしょう。
アナログ信号に対してアナログ回路のエミュレーションを行なうので、インピーダンスやゲインによるアンプの旨みやスイートスポット、回路の反応など実機と区別ができないレベルで再現できます。またApollo本体のレベルノブがゲインのコントローラーとして機能するので、ギタリストにとってはあたかも実際のアンプやエフェクターを使っているような感覚で操作できます。
UA Quick Tip:Using Unison with Apollo Interfaces
AD/DAコンバータの前段で処理する。コレはApolloにしかできない。
手持ちのアンプシミュレーターやギタープロセッサーからApolloにつないで録音する際にも、Unisonテクノロジーは威力を発揮します。Unison仕様のプリアンプを利用するだけで、「こだわりのマイクプリアンプを介して録音する」というプロフェッショナルな手法でのレコーディングが可能になるのです。特に優秀なマイクプリアンプは「通すだけで音が良くなる」と言われており、良い音を録音するには欠かせないアイテムになっています。
「Apollo」シリーズの中からならデスクトップ型の「Apollo Twin」と「Apollo Solo」が、ギタリストにとってもっとも使いやすいモデルだと言えるでしょう。小型で持ち出しが容易でありながら、UADプラグインを利用した高音質での音楽制作や、Unisonテクノロジーによる実機そのままの感触での演奏が可能です。
SoloとTwinのどちらが良いかは、特にDSP搭載数がポイントになります。>UADプラグインはDSP1基あたり、重いものは1~2個まで、軽いものなら4~5個は使用できると言われています。では、それぞれについて見ていきましょう。
Universal Audio「Apollo Solo」
「4 out」のうち二つは、ステレオ出力のヘッドホン端子。
「Apollo Solo」はThunderbolt 3接続、2 in / 4 outでDSPを1基内蔵する、Apolloシリーズの中で最もコンパクトなモデルです。たとえばアンプ/コンプ/ディストーション/リバーブなど、ギターサウンド用のUADプラグインでDSPのマシンパワーを使いきる可能性がありますから、音楽制作のメイン機として使う場合には「かけ録り」を基本とするのが良いでしょう。
Thunderbolt 3端子から給電できるフットワークの軽さが強みでもあり、出先でカジュアルに使用するサブ機としても良好です。さまざまなDAWソフトと連携できるほか、DAWソフト「LUNA」(Mac用)が付属します。
Thunderbolt 3で給電する。背面はスッキリ。
Apollo Soloを…
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初代「Apollo Twin」から何回かアップデートを経た最新版、Universal Audio「Apollo Twin X」。「6 out」のうち二つは、ステレオ出力のヘッドホン端子。DuoとQuadは、本体外観で区別することができない。
「Apollo Twin X」はThunderbolt 3接続の10 in / 6 outで、「Duo」は2基、「Quad」は4基のDSPを内蔵しています。Duoなら最大で10個、Quadなら最大で20個ほどのUADプラグインを同時に駆動できる計算になり、「後がけ」や「リアンプ」にUADプラグインを駆使した音楽制作が可能です。さまざまなDAWソフトと連携できるほか、DAWソフト「LUNA」(Mac用)が付属します。
またトークバック用のマイクを内蔵しているので、ボーカリストのレコーディングなど仲間とのやりとりが必要な作業にも便利です。拡張性もあり、ラックタイプのApolloに接続した時にはコントローラーとしても使用できます。
充実したバックパネル。電源の端子にはロック機構が備わる安心設計。OPTICAL IN端子の利用で入力数を増やせる。
Apollo Twin X Duo / Quadを…
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手前:Apollo Twin USB、奥:Apollo Solo USB
「Apollo Solo USB」と「Apollo Twin USB」は、入出力数や内蔵DSP、Unisonテクノロジーなど基本性能をApollo Solo / Twinと共通する、USB接続のWindows専用機です。Thunderbolt 3接続モデルと同様に、充実したUADプラグインが手に入るほかシンプルな「Console」アプリが付属し、ニアゼロレイテンシーの快適な作業環境でクオリティの高い音楽制作が可能です。ただしApollo Twin USBは、トークバック用マイク未搭載です。
Apollo Twin USB(上)とApollo Solo USB(下)のバックパネル。Twinの方が、横幅はスリム。いずれもUSB 3接続だが、端子の形状には違いがある。
伝説的なレコーディング機器を再現したUADプラグインが、最初からいくつも手に入れられる。
ApolloシリーズにはいくつものUADプラグインが付属(バンドル)し、手に入れたその日から高品位な音楽制作にチャレンジできます。「Apollo Solo」「Apollo Twin」にバンドルされているUADプラグインの内容をざっと見してみましょう。
「リアルタイム・アナログ・クラシック」バンドルは、Apollo SoloおよびApollo Twinに標準的に付属するUADプラグイン群です。その内容は、Unisonテクノロジー仕様、Legacy仕様、その他のミックス用で構成される全9モデルです。
レガシー・バージョンは、通常版の機能をいくつか省いた軽量版です。音質的には通常版との差こそあれ、DSPへの負荷が軽くなるのがメリットで、使い道やその効果をしっかり体験することもできます。
「ヘリテイジ・エディション」は、追加でバンドルされる通常版のUADプラグイン群です。「Realtime Analog Classics」に収録されたレガシー・バージョンの強化版がメインとなる内容で、より豊かなサウンドを作ることができます。全て買うと1,300ドルを上回るという豪華な内容ですが、これらをすでに持っているユーザーは別のUADプラグインを選ぶこともできます。
以上、Universal AudioのApolloシリーズより、Apollo SoloとApollo Twinに注目していきました。UAのUADプラグインはプロの音楽制作において決して無視することのできないアイテムとなっており、これを比較的低価格で利用できるのが大きなメリットです。
なお、Apollo本体のDSPで駆動するUADプラグインに対し、専用アプリ「UA Connect」を介してPCで駆動させる(=ネイティブ版)「UADxプラグイン」も順次リリースされています。これらは手持ちのUADプラグインと同じものを無償で入手できるほか、「UAD Spark(サブスクリプション)」の利用、あるいは単体/バンドル製品を購入することで手に入れられます。
また現在、2023年8月31日まで、最大1,893ドル相当分のUADプラグインが手に入れられるキャンペーンが展開中です。UADプラグインが目当てならば、Apollo本体が実質無料となります。ワンランク上のDTMに関心のある人は、ぜひチェックしてみてください。
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