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PACIFICA112Vのヘッド。ヘッド先端部に配されたYAMAHAのマークは家紋のようで、海外のユーザーからは「最高にクール!」と好評です。極限まで小さいトラスロッドカバーも、パシフィカの個性的な意匠。
YAMAHA「PACIFICA(パシフィカ)」の発表は1990年、「グローバルな発想でギターを開発する必要がある」という考えから、YAMAHAのギターでは初めてアメリカの部署(YGD:Yamaha Guitar Development)で企画/開発されました。スタジオミュージシャンが好む演奏性と機能性を目指したラインナップは、ビギナー向けからバリバリのプロ向けまで幅広く、発表以来30年にわたって世界中で愛されています。今回はこの、YAMAHAのパシフィカに注目していきましょう。
YAMAHA PACIFICA112で、エレキギターはじめよう!
ではさっそく、最も求めやすい「112V」と「112VM」、フラッグシップ「612VⅡFM」から、パシフィカの特徴を見ていきましょう。第一に、トラッドなスタイルを守りながら「コレはパシフィカだ」と一目でわかる個性を持った、YAMAHAらしい秀逸なデザインが特徴的です。面積を抑えたピックガードを軸に、「フロント/センターピックアップとセレクタースイッチはピックガードマウント、リアピックアップはエスカッションマウント、コントロールノブはボディマウント」という設計のギターは、なかなかありません。
PACIFICA112V(United Blue)
新色「ユナイテッド・ブルー」の112V。この色は、東京23区を本拠地とする社会人サッカークラブ「東京ユナイテッドFC」のクラブカラーでもあります。
PACIFICA112VM(Sonic Pink)
新色「ソニックピンク」の112VM。淡く優しい色調は、ギターでは新鮮な印象です。
現在のラインナップは希望小売価格3万円台から、上位グレードでも希望小売価格7万円台。世界中に楽器を供給するYAMAHAだから出せる価格です。製造工程の検討など徹底した企業努力に加え、海外生産でありながら自社工場で生産されることで実現できたこのコストパフォーマンスは、「最強」と言われます。はじめての一本としてはもちろん、2本目、3本目のギターとしても良好です。
低価格モデルにおいて「きちんと丁寧に作られている」ということは凄いことです。その点においてパシフィカはどのグレードも丁寧に作られており、持ち主に喜びを与えてくれます。パーツの取り付け精度は高く、ピックアップのポールピースは各弦の直下にきちんと落ち着きます。
特にネックは、深いこだわりを感じさせます。どちらもスリムなネック形状で、「112」はツヤ消し仕上げのスルッスルのスムーズ感で、「612」はしっとりと手に馴染む握り心地です。指板は平たく、フレットはやや大きい、モダンテイストの演奏性です。
PACIFICA112VMのメイプル指板。平たい印象の指板、やや大き目のフレットという組み合わせは、現在もっとも弾きやすい設計だと考えられています。
指板のエッジはきちんとカドが落とされ、フレットのエッジはきれいに整えられ、ミゾはきっちり埋められています。
弦はナットからペグへ、まっすぐ。黒いナットはモダンな印象を演出します。
こちらはPACIFICA112Vのネック裏。100シリーズは滑りの良いサラサラ仕上げ、600シリーズは程よい握り心地のグロス仕上げです。世界中にギターを届けるYAMAHAらしい、クセのないスリムなネック形状が何ともちょうど良い印象。
パシフィカはコイルタップを巧くからめた電気回路により、比較的少ない操作でいろいろなジャンル、または演奏法に対応できるサウンドバリエーションを持っています。
PACIFICA112Vのピックアップと操作系。SSH配列のピックアップは、様々なジャンルの音楽、また様々なプレイスタイルの演奏に対応できます。モデルによってはフロントピックアップにP-90タイプを搭載したモデルが用意されているほか、最高グレードの600シリーズではセイモア・ダンカン社製ピックアップが搭載されます。
112も612も、3つのピックアップを5Wayセレクタースイッチで切り替える、比較的オーソドックスなスタイルです。それに加え、トーンポットを引き上げるとリアハムバッカー単体がコイルタップするだけでなく、センター+リアのミックス時にはリアのハムバッカーが自動的にコイルタップされシングルピックアップになるように仕込まれています。リア(シングルコイル)+センターというバッキングに適したサウンドから、ソロ用のリアハムバッカーへとスイッチ操作一つで切り替えられます。
112、612共にトレモロユニットは、6点支持ヴィンテージ・スタイルのブリッジにモダン・スタイルのブロックサドルという組み合わせです。各弦の弦高とオクターブ調整をビシっと定められるので、快適な演奏性と正確なピッチが得られます。
612ではここにスムースなアーミングで定評のあるウィルキンソン社製のユニットを採用しています。サドルを上部からしっかり固定する設計なのでピッチ安定度が高く、また6点支持の可動部分の構造が追及されているほか、差し込みブッシュ式のアームを採用しているのでストレスのないアーミングが可能です。
PACIFICA112Vのブリッジ。ブロックサドルはピッチ安定度とサスティンに優れます。各弦がリアピックアップのポールピース上をきちんと通過しているのもポイントです。
フレイムメイプルトップ&マッチングヘッドの「612VIIFM」。自然の木材が生み出す美しいストライプです。サウンドはキレイに澄んだ音からゴリゴリのダーティーな音まで、幅広くカバーできます。
「フィギュアドメイプル」は、フレイムメイプルとキルテッドメイプルの総称です。600シリーズと200シリーズでは、ボディトップに美しいフィギュアドメイプルの化粧板が貼られます。その上、ヘッドにもボディと同じ色のメイプルが貼られる「マッチングヘッド」が採用されています。
本来なら、これはかなり高額なギターでしか見られない意匠です。しかし、銘木を薄くスライスできる加工技術の進歩と、世界中にギターを供給するYAMAHAの生産体制により、手に入れやすい価格での供給が実現しているのです。
YAMAHA THR-IIシリーズ:THR30II Wireless / THR10II Wireless / THR10IIレビュー
現在パシフィカは、グレードの高い順に600、300、200、100番台の4シリーズがあります。大雑把に分けると、トップ材の違いで分ける100と200、コンセプトの異なる300、それらの頂点に立つ600、となります。
YAMAHA公式サイト:
ヤマハ | PACIFICA – エレキギター – 概要
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