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待望の日本製シャーベルが、高品位なラインナップMJシリーズで復活!!

Charvel MJ Series

シャーベル(Charvel)」は「スーパーストラト」を作り上げた、ハード/ヘヴィ・ミュージックでは欠かすことのできないブランドです。80年代の音楽シーンに活躍して広く支持され、1986年から1991年まで、米国での生産と並行して日本製のシャーベルも作られ、人気を博していました。当時のモデルにはネックプレートに「Ft. Worth, TX(アメリカのオフィスの場所)」が記されていたため、米国製と思って買った人も多かったようです。

そんな日本製シャーベルがハイグレードモデル「MJシリーズ」として復活、話題となっています。今回は、この日本製シャーベルに注目していきましょう。


Steel Panther – All I Wanna Do Is Fuck (Myself Tonight) Official Video
とても翻訳できないタイトルですが、シャーベルのギターってこんな音楽に使うんだよ、というのがとてもよくわかります。ギタリストのサッチェル氏シグネイチャーモデルは80年代を象徴するド派手なカラーリングにフィッシュマン社製ピックアップを備えた温故知新モデルで、カスタムショップが製作する「アーティストシリーズ」からリリースされています。

MJシリーズとはどういうもの?

今回は6タイプのスーパーストラトがリリースされています。それぞれに個性がありますが、まずは共通仕様を眺め、これらがだいたいどういうギターなのかを見て行きましょう。

高品位かつ演奏性の高い「日本製」本体

MJシリーズ:ボディ MJ San Dimas Style 1 HSH FR M QM (Caribbean Burst)

MJシリーズは、厳しい基準をクリアした木材を使用し、日本のシャーベル指定工場で厳しい基準のもと製造されます。平面はまっすぐ、加工面は滑らか、接合面はきっちり、というちゃんとした木工を平然と済ませるのが日本製の品質です。良い木材を高い技術で丁寧に加工し、品質の高いパーツを設置したギター本体は機能美にあふれ、弾き手に安心感をもたらします。

正々堂々と、このヘッドで世に出る

MJシリーズ:ヘッド MJ San Dimas Style 1 HSS FR E

シャーベルで最も象徴的なギターは、「ストラトヘッドのスーパーストラト」です。しかしこのヘッド形状については、もちろんフェンダー社が知的所有権を保持しています。これに対してシャーベルは、フェンダーのライセンスを正式に受けることで、自社のオリジナルモデルに対して堂々とこのヘッドを使用しています。

テクニカル志向のプレイを支える強靭なネック

MJシリーズ:ネック

目の詰まった木材を厳選して作るネックは、トラスロッドがジョイント側に開口しており、特に負荷がかかると言われるジョイント部近辺の剛性に寄与しています。また内部にグラファイト製の補強を仕込むことでさらに剛性を稼いでいます。ネックの強さはメタル志向のギターにおいて特に重要なスペックとみなされており、状態の安定性はもちろん、音の立ち上がりにも貢献します。

指板はナット部の12″から反対側の16″へ徐々に変化する「コンパウンド・ラジアス指板」となっており、音詰まりが起きにくく弦高を下げたセッティングで、快適に演奏できます。24本のジャンボフレットが打ち込まれ、押弦がラクで大胆なベンドなどテクニカルな演奏をしっかりサポートします。ネック裏は手作業で塗り込んだオイルフィニッシュで、ポジション移動もラクです。

ジョイント部にはしっかりヒールカットが施されており、ハイポジションを攻める演奏も余裕です。FRTブリッジはボディのザグリにより高さが抑えられているので、ボディに指先を置いてピッキングするプレイヤーには特に弾きやすくなっています。

性能を追求した電気系

MJシリーズ:PU

MJシリーズは、リアのハムバッカーをメインに、セイモアダンカン社製ピックアップをHSSもしくはHSH配列で使用します。フロント単体、リア単体に加え、コイルタップを活用した3つのミックスポジションというサウンドバリエーションが特徴的です(後述)。

5WAYセレクターに加え、ボリューム1、トーン1というシンプルな操作系ですが、ボリュームポットにはボーンズ(Bourns)社製のロー・フリクション(軽く回せる)ポット、トーン回路にはノーロード・トーン・ポットが採用されています。ハードロック、ヘヴィメタルにおいてボリュームポットの設定は10か0、もしくはボリューム奏法に使うくらい、というギタリストは多く、ロー・フリクション・ポットはこうした使い方に有利です。

ボーンズ社とは?

聞き慣れない感のあるボーンズ社(Bourns Inc.)は創業1947年、航空宇宙産業向けの電子部品およびセンサーの開発と販売からスタートした会社です。カリフォルニアの小さなガレージで起業しましたが、現在では世界中に15の製造施設を持ち、7,000人の社員を抱える大企業です。製品の信頼は厚く、ギター、アンプ、オーディオ機器、自動車、携帯電話、ノートパソコン、癌治療向けの埋込型 X 線センサー、さらには火星探査機にまで実績があります。

ノーロード・トーン・ポットとは?

特にメタル/ハードロック志向のギターではトーン回路が最初からついていないものも目立ちます。この仕様は「直結」「トーンカット」などと言われ、トレブルが豊かに響く、非常に音抜けが良好なサウンドになります。しかしながら、他のジャンルに行こうとするとトーン回路があった方がなにかと便利です。「いつもはトーン回路がない状態で弾きたいけど、時にはトーンを絞ってもみたい」そんなわがままをかなえるのが、ノーロード・トーン・ポットです。

通常のトーン回路は、トーン「10」の状態でもわずかながらコンデンサの影響を受け、高域成分を損なっています。これに対してノーロード・トーン・ポットは、全開時に回路全体が完全にバイパスされ、トーン回路がないのと同じ状態になります。

信頼性の高いハードウェアのみを使用

ペグ MJ San Dimas Style 1 HSS FR E

MJシリーズは高品位モデルを自称するだけに、品質の高いパーツ類が採用されています。先述した電気系だけでなく、金属部品についても信頼性の高いものが使われます。

  • ペグ:GOTOH社製ダイキャスト
  • ナット:フロイドローズ1000/グラフテック社製TUSQ
  • ブリッジ:GOTOH社製ダブルロッキング・トレモロ/GOTOH社製510シンクロ
  • ストラップピン:ジム・ダンロップ社製ロックピン

また、ハードケース風ながら背負って運ぶこともできるハードシェル・マルチフィット・ギグバッグが付属します。


Ratt – Best Of Me [OFFICIAL VIDEO]
80年代のLAメタルシーンを沸かせたバンド「RATT」。シャーベルの名手として外すことができないのが、このウォーレン・ド・マルティーニ氏です。ジェイク・E・リー氏とルームメイトだったこともあり、お互いに良い影響を受けあっているそうです。

シャーベルMJシリーズのラインナップ

では、シャーベルMJシリーズのラインナップをチェックしていきましょう。全部で6モデルがリリースされていますが、ボディサイズとピックガードの有無で3タイプに分類されています。モデル名は愛称と仕様で構成される暗号のようになっていますが、頑張って読めばまあまあ大丈夫です。

Dinky

「スーパーストラト」の代名詞にもなっている「ディンキー」は、標準的なストラトキャスターより一回り絞ったサイズのボディが特徴です。シャーベルというとビビッドなカラーリングのイメージが濃厚ですが、今回リリースされたのは木材の風合いを活かす落ち着いた色調でまとめつつ、プレイヤーのウマさをしっかり支える武器として完成されています。

MJ Dinky DK24 HSH 2PT E MAH

MJ DK24 HSH

  • MJ DK24 HSH:ボディ
  • MJ DK24 HSH:全景
  • MJ DK24 HSH:ヘッド
  • MJ DK24 HSH:ペグ

モデル名は「DK24(ディンキー24フレット)HSH(ピックアップ配列)2PT(2点留めシンクロトレモロ)E(エボニー指板)MAH(マホガニーボディ)」を意味し、今回のリリースでは唯一のシンクロナイズド・トレモロユニット装備、マホガニーボディのギターです。

ボディトップには木目の美しいウォルナットが貼られ、ネック材のウェンジ(恐ろしく硬い)、指板のエボニー(これも恐ろしく硬い。真っ黒ではなく、縞模様があるものを使用)の色調と相まって、木のぬくもり感と高級感が演出されています。

ピックアップは

  • フロント:Alnico II Pro APH-1(アルニコII磁石を使用。ウォームかつスウィート)
  • センター:Custom Flat Strat SSL-6(ヴィンテージテイストを残しつつ高出力。平滑な指板Rに合わせたポールピース)
  • リア:Custom Full Shred SH-10(中高域が充実した分厚いトーンながら、スピード・リフ等の細かいニュアンスをしっかり表現できる)

という構成です。

ピックアップの組み合わせは「両ハムバッカー単体に加え、3種類のコイルタップミックス」となっています。

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San Dimas

「サン・ディマス(San Dimas)」は、カリフォルニア州ロサンゼルスにある都市の名前です。シャーベルにおいては、フェンダーと同サイズのボディでピックガード無しのギターにこの名がつけられます。

MJ San Dimas Style 1 HSS FR E/M

MJ San Dimas Style 1 HSS

  • MJ San Dimas Style 1 HSS Metallic Red
  • MJ San Dimas Style 1 HSS Satin Black
  • Metallic Redの全景
  • Satin Blackの全景
  • MJ San Dimas Style 1 HSS:ヘッド
  • MJ San Dimas Style 1 HSS:ペグ

シャーベルにおいて「スタイル1」はストラトタイプを意味します(スタイル2はテレキャスタータイプ)。HSS配列機は指板材の異なる2モデルがリリースされており、アルダーボディ、メイプルネック、FRT搭載、という構成です。メイプル指板機はにツヤッツヤのグロス仕上げにギンギンのクロームパーツ、エボニー指板機は鈍く光るサテン仕上げにキンキラキンのゴールドパーツです。

ピックアップは

  • フロント&センター:Custom Flat Strat SSL-6
  • リア:JB™ TB-4(「ジャズ&ブルース」、「ジェフ・ベック」両方の意味を持つ超定番機)

という構成で、やはりフロントとリアの単体、3つのミックスポジションというサウンドバリエーションに設定されています。先述のDK24と比べ、ポジション3でリアピックアップの外側が使用されるのが面白い相違点です。

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MJ San Dimas Style 1 HSH FR PF QM/M QM

MJ San Dimas Style 1 HSH

  • Caribbean Burst
  • Midnight Glow
  • Transparent Green Burst
  • Caribbean Burst:全景
  • MJ San Dimas Style 1 HSH:ヘッド
  • MJ San Dimas Style 1 HSH:ペグ

HSH配列機は模様の美しいキルテッドメイプルをトップにあしらったアルダーボディ、メイプルネックに、指板材がメイプルとパーフェローでバリエーションを設けています。ローズウッドの代替材として注目されたこともあるパーフェロー(ボリビアン・ローズウッド)ですが、硬質で立ち上がりの速い音響特性があり、むしろエボニーに近い木材です。

ピックアップは、

  • フロント:Jazz SH-2(ブライトなサウンドが出る代わりに出力は若干低め)
  • センター:Custom Flat Strat SSL-6
  • リア:JB™ TB-4

となっており、先述のDK24とちょっと違った方向付けになっています。

ピックアップの組み合わせは、ポジション3で両ハムバッカーのミックスが使えるところに特徴があります。HH配列のサウンドバリエーションに、コイルタップを利用したミックスが2つ、という構成です。

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So-Cal

「ソーカル(So-Cal)」は南カリフォルニア(Southern California)の略称で、カリフォルニア州の約3分の1の面積を占める南部地域を指します。シャーベルでSo-Calは、フェンダーサイズのボディにピックガードを採用したギターを指します。ピックガードの厚みによって、サン・ディマスよりボディから弦までの距離が詰まりますから、演奏性に違いが出てきます。

MJ So-Cal Style 1 HSS FR M

MJ So-Cal Style 1 HSS

  • Gloss Black
  • Snow White
  • Gloss Black:全景
  • Snow White:全景
  • MJ So-Cal Style 1 HSS:ヘッド
  • MJ So-Cal Style 1 HSS:ペグ

白黒の2モデルがリリースされたSo-Calは、先述のSan Dimasと同様に、

  • アルダーボディ&メイプルネック&メイプル指板
  • JB TB-4、SSL-6、SSL-6のHSS配列
  • FRTブリッジ

という仕様となっています。5WAYセレクターの設定も共通ですから、ピックガードの有無による演奏性の違いをしっかり確認できます。

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既存モデルとどこが違うのか?

今回リリースされたMJシリーズは、既存シリーズ「Pro-Mod」より一段上位という位置づけです。このグレードの差はどこにあるのか、サン・ディマスをピックアップして、「厳選した木材で日本人が作った」以外の、仕様の比較を試みてみましょう。なお、

  • 本体の寸法
  • コンパウンド・ラジアス指板
  • ノーロード・トーン

は共通仕様です。

既存モデル「Pro-Mod」 今回の主役「MJ」シリーズ
ボディと指板の組み合わせ ・アッシュ/エボニー
・キルトメイプル&アルダー/メイプル
・アルダー/メイプル
3種
・アルダー/メイプルorエボニー
・キルトメイプル&アルダー/メイプルorパーフェロー
4種
フレット数 22 24
ネックジョイント部 プレート使用の4点留め。ヒールカットなし。 プレートレスの4点留め。角が落としてあり、1弦側カッタウェイ裏にもコンター加工。
ピックアップ 全機種HH配列
F)’59、R)JB
HSSもしくはHSH配列
F)JAZZ or SSL-6、C)SSL-6、R)JB
サウンドバリエーション 3WAYセレクター使用。ボリュームポットのスイッチでコイルタップできる。しかし両ハムバッカーのミックスは無い。 5WAYセレクター使用。HSH機では両ハムバッカーのミックスあり。
金属部品 シャーベルオリジナルペグ、フロイドローズ・トレモロシステム ペグ、ブリッジ共にGOTOH社製
ボリュームポット 表記なし ボーンズ社製ロー・フリクション・ポット
左用 あり なし
ケース ギグバッグ ハードシェル・マルチフィット・ギグバッグ

表:Pro-Mod vs MJ 仕様比較

木材構成では「キルトメイプルトップのアルダーボディ、メイプル指板」と「アルダーボディ、メイプル指板」が共通です。指板材については、Pro-Modでメイプルをメインに据えたい傾向が見えますが、MJではメイプルとエボニー/パーフェローの比重に差がない印象です。

フレット数とジョイント部の設計に大きな違いがあり、ハイポジションの演奏性においてはMJが優位のようです。パーツ類ではセンターピックアップあり、ボーンズ社製ポット採用という点で、また付属のケースのグレードでMJが上位にあるようです。

以上、両者の仕様を並べてみましたが、これを見る限りでは性能に大きな差があると言うほどでもない印象です。「厳選した木材で日本人が作った」ということそれ自体が一つの価値だと考えられます。