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ミクソリディアン・スケール(Mixolydian Scale)はメジャースケール(長音階)の第5音を基音(始点)とする音階で、ブルースやジャズ、ロックなど幅広いジャンルで使われます。
メジャースケールの7番目の音(ⅤⅡ)を♭(フラット)させただけの音階ですので、比較的覚えやすいでしょう。
例えばCメジャースケール「C-D-E-F-G-A-B-C」の7番目Bを半音下げてB♭にすると、Cミクソリディアン「C-D-E-F-G-A-B♭-C」になります。
この♭7こそがミクソリディアンの特徴音であり、スケール全体にブルージーでフォーク的な風味を与えています。
しっかり明るいメジャースケールに比べると少しだけ土臭く、ノスタルジックで反骨精神すら漂う独特のムードを持っています。
ミクソリディアンスケールの音階
エレキギター博士「メジャースケールの7番目の音(VII)をフラットさせるだけ(♭VII)、半音下げるだけなので、指板上でメジャースケールのポジションをしっかりと理解していれば、理解は早いんじゃないかな☆」
ミクソリディアン・スケールが真価を発揮する典型的な場面は、ドミナント・セブンス(V7)コード上でのソロやフレーズです。
ミクソリディアンはドミナント7thと構成音がマッチするため、V7のアドリブスケールとして教科書的によく推奨されます。
また、サスフォー(sus4)系のドミナントにも適用できます。
G7sus4(G-C-D-F)のようにテンション4thを含むコードでも、ミクソリディアンは1-2-3-4-5-6-♭7という音使いなので4度音を備えており、違和感なくフィットします。
ファンクやソウルで頻出するドミナント・ヴァンプ(1つの7thコード上で引っ張るリフもの)でも、ミクソリディアンの多用は定番です。
たとえばA7一発のファンクではAミクソリディアンでスケールアウトせずにグルーヴィなフレーズを作れますし、ジャム系のロックでもD7一発のソロにDミクソリディアンを使うのはオーソドックスなアプローチです。
ミクソリディアン・スケールが生み出す独特の響きは、コード進行にも表れます。
典型的なのはI – ♭VIIの進行で、主和音(I)の全音下(♭VII)にメジャーコードが登場するパターンです。
メジャースケールのダイアトニックには存在しない♭VIIのコード(例:GメジャーキーにおけるFメジャーなど)が出てくるとき、その曲は実質的にミクソリディアンの要素を帯びています。
実際ポピュラー音楽では、キーG付近の曲でしばしば「G – F – G – F…」のようにIと♭VIIを行き来する進行が見られます。
これはまさにGミクソリディアン(G-A-B-C-D-E-F)を土台にした響きと言えるでしょう。
さらに発展させると、I – ♭VII – IV – Vという進行もミクソリディアン的です。
例えばAを主和音とする場合、A – G – D – Eというコード進行はAミクソリディアンの音階感を強く感じさせます。
I(=A)と♭VII(=G)が混在し、最終的にV(=E)で解決する形は、モード的にはAミクソリディアンを基調にしつつも機能和声的な動き(V-Iのカデンツ)を織り交ぜたものです。
ミクソリディアンではV(五度)コード自体は本来スケール内にドミナントモーションを起こす導音を持たない(例:GミクソでのD7はファ♯が無い)ため、曲によってはあえてVだけはメジャーコードにするなどのハイブリッド進行もよく見られます。
これによりメロディはミクソリディアンでありながら、和音ではV-Iの解決感も得ることができます。
具体的な楽曲例も押さえておきましょう。
有名どころではビートルズの「Norwegian Wood(ノルウェーの森)」がGミクソリディアンの響きを持った曲として知られています。
アコースティックギターでGミクソリディアンのコード進行が爪弾かれ、甘くほろ苦いムードを醸し出す名曲です。
また、Lynyrd Skynyrd(レーナード・スキナード)の「Sweet Home Alabama」も典型的なミクソリディアン・モードの曲です。
この曲のリフはDミクソリディアン(D-E-F#-G-A-B-C)に基づいており、キーDにも関わらず♭7のCが頻出することでサザンロックらしい土臭さと高揚感を生み出しています。
ジャズ方面では、マイルス・デイヴィスの「All Blues」がGミクソリディアンのスケールでテーマが構成された有名な例です。
タイトル通りブルースですが、コード進行はG7を主軸に据えたモード的な展開で、ソロイストはGミクソリディアンを基調に即興を行います。
このようにミクソリディアン旋法を土台に据えた曲は、ポップスからロック、ジャズまで幅広く存在し、その特徴的な♭7の効果で聴き手に強い印象を与えてきました。
ミクソリディアン固有の特殊な運指があるわけではなく、メジャースケールのポジションの派生として覚えると効率的です。
「親玉」のメジャースケールのパターンをずらして使うイメージです。
♭7の音の位置を常に意識することです。
ギター博士「大地を思わせるような力強いサウンドぢゃ!」
6、7、8小節目の音を伸ばしているところがポイント。ロック・ギターソロといえば2度で音が移動していくのが定番ですが、この部分では完全4度でフレージングしています。博士曰く「調性感はあまりないけれど、壮大で神々しい雰囲気があるような気がして、フレーズに取り入れている」とのこと。
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