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MUSIC CHINA 2017
TC ElectronicはKim Rishøj氏、John Rishøj氏という兄弟によって1976年、デンマーク第二の都市オーフスに設立されました。レコーディング用のエフェクターを中心に開発を進め、初期の製品の中でもSCF(Stereo Chorus + Pitch Modulator & Flanger)というコーラスエフェクターは特に評価が高く、現在でもオリジナルと同じスペックで製造されています。1985年、ラック型ディレイ・エフェクターの伝説的な銘機「TC2290」を開発。その人気を不動のものとします。
そんなスタジオ機器の印象が強かったTC Electronicが、一般コンシューマに向けたギター用エフェクターを本格的に市場投入し始めたのは2000年代に入ってからです。スタジオ機器で培った高い技術をもって、空間系を中心に高品質なエフェクターを次々と送り出しました。大型マルチエフェクターとして「G-System」「G-Major」などのGシリーズを展開すると、コンパクトエフェクターとしては「Nova Delay」を筆頭とするNovaシリーズに着手。いずれも非常に高いクオリティを誇り、長く人気を保っています。
その後、通常のMXRサイズに近い、小型のエフェクターを膨大な数送り出すことで、ギター用エフェクターブランドとしての地位は不動のものとなります。このシリーズは先進的なTonePrint(後述)の存在も相まって、多数のギタリストに支持されるに至り、TC Electronicの中でも主軸を担う製品群となりました。スタジオ機器のイメージが強かったのも今は昔、現在楽器店においてこれらのエフェクターを見ない時はないでしょう。
2014楽器フェア:TC Electronicブース
レコーディングスタジオで現在でも使われるTC2290や、マスタリング用のFinalizerなどに代表されるように、ローノイズ、ハイクオリティを地で行く製品が特徴。極めてハイファイでクセがなく美しい音色は、ギター用エフェクターにおいても反映されており、特に空間系エフェクトにおいてはその特性を強く感じることができるでしょう。ギター用エフェクターについては明確なカテゴリ分けがなされています。
同社のギター用マルチエフェクター最高峰のシリーズ。高品位なエフェクトが惜しげも無く内蔵されており、ステージユースを視野に入れた頑丈な作りとなっています。フラッグシップモデルの「G-System」は、完全プロ仕様を意識した巨大マシン。空間系エフェクトに特化しており、ドライブさせる場合はアンプで歪ませるか、あるいは外部に別のエフェクターを繋ぐことになります。
ロングセラー商品Nova Delayの他、Nova Repeater(リバーブ)、Nova Modulator(コーラス)などの製品が展開されていましたが、2019年現在、現行品は「Nova Delay」とマルチエフェクターの「Nova System」のみ。Nova Delayはスタジオ機器を彷彿させる外観に、多機能かつ優れた音質で人気を博し、その使い勝手と大きすぎないサイズで発売後10年以上も人気を保っています。
TC Electronicのギター用エフェクターの主流となるライン。通常ラインのものはMXRサイズより若干大きいぐらいで、Novaシリーズなどに比べても明らかに小型。製品名にMiniと名が付くものは、さらに細身になっています。ディレイの優等生「Flashback」や、定評のあるリバーブ「Hall of Fame」、ポリフォニックチューナーの「Polytune」など、すでに定番化している製品もちらほら見受けられます。シリーズの半分以上の製品においてTonePrintに対応。
TonePrint機能を搭載した「Flashback Mini Delay」
音質の傾向や、エフェクターの各つまみの働きを新たに組み直すことが出来る機能。つまみの働きについては、ターゲットとなるパラメータを変更したり、複数のパラメータを連動して動かすようにしたりすることもでき、細かく設定することで自分だけのエフェクターを作ることもできます。また、有名なトッププロギタリストが実際に作ったものをダウンロードして利用することもできます。
TC Electronic Flashback Mini Delay レビュー:Tone Print の使い方を徹底紹介!!
TC Electronicでの有名なディレイはNova Delay、Flashback Delayの二つとなりますが、その二つとは違い、アナログやテープエコーの再現に力を注いだディレイがこちらのAlter Ego。温かみがあり、美しいアナログ系の音色が非常にうまく再現されており、使い勝手の良さはデジタルのそれを踏襲。特にメロディ弾きなどにメインに使用する場合には、こちらをおすすめしたいところです。スイッチが4つあり、設定を記録して呼び出せる、大型のAlter Ego X4も同時に展開。TonePrint対応。
TC Electronic Alter Ego 2 – Supernice!エフェクター
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粘っこくブルージーなサウンドに適したオーバードライブ。チューブアンプ的なダイナミクスの変化や、密度の高い歪みが特徴で、ゲイン幅はミドル程度までをカバーします。EQにはベースとトレブルを別々にコントロールでき、Voiceスイッチを使うことで、ベースを下方向にさらにブースト可能。ハイゲインは難しいものの、文字通りのブルースやクラシックロックなどには、その粘っこい歪みが大活躍します。
TC Electronic MojoMojo – Supernice!エフェクター
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最大26dbのレベルブーストが行えるクリーンブースター。ゲインを上げることで、軽いオーバードライブとして使うこともできます。基本的には全帯域をそのまま味付けなくナチュラルに上げていくようなサウンドになっていますが、FATやMIDなどブーストする帯域を選ぶスイッチが付いており、それとEQを併用することでプレイスタイルに合わせた柔軟なブーストを得ることができます。
TC Electronic Spark Booster – Supernice!エフェクター
ワンノブ、ワンスイッチの非常にシンプルな設計で作られたルーパー。5分までの長時間録音が可能で、筐体が小さくかつ値段も安いため、ルーパーの定番の一つとなっています。ワンスイッチで本体が小さい分、操作には少々コツを掴む必要があり、柔軟なパフォーマンスのためには慣れが多少必要です。ステレオ入出力に対応したDitto Stereo、スイッチを二つとしたDitto X2などの派生品が展開されています。
TC Electronic Ditto Looper レビュー!
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長年のTC Electronic製品愛用者でもある、ドリーム・シアターのジョン・ペトルーシによるシグネイチャーペダル。コーラスをメインとし、フランジャーとヴィブラートを一つにした総合モジュレーションペダルで、全体的に透き通ったサウンドを特徴としています。コーラスの可変幅は特に広く、うっすらとした爽やかなものから、どぎつい不安定なサウンドまで幅広く作ることができます。ステレオ入出力対応に、トーンのカラーを変えられるスイッチを装備。ジョン・ペトルーシの音が好きであれば、プリセットのままでも十分ですが、TonePrintを利用することで、同社のCoronaコーラスを内部にアサインしたりもできます。
TC Electronic The Dreamscape – Supernice!エフェクター
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2つのフットスイッチを持ち、プリセットメモリーに対応した多機能ディレイ。デジタル機器、スタジオユースの得意な同ブランドの姿勢を示すように、数値での綿密なセッティングを信条とするペダルです。ディレイタイムは通常のタイムを設定する他、テンポに合わせて符割りで設定するなど柔軟に対応可能。テープエコー、アナログからデジタルまで、ディレイの音質はシームレスに変えることができ、モードもリバースやスラップバックなどを含む6種類を内蔵。銘機TC2290譲りのダイナミックディレイは、演奏内容に従ってディレイの音量を制御するモードで、以後の製品にも採用されました。TC Electronic製のギター用エフェクターとしては初期の頃の製品ですが、それだけにその品質には矜持が詰まっている印象があり、10年以上変わらず売れ続けていることが何よりの証明でしょう。
TC Electronic Nova Delay – Supernice!エフェクター
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2基のDSPエンジンを搭載し高い処理能力を実現した、TC Electronicのギター用空間系エフェクターの最高峰。非常に大きく頑丈な筐体に、役割の分かれたスイッチが18個も並んでおり、4つあるエフェクトループ端子、アンプのチャンネル切替や外部ペダルの接続端子など、膨大な入出力端子を装備。重さも8kg近くあり、まさにプロ仕様マルチエフェクターを地で行く製品です。内部に搭載されたエフェクトはいずれも同社の技術を結集した最高のものばかりで、一台あると空間系は全て事足りるでしょう。DSPエンジンが入った内部を切り離してラックマウントし、スイッチの付いたカバー部分をフットコントローラーとして利用することもできます。
TC Electronic G-SYSTEM – Supernice!エフェクター
全弦を一度に弾いて、それぞれの高低が分かる「ポリフォニック・チューナー」はこのPolytuneが世界初の製品でした。Polytune自身は2019年8月に三代目のPolytune 3となり、弾いた弦の数を自動で判別、バッファー機能搭載など進化を続けています。Polytune3 Miniは極小のサイズに押さえられたフロア型のもので、エフェクトボードの中に仕込む際に、チューナーに面積を割かなくて済むのは大きな利点です。Polytuneには他にも通常サイズのもの、クリップ型のもの、はてはiPhoneアプリまでもが展開されています。
TC Electronic Polytune3 mini – Supernice!エフェクター
昨今では歪み系にもクオリティの高いエフェクターを揃えるブランドですが、やはり強みは空間系にあるようです。50年に近い歴史を持つ有数のブランドであり、その安定した品質はまさに屈指と言えるでしょう。ちなみに、全体のラインナップの中においてPC用プラグインなどの製品数は少なく、これは「他の機器に依存しない、独立したプロセッサーを持つ製品」にこだわりを持って製品を作り続けている証拠だということです。
エフェクターの売れ筋を…
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