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メジャースケールの3番目の音から並び替えるとフリジアンスケールとなります。
音構成は 1, ♭2, ♭3, 4, 5, ♭6, ♭7 です。
たとえばCメジャーの場合、第3音のミ(E)から音階を始めるとEフリジアンになります。
フリジアンスケールは、エオリアン(ナチュラルマイナースケール)の2度の音を除き同じとなります。
ナチュラルマイナーの2度の音を半音下げるとフリジアンとなります。
このたった1音の違いによって、フリジアンはナチュラルマイナーにはないエキゾチックな風味を帯びます。
中近東のエスニックで民族的な雰囲気を持ち、フリジアンスケールに長3度の音を足すとスパニッシュスケールになります。
フリジアンスケールの音階
フリジアンスケールは暗く緊張感のある響き持ちます。
緊張感は主に♭2音程に由来し、加えて♭3や♭6といった他の短調音程も暗さに寄与しています。
特にルート音に対して半音上の♭2を当てはめたときの不安定さは強烈で、作曲や即興でこの音を強調するだけで一気に「怪しげ」「不吉」な雰囲気を醸し出すことができます。
またフリジアンの響きはしばしば中東的・フラメンコ的とも形容されます。
フラメンコの伝統的な響き(いわゆるスパニッシュな雰囲気)はフリジアン・モードによる部分が大きく、スペインの民族音楽に根ざした情熱的で哀愁あるサウンドはこのスケール抜きには語れません。
フリジアンを実際の演奏で活かすポイントは、♭2の扱い方にあります。
ルート(主音)を中心に据えて♭2を積極的に強調することで、フリジアンらしい響きが醸し出されます。
例えばペンタトニックやナチュラルマイナーで展開しているソロで、一時的に♭2を織り交ぜるだけでもフリジアン的なニュアンスが生まれます。
フリジアン・モードは基本的にトニックとなるマイナーコード上で成立するモードです。
ダイアトニックには以下のようなコードが含まれます。
Im – ♭II – ♭III – IVm – VdimまたはVm7(♭5) – ♭VI – ♭VII
例:
Em – F – G – Am – BoまたはBm7(♭5) – C – Dm
中でもImと♭IIの組み合わせはフリジアン独特の響きを端的に表す代表的な進行です。
たとえばIm–♭IIという2和音のループだけでも強烈にフリジアンらしいムードが漂います。
フラメンコからメタルまで幅広いジャンルで用いられます。
典型例としてMetallica(メタリカ)の「Wherever I May Roam」がありますが、この曲のリフはまさにE(Im)とF(♭II)の往復で中東的なムードを醸し出しています。
このほかにも、メタル界隈では数多くの曲がフリジアンや類似スケールの響きを活用しています。
フラメンコでは典型的なアンダルシア系のカデンツ(終止形)として
♭VI–♭VII–I(例:フリジアンがAなら F→G→Am)
や
IVm–III–♭II–I
といった進行がよく使われ、最後に解決するIコード(例:Aのメジャーまたはマイナー)に至るまで緊張感を維持する独特のコード運びが特徴です。
フリジアンスケールに似た名前のスケールにフリジアン・ドミナントがあります。
これはハーモニックマイナースケールの第5モードで、言ってみれば「フリジアンの♭3をナチュラル(長3度)にしたスケール」です。
別名をスペイン語旋法(Spanish Phrygian)とも呼び、フリジアンから派生したスケールではありますが性格はかなり異なります。
通常のフリジアンが
1 – ♭2 – ♭3 – 4 – 5 – ♭6 – ♭7
であるのに対し、フリジアン・ドミナントは
1 – ♭2 – 3 – 4 – 5 – ♭6 – ♭7
となります。
Eを例にすると、Eフリジアン・ドミナントは E – F – G# – A – B – C – D。
長3度音(例ではG#)が入ることで一気にドミナント7thスケール(ミクソリディアン♭9♭13)のような響きになり、フリジアンよりもさらにエキゾチックで中東風味の強いサウンドが得られます。
フリジアン・ドミナントはフラメンコのポル・メディオ(Por Medio)と呼ばれるキー(例えばEで解決する曲調)で頻繁に使われ、フリジアン・モードと並んでスペイン的情緒を支える要素です。
基本的にはナチュラルマイナーのポジションを流用しつつ、♭2の位置だけを各所で修正すればOKです。
♭2(AフリジアンならB♭音)や♭6(F音)などに差し掛かったときに一息置き、その音がもたらす独特の響きをじっくり味わうと良いでしょう。
フリジアンを含むモード練習では、ペダルトーンに合わせてスケールを弾く方法も効果的です。
例えば開放5弦のA音をドローンとして流しながら、その上でAフリジアン・スケールを上下に動かしてみてください。
そうすることで各音がルートAに対して持つ響き(和声的な役割)を実感できます。
ギター博士「何やら怪しい雰囲気ぢゃのぅ。ヘビでも出てきそうぢゃわい!」
Cフリジアンスケール内にはCマイナーコード、Dbメジャーコードを内包しています。
3小節目では このようにスケールを分解して Cm、Db のアルペジオを弾き、フリジアンスケールを表現しています。
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