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ギターを練習して上達していくにつれて、
こんな野望がふつふつと湧き上がってきたんだけど、どうしたらできるようになるんだろう?と悩む人も多いことでしょう。
そこで!今回は「Aマイナーペンタトニックスケール」を使って、ギター博士流「アドリブのやり方」を少々紹介します。「アドリブ」は非常に奥の深いテーマですが、ここではその入り口となる、基礎的な内容を取り扱います。こちらの動画と連動した内容になっていますから、動画を見ながら読み進めていってください。
《ギター博士流》アドリブに挑戦?! with マイナーペンタトニック
今回の動画はいつもよりちょっと長めです。それだけ博士の「みんなにかっこいいアドリブができるようになってほしい」という思いが込められているのです。
アドリブ(ad lib., ad lib, ad:lib)はラテン語の「ad libitum」の略であり、「自由に」を意味する音楽用語。即興演奏・インプロヴィゼーション。(Wikipediaより引用)
もともと「アドリブ」は、その場でメロディを考えて演奏する「即興演奏」を意味する音楽用語でした。しかし認知が広がるにつれて、トークや演劇など他の場面でも「アドリブを効かせる」などのように、ひんぱんに使われるようになりました。こういった背景から、同じ意味の新たな音楽専門用語として「インプロヴィゼーション(略:インプロ)」という言葉も使われるようになっています。
ギタリストがアドリブを身につけるために、誰もが使い方を最初に覚えるであろう道具となるのが「マイナーペンタトニックスケール」です。ロック、ブルース、ジャズ、ソウル、ファンクなどで特に盛んに使用されますが、他のジャンルでもおおいに使用されます。また、ギターだけでなく歌のメロディにも使用されますし、そもそも日本の演歌や民謡そのほか世界中の民族音楽で多くの使用例を見ることのできる、私たちにとっても大変なじみ深いスケールなのです。
今回使用するのは以下の図にある、この音づかいです。ギターソロをコピーしたことがある人なら、見たことがあるかもしれませんね。まずは博士が弾いているように、このスケールに従って、上がったり下がったりして、ポジションと音の確認をしてみてください(動画0分56秒)。
図:今回使用するAマイナーペンタトニックスケール(赤はルート音)
今回は、黒と赤の「濃い●」で示したところを使用します。ここは使用頻度の最も高い、「マイナーペンタトニックスケールの定番中の定番」ポジションです。初めて見るという人は、この機会にしっかり覚えておきましょう。しかしこれはスケールのごく一部を使っているだけで、「薄い●」で示すようにAマイナーペンタはこれより高いところへも低いところへも、指板が続く限りどこまでも続いていきます。
「ペンタといえばブルースやロックに使うもの」というように、スケールに対してジャンル的なイメージを持っている人もいるかもしれませんが、ここで博士のコメントを聞いてみましょう。
ギター博士「わしは、スケールと特定のジャンルを結び付ける、と言う考えはあまりしておらんゾ。今回紹介するのは『ペンタトニックスケール』じゃが、ブルースっぽくない弾き方もできるし、ジャンルにこだわらずできるだけフラットな気持ちで弾きたいと普段から思っているんぢゃ。
また、今回は『アドリブ』、すなわち『自由な演奏をする!』というチャレンジなので、いま紹介したAマイナーペンタのポジションにない音でも、『弾きたい!』という衝動に駆られたら迷わずその音を弾いてほしいんじゃよ!」
スケールにはキャラクターがありますから、単に上下させているだけでもその響きから何かを感じ取れるかもしれません。Aマイナーペンタの5〜8フレットのポジションは、
という二つの理由でピックアップしています。
「ルート音」は「根音」とも言い、特にコードの基となっている音のこと、またスケールのスタート地点となっている音のことです。ルート音は、図では「●」で示されています。
ギター博士「ルート音は、スケールの中で最も『地に足の付いた』どっしりとした聞こえ方をするんじゃ。わしはスケールの練習をする時、低いルート音から順番に高い音を弾いていき、また最初の低いルート音に帰っていくようにしておるぞ。地に足の付いたルート音から、上空のスケール内を舞って、また地に足の付くルート音に終わる。こういうやり方でスケールのカラーを知ることができるんじゃ。」
スケールの練習では「ポジション(音の並び)だけで覚えてしまう」ということもあるかもしれません。しかし、スケールのルート音を意識し、ルート音から弾き始め、ルート音で終わる、という練習をしていくと、ただ漫然と弾くだけよりも「スケールのカラーや世界観」というものを理解しやすくなります。
音程について
ポジションを覚えたら、博士が弾いているように(動画4分04秒)「ルート音に始まり、ルート音に終わる」ということを意識して、スケール内を自由に舞ってみましょう。このポジションにはルート音が3つありますが、どのルート音からでも、どのルート音へでも、弾いてみてください。
さきほどは、
このルールに従ったアドリブの練習をしました。慣れてこないと脳にかなり負担がかかりますから、弾いているうちにいろいろと訳が分からなくなってしまうかもしれません。そうなってしまったらいったん休憩し、集中力を回復させてからまたトライしてみてください。
慣れてきたらずいぶんいろいろなことができてきます。「まさか自分からこのようなメロディが生まれるとは」という新鮮な体験をする人も多いことでしょう。その反面「なんだか無意味にスケールをなぞっているだけで、ちっともメロディにきこえない」と感じる人も多いでしょう。
今のところは「スケールを理解するための練習」として、ルールに従って機械的に弾いています。アドリブとは「自由な演奏」のはずなんですが、次の段階へスムーズに移行してもらうために、ちょっとした「ルールの縛り」を設けたわけです。さてここからがいよいよアドリブ練習の本番です。博士はアドリブをどのように考えているのでしょうか。博士のコメントを聞いてみましょう。
ギター博士「わしが思う『アドリブ』とは、『メロディをその場で作って演奏する』こと、もう一歩踏み込んで言うと『演奏や音楽の雰囲気/空気を感じて、次に求める音を選んでくること』なんじゃ。
たとえば『ドーレーミーファー』って弾いたら、その次には『ソー』と弾きたくなる人も多いじゃろ?また、別の音を弾きたくなる人もいるかもしれん。次に弾きたい音が出てくるのは『前に弾いた音が残像となって、次の音を導いてくれる』からなんじゃ。その次の音がまた次の音を導いて、そのまたまた次が、というようにつながっていくことで、アドリブのメロディは生まれるんじゃ。そのメロディは他でもない、あなた自身が自分の中から鳴らしたメロディなんじゃ。ギタリストは自分の中にメロディを鳴らしているもんなんじゃぞ。
だから、アドリブのフレーズを弾く前にはこの『自分の中に鳴っているメロディを意識』してほしいんじゃ。今、自分が弾いた音が『過去』になり、そしてその過去が『未来』を呼び寄せる。アドリブとはまさに『時間を使ったアート』なんじゃ!」
博士のように、自分の中で鳴ってきたメロディを、Aマイナーペンタトニックスケールに従って、指板上で探してみましょう(動画6分27秒)。自分の中で鳴っているメロディは、それだけではまだイメージに過ぎません。練習で「実際に声に出して歌ってみる」と、そのイメージがはっきりとしたメロディになり、探しやすくなります。
スケールのイメージをつけ、欲しい音を実際にギターで出していく、という練習を続けていくと、どこにどんな音があるのか、どこへいったらどんな音になるのか、といった「指板上の音の配置」が感覚的に身についてきます。これはまさにギターと自分との距離が縮まることを意味し、今後の上達がスムーズになります。
また、この練習は「自分の中で鳴っているメロディをギターで奏でる」というものであり、究極的にはスケールに従う必要はありません。スケールから外れた音が弾きたくなってもそれは間違いではなく、むしろ良いものとしてどんどん弾いていきましょう。
Aマイナーペンタトニックスケールの音の配置を覚え、ルート音の位置も把握し、
自分の中で鳴ってくるメロディを、ギターで奏でられるようになってきました。
ではいよいよ、実際にアドリブに挑戦してみましょう。
とはいえ、やはりいきなり「さあアドリブを弾け!」と丸投げされても困ってしまう、という人もいるでしょう。そこで、今回は博士と一緒に練習してみましょう。博士の演奏が、あなたのアドリブのヒントになるに違いありません。
動画8:48〜
では、博士と交互に弾いてみましょう。博士の演奏に続いて、博士の演奏をまねたり、崩して弾いたり、自分のフレーズを作ったりしてみてください。この練習は「コール&レスポンス」と言って、バークリー音楽大学をはじめいろいろな音楽教室で実際に取り入れられている練習法です。
博士の演奏はAマイナーペンタトニックスケールから外れていませんが、あなたの演奏はもちろんそこから外れた音を弾いても大丈夫です。「自分なり」に弾けるよう頑張ってみましょう。
また、この練習は友達やメンバーと実践しても楽しいです。相手の演奏をそっくりそのまま演奏する、という練習は「耳コピ」の鍛錬にもなります。相手のフレーズの続きを考えて演奏する、というコンセプトで練習すれば、自分では思いつくことができなかった「アドリブの新しいヒント」が手に入るかもしれません。もちろんギタリスト同士でなくても、相手はベーシストでもキーボーディストでも、トランペッターでも誰でも構いません。
ここで、アドリブや作曲を学んでいくギタリストが必ずぶち当たるであろう「手グセ(手癖)」というキーワードにも触れていきましょう。手グセは文字通り「手の癖」で、手になじんだ弾き方のことです。練習熱心なギタリストは同じフレーズを反復練習するし、使い勝手の良いフレーズはいろいろな場面で使いたくなります。こうして手になじんだ動き方、手グセができ上るわけです。手グセはギタリストの練習や経験の成果なのです。
手グセで弾くフレーズは手になじんでいるので、あまり考えていなくてもちゃんと弾くことができます。その意味で、手グセはアドリブ演奏をするギタリストにとって、いざという時に頼れる技術です。しかしながら、アドリブとなるとついつい手グセで弾いてしまい「いつも同じようなアドリブになってしまう」という悩みを抱えているギタリストも多くいます。この手グセについて、博士はどう考えているんでしょうか。博士のコメントを聞いてみましょう。
ギター博士「手グセに悩んでおる人も多いかもしれん。しかしわしは手グセを前向きにとらえておるぞ。手グセはすなわち、『ギタリストの個性』になることもあるんじゃ。ギターのフレーズを聞いただけで『あ、コレはアイツが弾いているんだな』なんて思ってもらえるギタリストになれるかもしれんぞ。だから手グセのフレーズはいつも自信を持って弾いてほしいと思うんじゃ。これはわし自身に対しても、同じように思っておるんじゃ。
それとな、言葉の中にも『ありがとう』や『おかえりなさい』のようなお決まりのフレーズがあるように、ギターにもある程度『王道のリック(フレーズ)』というものがあるんじゃ。こうしたリックを勉強するのもいいが、それより先に『自分の中にある音』に向きあってほしいと思っておるぞ。」
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