マイナーペンタトニックスケールの使い方・覚え方のコツ

[記事公開日]2016/7/12 [最終更新日]2025/9/1
[編集者]神崎聡

Cマイナーペンタトニックスケールの5線譜


マイナーペンタトニックスケールは、ギターを始めた人が最初に出会うスケールのひとつです。マイナーコード上で使うだけでなく「◯7(セブンス)」などメジャーコード上で使うこともできるなど、非常に使用頻度が高く、ギターソロの醍醐味を味わうことができるスケールです。

ペンタトニック
5つの音で構成される音階(スケール)のこと。

短3度全全短3度全 Cマイナーペンタトニックスケールの各音の隔たり

マイナーペンタトニックスケールとは?

マイナーペンタは、ナチュラルマイナースケールから2音(2度と6度)を省いた形で、構成音は「1度・♭3度・4度・5度・♭7度」です。

覚える音が少ないため、すぐに実践に活かせるのが大きな特徴です。
世界中のギタリストがロック、ブルース、ジャズなどあらゆるジャンルで使っており、まさに「一生モノのスケール」と言えるでしょう。

典型的な運指パターン

E|————————–5–8——-|
B|———————5–8————|
G|—————-5–7—————–|
D|———–5–7———————-|
A|——5–7—————————|
E|-5–8——————————–|
Aマイナーペンタトニックの運指パターン

最も有名なのは、Aマイナーペンタ(ルートAを基準にしたスケール)の5フレットポジションです。
このポジションを覚えるだけで、多くのソロやリフが弾けるようになります。
運指練習としては、上下に往復しながら弾いたり、リズムを変えてみたりすると効果的です。
さらに、ルート音を別の位置に置き換えれば、どのキーでも同じ形で弾けるので、移調の学習にも役立ちます。

マイナーペンタトニックの覚え方 Cマイナーペンタトニックの指板上ポジション
この2パターンの「型」を覚えておくだけでコードが変わっても応用することができる。

マイナーペンタの活用例

ロックでの活用例

ロックギターにおいてマイナーペンタトニックは、まさに「王道スケール」です。ジミ・ヘンドリックス、ジミー・ペイジ(Led Zeppelin)、スラッシュ(Guns N’ Roses)、エリック・クラプトンなど、名だたるロックギタリストがマイナーペンタを軸にソロやリフを生み出してきました。特徴的なのは、シンプルな5音だけで聴き手を圧倒する力強さを作り出せる点です。


Guns N’ Roses – Sweet Child O’ Mine
スラッシュが弾くソロ(特に3:06付近〜)は、ほとんどがマイナーペンタのフレーズで構成されている。


Led Zeppelin – Since I’ve Been Loving You (Live at Madison Square Garden 1973)
マイナーペンタトニックの魅力と奥深さが凝縮されたブルース寄りのロック曲。ブルース特有のコード進行の上でジミー・ペイジは、マイナーペンタの枠組みを出発点にメジャー音やブルーノートを混ぜながら緊張感を生み出しているのが特徴的。

ブルースでの活用例

ブルースの世界では、マイナーペンタトニックがまさに「魂のスケール」と呼べるほど重要な役割を果たしています。シンプルなコード進行に対して、短いフレーズを繰り返し、問いかけ(コール)と応え(レスポンス)を作るスタイルが基本です。


B.B. King – The Thrill Is Gone [Crossroads 2010]
B.B.キングの名曲。マイナーペンタを軸にしつつ、フレーズの中に「ブルーノート(♭5)」を絶妙に織り交ぜている。このライブではエリック・クラプトンを含め多くのギタリストと共演している。達人達の演奏を聴き比べても、同じスケールでも音の伸ばし方、間の取り方によって、全く別の表情・表現となっている。


Stevie Ray Vaughan & Double Trouble – Pride And Joy (Live at Montreux 1982)
スティーヴィー・レイ・ヴォーンの「Pride and Joy」も好例。マイナーペンタを中心に、激しいピッキングと豪快なベンドを織り交ぜ、泥臭くも力強いフレーズに仕上がっている。

ジャズでの活用例

ジャズでは、複雑なコード進行やテンションノートが多用されるため、「スケールをどう選ぶか」が難しく感じられるかもしれません。しかし、そんな中でもマイナーペンタトニックは強力な武器になります。ペンタを使うことで難解なコード進行の上でも「耳に心地よい」ラインを作れます。


Wes Montgomery-Four On Six (1965)-Guitarra de Jazz.
コードチェンジに合わせてスケールを変えつつ、要所でマイナーペンタを挟み込み、リスナーに分かりやすい「フック」を作っている。難解なスケールばかりでは聴き手が置いていかれてしまうが、ペンタのシンプルさが逆に効果を発揮している

スケールアウト的アプローチ

さらに発展的な使い方として、C7上でGマイナーペンタを弾くと、9thや♭13thといったテンション感を含む「オルタード」な響きが得られます。こうした「スケールアウト的アプローチ」は、多くのジャズ・プレイヤーの即興フレーズに見られる手法です。

初心者におすすめなのは、まずブルース進行やII-V-I進行のバッキングに合わせ、あえて「1つのペンタだけ」で弾き通してみることです。複雑なコードが展開されても、ペンタのおかげでシンプルかつジャジーに聴かせることができます。慣れてきたら、コードチェンジごとに対応するペンタを切り替えたり、異なるキーのペンタを意図的に重ねて「外す」感覚を養うとよいでしょう。

指板上のポジション

  • Cマイナーペンタトニックスケール
  • D
  • E
  • F
  • G
  • A
  • B

Cマイナー・ペンタトニック・スケール

Cマイナー・ペンタトニック・スケール:指板ポジション

Cマイナーペンタトニックスケールのポジション例

Cマイナー・ペンタトニック・スケール:Tab譜

Dマイナー・ペンタトニック・スケール

Dマイナー・ペンタトニック・スケール

Eマイナー・ペンタトニック・スケール

Eマイナー・ペンタトニック・スケール

Fマイナー・ペンタトニック・スケール

Fマイナー・ペンタトニック・スケール

Gマイナー・ペンタトニック・スケール

Gマイナー・ペンタトニック・スケール

Aマイナー・ペンタトニック・スケール

Aマイナー・ペンタトニック・スケール

Bマイナー・ペンタトニック・スケール

Bマイナー・ペンタトニック・スケール

ギター博士がCマイナーペンタトニックスケールを弾いてみた!

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ギター博士「渋さの中にも泥臭さを感じるわい!」

このギターソロのポイント

minor-pentatonic-tab

リズムのアプローチに工夫している

4小節目、バッキングトラックはストレートなビートなのに対して、ギターのフレーズは3連譜となっています。リズムに対してトリッキーなアプローチをすることでフレーズに「うねり」を生み出しています。

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