日本の住宅事情に最適!ギター用ヘッドホンアンプの選び方とおすすめ

[記事公開日]2025/9/15 [最終更新日]2025/10/9
[ライター]森多健司 [編集者]神崎聡

ヘッドホンアンプ
Fender Mustang Micro Plus

日本の住宅事情でアンプを大音量で鳴らせる人は多くはないでしょう。ヘッドホンアンプは周りに音を聴こえさせずに練習するための第一の選択肢となります。現在ではモデリングの技術が上がり、もはや単なるアンプの代わりとも呼べないほどに高機能になってきました。今回はそんなヘッドホンアンプを探っていきましょう。

森多健司

ライター
モリタギター教室 主宰
森多 健司

新大阪に教室を設立し10年弱、小学生から70代まで、音楽経験皆無の初心者から歴20年のベテランまで、幅広い層に教える。2015年 著書「ロック・フュージョン アドリブ指南書: マイナー7th上で多彩なフレーズを生み出す方法」、2016年 著書「六弦理論塾〜ギタリストのためのよく分かる音楽理論」上梓。

エレキギター博士

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webサイト「エレキギター博士」を2006年より運営。現役のミュージシャンやバンドマンを中心に、自社検証と専門家の声を取り入れながら、プレイヤーのための情報提供を念頭に日々コンテンツを制作中。


  1. ヘッドホンアンプを使うメリット
  2. ヘッドホンアンプの選び方ポイント
  3. ヘッドホンアンプのおすすめモデル

ヘッドホンアンプを使うメリット

大音量を出せない環境でも練習できる

壁が薄い集合住宅に住むギタリスト、夜に帰宅して練習する社会人ギタリストなどは、練習の際になかなかアンプが鳴らせません。かと言って、ノーアンプでの演奏はそもそも練習として良くない上に、弾く自分も楽しくありません。ヘッドホンアンプであればアンプにヘッドホンを繋ぐよりも、さらに手軽です。

モデリングアンプとして多彩なサウンドを再現

昨今のギター用ヘッドホンアンプは大多数がデジタルで制御され、膨大なアンプモデルを備えます。昔の名アンプ、名エフェクターもモデリングによって提供されており、自分のヘッドホンの中にあらゆる音世界が広がります。

六弦かなで

イヤホン/ヘッドホンは別途用意?

ほとんどのモデルはヘッドホン本体については自分で用意することになります。どんなに良いヘッドホンアンプでも、肝心の出力先が100均のイヤホンでは本領を発揮できません。また、構造的に本体から自分の装着ヘッドホンまではどうしても有線になるのは避けられません。
ヘッドホンの値段も馬鹿にならないため、この辺りをトータルで考えると、ヘッドホン一体型のWaza-AirやSpark NEO(後述)にはそれなりの優位性があります。

ヘッドホンアンプの選び方ポイント

出力と音質(モデリングの種類・精度)

現在のギター用ヘッドホンアンプはほとんどがデジタルモデリングでの提供となり、アンプモデルの質感やクオリティが大きく物を言います。
昨今のアンプモデルは優秀なので、どれを使ってもある程度満足はできるはずですが、往年の名機の遺伝子を汲むフェンダーのクリーン、他機種ですでに確固たる評価を築いているKATANAなど、安心できるブランドのイメージがあるのもまた確かです。

アンプ、エフェクトの有無

アンプ数、エフェクト数については、機種ごとの差が大きくなる点です。ベース用やハイゲイン用など、クオリティに差が出やすいモデルをよく使用するプレイヤーは、その手のモデルが多いほうが安心でしょう。
エフェクトはディレイ、コーラスなど、メインとなるものはほぼどのモデルにも搭載されますが、シマー・リバーブやハーモナイザーなど、少し込み入ったエフェクトについては機種によってまちまち。使う予定がある場合は、あらかじめ確認しましょう。

チューナー

練習に欠かせないチューナー。大きく分けて、専用アプリ上で動かすものと、本体に直接内蔵しているものがあり、前者はわざわざスマートフォンと繋いでいる必要があるので、ひと手間かかります。
本体に内蔵されているものはワンタッチでのチューニングが可能ですが、本体にディスプレイが必要なため、機種が限られます(記事末の表を参考)。

接続性(Bluetooth・USB録音対応)

Bluetooth機能は現在では当たり前となり、スマートフォンなどの端末で音楽を流しつつ、それに合わせて練習というスタイルがほぼすべての機種で可能です。また接続先の端末では、専用アプリを使って音色の細かい部分を編集、設定できます。

その中でも多少の差があり、NUX / Mighty Plug Proのように、スマートフォンアプリでは簡便な設定、PCで細かな設定、と分けてあるものや、Fender / Mustang Micro Plusのように、本体だけでもある程度簡便な設定ができるものもあります。
USBで接続して録音に使うためのオーディオインターフェース機能も通常は付いていますが、ヘッドフォン一体型タイプの製品には付いていません。

独自機能

スペックがどうしても似通ってくるカテゴリだけに、独自機能はその機種を選ぶ大きなきっかけになり得ます。
BOSS / KATANA: GOのSTAGE FEEL機能、本体での操作性が高いFender / Mustang Micro Plus、サードパーティIRが読み込めるNUX / Mighty Plug Proなど、それぞれに魅力的な機能を備えていますので、そこはよく確認して候補を絞りたいものです。

VOX / amPlugについて

amPlugはこのカテゴリの製品で、数少ないアナログ仕様のモデルとなり、他社の製品にはない以下の特徴を持ちます。

  • 単4電池での駆動
  • AUX入力のミニジャック装備
  • 練習用リズムパターン内蔵

いい意味での昔仕様とも言え、シンプルかつ低価格であることから今でも人気を保っています(詳細は後述)。

ヘッドホンアンプのおすすめモデル

BOSS / KATANA:GO

BOSS KATANA:GO

BOSSのアンプシリーズKATANAのヘッドホンバージョン。定評のあるKATANAシリーズよりそのサウンドを受け継いでおり、その音の良さは折り紙付き。Bluetoothでのモバイル端末との接続、30のプリセット、オーディオインターフェース機能、チューナー機能など、昨今のヘッドホンアンプに求められる機能をほぼ全て網羅しています。

さらに、この機種にしかない機能として、他のシリーズのKATANA Ampで作られたメモリーの呼び出し、専用ワイヤレスフットスイッチで音色を切り替えての演奏、Bluetoothオーディオとギター音の鳴る位置を自由に配置できるSTAGE FEEL機能があります。
特にSTAGE FEEL機能は、通常のアンプで演奏しているような感覚が得られるため、耳を疲れさせない自然な練習が可能となる、この機種ならではの大きな強みです。

BOSS KATANA:GO – Supernice!ギターアンプ

Fender / Mustang Micro Plus

Mustang Micro Plus

FenderのヘッドホンアンプシリーズMustangの上位機種。アンプモデルとエフェクトはそれぞれ25種類ずつを備え、さすがにFenderだけあってその音質は高い評価を得ています。

他機種に比べて本体での操作性が高いところが特徴で、サイドに付いている-/+のボタンによって、スマートフォンとの接続がなくてもある程度の音色切り替えや編集ができ、さらにタップテンポがボタンとして独立しているのは、地味な点ながら実際の練習時に重宝すること間違いありません。
オーディオインターフェース機能、チューナーも備えており、現代のギター用ヘッドホンアンプの代表的スペックを持ちながらかゆいところに手が届く存在です。プリセットは驚きの100種類で、この点は他の追随を許しません。

Fender Mustang Micro Plus – Supernice!ギターアンプ

NUX / Mighty Plug Pro

Mighty Plug Pro

NUXのMighty Plugシリーズの最上位モデル。Bluetoothでの接続でスマートフォン等から簡易な設定や、7つのプリセットをそれぞれ編集できるのはもちろん、このモデルはUSBケーブルでPCとつなぐことで本領を発揮します。

各エフェクトのパラメータを詳細に編集でき、さらにサードパーティ製IRの読み込みまでも可能。IRファイルには有名なIRメーカーChopToneのものも含まれており、そのままでも十分に勝負できる音質が得られます。
他機種と比べても、全く引けをとらない多機能ぶりを誇りつつ、やや値段が抑えられているところも魅力的な点です。

NUX Mighty Plug Pro – Supernice!ギターアンプ

VOX / amPlug

amPlug3

VOXのamPlugはギター用ヘッドホンアンプという市場をはじめに切り開いたパイオニア的存在です。2025年現在では2024年に発表されたバージョン3が最新モデルとなります。
初代から一貫して、単体でアンプの代わりを成すというコンセプトを保っているためか、アンプの音色は一種類のみで、AC30タイプ、USタイプ、High Gainタイプなどをそれぞれ分けてラインナップしています。

エフェクトはディレイ、リバーブ、コーラスを含めた4種が内蔵されており、練習用リズムパターンとしてメトロノームを含む、9種類のパターンが本体にあらかじめセットされています。
外部オーディオの取り込み用に、AUX INミニジャック端子が付いているのも初代からの流れですが、このあたりは現在のスマートフォンにミニジャックが付いているものが少ないため、時代に合わなくなりつつある仕様でしょうか。
とはいえ、ベース用やブライアン・メイ・モデルなど、他社にはないコンセプトのモデルもラインナップされ、操作が簡便でさらに値段も安いので、現在でも変わらず高い人気を誇ります。

VOX amPlug3 – Supernice!ギターアンプ

BOSS / Waza Air

Waza Air

ギター用ヘッドホンアンプ市場では最高峰となる製品。上に挙げてきた製品とコンセプトが違い、「ワイヤレストランスミッター+アンプ入りヘッドホン」というセット商品となっており、ヘッドホンがアンプの代わりを担います。

他機種には真似のできない機能として、ヘッドホンにジャイロセンサーを仕込むことで、擬似的にアンプが鳴っている位置をシミュレートでき、頭を動かすと同時に音像が連動して動くという脅威の機能を備えます。
ヘッドホン練習は耳が疲れがちですが、この機能をうまく使えばそれもかなり軽減されるはずです。これは前述のKATANA:GOにあったSTAGE FEEL機能の延長上にあるものと言えるでしょう。

5つのアンプモデル、50種以上のエフェクトを搭載し、メモリーされた6種を本体の操作、または別売りの専用フットスイッチで切り替え可能。その他、Bluetooth機能など他機種で見られる機能はほぼすべて網羅していますが、オーディオインターフェース機能だけは非搭載です。
実はヘッドホン単体としても高品質で、長時間の装着も苦にならず、通常のリスニング用途にも十二分に使えます。そのため、一見高価に見えますが、実はコストパフォーマンスの高い製品です。

BOSS WAZA-AIR – Supernice!ギターアンプ

Positive Grid / Spark NEO

Spark NEO

上記のBOSS Waza-Airと同じく、トランスミッターとアンプ入りヘッドホンの組み合わせで提供される製品。33種類のアンプモデル、43のエフェクトはWaza Airを遥かに凌駕する数で、全てスマートフォンのSpark Appアプリで制御可能。アプリでアクセスできるTone Cloudでは世界中のユーザーが作り出した100,000を超えるプリセットが共有できます。

オーディオインターフェース機能はなく、Waza-Airのような擬似的にアンプの向きを設定するような機能もなく、あくまで普通に鳴らすだけですが、反面、33種類ものアンプモデルはWaza-Airにはないこのモデルならではの強みです。
ヘッドホン本体のクオリティは高く、リスニング用途としても十分に使用可能。値段も少し安いため、Waza-Airに手が届かない方にもおすすめです。

Positive Grid Spark NEO – Supernice!ギターアンプ

アンプ数 エフェクト数 プリセット数 オーディオIF機能 チューナー バッテリー持続時間 その他
BOSS / KATANA GO 10(ギター)
3(ベース)
60以上 ギター:30
ベース:30
本体ディスプレイ 5時間 STAGE FEEL機能、専用ワイヤレスフットスイッチあり
FENDER / Mustang Micro Plus 25 25 100 本体ディスプレイ 4時間 独立タップテンポボタン
NUX / Mighty Plug Pro 21
(ベースx2、アコースティックx2)
43 7 専用アプリ上 5時間 PC接続でより細かな編集、IR読み込み可能
VOX amPlug 1 4 電池駆動 アナログ仕様
BOSS / Waza-Air 5 50以上 6 専用アプリ上 5時間(本体)
※Micro USB仕様
立体音響テクノロジー+ジャイロセンサーあり
Positive Grid / Spark NEO 33 43 本体にはなし
(Tone Cloud上に100,000以上)
専用アプリ上 8時間(オーディオのみ)
6時間(オーディオ+ギター)
アプリ上に専用バッキングトラックあり

紹介モデル一覧

現代のギターアンプ市場でももっともホットな分野だけに、魅力的な製品が相次いで開発されています。一見似通ったスペックながら、よく見ていくとなかなかの差がありますので、自分のスタイルと合わせて、よく吟味して選びましょう。

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