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Schaller Security Lock 446
「ギターをギターケースにしまう時には、ストラップを外しておきたい」と思う人は多いのではないでしょうか。しかし付けたり外したりという作業はストラップ穴を傷めますから、やがてストラップはギターから外れやすくなってしまいます。ライブ中にストラップがスポっ!というのも決して珍しいことではありません。ともすれば大惨事。事故は未然に防がなければなりません。そこで今回は、ストラップの着脱がカンタンにでき、しかもしっかり固定できるロック式ストラップピン、略して「ロックピン」に注目してみましょう。
ではまず「ロックピン」とはどういうものなのか、ギター博士の動画をチェックしてみましょう。
ロック式ストラップピンをつけてみるゾ【ギター博士】
この動画では、シャーラー(Schaller)製のロックピンを取りつけています。いろいろなメーカーからロックピンはリリースされていますが、ギター側とストラップ側とにそれぞれのパーツを取りつけるのは各社共通です。
簡単な作業で取りつけることができ、大胆なアクションでも外れることはなく、しかも着脱は楽チンです。「ギター落下」を防止するグッズはロックピンの他にもたくさんありますが、それだけでなく「ストラップの着脱がカンタン」だというのが、ロックピンの大きなメリットなのです。
現在ではいろいろな会社からロックピンがリリースされていますが、初めはシャーラー社とジム・ダンロップ社の独壇場でした。その影響は今でも色濃く、ロックピンといえばこの二つが定番中の定番です。
左から:Chrome 446、Black-Chome 1446、Ruthenium 449、Gold 447
ギター用パーツ大手、シャーラー社の「セキュリティ・ロック」は、ストラップ側を六角ナットで固定します。六角ナットは指でも回すことができますが、しっかりと締めこむためには博士のようにペンチを使用するか、あるいはスパナやレンチを使用してください。ちなみにスパナやレンチの場合、番手は「13」です。ネジは緩んでくることがありますから、ロックピン専用に13番のスパナを持っておくと良いでしょう。
シャーラー「セキュリティ・ロック」では、ストラップ側の突起をギター側の凹みに収めることで固定します。パーツ同士を合わせることで簡単に装着できますが、入りにくい場合にはボタンを引きながら装着します。引っ張っている間は突起も引っ込んでおり、着脱が自由です。
なお、ギター側のピンはストラップ側に包まれるための形状をしており、通常のストラップピン/エンドピンとしては使うことができません。
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2018年にシャーラーから新しく登場した「S-Locks」は、ロックピンの大定番「Security Lock」を大幅にモデルチェンジさせたモデルです。これまでよりもっとシンプルに生まれ変わり、頑丈に、そしてさらに精度が向上するなど、大きくアップデートしています。これから初めてロックピンを手にいれるという人は「Security Lock」でも大丈夫ですが、新しく登場した「S-Locks」もおすすめです。
次のページでは実際に新旧両モデルを比較し、旧モデルとの違いや取り付け手順について検証しています。
《体当たりレビュー》シャーラーの新しいロックピン「S-Locks」
ギター関連グッズ大手、ジム・ダンロップ社の「SLS」シリーズは、ストラップ側を専用の留め金で固定します。これにはネジと違って「緩んでくることがない」という大きなメリットがありますが、外そうと思ったらちょっとしたコツを必要とします。
ジム・ダンロップ「SLS」は、ストラップ側の「軸」をギター側のピンに挿入します。ボタンを押している間は軸から生えている4つの突起が引っ込み、このとき着脱できます。
シャーラー「セキュリティ・ロック」と異なり、ギター側のピンは通常のストラップピン/エンドピンとして使用することもできます。
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たいへん便利で安心ができるロックピンですが、取り付けに際しては気を付けておくことがあります。ちょっとしたことですが、美観や安全性のためなので、知っておいて損はありません。
ふつうのストラップでは、ピンを通す穴(ストラップ穴)の直径はだいたい6~7mmです。ロックピンのパーツは通常それより大きく、シャーラーの直径は約10mm、ジム・ダンロップの直径は約9.4mmです。そのためロックピンを取りつけるためには、ストラップ穴を大きくする必要があります。
左:シャーラー直径、右:ダンロップ直径
ストラップ穴を拡大するには、彫刻刀(丸刀)やベルトポンチ(ハトメ抜き、穴あけポンチなどとも)があると便利です。こうした加工に自信がない人は、プロのリペアマンに依頼してもいいでしょう。
ストラップ穴まわり(ストラップエンド)が薄くしなやかな素材である場合、あるいは博士が動画で使用していたストラップのように、分厚いストラップエンドでも使い込んでいて穴が大きくなっている場合には、加工せずそのまま取りつけることもできます。ロックピン向けのストラップ穴を持つストラップもあるにはありますが、それほど種類はありません。
また、アジャスターやバックルを使わない、革だけのストラップにロックピンを取りつける場合、ロックピンを外さなければ長さの調節ができません。これはストラップの構造上しかたのないことではありますが、長さを迷っている間は、ロックピンの取り付けは保留しておいた方がいでしょう。
ギター側では、もともと付いていたストラップピンとエンドピンを、ロックピンのパーツに交換する必要があります。このとき注意を要するのが、「ネジの扱い」です。ギターのネジ穴には、ストラップピンとエンドピンそれぞれの「ネジ溝」が刻まれています。各社ギターメーカーおよび各社ロックピンで使用されているネジに統一規格はないので、ネジを交換するということは「ネジ穴の溝を新たに刻み直す」ことを意味します。これを繰り返すとネジ穴の内部が削られ、やがてネジがしっかり留らなくなってしまいます。
左から、ジム・ダンロップ社「SLS」、シャーラー社「セキュリティ・ロック(ネジは長短の2本付属)」、LTD、エピフォン(国産)、フリーダムCGRのエンドピン。ネジの長さ、太さ、ネジ山のピッチ(間隔)は、各社ともに微妙に違います。ロックピンのネジの方が、少しだけ太めの印象です。また、LTDとフリーダムCGRのピンは、若干大きめですね。ギターメーカーからも、大きめのピンを採用したり、あるいは最初からロックピンを取りつけていたり、ギター落下を防ぐための努力が見られます。
既存のネジがロックピンのパーツに適合するのなら、これを使うのがベストです。しかしネジの頭部がパーツに収まらないことも多く、その場合にはロックピン付属のネジを使用することになります。そういうことも考慮してか、ロックピン付属のネジは、既存のネジよりちょっとだけ太いものが採用されています。ネジ穴の溝を傷めても、ネジが太いからしっかりと食いつくわけです。博士の動画でも、ロックピン付属のネジを使用しています。
既存のネジを使用する場合には、「木部への正しいネジの締め方」を実践する必要があります。これを守る限り、ネジ穴を傷めることはほぼありません。
以上の4ステップです。ステップ「3」が特に重要なポイントで、これは「ネジ穴のスタート地点とネジのスタート地点が一致」したことを意味しています。「3」により、ネジ穴に刻まれている溝にそのままネジを収めることができるのです。逆にこれをしなければ、ネジ穴の内部に新しくネジの溝を刻むことになります。動画でギター博士はこれを行っていませんが、それは既存のネジを使わず、ロックピン付属のネジを使用しているからです。今回ロックピン付属のネジを締めこんだことによって、ネジ穴には新たにこのネジの溝が刻まれました。仮にこのネジをいったん外して、また同じネジを締める場合には、やはりこの4ステップを踏む必要があります。
さきほど定番のロックピンを紹介しましたが、それ以外にもいろいろなロックピンがリリースされています。タイプ別でチェックしてみましょう。
メーカーの人は怒るかもしれませんが、
1) 軸をピンに挿入する
2) 軸の突起でロックする
というスタイルがジム・ダンロップの「SLS」に近いため、便宜上「ジム・ダンロップタイプ」と分類します。
「アーニーボール」社のロックピンは、本体両側のボタンを押しこむことでロックを解除します。そのため機構部はちょっと大きめで、ブランドロゴが記されていることもあって独特の存在感があります。
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NSL7200シリーズ:ブラス製
NSL7300シリーズ:アルミニウム製
「ヘネシー」社のロックピンは機構部がストラップの裏側に設置されるため、見た目にスッキリとした印象になります。またストラップへの取り付けにはネジを使用しますが、取り付け用の軸が細く、ストラップ穴の加工を必要としないというメリットがあります。
アルミ製の「7300」シリーズは、アルマイト(アノダイズと同義)処理を利用した華やかなカラーリングが魅力です。
シャーラー社が開発したロックピンについては特許期間が終了したのか、全く同じスタイルのものがいろいろなメーカーからリリースされています。
シャーラータイプをリリースしているブランドとしては、原稿執筆時点で「Myoffice」、「PARKSONS」、「EMPT」、「Etfbuy」、「PLAYTECH」が確認されています。これらは一見するとシャーラー社「セキュリティ・ロック」と見分けがつかず、シャーラー製品との互換があるものもあります。価格は軒並みシャーラーより低い設定になっています。PLAYTECH STRAPLOCKSではCHROME/NICKEL/BLACK/GOLDのカラーバリエーションが用意されています。
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世界的な支持を受ける日本の「GOTOH(ゴトー)」からは、ツマミを90°ひねることで内部の突起を出し入れする、独自のシステムを採用したロックピンがリリースされています。また数あるロックピンの中でも「EPR-2」は最も小型で、目立ちにくくなっています。
GOTOH EPR-2を…
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ギター落下を防止するストラップピン/エンドピンは、なにもロックピンだけではありません。落下事故からギターを守るための、人類の研究成果を見てみましょう。
Gretsch Electromatic G5422Tのストラップピン部分
グレッチのギターについているストラップピン/エンドピンは、ストラップをギターに直接ネジ止めする設計になっています。「しっかりネジ止めしてしまえば、外れることはない」という道理ですが、ストラップを着脱するということを考慮しない潔さが、グレッチらしさを強く感じさせます。
とはいえグレッチ愛用者の中からはストラップを着脱できないことに不満を感じる声もあり、ロックピンに換装するユーザーも多数いるようです。
ディアゴ社「ツイスト・ロック」は、ストラップ側の加工なしに、外れにくさと着脱のしやすさを両立させた発明です。皿の部分がたいへん大きくなっており、どうあっても外れないようになっていますが、「切りかき」を利用することで簡単にストラップを着脱することができます。「こんなもので大丈夫なのか?」という声もあったようですが、演奏中にストラップ穴が切りかきに入り込むことはほぼないので、あまり派手に暴れまわるギタリストでなければ大丈夫です。
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「10円でできるロックピン」は、二枚の5円玉でストラップ穴を挟み、ネジ止めする方法です。「55円でできるロックピン」、「100円でできるロックピン」というカラーバリエーションがあります。上記グレッチと同じコンセプトですし、費用対効果としては他の追随を許さない絶大なものがありますから、興味のある人は是非トライしてください。
以上、ロックピンについて、さまざまなことをチェックしていきました。ギター落下の恐れを大幅に軽減でき、なおかつストラップの着脱が簡単にできる、大変便利なアイテムです。必要性を感じられた人は、ぜひ試してみてください。
ただし、ロックピンだからと言ってギター落下の危険がゼロになるわけではありません。ネジは、知らないうちに緩むものです。ストラップ側、ギター側、両方のネジがしっかり締まっているかどうかについて、安全点検を怠らないようにしましょう。
ギター落下防止策として、本記事ではストラップピン/エンドピンに注目しています。ストラップに注目した落下防止策は、こちらで紹介しています。
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