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Bill Lawrence(ビル・ローレンス)は世界で初めてリプレイスメント用ピックアップを開発、販売したメーカーです。
創業者のビル・ローレンス氏は大聖堂で有名なドイツのケルン近郊出身。第二次世界大戦の最中に生まれ、多くのジャズギタリストの影響を受けたギタープレイヤーでもありました。大戦終結後の1948年には、すでにパワフルな音を模索してピックアップを自作していたというエピソードもあり、1960年代の初期には、ドイツにおいて自ら手がけたピックアップ「Lawrence, True-Sound Pickups」を載せたギターが販売されます。
60年代も後期に入ると、ビル氏はニューヨークに移り、交換用ピックアップの製作者として名を挙げていきます。この時期に若かりしラリー・ディマジオ氏やケント・アームストロング氏に、製作法を伝授したという話は有名です。その後、ビル氏はギブソンに招聘され、セス・ラバー氏の後任として開発責任者を務めることになります。70年代に入るとビル氏は友人でもあったチェット・アトキンス氏の薦めもあり、ナッシュビルに移り、アコースティックギター用のFT-145や、シングルブレードタイプのL-220、伝説的なL-500などを次々生み出します。
ギブソン退社後、ピックアップの製作会社としてBill Lawrence社を設立。上記のL-500などを代表製品としてラインナップに並べ、好評を博します。ビル・ローレンス氏は2013年、惜しまれながら逝去。彼の作り出したピックアップは未来に渡って愛され続けるでしょう。
一目見るだけで目を引くバー・ポールピースが最大の特徴。これはチョーキング時にポールピース上を弦が外れることによって、音が切れるのを防止するための設計に基づいたもの。丸い点が並ぶのではなく、一直線に線が引かれたかのような見た目はかなり印象的で、一見するだけでBIll Lawrenceだとわかる個性をも備えています。
70年代中期にナッシュビルで生み出されたピックアップには、すでにバー・ポールピースのL-220やL-500があり、この独自の設計はかなり前から存在したことが分かります。現在、ディマジオ社のツインブレードタイプなど似たような設計のものが存在しますが、いずれもこのBill Lawrence社の製品の模倣と言って差し支えないでしょう。
サウンドはピッキングに猛烈に追従する独特の粘り気が特徴。特にハムバッカー系のモデルには中域から中高域に掛けてのバイト感と呼ばれる類の要素が豊富に含まれており、これがハードロック、ヘヴィメタル系のアーティストによく好まれる要因にもなっています。シングルコイルは一転してローパワーのものもあり、また当時としては画期的だったシングルサイズハムバッカーもラインナップされています。
ちなみに今現在、本家本元である Bill Lawrence USA と、ビル・ローレンス氏が独立して立ち上げた「WILDE USA by Bill Lawrence」といった2種類のブランドが存在しています。特に WILDE は海外で高い支持を得ており、その人気は本家に勝る勢いです。
初期の使用者としてエアロスミスのジョー・ペリー氏、ブルースギタリストのロイ・ブキャナン氏などが挙げられます。また90年代以降にはエクストリームで有名なヌーノ・ベッテンコート氏、パンテラのダイムバッグ・ダレル氏などがいました。いずれも特徴として挙げられるのは、ピッキングをそのまま写し取るかのような噛みつき感と粘り気、そして強烈なパワーでしょう。テレキャスターでハードなブルースのプレイをするロイ・ブキャナン氏だけが、この中で少しカテゴリ違いのプレイヤーですが、上記の特徴には共通点があります。
元々はジャズのホーンセクションに負けない、パワフルなピックアップを模索したビル・ローレンス氏。製作の方向性はこのようなところに音色として現れているのかもしれませんね。
ビル・ローレンスの哲学が凝縮された代表的モデル。ノーマル”L-500”(下記参照)の重心を低域側に集めて、より豊富なローミッドに特徴を置きながらも、同時に感じられる切り裂くような高域が、独自のバイト感、とげとげしさを創出するのに一役買っています。低音で歪んだリフを弾くことが多い、ハードロック、ヘヴィメタル系アーティストに好まれる要素を多分に含んでいますが、ローノイズでありながらゲイン、出力はいずれも高めであり、テクニカルなリードギターにも非常にマッチします。
XLはブリッジ用、XXLはネック用です。
L-500XLを…
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上のL-500XLシリーズよりも古くから存在する、L-500シリーズの初期ともいえるモデル。高域にクセがあり、エッヂが効いていながらもキンキンとするほどではない、独特の音色の出方はユニークそのもので、このモデルの最大の特徴ともなっています。粘り気は相変わらず非常に強いながらも、低域はタイトで中域は控えめ。歪ませて使うことで硬くパワフルなディストーションが得られ、その音質上の特性から、クリーントーンでのアルペジオやカッティングにもよく合います。また、コイルタップでシングルコイルとして使うことでかなり高域寄りのチャキチャキとした質感となります。
独特のクセが受け入れるかどうかによって評価の変わる難しいピックアップで、はまる人には他には変えられない最高のピックアップともなり得ます。ジョー・ペリーが使っていたピックアップとしても有名で、このモデルの知名度をおおいに底上げしました。
L-500Rを…
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通常のポールピースを採用したストラト向けのシングルコイル。S1、S2、S3がそれぞれブリッジ、ミドル、ネック用となっています。
低中域を充実させたコシのあるサウンドで、シングルコイルの割に無骨な印象を覚える特徴的な音色です。高域はいわゆるジャキジャキ感こそないものの、それなりに伸びており、シングルコイルらしいレンジの広さを感じさせるための要素となっています。
ビル・ローレンスらしいバイト感はこのピックアップにもしっかり存在し、低ゲインでありながら豊富な低域がそれを感じさせず、特に歪んだ音との相性は良く、音色特性からハムバッカーとの組み合わせも良いでしょう。
S1,S2,S3を…
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ノイズレスを謳ったシングルコイルサイズのハムバッカー。ハムバッキング構造は主にノイズを消す方向に使われ、純粋なハムバッカーのようなパワーは皆無。シングルコイル特有の突き抜けるような高域や枯れた質感などはほとんどなく、またハムバッカーのような図太い中域なども感じさせません。
結果的に、ほどよくまとまったレンジの広さで音の分離感が強く、ヌケの良い明るいサウンドを創出。P-90的な雰囲気も若干ありながら、使いやすいサウンドは、見た目以上に汎用的な印象を覚えます。
本国では多数のラインナップを誇るBill Lawrenceですが、日本で手に入るものは上記の製品に絞られます。それだけに長く愛されてきているロングセラーモデルが多いのもまた事実。少しクセのあるサウンドはそれだけに独特の魅力があり、ハマる人にはこれしかない存在感があります。普通のピックアップに満足できないギタリストの方は、一度試してみてはいかがでしょうか。
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