「テレキャスター・シンライン(Telecaster Thinline)」は、ホロウ構造のボディにFホールを持ったテレキャスターです。ボディ内の空洞によって本体は軽量化され、エアー感を帯びたサウンドはセミアコに近いキャラクターだと解釈されています。その個性あるサウンドとエレガントなルックスが支持され、現在では様々なバリエーションが生まれています。今回は、テレキャスター・シンラインに注目していきましょう。
ギター教室「The Guitar Road」 主宰
小林 健悟
名古屋大学法学部政治学科卒業、YAMAHAポピュラーミュージックスクール「PROコース」修了。平成9年からギター講師を始め、現在では7会場に展開、在籍生は百名を超える。エレキギターとアコースティックギターを赤川力(BANANA、冬野ユミ)に、クラシックギターを山口莉奈に師事。児童文学作家、浅川かよ子の孫。
エレキギター博士
コンテンツ制作チーム
webサイト「エレキギター博士」を2006年より運営。現役のミュージシャンやバンドマンを中心に、自社検証と専門家の声を取り入れながら、プレイヤーのための情報提供を念頭に日々コンテンツを制作中。
目次
「シンライン」とは?
《60's & 70's》二つのテレキャスター・シンライン
《歴史》テレキャスター・シンラインの歩み
テレキャスター・シンラインのおすすめラインナップ
「シンライン」とは?
今やこのテレキャスターの固有名詞となっている「シンライン」ですが、言葉自体葉はギブソン が起源です。
「シンライン」という言葉は
「薄い(=Thin)ボディのラインナップ」
という意味で、ES-175 を代表とするボディの厚いフルアコ(=フルアコースティックギター)とは違う、ES-335 を代表とするボディが薄く中央は空洞になっていないセミアコ(=セミアコースティックギター )に使われていました。フェンダーはこれを「セミアコのことをシンラインというのだ」と誤解した、というのが有力な説です。
シンラインが実際に普通のテレキャスターより薄いボディだというわけではありません。
《60’s & 70’s》二つのテレキャスター・シンライン
まずは本家、フェンダーのテレキャスター・シンラインをチェックしてみましょう。シンラインには大きく分けて、60’s(1960年代型)と70’s(1970年代型)の2タイプがあります。まず1968年、エレキギターの軽量化を目指して開発されたシンラインが60’sです。ルックスがだいぶ変わってはいますが、ピックアップなど主要な部品は通常のテレキャスターと同じです。
その4年後、1972年に発表されたシンラインが70’sです。こちらは2基の「ワイドレンジ・ハムバッカー」を備えるなど、大いに装いを変えました。二つの特徴を追ってみましょう。
American Original ’60s Telecaster Thinline | American Original | Fender
こちらは60’s。いかにもなテレキャスターサウンドでありながら、ほのかなエアー感が奥行きを感じさせます。ホロウ部分はそれほど大きくないのでハウリングに強く、歪ませても大丈夫です。
Fender Classic 72 Thinline Telecaster Natural – PMT
こちらが70’s。サウンドには太さと力強さを感じさせますがテレキャスター本来のジャキ感もしっかり残っており、一般的な2ハムバッカーイメージとは少し違う個性的なサウンドです。
ボディ構造は、ほぼ共通
フェンダーの場合、ボディの1弦側と6弦側を裏側からくりぬき、板を貼って塞いでいます。ボディ中心は残しているので、セミアコに非常に近い構造だと言えます。また6弦側のFホールがルックス上の大きなポイントになっています。
60’sにはアッシュとマホガニーが、70’sにはアッシュが使用されますが、現代版のシンラインではアルダーなど他の木材が使われる場合もあります。フェンダーの歴史上では、1968年のシンラインが初めてのマホガニーを使ったギターでした。
まったく異なるピックアップ構成
左:Fender Made in Japan Heritage 60s Telecaster Thinline
右:Fender Made in Japan Traditional 70s Telecaster Thinline
60年代当時のフロントピックアップはボディ・マウントが基本でしたが、シンラインではハウリングを懸念してピックガードから吊り下げる方式を取っています。ピックガードマウントによって、より甘いニュアンスのサウンドになります。
一方、70’sには「ワイドレンジ・ハムバッカー」が二つ搭載されます。これはギブソンのPAF型ハムバッカーよりも高音域が豊かにアウトプットされる、一味違うキャラクターを持っています。
ブリッジにも違いが
60’sのブリッジは、当時のテレキャスターをそのまま踏襲しています。当時は鉄製の3連サドルが標準仕様でした。現代の流行はブラス製3連ですが、トラッドな60’sにおいてはやはり鉄製サドルがスタンダードです。いっぽう現代版のモデルでは6連サドルが標準仕様です。
70’sでは、ピックアップをピックガードに搭載することからブリッジは大きく変容しました。ピックアップマウント用のプレートを持たない、いわゆるハードテール・ブリッジで、サドルは6連です。
サウンドはテレキャスターにプラスα
60’s、70’sともに、テレキャスター特有のソリッドなアタックとコシの強い弦振動に、ホロウボディが生み出すエアー感が加わった独特のサウンドになります。複雑な倍音を含んだ、ふくよかで甘いトーンと称されますが、他のセミアコよりもボディが小さい分、得られるエアー感はそれほど際立ったものではありません。若干甘い、また丸いニュアンスが加わるくらいに思っておくのがいいでしょう。セミアコ的ではありありますが、あくまでもテレキャスターのバリエーションととらえるのが一般的です。
リアで歪ませるとパワフルなドライブ感が得られ、太くても重過ぎない印象、フロントではマウント方法の違いも手伝い、甘く澄んだ印象のサウンドです。楽器本体の音(いわゆる生音)は大きくなりますので、アンプにつながない練習がやりやすくなります。
Fender Select 2013 Telecaster Thinline Demo
各社の参入により、バリエーションが増える
Freedom C.G.R. TE Pepper Semi Hollow(Green Pepper)
Freedom社はこの分野で随一の個性を発揮している。
フェンダーでは60年代型と70年代型という2タイプを軸とするシンラインですが、後に続くさまざまなブランドからはコピーモデルのほか各社のオリジナリティを反映する多様なモデルが展開されています。特に60年代型を出発点にしたモデルが目立ちますが、フロントピックアップやボディ材に個性が発揮される情勢です。
《歴史》テレキャスター・シンラインの歩み
ポルカドットスティングレイ「アウト」ライブ映像_2024教祖爆誕ワンマン
1965年にCBS社に売却されていわゆる「CBS期」に入ったフェンダーは、60年代型テレキャスター・シンライン(1968)、70年代型テレキャスター・シンライン(1971)、テレキャスター・カスタム(1972)、テレキャスター・デラックス (1973) と相次いで新型のテレキャスターを発表しています。後に続くいろいろなテレキャスターの呼び水となった、シンラインの歩みを見ていきましょう。
60年代型シンライン
Stone Junkie (Live at The Bitter End, NYC)
特にソウル/ファンク、カントリーの分野で使用された。
1960年代後半から軽量なアッシュ材が手に入れにくくなる半面、重いアッシュ材は潤沢に調達できるようになってきました。ここでフェンダーは、軽いアッシュ材のテレキャスターを値上げするより重いアッシュ材で軽いテレキャスターを作ることを選び、ニューモデルの開発に乗り出します。
1968年に完成したテレキャスター・シンラインはボディ材を大胆にくり抜くことで、同じ木材で作った普通のテレキャスターから50%減という軽量化を達成しました。大きなピックガードでフロントピックアップと操作系をまとめる設計で、製造の効率化も前進しています。
70年代型でHH配列に
1970年に開発されたワイドレンジ・ハムバッカーを採用する形で、1971年にテレキャスター・シンラインはモデルチェンジを果たしました。大型のピックガードに両ハムバッカーを含む電気系の一切がマウントされる設計で、製造の効率化ももう一段進歩しています。ワイドレンジ・ハムバッカーはギブソン社のPAF型ハムバッカーと異なる鋭くキレのある力強いサウンドが持ち味で、強化したテレキャスターのイメージにぴったりでした。
この70年代型シンラインは、1979年まで製造されています。
80年代以降、復刻と再評価
Coldplay – A Sky Full Of Stars (Live at River Plate)
1985年にフェンダー社が再興して、CBS期は幕を閉じます。コロナ工場の設立(1985)、メキシコ工場の設立(1987)、フェンダー・カスタムショップの設立(1987)と現在に通ずる生産体制を築く間に、日本製ヴィンテージモデルとしてシンライン・テレキャスター ’69 とシンライン・テレキャスター ’72が復刻され、1998年まで生産されました。
多くの名手の手に渡りながらもビジネス面では成功したと言えなかったシンラインですが、1990年代に入ると従来の王道とは異なる新しい選択肢として注目を集め、ブリット・ダニエル氏(Spoon)やジム・アドキンス氏(Jimmy Eat World)ら、新世代のプレイヤーが愛用するようになります。
テレキャスター・シンラインのおすすめラインナップ
では、テレキャスター・シンラインのラインナップを見ていきましょう。発表当時の姿を再現するヴィンテージモデルが中心ですが、細かなアレンジを加えることで現代のギターとして生まれ変わっています。その一方で高級なモデルでは、容赦ないアレンジで個性や性能を主張するモデルが多く見られます。
全てはここから始まった。本家フェンダーのテレキャスター・シンライン
本家フェンダーでは、ヴィンテージ・スタイルを基本としたモデルを中心にラインナップを展開しています。ヴィンテージ・モデルゆえ、ネック裏をグロス仕上げにする21フレットのモデルが大多数です。左利きに手厚いことでも知られるフェンダーには珍しく、左用のラインナップはありません。
Fender Made in Japan Limited Kusumi Color Telecaster Thinline
落ち着いたカラーをまとった、現代仕様のシンライン
Fender Made in Japan Limited Kusumi Color Telecaster Thinlineは、ボディ、ポジションインレイ、ヘッドロゴに「くすみカラー」を採用した限定モデルです。くすみカラーは淡い中間色にグレーの混ざった色のことで、彩度を抑えた落ち着いた色合いを特徴としています。
ギター本体は60年代型をイメージしながら、ネック仕様やパーツ類などは日本製モダン系スタンダード、Hybrid IIシリーズを出発点とした設計。22フレットの音域やヘッド側に開口したトラスロッドなど、年式から解放された現代的な仕様でまとめられています。トラッドな3連サドルはイントネーション調整のため角度が付けられており、正確なピッチが得られます。
弦長、ナット幅
25.5″ (64.77 cm) Scale Length
1.650″ (42 mm) Bone Nut (.009-.042 Gauges)
ボディ材
Alder (Satin Polyester Body Finish)
Flat Back, Standard Heel Shape
ネック材&接続法
Maple (Modern “C” Neck Shape, Satin Urethane Finish)
4-Bolt Plate Joint
指板&フレット数
Rosewood 9.5″ (241 mm)R、Narrow Tall 22F
ピックアップ
Hybrid II Custom Voiced Single Coil Telecaster®
Fender Made in Japan Traditional 70s Telecaster Thinline
ワイドレンジ・ハムバッカーのサウンドを現代に伝える日本製シンライン
Fender Made in Japan Traditional 70s Telecaster Thinlineは、主だった仕様を70Sに準拠しつつ、手に入れやすい価格帯に収めた日本製モデル。Fキーの異名をとるペグ、3点留めプレートジョイントなど70年代のフェンダーを象徴する仕様を継承しています。フレットこそヴィンテージ・スタイルの小型ですが、ガッシリ握れるUシェイプのネックに指板Rは現代的な 9.5″ (241 mm)が採用されており、チョーキングを多用するリードプレイにも対応できます。
弦長、ナット幅
25.5″ (64.77 cm) Scale Length
1.615″ (41.02 mm) Bone Nut
.009-.042 Gauges
ボディ材
Ash (Gloss Polyester Body Finish)
Flat Back, Standard Heel Shape
ネック材&接続法
Maple (“U” Shape, Gloss Urethane Neck Finish)
3-Bolt Plate Joint
指板&フレット数
Maple 9.5″ (241 mm)R、Vintage 21F
ピックアップ
Fender Wide-Range Humbucking (Bridge & Neck)
Fender Made in Japan Heritage 60 Telecaster Thinline
名工の監修によって完成した、究極のヴィンテージモデル
Fender Made in Japan Heritage 60 Telecaster Thinlineは、ヴィンテージ楽器がプレイヤーに与える至高の演奏体験を追求すべく、フェンダー・カスタムショップのマスタービルダーだったマーク・ケンドリック氏の監修を得てブラッシュアップされたヴィンテージ・モデルです。この年代独特のボディ形状やネックシェイプ、ピックアップ内のワイヤー、ボディカラーなどを徹底的に再現することで、ヴィンテージ・スタイルのギターとはどのようなものかがしっかり分かります。
7.25インチ指板Rにヴィンテージ・スタイルの小さなフレットが打ち込まれる、まさにその時の弾き心地で演奏ができます
弦長、ナット幅
25.5″ (64.77 cm) Scale Length
1.615″ (41.02 mm) Bone Nut
Fender USA 250R Nickel Plated Steel (.010-.046 Gauges)
ボディ材
Ash (Gloss Lacquer Body Finish)
Flat Back, Standard Heel Shape
ネック材&接続法
Maple (’60s “C” Neck Shape, Nitrocellulose Lacquer Over Urethane Finish)
4-Bolt Plate Joint
指板&フレット数
Maple 7.25″ (184.1 mm)R、Vintage 21R
ピックアップ
Premium Vintage-Style 60s Single-Coil Tele
Fender American Vintage II 1972 Telecaster Thinline
最高レベルの再現性を達成しながら、現代の楽器としての酷使に堪える高性能
Fender American Vintage II 1972 Telecaster Thinlineは、レギュラーラインで最高水準の再現性を達成したヴィンテージモデルです。遂に復刻したCuNiFeワイドレンジ・ハムバッカーと1972″C”シェイプネックにより当時のサウンドとフィーリングを味わうことができますが、現代のギターとして使用できるアレンジも施されています。高めに設計されたフレットは、押弦やチョーキングに有利です。ネック/ボディ共に頑丈なポリウレタン塗装が採用されていますから、状態の維持に神経を使うことなく思う存分演奏できます。
弦長、ナット幅
25.5″ (64.77 cm) Scale Length
1.650″ (42 mm) Bone Nut
Fender® USA 250R Nickel Plated Steel (.010-.046 Gauges)
ボディ材
Semi-Hollow Ash (Gloss Polyurethane Body Finish)
Flat Back, Standard Heel Shape
ネック材&接続法
1-Piece Maple (1972 “C” Neck Shape, Gloss Polyurethane Neck Finish)
3-Bolt Neck Construction
指板&フレット数
Maple 7.25″ (184.1 mm)R、Vintage Tall 21F
ピックアップ
Authentic CuNiFe Wide-Range Humbucking (Neck & Bridge)
Fender Custom Shop Vintage Custom 1968 Tele Thinline
妥協なきヴィンテージ・スタイルに無上の演奏性を追加
Fender Custom Shop Vintage Custom 1968Tele Thinlineは、手巻きピックアップを備える究極のシンラインです。ヴィンテージ・スペックに準拠したラウンド貼りのメイプル指板は、開放弦の7.25インチRから最終フレットの9.5インチRまで変化する「コンパウンド・ラジアス」仕様です。ちょっと大きめのミディアム・ヴィンテージフレットとのマッチングにラッカーフィニッシュも相まって、トラッドとモダンの融合した上質な演奏性を味わうことができます。ちなみに、かつてシンラインのデビューは1969年だったというのが定説だったところ、近年になって1968年に改められました。
弦長、ナット幅
25.5″ (64.77 cm) Scale Length
1.650″ (42 mm) Bone Nut
ボディ材
2-Piece Select Mahogany (Nitrocellulose Lacquer with WLS Undercoat)
Flat Back, Standard Heel Shape
ネック材&接続法
Maple (’60s Oval “C” Neck Shape, Lite Tint Nitrocellulose Lacquer)
4-Bolt Plate Joint
指板&フレット数
Round-Lam Maple 7.25″ to 9.5″ Vintage Compound Radius (184 mm to 241 mm)、Medium Vintage 21F
ピックアップ
Custom Shop Hand-Wound ’67 Single-Coil Tele (Neck & Bridge)
コスパ良好!手に入れやすい価格帯のテレキャスター・シンライン
手に入れやすい価格帯のシンラインは、コピーモデルが主体です。ボディをくりぬく工程が必須なため他のエントリーモデルと比べると価格はちょっと高めになりますが、ホロウボディならではの感触はしっかり味わう事ができます。
LEGEND LTE-69TL-TT
初心者の上達を支える、本格的なシンライン
Legend(レジェンド)は、アリアプロIIなどをプロデュースする荒井貿易のブランドで、驚異的な価格圧縮と十分な品質が評価され、特にこれからギターを始める人の最初の一本として大変に良好です。
LTE-69TL-TTは60年代式シンラインをイメージしたモデルで、マホガニーに近い特徴を持つオクメ製ボディ、指板と一体のワンピース・メイプルネック、この時代のもう一つの特徴であるグロス仕上げ、といった本格的な仕様が特徴です。音域が22フレットあるため現代の音楽に十分対応でき、ホイールナット採用によりネックを外さなくても反りの調整が可能です。
弦長、ナット幅
648mm
—
ボディ材
Okume
Flat Back, Standard Heel Shape
ネック材&接続法
Maple 1 piece (Gloss Finish)
Bolt-on
指板&フレット数
Maple、22
ピックアップ
CS-1 Single Coil, OS-1 Single Coil
SX STL/H
米国産アッシュボディのインパクトが楽しめる、本格派シンライン
SXは半世紀の歴史を持つ台湾のメーカー、Team International Musicのプロデュースするヴィンテージ・スタイルを得意とするブランド。本格的な設計と特に入門機としての良好な高いコストパフォーマンスが支持され、現在70か国以上で流通しています。
同社のSTL/Hは、米国産スワンプアッシュ製ボディとカナダ産メイプル製ネックで構成される本格的なシンラインです。ネックにバインディングが施されたエレガントな装いが特徴で、やや平たい指板は現代的な演奏にフィットしやすく、6連サドルにより正確なピッチが得られます。
弦長、ナット幅
648mmスケール
ナット幅42mm (09-42 Gauge)
ボディ材
アメリカン・サザンスワンプアッシュ
Flat Back, Standard Heel Shape
製品重量3,800g
ネック材&接続法
セレクテッド・カナディアンメイプル
スカンクライン:エンジニアローズウッド
4-Bolt Plate Joint
指板&フレット数
セレクテッド・カナディアンメイプル (305mmR) W/ ABS Binding、ミディアム 21F
ピックアップ
シングルコイルx2
Squier by Fender Classic Vibe ’70s Telecaster Thinline
現物をベースにフェンダーが開発した、由緒正しき70Sシンライン
スクワイアの70’sシンラインは、ボディにソフトメイプルを使用、ネック接続は4点留めというアレンジです。9.5インチRの指板とナロートール・フレットという組み合わせは、コードを押さえるのに有利に働きます。可能な限り名機を再現しており雰囲気充分ですが、何よりフェンダーと同じワイドレンジ・ハムバッカーを搭載しているところが最大のポイントです。ワイドレンジハムバッカーの持つ独特なトーンが、たいへんお求めやすい価格で手に入ります。
弦長、ナット幅
25.5″ (64.77 cm) Scale Length
1.650″ (42 mm) Bone Nut
.009-.042 Gauges
ボディ材
Soft Maple (Gloss Polyurethane Body Finish)
Flat Back, Standard Heel Shape
ネック材&接続法
Maple (“C” Shape, Tinted Gloss Urethane Neck Finish)
4-Bolt Plate Joint
指板&フレット数
Maple 9.5″ (241 mm)R、Narrow Tall 21R
ピックアップ
Fender Designed Wide-Range Humbucking X2
Squier by Fender Classic Vibe ’60s Telecaster Thinline
手が届きやすいコストパフォーマンスが魅力の、権威あるテレキャスター・シンライン
SquireのClassic Vibeシリーズは同社の最高グレードで、充分な再現性と手に取りやすいコストパフォーマンスが強みです。Classic Vibe ‘60s Telecaster Thinlineはフェンダー設計のピックアップを擁する、コピーモデルとは一味違う本物のテレキャスター・シンラインです。マホガニーに近い音響特性を持つナトー材をボディに使用することで、軽やかで暖かいボディ鳴りが期待できます。
弦長、ナット幅
25.5″ (64.77 cm) Scale Length
1.650″ (42 mm) Bone Nut
.009-.042 Gauges
ボディ材
Body Shape (Gloss Polyurethane Body Finish)
Flat Back, Standard Heel Shape
ネック材&接続法
Maple (“C” Shape, Tinted Gloss Urethane Neck Finish)
4-Bolt Plate Joint
指板&フレット数
Maple 9.5″ (241 mm)R、Narrow Tall 21R
ピックアップ
Fender Designed Alnico Single-Coil (Neck & Bridge)
音や性能に安心できる、ミドルクラスのテレキャスター・シンライン
高すぎない価格帯のモデルでは、各社の個性を発揮したオリジナルが見られます。最初の一本でいきなり買う事も無理ではない価格ながら機能性能共に充実しており、中級以上のプレイヤーがライブやレコーディングで使用することもできます。
SCHECTER OL-PT-TH
テクニカルなプレイにも対応できる、個性的なシンライン
モダンギターの名門「SCHECTER(シェクター)」は、本体の設計だけでなくパーツ類まで自社開発する、総合的なプロデュースが魅力のブランドです。
FホールならぬSホールが印象的なOL-PT-THは、60Sシンラインを出発点としながらシェクターらしいアレンジの光るモデルです。シンラインとしては極めて珍しいバックコンター採用により、座奏時や高く構える時のフィット感が抜群です。ヒール部は斜めにカットされており、ハイポジションの演奏性も向上しています。加えてフロントピックアップがボディに直付けになっているのがシェクターらしい味付けで、フロントの音色が一歩タイトになることが期待できます。
弦長、ナット幅
648mm Scale
—
ボディ材
MAHOGANY
w/ Back Contour & Slant Cut Heel
ネック材&接続法
Maple
4 Bolt-On Plate Joint
指板&フレット数
ROSE WOOD、22F
ピックアップ
TL Style Single Coil
w/ Direct Mount Front PU
FUJIGEN(FGN) NTE100MAHT
クラシックなたたずまいを保ちつつ、現代的なアップデートを果たしたシンライン
GUJIGEN(フジゲン)は昭和35年創業の老舗で、昭和58年には「ギター生産数世界一」を記録した生産力を持ちながら高い品質を保つことで世界的に支持されています。
NTE100MAHTは、風格あるクラシックな60Sスタイルに現代的な性能を追加した、現代仕様のシンラインです。最大の持ち味はコンパウンド・ラジアス指板とサークルフレッティングシステムのコンボで、正確なピッチと高い演奏性が得られます。フレットのエッジも丸く処理されており、スイスイとポジション移動できます。左用もあります。
弦長、ナット幅
25.5″ (648mm) Scale
—
D’Addario EXL120 (.009-.042)
ボディ材
Ash (Gloss Finish)
Flat Back, Standard Heel Shape
ネック材&接続法
Maple U-Shape
Bolt-on w/ Stainless Joint Plate
指板&フレット数
Maple w/ Compound Radius、22F Medium C.F.S.
ピックアップ
FGN 52T-HOT-F, FGN 52T-HOT-R
FUJIGEN(FGN) NTE110MMHT
マホガニーボディ&フロントハムで、新たな個性を身につけたシンライン
FUJIGEN NTE110MMHTは、前出のNTE100MAHTと対を成すモデル。フロントのハムバッカーとマホガニー製ボディが特徴で、それ以外の仕様、支持の厚いブラス製3連サドル、明瞭なアタックを生むステンレス製ジョイントプレート、弦交換が時短できるGOTOH製ロック式ペグなどは共通です。リアピックアップも共通なので、弾き比べるとボディ材の影響を確認することができます。なお、左用も有ります。
弦長、ナット幅
25.5″ (648mm) Scale
D’Addario EXL120 (.009-.042)
ボディ材
Mahogany (Gloss Finish)
Flat Back, Standard Heel Shape
ネック材&接続法
Maple U-Shape
Bolt-on w/ Stainless Joint Plate
指板&フレット数
Maple w/ Compound Radius、22F Medium C.F.S.
ピックアップ
FGN Alnico 5(Neck), FGN 52T-HOT-R(Bridge)
G&L ASAT CLASSIC BLUESBOY SEMI-HOLLOW
ちいさめFホールがキュートなフロントハム
G&Lは、フェンダー社を辞しMUSIC MANを立ち上げたレオ・フェンダー氏が最後に立ち上げたブランド。フェンダーの遺伝子を受け継ぎながら、一歩前進した設計が持ち味です。
ASAT CLASSIC BLUESBOY SEMI-HOLLOWは両翼をくり抜いたポプラ製ボディにアッシュ製トップを貼るシンラインで、フェンダーと逆の工法を採用しているところが興味深いところです。フロントのハムバッカーはネックから若干離した位置に配置されるため、甘い中に芯のある音色が得られます。また6連サドル採用により、シビアなセッティングが可能です。
弦長、ナット幅
25 1/2″ SCALE
1 5/8″ WIDTH AT NUT
ボディ材
semi-hollow Swamp Ash top on Poplar with twin voice chambers and f-hole
Flat Back, Standard Heel Shape
ネック材&接続法
Hard-Rock Maple (medium C NECK PROFILE)
bolt-on CONSTRUCTION
指板&フレット数
Maple or Rosewood 9-1/2R、22 medium jumbo, nickel
ピックアップ
G&L AS4255C Alnico neck humbucker, Leo Fender-designed G&L MFD single coil bridge pickup made in Fullerton, California
本家を凌駕する勢いの高級モデル
この分野に高級モデルを投入するブランドは多くありませんが、それだけに開発陣の気合いが伝わってくる、ひと癖もふた癖もある強力なモデルがリリースされています。また高級ブランドではカスタムオーダーを受けることが多く、左用を手に入れることも可能です。
Suhr ALT T
70年代のフィーリングを帯びた現代仕様シンライン
Suhr(サー)はハイエンドギターを主軸としながらそれにとどまらず、アンプやエフェクタ、ピックアップなどエレクトロニクスにまで及ぶ幅広さを持つ、現代の「憧れのブランド」の一つです。
ALT Tは柔らかく乾いたサウンドが 70’s の匂いを蘇らせるHH配列のシンラインで、アルダーボディ&ローズウッド指板、アッシュボディ&メイプル指板の2タイプで展開しています。「SSV」ピックアップはヴィンテージ・ハムバッカーを現代によみがえらせた基本モデルで、Suhrのラインナップ内では最も控えめな出力です。
弦長、ナット幅
Scale :Unknown
1.650″ Tusq Nut
ボディ材
Alder or Swamp Ash (Chambered with F Hole, Thin Skin Finish)
Flat Back, Slant Heel Shape
ネック材&接続法
Tinted Maple 60’s C Vintage Medium .830″–.950″
Bont-On Plate Joint
指板&フレット数
Tinted Maple or Indian Rosewood (9″–12″ Compound)、22F Medium Stainless Steel (.055″ × .090″)
ピックアップ
SSV (Raw Nickel) Neck & Bridge
Freedom Custom Guitar Research TE Pepper HollowⅡ(Brown Pepper)
ジャズの現場に一軍起用できる、太く甘く抜ける音
Freedom C.G.R.の「TE Pepper」シリーズは、ボディ構造の違いで生音を変化させ、アンプからの出音を変える、というアプローチで開発されたギターです。それぞれボディ構造に違いのある4機種はRed、Brown、Black、Greenと名付けられましたが、近年HollowⅠ、HollowⅡ、Semi Solid、Semi Hollowとその名が改められました。ほとんど摩耗しない「エターナルフレット」を第一に、空気のふれるところは全て塗装することで、長い年月を経ても状態の変化を最低限に抑えています。
Hollow IIはマホガニーボディを表側からくりぬいたホロウボディで、ブリッジ部以外が空洞になっています。テレキャスター・タイプという見た目からは想像できないほどに甘さと太さが立つメロウな響きが持ち味で、リアピックアップでも鋭さより暖かさが感じられます。
弦長、ナット幅
25.5in
Silicone Oiled Bone / 42mm
D’Addario 10-46 Strings
ボディ材
Mahogany 2pc(Top & Back)
Poly ・ 艶有り Body Finish
Flat Back, Standard Heel Shape
ネック材&接続法
Mahogany / Pepper U-Shape
Poly・艶消し – 極薄仕上げ Neck Finish
Bolt on 4-Point Joint / Plate
指板&フレット数
Rosewood 280R、Eternal Fret / EI-W-016WARM / 22F
ピックアップ
Hybrid HB TypeⅠ & Pepper SPTE
関連記事:
《特集》フリーダムCGR「Pepper シリーズ」の全貌に迫る!
DEVISER ROSETTEE AKAMATSU WSE’24/E
和材の個性あるたたずまいと、抜けの良いサウンドが持ち味
DEVISER(ディバイザー)はBacchusやMomoseなどいくつものブランドをプロデュースする長野県のメーカーです。「Deviser Special Specification」はプロ用に完全オーダーメイドを受ける時に使っていたブランド名ですが、近年ではホロウタイプのSTモデル「ROSETTA VESSEL」、同TLモデル「ROSETTEE」の2モデルを展開するブランドとして運営されています。
「ROSETTEE AKAMATSU/HT WSE’24/E」は、やわらかく軽量な特徴を持つアカマツをボディ材に使用したモデルです。このタイプのギターには珍しくボディ裏にコンター加工、ジョイントヒールに滑らかなカットが施され、良好な演奏性が得られます。
アカマツは「赤松ギタープロジェクト」として虫食い被害に遭った赤松をギターに使うチャレンジで有名になった木材ですが、本モデルでは被害に遭っていない、虫食いの無いアカマツが使われています。ピックアップはこのアカマツのボディ材に合わせて新規に開発されており、このモデルに対するディバイザーの本気度が伝わってきます。
弦長、ナット幅
635mm(25inch)
42mm Elixir NANOWEB Light(.010-.046)
ボディ材
Akamatsu (Top & Back)
Urethane Finish
w/ Back Contour & Slant Cut Heel
ネック材&接続法
Plateless Bolt-On Joint
指板&フレット数
Ebony 310R、Jescar 9662NS 22F
ピックアップ
MIRAGE-H + MIRAGE-T
以上、テレキャスター・シンラインについて特徴やおすすめのラインナップをチェックしていきました。テレキャスター・スタイル&Fホールを伴うホロウボディという特徴、それ自体に強力な個性を持つギターです。それゆえフェンダー以外の各ブランドは自社の個性をどうやって発揮するか難しいところですが、各社のモデルはこの難題を見事にクリアしています。ぜひ実際にチェックしてみてください。
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