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セイモア・ダンカンのストラト用シングルコイル・ピックアップは、王道ど真ん中のヴィンテージ系をはじめ、ハイパワー化、ノイズレス化、アクティブ化など進化したモデル、アーティストモデルまでの華やかなラインナップを展開しています。ここではそのラインナップだけでなく、失敗しにくい選び方も考えていきましょう。
セイモア・ダンカンのシングルコイルは、ヴィンテージ系なら低出力、モダン仕様なら高出力の傾向にあり、また各モデルで音色も出力も細かなキャラクターが設定されています。異なるモデル同士で組み合わせるとバランスを崩しかねませんから、まずは「3基ともSSL-1」や「リアハムに合わせてフロントとセンターをSSL-3に」といった具合で、全て同一のモデルを選ぶと良いでしょう。
ロック系のギタリストならば、「リアを強化したい」と考えることもあります。であれば、リアのみ出力の高いモデルを選んでも良いでしょう。シングルサイズのハムバッカーも有効な選択肢です。
またソウルやジャズのギタリストの中には「リア+センターは細く、フロントは太く甘くしたい」と考える人もいるでしょう。各ピックアップの用途が決まっている人は、そのためのベストな組み合わせを探す沼に挑んでみてください。
ストラトキャスターのピックアップは、もともと3つとも同じものでした。しかしセイモア・ダンカンのラインナップでは、ポジションに最適化することもあります。リア用の場合では、巻き数を増やすなどして出力が持ち上げられます。ミドルの「RWRP」は逆巻き&逆極性(Reverse Wound, Reverse Polarity)で、ミックスポジションでハムキャンセル効果が得られるほか、通常のシングルコイルと直列につなぐことで疑似ハムバッカーとして使用できます。
シングルコイルにはポールピースの高さがまちまちな”Staggered(スタッガード)”と、高さが一定の”Flat(フラット)”の2種があります。Staggeredは180Rなど丸みのある指板で3弦が巻弦だった時代の仕様ですが、今なおヴィンテージ・スタイルとして強烈に支持されています。Flatは平滑な指板のギターや09-42など軽めなゲージの弦に有用な、現代的な仕様です。
ピックアップの出力はアンプやエフェクターの挙動を左右するポイントになりますから、しっかり検討してください。オーバードライブやディストーションをよく使う人や、レスポールなどハムバッカー系のギターに慣れている人は、高出力なピックアップが使いやすいと感じます。クリーン/クランチやファズをよく使う人は、低出力のピックアップが使いやすいと感じる傾向にあります。
Red Hot Chili Peppers – Suck My Kiss [Official Music Video]
レッドホット・チリペッパーズ所属、ジョン・フルシアンテ氏が手に入れた1955年製ストラトキャスターを検分すると、オリジナルだと思っていたピックアップがセイモア・ダンカン「SSL-1」だったことが判明し、担当ギターテックを驚かせた。
セイモア・ダンカンのヴィンテージ系シングルコイルの代表作。倍音豊かで、ジャキジャキとした高音が印象的なモデルであり、これぞシングルコイルというサウンドが魅力です。音だけでは実物のヴィンテージと区別がつかないとまで言われています。ヴィンテージ感覚の強い低出力のピックアップではありますが、感覚的に数値以上の出力、ローミッドを感じることが出来ます。「SSL-1」はきらびやかな高域が特徴、「SSL-2」はタイトな低域レスポンスと滑らかなトーンが特徴となっています。
SSL-5 / SSL-1 Pickup Demo
SSL-2 Vintage Flat For Strat
SSL-1 Vintage Staggeredを…
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SSL-2 Vintage Flatを…
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「SSL-3」は、SSL-1よりコイルの巻き数を増やして中域を持ちあげたモデルです。ロック系に良好な太い音が得られ、ストラトのリアや、ハムバッカーとの併用に向いています。いっぽう「スクープド・ストラト」は逆に中域を削った低出力モデルで、クリーン/クランチで澄み渡った鋭いサウンドが得られます。なお、いずれもStaggered仕様です。
SSL-3 Hotを…
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「クォーター・パウンド(Quarter-Pound)」は直径1/4インチという大きめのポールピースを採用し、通常のシングルコイルの2倍の出力を実現したモデルです。粘り気のある歪みのサウンドや、適度に太いクリーントーンが得られます。シングルコイルらしい”生っぽさ”と音の太さを両立させたい人にはまさにうってつけ。「SSL-4」はRAINBOW時代のリッチー・ブラックモアが使用していたことでも知られるモデル、「SSL-7」はサスティーンとハイゲインを実現したモデルとなっています。
SSL-4 Quarter-Poundを…
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SSL-7 Quarter-Pound Staggeredを…
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SSL-5とSSL-6は、オーバーワウンドによる中出力のシングルコイルです。SSL-1と比べると中低域の持ち上げで出力はやや上がっていますが、高域のピークは突出しているわけではない程度に収められています。シングルコイル特有のジャキッとした響きを残したままロック的な派手さが欲しいギタリストには特におすすめのモデルです。
Custom For Strat SSL-6 Pickup
SSL-6 Custom Flat
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「当たり」の個体を再現したというヴィンテージ・レプリカ「Antiquity」シリーズは、50年代仕様と60年代仕様の2モデルがリリースされています。同じものを3基マウントするのか基本ですが、両モデルとも、リア用に出力を持ちあげた”Custom Bridge”仕様があります。
Nick Johnston- Seymour Duncan, Antiquity Texas Hot Demo
「Antiquity Strat Texas Hot」は、ヴィンテージの持つスパンキーかつ甘みのある鈴鳴りが持ち味です。特別に消磁したアルニコ2磁石の効果で高音のアタック感が和らげられた、聴きやすい音になっています。
Antiquity II Surfer Strat Pickups
「Antiquity II Surfer Strat」は60年代のストラトを意識した、チャイムのような弾むようなサウンドが持ち味です。特別に調整したアルニコ5磁石と特別仕様のワインディングにより、高調波の輝きを維持したまま、高域のアタックをうっすらと丸く整えています。
アルニコII磁石、重めの巻き線、特別な巻き方の組み合わせによって、50年代製ストラトのピックアップに期待されるクラシックで弾むようなトーンを獲得したシングルコイル。出力は抑えめで高域のアタックが柔らかな、滑らかな感触が得られます。
Alnico II Pro Staggered Strat
APS-1 Alnico II Pro Staggeredを…
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APS-2 Alnico II Pro Flatを…
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“Redeemed” | Five-Two Strat Pickups with Lari Basilio
SSL-52「Five-Two」は、低音弦側にアルニコV、高音弦側にアルニコIIを使用したピックアップです。これにより、クリアで粒立ちの良い低音弦、丸いアタック感のある高音弦という玄人好みのバランスを達成しています。出力は控えめで、クセのないサウンドキャラクターです。
“Welcome 2 Minneapolis” (feat. Victor Wooten) – Live At The Riviera Theater
コリー・ウォン氏のシグネイチャー・ピックアップ「Cory Wong Clean Machine」は、リアにアルニコV、フロントとセンターにアルニコIVを使用したオーバーワウンドのスタック構造になっている。
「スタック(Stack)」シリーズは、縦積み(スタック)した二つのシングルコイルでハムキャンセル効果を得る、セイモア・ダンカンの特許構造です。ハムノイズからの解放が最大のメリットですが、片方のシングルコイルだけを利用するサウンドバリエーションも得られます。ただし構造上、本体の高さが通常よりも最大で5mmほどアップしますから、設置の際にはピックアップキャビティの加工が必要になる場合があります。
バータイプのポールピースが独特な印象を与えるスタックタイプ・シングルコイル。高出力をウリにしていますが、実際には繊細なプレイにもしっかり反応し、シングルコイルらしさを十分残しています。シングルコイルの持つジャキジャキ感を失っている代わりに、中域が非常に粘っこいのが特徴で、リアのシングルコイルを強化したいギタリストにおすすめです。
STK-S2 “Hot Stack”を…
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「スタックプラス(Stack Plus)」シリーズは、スタックタイプの高出力と静穏性が得られるほか、通常のシングルコイルに切り替えて使用することもできる高機能モデルです。普通のシングルコイルと見た目が代わらないステルス性も、大きなメリットです。
“Sparkling Notes” | STK-S7, STK-S4m, & Seth Lover Humbucker Combo with Lari Basilio
Stack Plusシリーズを…
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ストラト版Blackoutsは、強烈なパワーコードのリフや焼け付くようなリードからきらめく圧縮されたクリーントーンまでをカバーしたアクティブ・ピックアップです。ヘヴィ・ロックやメタルのサウンドを志向していますが守備範囲は広く、ポップスやファンクなどさまざまな場面で使用できます。また出力モードの切替機能を備えており、スイッチの操作によりミドルゲインとハイゲインを切り替えることができます。
Single Coil Blackouts
AS-1 Blackouts Singlesを…
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イングヴェイ・マルムスティーンのために開発されたノイズレス・シングルコイル。元々彼はディマジオのHS-3を使用していましたが、音色の傾向はかなり近く、高域の明瞭さと適度なアタック感を持ちながら、ハムバッカー並みのノイズレスを実現。イングヴェイの名を冠してはいますが、彼の音楽とは裏腹な低出力であり、実際には守備範囲の極めて広い優秀なピックアップです。なお、リア用は出力が若干上がっています。
Seymour Duncan Artist Signature YJM Fury STK-S10 Pickups
DiMarzio HS3 VS Seymour Duncan Fury – Yngwie Malmsteen pickups
STK-S10を…
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ジミ・ヘンドリックスが使用した68年製ストラトキャスターに搭載されていたピックアップを復刻したモデル。当時のストラトに見られた荒々しく切れ味の鋭いサウンドが持ち味で、右利き用ギターを左で構えたジミに習い、ポールピースの高さを逆転させる念の入れよう。全帯域に渡りストラトキャスターらしい美味しい成分が含まれているので、シグネイチャーにこだわらず、通常のシングルコイルピックアップとしても優秀です。
Jimi Hendrix Signatureを…
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モデル名 | DCR |
Jimi Hendrix Signature Strat | 6.07 |
Alnico II Pro Staggered(APS-1) | 6.1 |
Alnico II Pro Flat(APS-2) | 6.1 |
Vintage Flat(SSL-2) | 6.5 |
Five-Two Strat(SSL-52) | 6.6 |
Scooped Strat | 7.23 |
Classic Stack Plus(STK-S4) | 8.5 |
Antiquity Strat Texas Hot | 9.8 |
Antiquity II Surfer Strat | 9.8 |
Vintage Hot Stack Plus(STK-S7) | 11.9 |
Custom Staggered(SSL-5) | 13.3 |
Custom Flat(SSL-6) | 13.3 |
Quarter-Pound(SSL-4) | 13.4 |
Quarter-Pound Staggered(SSL-7) | 14.1 |
Custom Stack Plus(STK-S6) | 14.50 |
Hot Strat(SSL-3) | 15.85 |
Hot Stack(STK-S2) | 19.9 |
Hot Stack Plus(STK-S9b) | 20.3 |
YJM Fury(STK-S10) | 25.7 |
Blackouts Strat(AS-1) | N/A |
これは、各モデルのリアを直流抵抗の低い順に整列させた一覧表です。一般に「直流抵抗の大きなピックアップは音量がデカい」と言われますが、一概には言えませんので注意が必要です。ですから、たとえば「Hot Stack Plus」と「Custom Stack Plus」のようなダンカンの推奨する組み合わせでなければ、別モデル同士の組み合わせはかなりの試行錯誤を要すると予想できます。
以上、セイモア・ダンカンのストラト用シングルコイル・ピックアップをチェックしていきました。古き良きストラトキャスターに敬意を払いながら、新たな可能性を感じさせてくれる独自のモデルも多く開発しています。ラインナップはなかなかのボリュームですが、目的や使い方を考えていけば必ず絞り込むことができます。ぜひチェックしてみてください。
シングルコイルPUの売れ筋を…
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