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選びぬいた音を楽しむ、成熟したサウンド:IMOCD!「Under the Moon, Over the Cloud」

IMOCD!

「IMOCD!(アイエムオーシーディー/2017~)」は、メジャーシーンでキャリアを積み上げてきたミュージシャンが「いつもと違うものを表現したい」という想いで結成した、オルタナティブ・ロックバンド。汽車に揺られながら流れていく景色を眺めているような、落ち着きのあるグルーヴ感が持ち味です。最小限の音数で各パートを活かす成熟したバンドサウンド、また日本人離れした歌詞が相まって、独特の世界観を構築しています。今回は、このIMOCD!に注目してみましょう。


IMOCD! – Every Race LIVE @VUENOS SHIBUYA TOKYO 2020/03/03
ライブでこそ発揮される、この重さをしっかり維持した安定的なグルーヴ感。音楽シーンや売れ線に媚びないサウンドは、ミュージシャンからも支持が厚い。

IMOCD!メンバー構成

IMOCD!メンバー L to R: Rikiji(Ba)、Ali(Vo)、Eric(Ds)、Akira(Gt)

IMOCD!のメンバーは、それぞれに自身のバンドを持ち、またロックを中心とするいろいろなアーティストのサポートも務めています。違ったことを表現するというコンセプトもあって、普段とは違うパートを担当するメンバーもおり、このバンドで可能性を模索する意義を感じさせます。

ボーカル:Ali(アリ)

ベーシストとして活動する自身のバンド「MONORAL(2001~)」は、海外でのツアーを成功させたり全世界に放映されたアニメ「Ergo Proxy」とタイアップしたりと、堅実な実績がある。IMOCD!では作詞も担当。2018年からは、HYDE氏ソロ活動の共同作編曲者及びベーシストとしても活動。

ギター:Akira(アキラ)

主に「暁っす」のステージネームで上記「MONORAL」のほか、「Spin Aqua」、「DAIGO☆STARDUST」などロックバンドや、鮎貝健氏のアコースティックライブをサポート。また「MONORAL」のボーカリストAnis氏らと「Belt」を結成。グルーヴ感あるヘヴィ・リフや独特なボイシングのアルペジオ、エフェクターを駆使した効果音など、ギター本来の役割であるバッキングの名手。

ベース:Rikiji(リキジ)

自身のバンド「Oblivion Dust(1996~)」で活動するかたわら、「THE DEADROCKS」や土屋アンナ女史、近年では大槻ケンヂ氏率いる「特撮」など幅広くサポートする。アトランシア製アクティブベース「ステルス」がトレードマークだったところ、IMOCD!では初期型のプレシジョンベースに持ち替えている。パッシブベースのオーガニックなサウンドにダウンチューニングのヘヴィネスを加えつつ、時に歌うようなフレージングも見せる。

ドラム:Eric(エリック)

自身のバンド「Bloom Underground」でギターとボーカルを担当。ロックバンド「spAed(1994~1997)」にドラマーとして所属したほか、SUGIZO氏(LUNA SEA)やLISA女史(m-flo)、貴水博之氏らをサポートする。また「FAKE?」でギターサポートを務めたほか、IMOCD!のアコースティック版ではアコギを演奏する。ピアノもベースも弾ける。


IMOCD! – Close Encounter [Acoustic]
アコースティック・バージョンでは、敢えて打楽器に頼らない「ボーカル、アコギ2本、ベース」というパート編成。このような編成におけるギターには、打楽器的な役割もあるのだと再確認できる。

動画に見る、IMOCD!の世界観

では、いろいろ動画をチェックしながら、IMOCD!がどんなバンドなのかを見ていきましょう。

ミドルテンポを主体とした、ゆったりとしたグルーヴ感


IMOCD! – Neophyte LIVE @VUENOS SHIBUYA TOKYO 2020/03/03
多くのオルタナで見られる「サビで大爆発」のような急展開には、ほぼ頼らない。

IMOCD!の演目は、ほとんどがミドルテンポのゆったりとした曲調で、楽曲ごとのグルーヴを大切にし、日の出から少しずつ気温が上がっていくような、じわじわと気温の上昇する空気感が楽しめるようになっています。グルーヴ中心のドラムは音数が最小限に抑えられており、フィルインも最小限です。

ドラムがシンプルにまとまっている分だけ、ベースはうねるフィルインの活きた、旋律を歌うような演奏ができるようになります。ギターはベースと共に力強いリフを弾くこともあれば、エフェクターを駆使した効果音を演出することもあり、バンドアンサンブルに奥行きと空気感を加えています。

静かに燃える、独特の歌詞


IMOCD! – Call of Oligarch [lyric video]
1stミニアルバム「Sometime in November」のオープニングを飾る演目で、「What Have You Done?(君は何てことをしたの)」という糾弾にも似た問いかけから始まる。IMOCD!では最もアップテンポな部類のナンバーであり、いつの間にか転調している巧妙なアレンジも楽しめる。

日米ハーフのAli氏は日本語も英語も堪能で、歌詞は主に英語で書かれます。テーマは当惑、転落、後悔、批判、糾弾といった、ロックミュージックを生む衝動が中心。圧力を抑えた歌い方ですが、歌詞の内容は熱を帯びています。公式の「Lyric video」以外に歌詞は公開されていませんが、配信されているミニアルバムのほぼ全てを収めたアルバム「Under the Moon, Over the Cloud」で内容を確認できます。

抑制の利いた、大人のロック


IMOCD! – waiting for the few LIVE @VUENOS SHIBUYA TOKYO 2020/03/03
繊細なタッチの効いた、淡い質感のゆったりとした演目。

メンバー全員が押し出しの強いロックバンドのキャリアを積み上げていますが、IMOCD!ではそこにキュッと抑制を利かせた、大人のロックサウンドが展開されます。抑えめなテンポ感に加え、各パートが必要な音だけを狙っているかのように音数を抑えています。

音数が少ないぶん各楽器の息遣いが聞こえてくるようで、スローな演目では夢見心地にすらなります。しかし、バンドマンならば感じ取れるであろう、1音1音に一切のごまかしが利かない、スリリングなアンサンブルでもあります。


IMOCD! – Rongo Rongo LIVE @VUENOS SHIBUYA TOKYO 2020/03/03
ステージに立つ人間のみが奏でることのできる、年季の入った調度品のような、ザラついた質感を覚えるサウンド。

表現の道具として電気やデジタル機器を利用するにしても、シンセサイザー全盛の現代にあって、バンドの中核は肉声、弦、太鼓や金物というアナログなツールです。これらを出発点にした人間の息遣い、弦や革の振動、プレイヤーの手触りが積み上がることで、IMOCD!のバンドサウンドは構築されます。



英語の歌だけど日本のロックバンドだよ! IMOCD!「Under the Moon, Over the Cloud」 – 六弦かなで

以上、ロックバンド「IMOCD!」を見ていきました。4枚のミニアルバムがダウンロード販売されているほか、公式ネットショップではCDアルバム「Under the Moon, Over the Cloud」ほかさまざまなグッズを入手できます。社会情勢の影響でライブ活動は控えられていますが、配信公演が開催されることもあります。ぜひチェックしてみてください。

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