EVH Wolfgang Special
アンプやエフェクターの解説で見かけることのある「ブラウンサウンド」という謎のワード。はて、コレはどういう音なのでしょうか。実は、特にハードロック系のジャンルでは、決して無視することができないサウンドなのです。そんなわけで今回は、知っている人なら憧れの的、知らない人にはぜひ知ってほしい、ブラウンサウンドに注目していきましょう。
ギター教室「The Guitar Road」 主宰
小林 健悟
名古屋大学法学部政治学科卒業、YAMAHAポピュラーミュージックスクール「PROコース」修了。平成9年からギター講師を始め、現在では7会場に展開、在籍生は百名を超える。エレキギターとアコースティックギターを赤川力(BANANA、冬野ユミ)に、クラシックギターを山口莉奈に師事。児童文学作家、浅川かよ子の孫。
エレキギター博士
コンテンツ制作チーム
webサイト「エレキギター博士」を2006年より運営。現役のミュージシャンやバンドマンを中心に、自社検証と専門家の声を取り入れながら、”プレイヤーにとって役立つ情報提供”を念頭に日々コンテンツを制作中。
目次
エディ・ヴァン・ヘイレンの音がブラウンサウンド
ブラウンサウンドの再現方法
Van Halen – Panama (Official Music Video)
いつから「ブラウンサウンド」という言葉が使われだしたのかについては諸説ありますが、サウンド自体は6枚目のアルバム「1984(1984年)」で完成した、という考え方が有力なようです。ごく薄ーくフランジャー がかけっぱなし、というのが隠し味です。
エディ・ヴァン・ヘイレンの音がブラウンサウンド
カンタンに言い切ってしまうと「エディの音がブラウンサウンド」、すなわちエドワード・ヴァン・ヘイレン 氏の代名詞と言える、「暖かさを感じさせる、伸びが良くキレのあるハイゲインのギターサウンド」 こそがブラウンサウンドです。
エディ氏は23歳でデビューした時、すでに超絶にウマく、自分でデコったお手製のギターをトレードマークにしていました。さらにアンプの使い方にもひと工夫しており、他のギタリストとはまったく違う新しいギターサウンドを作りだしていました。デビューアルバム「VAN HALEN(炎の導火線。1978年)」は、「ロックミュージックを永遠に変えた作品」とまで言われています。
サウンドメイキングについてエディ氏はさんざん質問攻めを受けるのですが、研究を重ねてようやく手に入れた秘伝を、やすやすと明かすエディ氏ではありませんでした。氏自身はブラウンサウンドについて、「暖かくて、ビッグで、威厳のあるサウンド」だと定義し、兄のアレックス氏が放つスネアの音がそれで、そんな感じの音を出したいのだと語ったことがあります。
「電圧を上げてアンプを起動する」という話はそんなエディ氏渾身のブラックジョークで、この一言によって世界各地のマーシャルアンプから煙が出たそうです。
いろいろな工夫がある中で、アンプの使用法としては「バリアック(Variac)変圧器で電圧を90Vに減圧する(米国の電圧は120V)」ことで、エディ氏はハードな歪みを生みだしていました。現在では高級エフェクターやベースのプリアンプなどで、9Vの乾電池を二つ使って18Vに昇圧し、「歪みの起きない広いヘッドルーム」を確保するものがあります。
逆に、電圧を下げればヘッドルームが縮小され、歪みが起きやすくなるわけです。なお、減圧して電球を灯すと、本来黄色みを帯びた光が茶色っぽくなります。一説ですが、「ブラウン」の呼び名はコレがヒントなのではないかと言われています。
Van Halen – Jamie’s Cryin’ (Official Music Video)
このモノトーンのストラトこそが、名高い「フランケンシュタイン」初号機です。これがあまりに鮮烈だったためか、80年代のエレキギターでは線を入れる意匠がやたら流行しました。
ブラウンサウンドの特徴
6枚目「1984(1984年)」で完成の域に達したと言われるブラウンサウンドですが、デビュー当時から現在に至るまで、エディ氏のギターサウンドは少しずつ変化を遂げています。使うギターも使うアンプも変化しています。しかし、茶色に焦げ茶も薄茶もあるように、少しずつ異なるサウンドの全てがブラウンサウンドです。
エディ氏のギターサウンドは太く、存在感があり、がっつり歪んでいます。それでいて低音域の圧迫感や刺さるような高音域は、キレイに整理されています。また、ザクザク感がありながらもカラッカラに乾いた感じではない、ジャリジャリに尖った感じでもない、芳醇なジューシーさを感じさせます。
こうした太くジューシーなサウンドは、まさにロックバンド「VAN HALEN」に見られる小編成のバンドアンサンブルにうってつけです。ギター1本でじゅうぶん音の壁を作ることができ、そしてリードプレイで伴奏がドラムとベースしかいない状況でも決して物足りなくない、こんな絶妙に太いサウンドは、同じような編成のバンドで弾くギタリストならば喉から手が出るほど欲しいものです。
Van Halen – She’s The Woman (Official Video)
この曲のようにバッキングをギター一本で行うならば、やはりここまでぶっといギターサウンドが欲しくなります。この音に対する「レッド」でも「ゴールド」でもない「ブラウン」という表現には、多くのリスナーが納得しました。
Van Halen – Tattoo (Official Video)
いっぽうこの曲では、バッキングにシンセが入ったりサイドギターが入ったりしており、ちょっとだけパート数が多くなっています。さきほどの動画と比べて、ギターのサウンドがわずかに引きしめられているのが分かりますか?パート数が多い場合、ギターの音はちょっと細くした方が全体的なバランスは良くなります。アンサンブルに対して良好な音の太さを見極める、ここにブラウンサウンドを効果的に使用するツボがあるようです。
エディ・ヴァン・ヘイレンの機材をチェック!
エディ氏ご本人の使用機材としては、マーシャル「1959スーパーリード100」を使用していた1992年まで、ご自身のシグネイチャー・アンプ「5150」を使いだした1992年以降、この二つに分けられるでしょう。しかし、エディ氏は一貫して歪みをアンプで作り、エフェクトペダルの歪みは使用していません。
マーシャル期(~1992年)
Marshall 1959 SUPER LEAD
この時期のエディ氏は、アンプのツマミは音量からEQまでぜんぶ「10」で、バリアック変圧器で電圧を約90Vに抑えて歪みを作っていました。また、本来ならアンプヘッドからキャビネットへ連結するところ、スピーカーを物理的に振動させる強力な信号を、ダミーロード でエフェクターに適切な出力まで落とし、フェイザーやフランジャー、ディレイをつなげ、そこから改めてパワーアンプ、キャビネットとつなげていきました。
現在では常識的な「エフェクトループ」ですが、非搭載のアンプに対して同様の効果を自ら作り上げていたわけです。また、セレッション社製とJBL社製という異なるメーカーのスピーカーを同時に使用していました。
5150アンプ期(1992年~)
EVH 5150III 100W
2004年までピーヴィー(Peavey)、それ以降はEVHにて、エディ氏のシグネイチャーアンプ「5150」は作られています。ピーヴィーにて「5150 II」へ進化し、EVHに移行してから発表された第三弾「5150 III」が現行モデルです。これまでさまざまな工夫によってブラウンサウンドを出していたエディ氏でしたが、それがすべて5150アンプ一台でまかなえるようになりました。
エフェクトループを備えた多チャンネルの強力なアンプですが、「LOW」より下の音域をつかさどる「レゾナンス」のツマミを搭載しているのが大きな特徴です。
ピックにも秘密が
エディ氏はかねてより、薄めのピックを愛用しています。現在流通しているシグネイチャー・ピックの厚みは一般的な「Medium」より薄く、「Thin」よりはやや厚い0.6mmです。エッジが薄く鋭くなることから独特のアタックと倍音が生まれ、またピックスクラッチを盛大に鳴り響かせることができます。
そして薄いピックはそれ自体がしなりますから、弦に伝達させるエネルギーはある程度以上にはなりません。エディ氏ご愛用のハムバッカー・ピックアップがどちらかといえば低出力の設計であることも手伝い、アンプに送られる信号はそれほど強くない、そこをがっつり歪ませることでブラウンサウンドは完成する、というわけです。
EVHピックを…
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ブラウンサウンドの再現方法
音楽に詳しい人にとって、ブラウンサウンドはエディ氏というギタリスト個人の印象がたいへん強い音です。しかしまぎれもなく「ロックミュージックを永遠に変えた音」であり、現代における最も模範的なディストーションサウンドです。こうした音にはリスナーに対する強力な説得力があります。そんなわけで、恐れ多くもブラウンサウンドを手に入れる努力をしてみましょう。
もちろんギタリストのサウンドはギタリストが出しますから、エディ氏のタッチ、エディ氏のピッキング、そしてエディ氏のツマミの回し加減があって、初めて正真正銘のブラウンサウンドが出来上がります。とはいえ近い音が出せる機材を確保していれば、あとは持ち主が頑張るだけです。
どんなギターが必要か?
ブラウンサウンドを出そうとするギターには、まず第一に「リアにハムバッカー搭載」が必須となります。エディ氏のようにボディに直接マウントする設計でなくても大丈夫です。大音量でしっかり歪ませることを考えると、ハウリング予防のためにボディ構造はソリッドが理想です。FRTなどアームが付いているとなお良いでしょう。
また、ハムバッカーはパワー勝負のものではない、パッシブのヴィンテージ系がベストです。
EVH Wolfgang Special
EVH 「ウルフギャング・スペシャル」は、比較的求めやすい価格のモデルでありながら、ブラウンサウンドを出すギターに必要な要素をすべて備えています。ボディに直付けされたハムバッカー・ピックアップは、アルニコII磁石を使用したヴィンテージ系のキャラクターを持っています。FRTブリッジは底面がボディに接した形でマウントされることで、通常時の振動伝達に優れます。またDチューナーが標準装備されているので、一瞬にして「ドロップDチューニング」に設定できます。
グラファイト製ロッドで補強された柾目メイプルネック、コンパウンド・ラジアス指板といった高級機に匹敵するスペックがあるほか、カラーバリエーションが豊富で、指板にもメイプルとエボニーがあり、選ぶ楽しさがあります。
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ブラウンサウンドの出るアンプ
エディ氏は、歪みをすべてアンプで作ります。よってエディ氏の音に肉迫するためには、同じアンプを使うのがもっとも近道だと言えるでしょう。シグネイチャーアンプ「5150 III」シリーズはサウンドが美しく多機能で、バリエーションが豊富です。
EVH(5150 IIIシリーズ)
エディ氏のシグネイチャー・アンプ「5150」シリーズは、ピーヴィーで「5150」、「5150 II」が作られていました。EVHがリリースしているのは、第三世代となる「5150 III」です。「5150 III」には一見すると膨大なバリエーションがありますが、頑張って整理すると以下の4タイプにまとめられます。
EVH 基本モデル「5150III 100W/50W 6L6」
5150 IIIシリーズの基本モデルは、プリ管JJ ECC83S(12AX7)、パワー管JJ 6L6の組み合わせです。
クリーン/クランチ/リードの3チャンネル構成で、「レゾナンス」つまみは全チャンネル共通です。
Dave Nassie from Bleeding Through demos his EVH 5150III®
果たしてエディ氏でなくてもブラウンサウンドは出せるのか?そんなわけでメタルコアバンド「Bleeding Through」に所属していたデイヴ・ナジー氏のプレイ。やはり暖かさとジューシーさを感じさせる極上のディストーションサウンドになっているのではないでしょうか。
またこの動画はスマホを置いてそのまま撮ったようで、ピッキングのパチパチ音が出ています。けっこう勢いよく弾いているのだということが分かり、大変参考になります。
EVH 5150III – Supernice!ギターアンプ
EVH カスタムモデル「5150III 100S/50S 6L6」
こちらはエディ氏がツアーに出るため、基本モデルに対して施したカスタマイズをそのまま反映しています。クランチのゲインを上げ、またリードのサウンドを再構成しています。プリ管JJ ECC83S(12AX7)、パワー管Shuguang 6L6の組み合わせで、「レゾナンス」つまみは各チャンネルに備わっています。
EVH ブリティッシュ系「5150III S100W EL34/50W EL34」
こちらは基本モデルに対し、パワー管をJJ EL34に変更するなどのカスタマイズが施されています。マーシャルを使っていた時代のブラウンサウンドが得られますが、現代の感覚ではブリティッシュ系のモダンサウンドとも言えます。「レゾナンス」つまみは各チャンネルに装備されています。
EVH 5150III 50W EL34 Demo
ザクザク感を内包したジューシーなサウンド、まさにデビューしたころのVAN HALENのサウンドです。それでいて澄み渡るクリーンやホットなクランチもあり、またフットスイッチの操作でエフェクトループのON/OFFもできます。
50Wのヘッドアンプはクリーン/クランチ両チャンネルでEQこそ共通ですが、ゲインと音量のツマミは「スタックノブ」になっており、各チャンネルに適切なゲインと音量が設定できます。
EVH 5150III 50W EL34 – Supernice!ギターアンプ
EVH 小型アンプヘッド「LBX」シリーズ
「LBX」は「ランチボックス」の意味です。15Wの小型アンプヘッド「LBX」シリーズは、お弁当箱を持ってく感覚でブラウンサウンドを持ち運ぶことができるわけです。出力を3.5Wに落とす機能があるので、自宅練習にも利用できます。こちらはプリ管JJ ECC83S(12AX7)、パワー管 JJ EL84の2チャンネル構成ですが、モデルごとに各チャンネルのサウンドが異なります。
5150III 15W LBX :クランチ、リードの2チャンネル構成。
5150III 15W LBXII :クリーン、クランチの2チャンネル構成。
5150III 15W LBX-S :クリーン&クランチ、リードの2チャンネル構成。チャンネルに合わせてライトアップされる。
EVH 5150III 15W LBXII Head Demo
可愛らしいサイズでありながら美しいクリーンもハードなディストーションも得られ、エフェクトループも備わっている、高性能フルチューブアンプ。スタジオミュージシャンが携行するにも良好なサイズ感で、特にレコーディングの現場で活躍しますが、この性能ならライブでも使ってみたくなります。
EVH 5150III 15W LBX – Supernice!ギターアンプ
Peavey (6505シリーズ)
かつてピーヴィーからリリースされてきた5150シリーズは、「6505」シリーズに改名されて存続しています。この数字はピーヴィーの40周年(1965~2005)に由来します。名前こそ変わりましたが、まぎれもなくエディ氏のブラウンサウンドを支えてきたまさにそのアンプに違いなく、しかもコストパフォーマンスに優れています。
リズム/リードの2チャンネル構成ですが、リズムチャンネルにはフットスイッチで起動できるクランチブーストがありますから、実質的に3チャンネルのフルチューブアンプとして使用できます。
Peavey 6505/6505 Plus
長きにわたってエディ氏を支えてきた「5150」アンプの末裔「6505」は、プリ管12AX7、パワー管6L6GC、リズム/リードの2チャンネル構成で120Wのアンプヘッドです。EQは各チャンネル共通ですが、超高音域を操作するプレゼンスの反対、超低音域を操作する「レゾナンス」つまみは画期的な発明でした。
現在の最終進化版「6505プラス」は、プリ管を1本追加し、各チャンネルそれぞれにEQを備えた「5150 II」に、さらにチャンネルごとのプレゼンスとレゾナンスを追加して強化したモデルです。
Peavey 6505+ – Supernice!ギターアンプ
Peavey 6505 MH
ミニヘッドアンプ「6505 MH」は、プリ管12AX7(ECC83)、パワー管EL84、リズム/リードの2チャンネル構成で、唯一リバーブを備えています。出力は20W、5W、1Wの3段階で選択でき、キャノン出力とUSB端子を備えており、自宅練習から録音、本番のステージまで幅広く使用できます。
《Peavey 6505 MH》ハードロックの王道「ブラウンサウンド」が手に入る小型チューブアンプヘッド
ピーヴィーの5150シリーズはエディ氏の手を離れ、新たに6505として存続しました。そもそもブラウンサウンドを作るために開発されたアンプですが、この暖かくジューシーなハイゲインサウンドは、メタル志向のサウンドにも大変に良好です。何よりVAN HALENのイメージから解放された意義は深く、このアンプならブラウンサウンドを狙ってもいいし、そこから隔絶した極悪なディストーションへも躊躇なく突入できます。
特集記事:
《PEAVEY MH シリーズ》名機のDNAを継承した小型チューブアンプヘッド
ブラウンサウンド系ペダル
いくらエディ氏がアンプで歪みを作っているとはいえ、そのためにアンプを買い替えるのは、ハードルの高い選択肢です。エフェクターでどうにかならないか?そんなわけで、設定次第でブラウンサウンドを手に入れることができるとされるエフェクターがいくつかリリースされています。
FRIEDMAN「BE-OD」
FRIEDMAN BE-ODは、エディ・ヴァン・ヘイレンで有名な“ブラウンサウンド”を再現できるペダルとして高い評価を受けるオーバードライブ・ペダル。Friedmanのフラッグシップアンプ「BE-100」の回路をもとに設計されており、アンプライクな迫力ある歪みをコンパクトに体感できるのが特徴です。
豊かな倍音とタイトな低域、伸びやかな中高域を兼ね備え、コードを弾いても音が潰れず一音一音がクリアに響きます。ゲインの幅も広く、クランチからハイゲインまで対応可能で、特に80年代ハードロックやLAメタルを意識したギタリストに人気があります。マーシャルアンプとの相性はとても良く、ブラウンサウンドを超えて幅広いギタリストに支持されています。
Friedman BE-OD
Friedman BE-OD DELUXE – Supernice!エフェクター
MXR「EVH5150 OVERDRIVE」
エフェクター大手「MXR」は、かねてよりフェイザーやフランジャーなどでエディ氏のシグネイチャーモデルをリリースしていました。満を持して登場した「5150オーバードライブ」は、まさにエディ氏公認のブラウンサウンドが手に入るペダルです。「Multi-Stage MOSFET(多段トランジスタ)」と称するアナログ回路により、単体で十分満足できる深さと太さ、そしてピッキングへの追従を達成しています。
操作系も充実しており、音量とゲインに加えて3バンドのEQを備えています。EQは自然なかかり具合でありまた強力すぎもしないため、どこをどう回してもブラウンサウンドから逸脱することはありません。ここに同社のノイズゲート「Smart Gate」のノウハウを活かした「GATE」ツマミ、もう一息歪みを濃くする「BOOST」スイッチを備えています。
Introducing The EVH 5150 Overdrive
EQの操作によって、初期から近年までのブラウンサウンドを再現することができます。ツマミいっこながらGATE機能は優秀で、サスティンに合わせてじわじわと閉じたり、休符にあわせてバッサリ切ったりしれくれます。
MXR EVH5150 OVERDRIVE – Supernice!エフェクター
MAD PROFESSOR 「1」
「マッド・プロフェッサー(MAD PROFESSOR)」は、手に入れやすい工場生産モデル(FAC)とハンドワイヤリングの高級モデル(HW)の両面でラインナップを展開するフィンランドのブランドです。同社の「1(ワン)」は、クリーン設定のアンプからブラウンサウンドをぶっ放すために開発されたディストーションペダルです。
4つのツマミは音量、ゲイン(BROWN)、プレゼンス、リバーブというたいへん尖った構成で、ブラウンサウンドから逸脱することがありません。リバーブのタイムとトーンは内部のトリムポットで操作できます。残念ながらメーカーの生産は終了してしまいましたが、今なお在庫するショップはあり、中古もわずかながら散見します。
Mad Professor “1” Reverb/Distortion Pedal Demo
一聴して「おお、あの音だ」と分かるまさにこのサウンド。生産終了がたいへん悔やまれます。なお、パッシブのギターを直接つなぐことを想定して設計されているので、ボードに組み込むには注意が必要です。
Mad Professor One 1 – Supernice!エフェクター
320design「Brown Feather」
「320design(さんにーまるでざいん)」は、武骨さと洗練さを兼ね備えた強烈な存在感の外観、高級部品を惜しげもなく使用する妥協のない設計で知られるメイドインジャパンのエフェクターブランドです。同社の「ブラウン・フェザー(Brown Feather)」は、軽めのクランチからハードロック/ヘヴィメタルまで幅広く対応する、図太いサウンドを持ったディストーションペダル。製品名も手伝い「ブラウンサウンドが出せるエフェクター」として注目を集めています。
先述の「タイトロック」と対照的に「わずか4つ」というシンプルな操作系は、音量/ゲインに加えて「wide」と「narrow」という2系統のトーンという個性的な構成です。「wide」は狙った周波数帯を中心に広く、「narrow」は狭くブースト/カットできるEQのように働きます。それぞれ狙っている周波数帯に違いがあるので、組み合わせによってさまざまなニュアンスのサウンドを作ることができます。
【320design】Brown Feather 【Official】Sample video
蒔絵の職人が1台1台丹念に仕上げているという外装デザインも、所有欲をくすぐる要素です。1分40秒あたりから、「wide」と「narrow」二つのトーン回路がどう機能するのかを確認できます。わずか4つのツマミで、たいへん幅の広いサウンドメイキングができます。
320design Brown Feather – Supernice!エフェクター
One Control「Anodized Brown Distortion 4K」
One Control Anodized Brown Distortion 4Kは、ミニサイズの筐体で“ブラウンサウンド”を彷彿とさせる王道のロックトーンが得られるディストーションペダルです。Björn Juhl(BJFe)が設計を手掛けており、ギターのピッキングニュアンスやコード感を失わずに、分厚く伸びやかな歪みを実現。名前の通りアノダイズド加工を施したブラウンの筐体も特徴で、視覚的にも存在感があります。
ゲインはクラシックロックからハードロックに最適なレンジで、アンプのクリーンチャンネルに繋ぐだけでブラウンサウンド特有の煌びやかでタイトなドライブを得られます。シンプルな操作性と高い汎用性により、自宅練習からステージまで幅広く使えます。
One Control Anodized Brown Distortion 4K – Supernice!エフェクター
MXR「PHASE 90」
MXR PHASE 90は、1970年代から続くフェイザーの定番ペダルで、多くのプロギタリストに愛用されてきました。エディ・ヴァン・ヘイレンがブラウンサウンドを象徴する揺らぎに使用したことでも有名です。操作はシンプルで、ひとつのSpeedノブで位相の回転速度を調整するだけ。シンプルながらも温かみのあるサウンドと独特のうねりを生み出し、クリーンでも歪みでも存在感を加えてくれます。
ミニサイズのMXR PHASE 95は、「PHASE 90」と「PHASE 45」のモードを搭載した多機能仕様。シンプルに使いたいならPHASE 90、バリエーションを求めるならPHASE 95と選べます。
MXR PHASE 90
MXR PHASE 95 – Supernice!エフェクター
以上、ブラウンサウンドとは何か、またどうやってその音を出すかについていろいろ見てきました。
果てしなくエディ氏を追うもよし、テイストだけ頂いて自分のサウンドを作るもよし、ドライブサウンドを使用する上で、ブラウンサウンドはたいへん頼りになります。また、まったく違う新しいサウンドメイキングに挑戦するにしても、既存の常識や基準をわきまえていなければ何がどう新しいのかがわかりません。
決してエディ氏を追わない人も、現代における最も模範的なディストーションサウンド「ブラウンサウンド」についてはぜひ知っておいてください。
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