《手が届くハイエンド》フジゲンのフラッグシップモデル「EOS」シリーズ

[記事公開日]2020/6/26 [最終更新日]2020/7/8
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

Fujigen EOS

フジゲンの「EOS」は、スーパーストラト「オデッセイ」シリーズの最上位モデルです。考え抜かれた設計、選び抜かれた材料、そして昭和35年からギターを作り続けて培った高度な製造ノウハウが交差して生まれる逸品です。ちょっと頑張れば手に入れられる価格帯でありながら、弾きやすく音が良く、また美しく、内外の高級機に引けを取らないギターとして厚く支持されています。今回は、このフジゲン「EOS」に注目していきましょう。


FUJIGENのフラッグシップモデル「EOS-ASH-M」。様々なこだわりが詰め込まれたメイドインジャパン・ギター!
ギター博士が弾いたEOS。軽さや弾きやすさなど充実した性能から、ギター博士は「職人の魂」を感じ、演奏への勇気が得られたようです。

ギター博士が弾いたEOSをチェック!

Fujigen EOS-ASH-M EOS-ASH-M

ではさっそく、動画でギター博士が弾いていたEOSがどんなギターなのかをじろじろと見ていきましょう。EOSのモデル名は、ボディ材と指板材のセレクトで表示されます。ギター博士のEOSはアッシュ(ASH)ボディでメイプル(M)指板なので、「EOS-ASH-M」となるわけです。ボディ材にはこのほかアルダー(AL)、フレイムメイプルトップ&アッシュボディ(FM)があり、ウェブオーダーではこれ以外も選べます。指板は、メイプルかローズウッド(R)の2択です。

1)EOSに採用されている特徴的な仕様

EOSは最高グレードだけあり、フジゲンの特徴的な設計が惜しみなく投入されます。高精度の木工で評価されるフジゲンだけに、特にネック周りに関して深い追及がうかがえます。こうした仕様がサウンドや演奏性を作り、ギターの性能を底上げしているのです。

サークル・フレッティング・システム

サークル・フレッティング・システム

フジゲンが特許を取得した「サークル・フレッティング・システム(CFS)」は、フレットを同心円状に並べていく設計です。全ポジションで各弦とフレットが直行することになり、弦とフレットとの接触面が一律に最小限に抑えられます。各ポジションのピッチがより正確になり、またサウンドはクリアで立ち上がりが良く、音の伸びも減衰も気持ちよく響きます。

コンパウンド・ラディアス指板

「円錐指板」とも呼ばれる指板で、丸みのあるローポジションから平たいハイポジションまで指板Rが変化していきます。この指板は弦高を下げやすいほか、とくにハイポジションでのチョーキングで音詰まりを解消してくれます。

Expert フレット・エッジ

Expert フレット・エッジ

フレットの両端を美しく球面に整える仕様です。ポジション移動時の引っ掛かりが軽減され、演奏性が大幅に向上します。

ローセッティング・セットアップ

ネックポケットを1mm深く掘ることで、ネックが1㎜深く接続される設計です。これによりボディからの弦高が1㎜抑えられ、繊細なピッキングがしやすくなります。

ムーンサルトヒール・カッタウェイ・ジョイント

ムーンサルトヒール・カッタウェイ・ジョイント

ヒール部一帯を一段下げ、かつヒールのカドを丸く整えたジョイント方式です。ジョイントプレートが接続面と並行を保ったまま、ハイポジションの演奏性を大幅に向上させます。

ルミンレイ・サイドポジションマーク

サイドポジションに蓄光素材を使用することで、暗いステージでも抜群の視認性が確保されています。

ダブル・トリッキー・スイッチ

Fujigen EOS:ダブル・トリッキー・スイッチ

二つのミニスイッチは、リアピックアップのコイルタップと「ハムバッカー・ダイレクト・スイッチ」です。ハムバッカー・ダイレクト・スイッチは、操作系の設定いかんにかかわらず、リアのハムバッカーを直接アウトプットに接続させます。例えばボリュームとトーンを絞ったハーフトーンから、一発で最大音量のリアハムバッカーへ切り替え、そしてまた元に戻ることのできる、大変便利なシステムです。

自動コイルタップ

リア+センターのミックス時には、ハムバッカーが自動的にコイルタップされます。

2)軽くてバランスの良い、高性能な本体

Fujigen EOS:ボディ

EOSは3.1kg~3.5㎏あたりが、標準的な本体重量になっています。ソリッドのエレキギターとしてはなかなか軽量で、長時間の練習や本番にも肉体への負荷が軽く、疲れにくいのがメリットです。また重量のバランスがしっかりとられているので、ボディ重量が不足してヘッド落ちするということもありません。バックコンターは深くしっかり掘られており、フィット感もじゅうぶんです。

柾目材 木の年輪が縦に綺麗に入った柾目

追柾目 追柾目

木材は慎重に選定され、特にルックスが良く軽量な木材が選ばれているようです。EOSではネック材に「クオーター・ソーン(柾目)」材が使用されます。柾目材は高価ですが頑丈で安定性が高く、気温湿度など環境変化に強いのがメリットです。愛用者からは「びくともしないネック」などと評されます。ギター博士が弾いたEOSはヘッド面に対して木目が斜めに走る「追柾目(おいまさめ)」材が選ばれていました。ネックは滑りの良いサラッサラな感触で、出荷時点でひじょうに弾きやすくセットアップされています。10-46ゲージ弦に慣れている人なら、買ってからいきなり本番で使用できます。

操作性に優れる金属部品

Fujigen EOS:ロック式ペグ

EOSで採用されているペグとトレモロは、現代の国産ハイエンドモデルでは定番の、GOTOH(ゴトー)製ロック式ペグと2点支持トレモロの組み合わせです。ロック式ペグは、弦交換の時間を短縮でき、またチューニングを保持する性能が高いのがメリットです。2点支持トレモロは軽い力で動かすことができ、またチューニングの安定度に優れます。

3)バンドメンバーに喜ばれるサウンド

ではあらためて、動画でギター博士が鳴らしているEOSのサウンドをチェックしてみましょう。EOSは明瞭で抜けの良い、バンドアンサンブルで使いやすいサウンドを持っています。

クリーンサウンド(1:30~)

5つのポジションで同じ演奏をしていますが、ポジションごとにはっきりとキャラクターが切り替わっているのが分かります。また、開放弦とハイポジションを混ぜて鳴らしても音量差が気にならない、たいへんバランスの良い音を持っているギターだということが分かります。

ギター博士

ギター博士「ハイ上がりでレンジが広く、軽快かつ繊細なサウンドぢゃ!」

ドライブサウンド(3:17~)

歪ませても明瞭なサウンドで、ノイズが気になることもありません。シングルコイルとのバランス上、リアのハムバッカーはやや出力こそ抑えられていますが、じゅうぶんに太くて力強い音が得られます。

ギター博士

ギター博士「歪ませても抜けが良く、バンドアンサンブルで使いやすい。この抜けの良さは、サークル・フレッティング・システムも一役買っているのかもしれんのぅ。」

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フジゲン「オデッセイ」のラインナップ

フジゲンは設立60周年となる2020年、オリジナルモデルのラインナップを一斉に強化しました。われらがスーパーストラト「オデッセイ」は、日本製でありながら求めやすい価格帯のモデルが登場しています。フジゲンの看板ともいうべきオデッセイのラインナップを、上から下まで概観していきましょう。

Expert ODYSSEY(EOS)

Fujigen EOS-FM-R EOS-FM-R

Fujigen EOS-AL-R EOS-AL-R

Fujigen EOS-ASH-R EOS-ASH-R

Fujigen EOS-ASH-M EOS-ASH-M

最高グレードの「EOS」は、アッシュ(ASH)、アッシュ+フレイムメイプルトップ(FM)、アルダー(AL)という3種のボディ材、ローズ指板(R)がメインでアッシュボディにはメイプル指板(M)もあり、という4タイプで展開しています。またFMではゴールドパーツ、ホワイトのALではべっ甲柄ピックガード、というようにモデルごとに意匠が設定されており、それぞれの個性が作られています。

また「ウェブオーダー・システム」を利用することで、ボディ材やカラーリングなどの仕様変更ができます。

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J-Standard ODYSSEY(JOS)

Fujigen JOS-CL-G JOS-CL-G

Fujigen JOS-FM-G JOS-FM-G

Fujigen JOS-FM-M JOS-FM-M

価格を抑えた「JOS」は、バスウッドボディにメタリックのカラーリングを施した「CL」、バスウッドボディのトップにフレイムメイプルをあしらった「FM」の2タイプ、グラナディロ指板(G)を基本に、FMではメイプル指板(M)のあり、という合計3タイプで展開しています。CLはヴィンテージ・スタイルを意識し、ボディのエッジには丸みが付けられています。いっぽうFMはモダン・スタイルを意識しており、シャープなエッジが付けられています。

木材仕様こそ異なりますが、ネックにおいてはEOSと同様のシェイプに、サークルフレッティングシステムとコンパウンド・ラディアス指板が採用されています。フレットの両端はていねいに整えられ(J-Standardフレットエッジ)、スムーズな運指が可能です。

また、JOSのみセイモア・ダンカン社製ピックアップが採用されています。ヴィンテージ系のサウンドを基調としながら、パワフルなモダンサウンドもカバーできる組み合わせです。これにタップスイッチも備わっていますから、サウンドはクオリティもバリエーションもじゅうぶんです。

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Boundary ODYSSEY(BOS)「BOS2-G-HH」

最も求めやすい「BOS」は、国産でどこまで価格を下げられるかに挑戦したモデルです。ピックガードを排し、ブリッジをハードテイル仕様にすることで、JOSより更なるコストダウンを達成しています。また、ボディに直接マウントするHH配列のハムバッカーは、EOSやJOSと違った路線のキャラクターを演出しています。ブラックパーツが採用されているのも、外観上の大きなポイントです。

しかも上位機種「JOS」と同じネックを採用しており、「良いギター」へのこだわりには微塵の妥協もありません。実売価格で6万円近辺という価格帯でコンパウンド・ラジアス指板のギターは、今のところ世界中どこを探しても他にはないでしょう。ペグもGOTOH製ですから、チューニングも安心です。

なお、生産こそ終了しましたがSSH配列の「BOS-M」も流通しています。こちらもJOSと同じネックを採用、メイプル指板のみで、タップスイッチが備わっています。

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