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特にロック系のサウンドでは、「ドロップDチューニング」を活用することが多いですね。でもチューニング変更でいちいちチューナーとにらめっこ、というのはなかなか面倒な話です。
しかし!イイものがありました。ツマミの操作でレギュラーチューニングとドロップDチューニングを行き来できる「PITCH-KEY(ピッチキー。品番PK-01)」です。今回はこのPITCH-KEYを調達し、実際に試してみました。こんなもん初めて見るという人も、ちょっと気になっていたという人も、ぜひ参考にしてみてください。
Pitch-Key – Preset Alternative Tuning for Guitars
6弦を1音下げるのが、最もオーソドックスな使い方です。しかし、発想次第でさまざまな可能性も。動画ではものすごくスムーズに取り付けていますが、ここまでの域に達するにはそれなりの慣れも必要。
「PITCH-KEY」とは、弦に直接取り付けてチューニングを操作する器具です。求めるチューニングをあらかじめ設定(プリセット・オルタナティブ・チューニング)しておき、ツマミ(サムホイール)を回転させて切り替えます。標準のチューニングから操作するピッチは、ネジの調節でシビアに設定できます。
高さは22mmほど、幅は28mmほどです。メーカーは「ナットとペグの間が30mm以上必要」と定めています。あまり極端にヘッドの小さいギターやヘッドレスギターでなければ、取りつけることができそうです(もちろん、FRTなどナットで弦を固定するギターではNG)。では、ストラトの6弦に取り付けてみます。
まずは5弦を少し、6弦をある程度緩め、この写真にある「(1)、(2)、(3)、(4)」の順で取りつけます。
(1)は隣の弦をつかむ「スタビライザー・レッグ(安定器)」で、PITCH-KEY本体を直立させます。その根元部分にある縦の溝(2)に6弦を当て、また(3)の「ピストン」に引っ掛けます。「サムホイール」を回転させると、このピストンがぐいっと上がって弦をベンドする、という仕掛けです。最後に(4)に6弦を引っ掛け、取り付け作業は完了です。上で紹介した動画(50秒近辺)ではわずか2秒ほどで取り付けていますが、ここまでスムーズに取り付けるにはそのための練習がいるでしょう。
取り付け直後。まだ弦はまっすぐの状態だ。
6弦にPITCH-KEYを取り付けた状態です。サムホイールがゆるみきっているので、6弦は真っすぐです。今回はドロップDにしたいので、この状態で6弦を「D」にビシッと合わせます。
ホイールを締めた状態。弦が上に引っ張られている。
こちらはサムホイールを目一杯締めた状態です。ピストンが上がって、6弦がちょっと上に引っ張られているのが分かりますか?PITCH-KEYはサムホイールを回転させてチューニングを操作する器具ですが、「途中で止める」という使い方はしません。解除するか、目一杯回して設定どおりのピッチまで上げ切るか、使い方はこの二つです。
しかし今のところ、ありゃりゃ。サムホイールを回し切ったというのに、「E」には届いていませんね。ここから同梱の6角レンチを取り出し、ピッチの調整を行います。
サムホイールの上面に、一本のイモネジが刺さっています。コレが「ファインチューニング・スクリュー」です。目的のチューニングになるまで、チューナーとにらめっこしながらレンチを回していきます。コレで、サムホイールを回しきった時にレギュラーチューニング、逆に回しきるとドロップD、という設定が完了しました。実際には、
というこの作業を2~3回繰り返すと安定します。
同梱の6角レンチ(写真上側の銀色のもの)は、多くのギターのサドルの高さを調節するものと同じです。ところが今回取り付けたストラトのサドルに使うレンチ(写真下側の黒いもの)はインチサイズのため、もう一息細いものが必要でした。PITCH-KEYはセッティングのために必ず6角レンチを使用するので、ギターの調整に使うレンチとは別に、これはこれで携行するのがいいでしょう。
1弦につけてみた様子。
ちなみに1弦には、このように反転させて取りつけます。
ツマミの操作でDとEを一瞬にして切り替えられるのは、なかなか気持ちの良い体験です。しかしドロップDでコードを鳴らすと、えらくひどい響きになりました。PITCH-KEYを楽しく使うには、いくつかの注意点があるようです。
「フローティング」状態のブリッジ。
原因はコレ。ブリッジが「フローティング・セッティング」だったのです。これはうかつでした。ブリッジがボディから若干浮いているため、6弦を緩めるとブリッジ位置が動いてしまい、他の弦のチューニングが崩壊してしまうのです。
「ベタ付け」状態のブリッジ。
そんなわけで、「ベタ付けセッティング」に変更しました。PITCH-KEYを使用するためには、
どちらかであることが必要です。ちなみに「フローティング」から「ベタ付け」へのセッティング変更は、トレモロスプリングの調整だけでは終わりません。サドル高さの調整と、オクターブ調整が必要です。
メーカーは、PITHI-KEYを使用するにあたって
として、問題なく使用できる範囲を定めています。弦を掴むミゾの幅に限界があるためあまり太い弦は無理、弦がダルダルになってしまうと正確なチューニングができなくなってしまう、あまり強い力がかかると破損する恐れがある、ということのようです。
8弦ギターにつけてみた。
そんなわけで、あえて多弦ギターでの使用にトライしてみました。7弦のゲージは「0.64」で、メーカーの推奨する範囲を超えています。取り付けはちゃんとでき、AからCへというようなかなり大幅なベンドができましたが、ピッチはいつまでたっても安定しませんでした。やはりミゾの寸法がギリギリなので、余計な摩擦がかかるんでしょうか。「エクストラロングスケール」や「弦長666ミリ」のようにダウンチューニングでの使用を前提とした6弦ギターならば、ヘヴィなチューニングでPITCH-KEYを使用できるようです。
8弦に取り付けようとしましたが、そもそも「スタビライザー・レッグ」が7弦を掴めませんでした。多弦ギターの低音弦では使用できませんね。
ウクレレにつけてみた。
PITCH-KEYは、鉄弦(スチール弦)の楽器で使用することを想定しています。
じゃ、ナイロン弦に使ってみようじゃないか、ということでウクレレに取り付けてみました。たしかにベンドはできましたが、やはりピッチがどうにも安定しません。PITCH-KEYはエレキギターやアコースティックギターなど、「鉄弦の楽器でのみ」問題なく使用できることがわかりました。
アコギにつけてみた。
アコギにも取り付けてみました。コレはバッチリです。機能性はまったく問題ありませんが、残念ながら今のところカラーバリエーションはシルバーのみです。金属部品のカラーリングをそろえたいという人は、ちょっと我慢してあげてください。
PITCH-KEYはなかなかの高さがありますから、付けっぱなし状態での運搬はハードケースが良いでしょう。ソフトケースやギグバッグでは、取り付け部分に余計な圧迫を加え続けることになります。ただし、ハードケースで運ぶにしても、これだけの高さのあるものに対してケースが干渉しないかどうかは確認する必要があります。ちょっと面倒くさいかもしれませんが、やはりいちいち着脱するのが安全でしょう。
以上、一瞬にしてチューニング変更ができる便利グッズ「PITCH-KEY」の体当たりレビューでした。今回はドロップDチューニングに注目していますが、他の弦に取り付けたら、新しい可能性が開けるかもしれません。正確なピッチでベンドアップ/ダウンできますから、演奏中に弦をべンドする道具として使用することもできそうです。
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