エレキギターの総合情報サイト
ギターは楽器であって道具ですが、「顔つきの良さ」はサウンドや演奏性に匹敵しうるほど、非常に重要なポイントです。万が一弾きにくくても、音がイマイチ気に入らなくても、かっこよければすべて許してしまうことだってあります。それこそルックスだけで判断してしまったっていいのです。
異なるボディのカラーリング。左から:Cherry Sunburst、Black、Yellow、Gold
レスポールの象徴的なカラーリングとしては、
以上の4色がもっとも有名で、大定番の安定したカッコよさを誇ります。
2013年モデルのレスポール・スタンダード。チェリーサンバーストが経年変化で退色した状態を表現したカラーラインナップが揃っている。左から:Heritage Cherry Sunburst、Honey Burst、Tea Burst、Desert Burst、Translucent Amber
レスポール・スタンダードでよく見られる「タバコバースト」や「ハニーバースト」は、チェリーサンバーストが経年変化で退色した状態を表現しています。ヴィンテージスタイルのレスポールはこうしたカラーリングに人気が集まりますが、個性を主張するのなら、こうした定番カラーはあえて外すのもいいでしょう。
フィギュアド(模様のある)メイプルトップについては、杢の入っている感じ、あるいは入っていない感じがルックス上のポイントです。グレードが高いメイプルでは模様が整然と並びますが、比較的低価格なレスポールでは、模様が薄かったり偏っていたり、あるいはまったく無かったりします。こうしたところも木材の面白みであり、楽器の個性になっています。
杢はあくまでも「ルックスを主張するポイント」なのであって、杢の出方がサウンドに影響することはありません。しかし、フレイムメイプルとキルトメイプルでは音の響き方が違い、また木材の個体差もサウンドに影響します。ゴールドなど塗りつぶしのカラーでは、杢の無いプレーンなトップ材が使用されます。
Gibson 2015 Les Paul Deluxe Metallic Commemorative Electric Guitar
レスポール・デラックスの定番カラーはこの「ゴールド」です。最大の特徴である「ミニハムバッカー」ピックアップは、ちょうど「P-90」ピックアップと同じサイズになっています。ハムバッカー構造のためP-90より力強く、また両コイルのポールピースが接近している関係で、普通のハムバッカーよりトレブルが豊かに出ます。また、デラックスはトップの曲面が控え目で、ミニハムバッカーと相まって独特の外観となっています。
レスポールはルックスの良さに非常にこだわるギターで、グレードに応じてさまざまにドレスアップされます。これらドレスアップはギターの音や演奏性に直接関係ありませんが、職人が頑張るポイントであるとともに、弾き手の心を揺さぶるポイントのひとつでもあります。ドレスアップ具合が最もわかりやすいヘッド部に注目して、さまざまなドレスアップをチェックしてみましょう。
高級モデル「レスポール・カスタム」には、ヘッド中央に輝くダイアモンドインレイが象徴するように、最高レベルのドレスアップが施されます。1フレットからブロックインレイが埋め込まれ、ヘッド外周には「白黒白黒白」という5層のバインディング、ネックには単層のバインディングが巻かれます。また、金属部品はネジ1本に至るまでゴールドで統一します。なお、このペグボタン(つまみ)には「キドニー(腎臓)」という名がつけられています。
カスタム以外のレスポールは、ヘッド中央に「Les Paul MODEL」の印字があります。レスポール・スタンダードは3フレットから台形(トラペゾイド)インレイが埋め込まれ、ヘッドバインディングなし、ネックには単層バインディングが巻かれます。なおトラッドなモデルには、経年変化をイメージした色つきのバインディング材が使用されます。また同じくトラッドなモデルの金属部品には、ニッケルメッキが施されます。下記クロムメッキと比べると、やや褐色がかった色調と渋い輝きが特徴です。ペグボタンは「キーストーン(要石)」型ですが、プラスチック製のものは特別に「グリーンキー」と呼ばれます。
レスポール・モダンのドレスアップは基本的にレスポール・スタンダードを踏まえていますが、モダン機種にはクロムメッキの金属部品が使用されます。トラッドなニッケルメッキと比べると白く、またキラキラと輝きます。こちらのペグボタンもキーストーンです。
レスポール・ジュニアには最もシンプルなドレスアップが施されます。ブランドロゴが印字となり、3フレットからドットインレイが埋め込まれます。ヘッドにもネックにも、バインディングは非採用です。丸型のペグボタンは「ホワイトボタン」と呼ばれます。
レスポールに搭載される各種パーツはそれぞれの機能が任されているほかに、ギターを彩るチャームポイントという役割もあります。ギターのパーツは、専門に追求するマニアやコレクターが世界各地にいるほど、ディープな魅力を秘めている分野でもあります。こうしたパーツたちにも目を向けてみましょう。
スピードノブ
コントロールノブ(ボリューム/トーンを操作するつまみ)にも、いくつかのデザインがあります。この部品は後から交換しやすく、好みのものに交換することでちょっとしたアレンジを楽しむことができます。
ハット(トップハット)ノブ:帽子の形をした標準的なノブ。金色が一般的で、中央に金属製の円盤(リフレクター)がはめられるものも。近年では金属製のもの(メタルノブ)が使われることも。ハットノブはレスポール・スタンダード2018など多数。リフレクターはレスポール・デラックス・プレイヤープラス2018など限定的。メタルノブはレスポール・スタンダード HP 2018など現代的なアプローチのもの。
バレルノブ(スピードノブ):円柱の形をしたもので、ギザギザが刻まれることも。内側がハットノブの形をしている。レスポール・カスタム、レスポール・クラシック2018、レスポール・スタジオ2018などに採用。
左:伝統的なスイッチワッシャー、右:現代的なモデルは、スイッチワッシャー非採用が多い。
トグルスイッチに付けられる円盤を「スイッチワッシャー」と呼び、「TREBLE」「RYTHM」の二つが表示されます。伝統的なスタイルのレスポールには欠かせないパーツですが、近年のモデルでは付けられないものも多くあります。古いスタイルのレスポールには付けられますが、現代的なモデルでは使用されません。
ピックガードは装着された状態が標準的ですが、付いていないモデルもあります。後からでも取りつけることができますが、その場合「買ったばかりのレスポールにネジ穴をあける」という試練を乗り越える必要があります。レスポール・カスタムとレスポール・スペシャルでは白と黒を重ねた多層ピックガードが使われ、断面が美しいストライプを作ります。
Gibson Les Paul Classic 2018 Electric Guitar
ハムバッカーが発明される以前のギブソン定番ピックアップと言えば、この「P-90」を置いて他にはありません。フェンダーのシングルコイルと異なり、甘く太いサウンドが持ち味です。それでいてハムバッカーほど重くない絶妙さが、ファンを虜にするポイントです。
レスポールのサウンドは太くて力強いのが特徴ですが、ギターのサウンドを決定づけるものは一つに絞ることはできず、アンプやエフェクター、ひいてはプレイヤーのピッキングに至るまで、さまざまな要素が考えられます。レスポール各モデルそれぞれのサウンドの違いについても同様で、とても紹介しつくすことはできませんが、もっとも分かりやすいであろうピックアップについて見ていきましょう。
レスポールのピックアップは、
の3種が基本で、このうち普通サイズのハムバッカーはいくつも種類があります。これらは全て伝説的なピックアップ「PAF」を出発点としていますが、完全再現を狙ったり、また目的に応じたアレンジを施したりしています。この記事内で紹介している動画のレスポールは、多くがそれぞれ違ったピックアップを採用しています。ぜひそのサウンドをチェックしてみてください。
ギブソンのピックアップについて
ハムバッカーはピックアップカバーを有する「カバード」が基本スタイルですが、レスポール・クラシック、各種アーティストモデルなどでは、ピックアップカバーのないハムバッカーが搭載されています。ピックアップカバーを外した「オープンタイプ」は高音域が増すことから、ハードロック系のサウンドにマッチすると考えられています。
ハムバッカー・ピックアップのカバーを外したら、どういう効果が得られる?
Gibson Les Paul Faded 2018 Electric Guitar
レスポール・フェイデッドは、シンプルなドットインレイ、鈍く光るサテンフィニッシュ、そしてオープンタイプのハムバッカーピックアップを特徴としています。オープンタイプは派手なサウンドになる傾向があり、ドライブサウンドとの相性が抜群です。
レスポールは基本的にシンプルな楽器ですが、いろいろな工夫を凝らした機能が付加されたり、少しでも弾きやすくなるように設計が工夫されたりしているものがあります。検討しているレスポールにどんな機能が備わっているのか、知っておいて損はありません。とはいえヴィンテージのレスポールに備わっていないものが多いことから、こうした工夫に必要性や魅力を感じるかどうかは、好み次第です。
モダン・コレクションの多くに施される、ウルトラモダン・ウェイトリリーフ。
レスポールはなかなか重い楽器というイメージがありますが、あまり重い楽器を弾き続けると、疲れ果ててしまいます。そんなわけでボディのマホガニーに穴を空け、幾分その重さを和らげる「重量調整(ウェイト・リリーフ)」が行われるものがあります。弦振動に影響を与えにくい箇所を狙って施されるので、セミアコやフルアコのような音響効果はなく、あくまで本体の軽量化が目的です。
現在のラインナップでの重量調整は、最も軽量になる「ウルトラモダン」、ほどほどに軽くなる「9ホール」の2種類で、オリジナル・コレクションのギターには施されません。
Gibson Custom Modern Les Paul Standard Limited Edition Electric Guitar
カスタムショップの「モダン・レスポール・スタンダード」は、ボディ内部を大胆に彫った「チェンバード」ボディが特徴です。ヘッド裏全体に補強の盛り上がりが渡っているのも特徴で、ヘッドの剛性が大幅にアップし、現代的で引き締まった弦振動を生みます。ピックアップは「BurstBucker」2と3で、ヴィンテージトーンながら強力なパワーを持っています。
Round | Standard 50’s, 70s Deluxe, Special, Standard 50’s P-90, Tribute, Junior, Slash, Goryo Yuto |
Slim Taper | Standard 60’s, Classic, Modern, Studio |
ギブソンブランド内での、ネックプロフィールの分布(2022年6月現在)
現在のギブソンはバッチリの調整で出荷する体制が整えられていますから、買ったはいいけど調整の加減で弾きにくい、という心配はほぼありません。レスポールの演奏性は、第一にネックプロフィール(ネックグリップ)に注目しましょう。大雑把に言うと「肉厚」と「スリム」の二つがあります。現在のラインナップでは、どのレスポールのナット幅もおおむね43ミリです。ここを共通スペックとして、スリムなネックプロフィールは「スリムテーパー」と称され、肉厚で丸みのあるグリップは「ラウンド」や「ヴィンテージ」といった名称が付けられます。このほか、アーティストモデルではこだわりのネックプロフィールが採用される場合があり、カスタムショップではヴィンテージギターを完全再現したネックプロフィールが採用されます。
レスポール・モダンでは、ヒール部分が大胆にカットされている。ハイポジションでの演奏性が非常に高い。
レスポールの回路は二つのハムバッカーとそれぞれのボリューム&トーンで、これだけでもかなりのサウンドバリエーションが得られます。しかし現在では、さまざまな工夫によってこれを凌ぐサウンドバリエーションが実現しています。本来のレスポールでは不可能だったシングルコイルのサウンドが手に入ったり、1発で全開にできたりと、いろいろな音色を駆使したいギタリストにとって嬉しい機能です。
Gibson Les Paul Studio 2018 Electric Guitar
いわゆる廉価版レスポールの中で最上位機種となるレスポール・スタジオ。コイルタップも付いているので、さまざまなサウンドを得ることができます。スピードノブはつまみやすく、プッシュ/プルの動作がしやすいというメリットがあります。
以上、いろいろな視点からギブソン製レスポールを検討するポイントをチェックしていきました。どれも一様にレスポールでありながら、それぞれにキャラクターが設定されているのが分かりますね。ぜひ長く付き合える相棒たりえる一本を選び出してください。いろいろな判断基準があるのを敢えて無視し、大好きなアーティストが愛用しているレスポールに近いものを選んでもいいですし、もし出会うことがあるのなら、ご自分の生まれ年に製造されたレスポールを選んでもいいですね。他の人が何と言おうと、自分が気に入って選んだ、そのことが何よりも大事です。
ギブソン・レスポールを…
R楽天で探す
YYahoo!ショッピングで探す
石石橋楽器で探す
※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com