アッパー・ストラクチュア・トライアド:その2「分数コードについて」

[記事公開日]2015/9/19 [最終更新日]2016/9/19
[編集者]神崎聡

アッパー・ストラクチャー・トライアドの続編です。
今回はUSTと関連のある「分数コードについて」です。

分数コードとUST

いまやさけては通れないものとなった分数コードですが、押さえ方を覚えるのに苦労をしている人も多いと思います。

通常のコードは最下音でコードのルート音を鳴らすようになっていますが、ルートでない音を最下音(またはベース音)で鳴らす場合のベース音指定が分数コードの意味です。中には4声和音の上にUSTを表記したり、ということもありますがそれは特殊なケースですので、ほとんどの分数コードはベース音指定と考えて良いでしょう。

みかけの分数コードと真の分数コード

分数コードのほとんどは下側はベース音、上に和音、となっています。
分数コードには「みかけの分数コード」と「真の分数コード」とがあります。

みかけの分数コード「下の音が上のコードに含まれるもの」です。

C/G、Dm/C

真の分数コードは次の例のように「下にかかれている音と上のコードには関係がない」ものです。

F/G、G/C

これらの中には「下の音を上の和音に加えると4声和音になるもの」もあります。

またはルート音の上にUSTだけを載せた何らかのコードの省略形フォームである事もあります。

みかけの分数コードのフォーム

使われる頻度としては、ポップスやロックなどではこちらのほうが多いかもしれません。

次のようなコード進行で使われます。

コード進行

上の譜例中に出てくる分数コードのほとんどはみかけの分数コードで、ルートでない他のコードトーンがベースになっている形です。この中でF/GだけはベースになっているG音とFメジャー・コードは無関係で、これが真の分数コードになります(文章中の分数コードの表記は◯/△という形にしてありますが、これは◯が上側、△が下側のなります)。

みかけの分数コードはある程度パターン化されているので「◯◯というコードの◯度がベースになった形」として覚えていってください。中でもメジャー、マイナー各トライアドの3度音または5度音がベース音になっている形はよく使われます。

メジャー・トライアドの3度音がベース音になっているフォーム

メジャー・トライアド3度音6弦ベース-1 メジャー・トライアド3度音6弦ベース-2 メジャー・トライアド3度音5弦ベース-1メジャー・トライアド3度音5弦ベース-2

メジャー・トライアドの5度音がベース音になっているフォーム

メジャー・トライアド5度音6弦ベース-1 メジャー・トライアド5度音6弦ベース-2 メジャー・トライアド5度音5弦ベース-1

メジャー・トライアドの5度音5弦ベースフォームは2弦で押さえた指で同じフレットの1弦を加えてもルート音になるのでかまいません。

マイナー・トライアドの3度音がベースになっているフォーム

マイナー・トライアド3度音6弦ベース-1 マイナー・トライアド3度音6弦ベース-2 マイナー・トライアド3度音5弦ベース-1マイナー・トライアド3度音5弦ベース-2

マイナー・トライアドの5度音ベース・フォーム

マイナー・トライアド5度音6弦ベース-1 マイナー・トライアド5度音5弦ベース-1 マイナー・トライアド5度音5弦ベース-2

マイナー・トライアドの5度音5弦ベースフォーム ①は3弦と2弦で押さえた指で同じフレットの1弦を加えてもルート音になるのでかまいません。

真の分数コードのフォーム

一つの音の上に12のメジャー、マイナー・トライアドを乗せるととても多くのコードが出来ます。

これらの中で良く使うものを上げてみましょう。
ベース音を上側のコードに加えると4声和音になるもの、はこちらに載せてあります。

D/C型

全音上のメジャー・トライアドが上に乗っている形です。
この形は上のコードから見るとベース音になっているのは短7度の音になるのでセブンス・コードの7度音ベースと考えてもかまいません。
また上のトライアドはベース音をルートとするコードのUSTになることもあります。

D/C型分数コード6弦ベース:コード譜 D/C型分数コード5弦ベース:コード譜

Dm/C型

こちらは全音上のマイナー・トライアドが乗っている形。
これも上にあげたフォームと同様、上側のコードの中にベース音を入れるとマイナー・セブンス・コードになります。
Dm/C型分数コード6弦ベース:コード譜 Dm/C型分数コード5弦ベース:コード譜

F/G型

全音下のメジャー・トライアドが上に乗っている形です。

F/G型分数コード6弦ベース:コード譜 F/G型分数コード5弦ベース:コード譜

G/C型

完全5度上のメジャー・トライアドが上に乗っている形。

G/C型分数コード6弦ベース:コード譜G/C型分数コード5弦ベース:コード譜
※この型のコードの5弦ベース・フォームは2弦から5弦までをセーハして押さえてもかまいません。
また、そのセーハをした指で1弦まで押さえても同じコードになります。

Gm/C型

完全5度上のマイナー・トライアドが上に乗っている形。
Gm/C型分数コード6弦ベース:コード譜 Gm/C型分数コード5弦ベース:コード譜

この型のコードの5弦ベース・フォームは2弦から5弦までをセーハして押さえてもかまいません。
また、そのセーハをした指で1弦まで押さえても同じコードになります。


分数コードについてはこのあたりで。
次回はいよいよコードごとのUSTです。

※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。