エレキギターの総合情報サイト
一本のケーブルが演奏の命運を握る——エレキギターにおいて、シールドケーブルは単なる『配線』ではなく『音の命綱』です。劣化したケーブルがライブで断線する恐怖や、ノイズまみれの音に悩まされる前に、信頼性の高い選択肢を知っておきましょう。
初心者がつい軽視しがちなこのパーツこそ、ギターの潜在能力を最大限引き出す鍵。耐久性・音質・適切な長さ——ギタリストとして最初に押さえるべきケーブルの基礎知識を徹底解説します。
ギターケーブルはギターのピックアップから発生した電気信号をアンプまで伝える線です。ケーブルのほかに「シールド」とも呼ばれ、外部ノイズから信号を守るシールド層を備えています。端子は「1/4インチTSプラグ」と呼ばれます。
初心者や始めたての方は音が出れば何でもいいという発想に陥りがちですが、ギターからの信号がこのコード一本でアンプに送られているわけです。下手に粗悪品を使って、ギターやアンプの性能をフルに発揮できないばかりか、ライブ演奏途中での断線など起きると悲惨なことになります。耐久性と信頼性に優れたものを選ぶのが鉄則です。
市販のギター用ケーブルでは、通常「アンプとギターを繋ぐケーブル」「エフェクター同士を繋ぐケーブル」と、用途に合わせて用意されています。またプラグ部分の形状にも2種類があり、アンプにさすのに有用だったりギターのジャックに差し込みにくかったりと、形状によって得意分野が異なります。まずは「長さ」「プラグの形状」に着目してみましょう。
シールドケーブル
アンプとギターを繋ぐケーブルのことを一般的に「シールドケーブル」と呼びます。シールドケーブルは信号を通す「芯線(内部導体)」を「絶縁体」と「シールド(外部導体)」で包みこんだ構造をしています。
エレキギターから流れる信号はとても微弱なものであり、外部から受ける「ノイズ」にとても弱いので、シールドで包み込むことで「ノイズ対策」を行っています。シールドケーブルはエレキギターやエレキベースなど、様々な楽器に用いられます。
パッチケーブル
エフェクター同士を接続するシールドケーブルのことを「パッチケーブル」と呼びます。パッチケーブルは上記のシールドケーブルを15cmから30cm程度にカットし、「L型プラグ」を両方に取り付けた物になります。エフェクターボード内で使用するため、パッチケーブルには音質よりも「柔軟性」が求められることが多いです。
シールドケーブルには「ストレートプラグ(S)」と、L字の形状を持つ「L型プラグ(L)」の2種類があります。
「S/S」は両端ともストレートのシールドケーブルであり、オールラウンドに使える万能タイプです。
「S/L」は片方が「L型プラグ」になっているシールドケーブルです。「L型プラグをアンプ」に、「ストレートプラグをギター」に接続するのが一般的です。アンプ側にL型プラグを差すことで、プラグを含む「コネクタ部」に負担が掛かりません。エフェクターボードに繋ぐのにL型が都合がいいという場合もあるでしょう。S/S型とあわせて持っておくと便利です。
「L/L」は両方とも「L型プラグ」になっているシールドケーブルです。L型プラグ自体がストレートプラグよりも割高なので、「S/S」や「S/L」よりも値段が高くなります。「L/L」の製品は比較的少ないので、プラグとケーブルを別に購入して自作するのも良いでしょう。
なお、ストラトキャスター・タイプのジャックはボディに埋め込まれている構造のため、L型プラグは刺しにくいので注意が必要です。
音質を云々する前に真っ先に重要視すべきなのは耐久性です。ケーブルは1週間ごとに買い換えられるほど安価なものでもありませんし、それなりの強度がなければ安心してライブに持ち出すこともできません。とはいえ、耐久性が数字で表してあるわけでもないので、代わりに信頼できるメーカーかどうかをバロメーターとして利用するといいでしょう。
様々なシールドを探してみると、中には3mで数百円程度の極端に安いものを見かけることがありますが、この手の製品は選ばない方が無難です。音が悪いと一口に言ってしまうのは簡単ですが、あまりにも安価なケーブルは選ぶべきでない理由がそれ以外にあります。
シールドケーブルの名前の由来は、外来のノイズを 遮断(シールド)する構造から来ているのですが、粗悪品はこのシールディング部分がいい加減で、肝心のシールドが出来ていないものが少なくありません。その上、内部構造が脆弱なためすぐに断線します。頻繁に切れて買い換えるより、結局最初に良いものを買って長く使う方がコスト的にも安上がりですし、わずかな出費を惜しんで音をノイズまみれにしてしまうとなると目も当てられません。
各社が取り扱っているシールドケーブルは、「1.5m」、「3m」、「5m」、「7m」、「10m」といった長さが一般的です。用途によって選択する長さが異なります。
自宅でアンプに直接つないで使う場合は「3m」以上のものを選ぶと良いでしょう。「1.5m」だとアンプから離れられず、少し窮屈な思いをするかもしれません。エフェクターを1つだけ使う場合は「3m」を2本使って接続すれば、自分の部屋やリビングでもゆとりを持って演奏できます。
学園祭や小規模のライブハウスでは「3m」だとステージでの移動がやや困難になり、窮屈な思いをします。「5m」を用意しておくと、ステージ上でも余裕を持って移動数することができて安心です。
中規模のライブハウスになってくると、ステージでのポジションからアンプまでの距離がさらに遠くなり、5mでも少し窮屈になりますので、余裕を持って「7m」を選ぶとよいでしょう。
中規模以上のライブハウスになると「10m以上」も選択肢に入ってきますが、10m以上のシールドケーブルになると高音が劣化する「ハイ落ち」が気になってきます。
レコーディングでは音質劣化をできるだけ少なくするため、なるべく短いケーブルを用意するのが鉄則です。この場合「3m」以下のケーブルが好ましく、アンプやレコーディング機材の側で演奏できる場合は「1.5m」の高品質なケーブルが用意できれば尚良いでしょう。
ケーブルの事について一通りみていきました。では実際にどのメーカーのケーブルがおすすめなのか。ここでは初心者にチェックして欲しい3つのケーブルについて紹介したいと思います。
エレキギターは、ギター本体とアンプをギターケーブルでつなぎます。これに対して、ギターの音を電波にしてアンプまで届けるのが「ワイヤレスシステム(無線)」です。ケーブルという束縛から解放され、ライブにおいては大胆なステージパフォーマンスができ、メンバーのケーブルと絡まらず、また自宅練習やリハーサルも驚くほど快適です。ギター用のワイヤレスというと、ちょっと前までは「プロミュージシャンしか使わない高額なもの」というイメージが一般的でしたが、近年はリーズナブルなワイヤレスシステムがそのイメージを払拭し、一般化したと言っていいほどの広がりを見せています。
定番のケーブルをいくつか紹介しましたが、上記の他にも様々なメーカーからケーブルが発売されています。初心者はまずは名前だけでも知っておきましょう。この分野で定評があるのは大半が日本のメーカーです。
よりハイエンドなモデルを探している人は是非リンク先をチェックしてみてください。
世界中のレコーディングスタジオで目にする「業界標準」のケーブルメーカー
あらゆる用途の音響ケーブルを発表する国産メーカー
エフェクター、オーディオケーブルなど様々な楽器関連の機材を取り扱うブランド
プロユースのハイエンドオーディオケーブルを販売する国産ブランド
ギタリストが足下に必要とする製品を次々生み出す、ハイエンドな国産ブランド
個々の楽器に適したケーブルを幅広くラインナップする国産ブランド
ギター・ベース関係の幅広い製品を世に送り出す国産ブランド
1979年創業、大阪府に本社を構える老舗のケーブルブランド
ケーブルはどのくらい長持ちするのか。ケーブルの寿命について考えてみましょう。
せっかく買ったケーブルを長く使いたいと思うのはもっともです。自宅で丁寧に扱っていれば、断線などのトラブルは起こりにくいでしょう。しかしそれでも度重なる抜き差しやねじれなどの圧力によって、パーツ部分の劣化は避けられません。スタジオでのリハーサル、ましてやライブともなるとシールドへの負担は尚更で、サウンド面でも大なり小なりの劣化は生じます。ギターケーブルは消耗品なのです。
このようなケーブルは長く大事に使いたいものですが、長持ちの秘訣を聞いたところ「ライブで使うなら踏んづけたり引っ張られたりするので、消耗品だと思ってください」とのことでした。(KAMINARIケーブルは)あくまでライブステージありきで考えられているのですね。
「8の字巻き」でキレイに巻きつけることができる!
さて今からギターを練習しよう、そう思ってシールドを取り出そうと思ったらぐちゃぐちゃに絡まっていて、解くのに時間がかかった...なんて経験はありませんか?ケーブルをただ丸める「順巻き」では、ねじれが蓄積してしまい、引き出した際に絡まりやすくなるばかりか、内部導体に不均一な負荷がかかり断線リスクを高めます。
ケーブルの「8の字巻き」は、シールドや長尺ケーブルを絡めずに、安全かつ迅速に取り扱うためのプロ仕様のテクニックです。「8の字巻き」では順巻きと逆巻きを交互に行うことで、ケーブル全体のねじれを相殺し、ほどいたときにスムーズに展開できます。巻いたまま現場に置いておけるため、ケーブルを無造作に投げ出しても絡まらず、次の使用時にストレスなく展開できる点も大きなメリットです。
ではギター博士の動画を参考に8の字巻きの手順を見ていきましょう。
左手でギターケーブルの先のプラグ部分を持ち、右手でケーブル部分を持ちます。
まずは右手を「画面奥方向/時計回り(順手)」にひねります。ひねりながら右手と左手を近づけるだけでケーブルに輪ができます。これで1回分巻くことができました。
次はさっきひねった方向と逆方向、「画面手前方向/反時計回り(逆手)」に右手をひねります。逆回転にひねりながら右手と左手を近づけると、それだけで勝手にケーブルに輪ができます。さっきとは逆の巻き方でケーブルが巻き取られました。
「順巻き」→「逆巻き」を交互に続けます。巻き終わったら中央の交差部と両端をバンドやひもで留め、「8」の形を維持したまま保管します
この方法を身につけることで、ケーブルの耐久性が向上し、快適なセッティングが可能になります。
六弦かなで「これでシールドの巻き方もバッチリだあ!」
ギター博士「ウム。初めは慣れが必要じゃが、プロも日常的に用いるテクニックなので、ぜひ練習してマスターしておくれ!ちなみにこの巻き方は『ローディー巻き』とも言われるんじゃよ☆」
「良いシールドは音が良い」とは、よく聞く話です。これは逆に、良くないケーブルを使うと音が悪いとも受け取れます。果たしてこれは真実なのでしょうか。
ここでポイントとなるのは、どんなケーブルでも劣化がゼロというわけではないということです。シールドケーブルはもともとギターとアンプの間に挟まれた抵抗であり、電気的には抵抗を挟んで劣化しない信号は存在しません。百万円のケーブルを使っても、それが金属で出来た線である限り、必ず音質は劣化します。
ケーブルによって音が変わるのは「事実」です。各モデルによって音質特性に違いがあり、高音が出やすい「音抜けの良いシールド」があれば、低音の強い「パワフルなシールド」もあります。そのモデルが持っている特性は各社の公式サイトで紹介されているので参考にしてみましょう。
ケーブルの音質を比べる場合、1,000円以下の「格安シールド」と、5,000円以上の「ハイエンドシールド」を比較すると、その違いがハッキリ分かります。しかし、ハイエンドモデル同士を比べても、その音質に顕著な差は出ません。ハイエンドモデルは「高音質」が前提であり、「サウンドの傾向」がそれぞれ違うということを覚えておきましょう。
シールドケーブルは長ければ長いほど「音質が劣化」します。音質が劣化する原因としては、シールドが長くなることによる「抵抗の増加」が挙げられます。エレキギターから送られる微弱な信号が「抵抗の影響」を受け、アンプに伝達する前に劣化してしまうのです。逆を言えば、シールドを「短く使う」ことで、劣化の少ない「キレイな信号」を伝達することが可能です。
Vitalizerを体感してみた。ギター内蔵編
ProvidenceによるVitalizerを使った実験動画。30m近いカールコードを使って演奏した際に、いかに音が劣化するかがよくわかる。
音質の劣化を感じやすくなるのは「5m」と言われています。
使用するシールドの性能をフルに発揮したいのなら、5m以下で使用するようにしましょう。
エレキギターから伝達される信号は、シールドの長さだけでなく、エフェクターの数が多くても劣化します。ギター側のシールドから送られてきた信号は、各エフェクターの回路を通って、反対側のシールドからアンプに伝達されます。エフェクターの回路を通る段階でたくさんの抵抗を受けるため、必然的に音質が劣化してしまいます。
こういった抵抗による音質劣化のことを「音痩せ」と言います。音痩せすると細く、厚みの無いサウンドになってしまいます。たくさんのエフェクターを使用する場合、音痩せを回避するためにも、良質なシールドケーブルを選ぶようにしましょう。
エフェクターを使用する場合、複数のシールドケーブルとパッチケーブルを使うことになります。その際、1つでも「粗悪なシールド」を使うと、「サウンド全体に悪影響」を及ぼします。
例えば、シールドケーブルからパッチケーブルまで「ハイエンドモデル」で統一すると、アンプまで音質劣化の少ない状態で伝達することができます。仮に1本のパッチケーブルを粗悪な物に付け替えた場合、その数十センチの間で信号は「強い抵抗」を受け、アンプまで伝達した頃にはボロボロの状態になっています。
これは「穴の空いた水道管」と一緒で、1カ所でも欠陥があると、全体に影響が出てしまう訳です。複数のケーブルを使用する場合は、できるだけ「同じモデル」で「良質な物」を使うようにしましょう。
では、一般的に音が良いケーブルと言われているものは何を指しているのでしょうか。良いケーブルと言われているものは、劣化している部分がはっきり感じ取れないような製品を指します。たとえば、カナレの定番ケーブル程度の品質のものを使っておけば、一聴してわかるほど酷く劣化が感じられることはないでしょう。
あるいは、特定の帯域を他の帯域よりも優先的に残すようにチューンナップされているモデルもあり、このようなケーブルならば音色作りの一端を担わせることができます。たとえば、高域部分がよく出るというケーブルとは、すなわち他の帯域に比べて高域部分の落ちが相対的に少ないということを意味します。高域部分を直接増強しているわけではなくても、耳で聴いた時に高域が強く聞こえるので、音色作りに積極的に利用できるわけです。ギター用に特化したハイエンドケーブルは、このようなチューンが施されたものがほとんどです。
六弦かなで「つまりいい音でギターを弾きたかったら...
ケーブルの長さをなるべく短くして、
エフェクターはあまり繋がないで、
シールドを全部良いやつにする
...ってことかな?」
ギター博士「そうじゃな。特にレコーディングなどの時には、サウンドを追求するためにシビアにやっておることが多いな。ワシは普段から徹底しておるゾ!!」
メーカーから販売されているケーブルを購入するのがほとんどのケースだと思いますが、ケーブルを自分で作るという選択肢も存在します。
KAMINARIケーブルの生産現場から、ケーブルの自作方法について紹介していただきました。画像を順にクリックしていくと作業の手順を見ていくことができます。
以上、エレクトリックアコースティックギター専用ケーブル「K-AC5LS」の作り方をお届けしました。ケーブルを自作する人のために、いくつかのブランドからは、リール売り/切り売り用のケーブル、プラグ単体での販売が行われています。
エフェクター同士を繋ぐパッチケーブルを自作できる「ソルダーレスケーブル」キットは、自分の好きな長さでケーブルを簡単に作成することができます。エフェクターボードを組んでいる人で「好みの長さのケーブルがあれば便利だろうな」と思っている人にとっては最適なキットとなるでしょう。是非次のページで確かめてみてください。
「はんだごて」と「はんだ」を使った「はんだ付け」作業によって、シールドは自分で自作/修理することができます。少し慣れている人であれば10分も掛からない程度の作業ですが、通常のシールドやパッチケーブルの製作などにも応用できるので、もし興味がある方は試してみると良いでしょう。ただし、再度切れても今度は自分の責任です。不安な方は手を出さず、新品に買い換えるか、信頼できる店に修理を依頼しましょう。
熟練者の中にはプラグとケーブルを分けて購入し、自作する方もいますが、これも全てが自己責任になります。ハンダを使っての作業に慣れていない方や、不安な方はやめておいた方が無難ですが、失敗してもリスクが少ないのでチャレンジしてみたい人は是非次のページをチェックしてみてください。
以上、ギターケーブルの選び方から音質劣化のメカニズム、メンテナンスについての話など色々と見ていきました。皆さんのケーブル選びの一助になれば幸いです。ピックアップからアンプへとつながるその信号の旅路を、妥協のないケーブルで支えていきましょう。音作りの第一歩は、足元の一本から始まります。
ギターケーブルの売れ筋を…
Aアマゾンで探す
Sサウンドハウスで探す
R楽天で探す
※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com
guitar-hakase.com