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ギブソン「SGカスタム」は、同社の提唱するワンランク上のSGです。「高い、重い、パワーがありすぎる、フェンダーに比べハイポジションが弾きにくい」という仕様が当時としては不評であり売り上げが低迷したことで、1960年を以て今で言うレスポールタイプは廃版となりました。翌1961年、これらの欠点をカバーして余りあるギターとしてリリースされたのが現在のSGです。SGカスタムは、このときレスポール・カスタムのモデルチェンジ版として発表された高級仕様機で、現在ではギブソン・カスタムショップでのみ生産される特別なギターになっています。
Soft Machine – ‘Switzerland 1974’ Official Trailer
特にメロディーとハーモニーに関して、高度な音楽理論の概念を難解かつ独特に駆使したことで知られるアラン・ホールズワース(Allan Holdsworth。1946~2017)氏。美しく正確なフィンガリングは多くのプレイヤーのお手本と言われましたが、あまりに凄すぎて参考にならないとも言われています。プログレッシブ・ロックバンド「ソフト・マシーン」に在籍していた70年代には、ピックアップカバーを外したSGカスタムをメインとして使用していました。
レスポール・カスタム同様、SGカスタムもハムバッカーピックアップを3基搭載しています。デフォルトの状態ではセンターピックアップを単体で使用することはなく、3点のピックアップセレクタースイッチでフロント、センター+リアのフェイズ、リア、という切り替えになります。フェイズは位相(+とー)が逆の二つのピックアップを使用する事で得られる、ローエンドが削られた細く鋭いクセのある音です。セレクタースイッチは通常のトグルスイッチのような外観ですが、複雑な配線が可能な特別製が使用されています。
ピックアップは3つですが、ボリュームもトーンも2つで、センターピックアップはリアと連動するようになっています。3つのピックアップをそれぞれ鳴らしたりフロント+センターのミックスを使えるようにしたりといった多機能化を選ばず、あくまでシンプルなコントロールにまとめられているので、ギブソンの他の楽器から持ち替えても馴染みやすくなっています。また、ピックアップを2基に減らしたSGカスタムもリリースされています。
フェイズサウンドを好まないユーザーも多く、センターピックアップを断線させて通常の2ピックアップのSGとして使用したり、逆に3つのピックアップをそれぞれ使用できるようにしたりといった改造が流行りました。
Alabama Shakes – Gimme All Your Love (Live on SNL)
アラバマ・シェイクス時代のブリタニー・ハワード女史は、カスタムカラーのSGカスタムをトレードマークにしていました。SGカスタムはホワイトを基本としながらも、いろいろなバリエーションが作られています。
引用元:http://en.wikipedia.org/wiki/Gibson_SG
前モデルであるレスポール・カスタムとは一線を画すデザインながら、ヘッドに輝くダイアモンドインレイ、ネックとヘッドを縁取る多層バインディング、ゴールドパーツ、漆黒で高級感のあるエボニー指板と1フレットから配置される白蝶貝のブロックインレイ、といった高級感を演出する仕様はそのまま受け継がれています。しかし縁を斜めに削った(べベルド・エッジ)ボディ形状からボディのバインディングは付けられず、また「ブラックビューティー」と称されたグロス(つや有り)ブラックからホワイトに変更されます。このホワイトというセレクトはバインディングがないことを逆手にとった、機転の利いたセレクトだと考えられます。70年代中頃までは「フレットレス・ワンダー」という名の極めて低いフレットが採用されていました。
サイドウェイ・ヴァイブローラを搭載している60周年記念モデル。
この長い名前のトレモロユニットは、SGで初めて採用された新開発のユニットで、他のギターにはないSGの大きな特徴です。アームのバーは中央に関節が設けられており、使用しない時には折り畳んでおきます。他のどのトレモロユニットも、ボディに向かって、またはその反対にアームを動かす事で音程を変化させますが、このユニットはボディに平行にアームを動かす事で音程変化を生む仕組みになっています。内部機構が複雑になるためチューニングが狂いやすく、また使い勝手が悪いことで短命に終わりましたが、逆にヴィンテージ市場ではプレミアムが付いています。存在感のあるごついルックスがとてもかっこよく、現在ではギブソンのオリジナリティを象徴する機構として、また重量バランスを良好に保ってヘッド落ちを防ぐツールとして復活しています。長い名前は「サイドウェイ・ヴァイブローラ」へと改められました。
Patto – San Antone (1971)
英国のプログレッシブロックバンド「PATTO」所属、オリー・ハルソール(Ollie Hansall、1949-1992)氏は、SGカスタムをメインに使用しつつ、ロック界では極めてレアなビブラフォン奏者としても知られています。
メイプルトップを排して軽量化したSGのサウンドは、レスポールと比べ低音域が抑えられた、軽く柔らかい印象です。逆に言えば低音がもの足りないとも言えますが、そのぶんマホガニー特有の暖かみを持ち合わせた「押しの強い中音域」と称されるように、中域が豊かに響きます。それゆえアンプ直のシンプルなシステムでの演奏なら一聴してSGと分かるほどの個性を持っています。
SGカスタムはSGスタンダードとピックアップが共通で、楽器本体は同一仕様です。そのため特徴的なリア+センターのフェイズサウンドをのぞけば、サウンドに違いはほぼありません。指板がエボニーなので硬い印象のサウンドになる、金属量が多いトレモロユニットが鳴りに影響する、といったニュアンス的な違いがあるようですが、この違いは左手の触感や楽器本体の重量バランスなど、サウンドよりもプレイアビリティに影響する要素だと考えられています。
では、SGカスタムのラインナップを見ていきましょう。高級ブランド「ギブソン」の中でも高級機という地位にあるギターなので全機種カスタムショップ製で、ボディもネックも1ピースのマホガニー、指板はエボニーという贅沢な木材構成をはじめ、パーツ類からドレスアップまで妥協のない仕上がりになっています。
SGカスタムは1963年末、板バネ式のトレモロユニット「マエストロ・ヴァイブローラ」を初めて採用することで、多くのプレイヤーから支持を受けました。金属板がボディエンドまで伸びているユニットは、のちにロング・ヴァイブローラと呼ばれます。このSGを完全再現した1963年式SGカスタムは、1960年式のスリムなネックプロフィールとミディアムジャンボフレットの採用によって、現代の感覚で弾きやすいギターに仕上がっています。
エイジング専門部署マーフィー・ラボによるウルトラ・ライトエイジド仕様は、クリーム感が少なめ。
デビュー60周年を記念してリリースされた1961年式SGカスタムは、当時のスペックを最大限に再現し、サイドウェイ・ヴァイブローラもしっかり備わっています。このモデルのカラーリング名「ポラリス・ホワイト」は、北極星(Polaris)のように輝くホワイトという意味が込められており、当時のSGカスタムを象徴するカラーです。
異彩を放つ黒いSGカスタムは、トレモロレス、ハムバッカー2基というシンプルな仕様にまとめられています。SGカスタムのエレガントさやゴージャス感は残しつつ、ロックに最適なシンプルかつストレートなサウンドと操作感を持たせるアレンジです。
名手ジミ・ヘンドリクス氏の名を冠する1967年モデルは、TV のトーク番組「ディック・カヴェット・ショー」出演時に演奏した右仕様のSGカスタムです。マエストロ・ヴァイブローラはそのままながら、この時代の標準仕様である大型のピックガードが大きな特徴で、ちょっと厚みを増したネックジョイント部やナイロン製サドルといった、分かる人ならニヤリとするニッチなところまでしっかり再現されています。
エイジング専門部署マーフィー・ラボによるエイジング処理が施され、全世界150本限定生産です。
Jimi Hendrix – The Dick Cavett Show (Trailer) (In Stores Now)
SGは左右対称なんだし、わざわざ右用を弾かなくても、と思った人は多いに違いない。ストラトと違って、SGはストラップピンをジョイントヒール部に取り付けるので、ピンの移動ナシで左右を切り替えることができます。
SG Customを…
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