《日米共同プロデュース》E-II(ESP USA)のギター

[記事公開日]2017/1/3 [最終更新日]2022/4/5
[編集者]神崎聡

ESP社が保有するギター/ベースブランド「E-II」は、ESP USAが企画&開発、生産は株式会社ESP所属の職人が行うという日米共同プロデュースによってラインナップを展開しています。グレード的にはESPおよびNavigator(ナビゲーター)の次、またLTD及びEDWARDS(エドワーズ)の上位に位置し、両グレード間の開きを埋める立場となっています。2014年のNAMMショウで発表されて以来、アメリカから世界に発信する高品位な新しいギターが急速に支持を集めている、このE-IIに今回は注目してみましょう。

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1: E-IIの特徴 1.1: 1) ESPを受け継ぎながら、主張のあるラインナップ 1.2: 2) 本家ESPに肉薄するスペックでありながら、価格は半分程度 2: E-IIのラインナップ 2.1: 定番機「HORIZON」シリーズ 2.1.1: HORIZON-CTMタイプ「E-II HORIZON」 2.1.2: HORIZON-IIタイプ「HORIZON FR-II」「HORIZON NT-II」 2.1.3: HORIZON-II派生の多弦モデル「FR-7」「NT-7B」「NT-8B」 2.1.4: HORIZON-IIIタイプ「HORIZON-III FM/FR」「HORIZON-III FM/NT」 2.2: レスポールタイプ「EC」シリーズ 2.2.1: 6弦仕様「EC BB」「EC BD」「EC FM/EMG」〜 2.2.2: 7弦仕様「EC-7」 2.3: フォレスト派生「FRX」シリーズ 2.3.1: 「E-II FRX FM」「E-II FRX」 2.4: 妖艶なセットネック「MYSTIQUE」シリーズ 2.4.1: 「E-II MYSTIQUE FR」「E-II MYSTIQUE QM NT」 2.5: スーパーストラト「ST」「MR」シリーズ 2.5.1: E-II ST-1 QM MAPLE、E-II ST-2 QM MAPLE 〜 2.5.2: 7弦仕様スーパーストラト「MR SEVEN」 2.6: ヘヴィ系テレキャスター「TE-7」「T-B7」シリーズ 2.6.1: E-II TE-7 2.6.2: E-II T-B7 2.7: 視線を奪う変形ギターシリーズ 2.7.1: エクスプローラータイプ「E-II EX-NT」 2.7.2: Vシェイプ 2.7.3: SGタイプ「E-II VP BARITONE」 2.7.4: ファイアーバードタイプ「E-II STREAM G」 2.8: 敢えて放つ「VINTAGE PLUS」シリーズ

E-IIの特徴

1) ESPを受け継ぎながら、主張のあるラインナップ

E-IIはESPの直下に位置するブランドとして、ESPのギターを受け継いだモデルを多くリリースしていますが、仕様をそのままにしてグレードを抑える、いわゆる「廉価版」と見られるものは数点にとどまっています。アーティストモデルから派生したオリジナルのギターが数多くあるほか、ESPを引き継いだ多くのギターがフィギュアドメイプルを貼ったりEMGピックアップを載せたりするなどのアレンジを受けており、ESPとは一味違った面構えのラインナップを展開しています。こうしたギターはヘヴィメタル、ハードロック方向のジャンルと特に相性が良く、こちらのジャンルで活躍するアーティストたちに厚く支持される理由となっています。

2) 本家ESPに肉薄するスペックでありながら、価格は半分程度

E-IIのギターはベースとなっているESP同様、日本の職人によって作られています。そして本家に迫るスペックを持っていながら、価格を半分程度にまで抑えることに成功していますが、これはE-IIを積極的に選ぶギタリストばかりではなく、ESPに憧れていながらなかなか手が出なかったギタリストにも訴求する大きなポイントになっています。ここでE-IIとESPのホライゾンを比較して、どこまで仕様が近いか、またどこに価格の差が出ているのかをチェックしてみましょう。

E-IIとESPのHORIZON 上;E-II HORIZON QM/FR、下:ESP HORIZON-CTM/FR

仕様 E-II HORIZON QM/FR ESP HORIZON-CTM/FR
ボディ材 キルテッドメイプルトップ&
マホガニーバック
フレイムもしくはキルテッドメイプルトップ&
ホンジュラスマホガニーバック
ネック仕様 ハードメイプル3P、
エボニー指板、
弦長648mm(フェンダースケール)、
24フレット、
セットネック
同左に加え、マザーオブパール(MOP)と
人工石(Recon Stone)による指板インレイ
フレット エクストラジャンボフレット ステンレス製エクストラジャンボフレット
(ジェスカー)
ピックアップ Seymour Duncan SH-2(JAZZ)
TB-14(Custom 5)
Seymour Duncan CS 59/Jazz Hybrid、
JB/Custom Hybrid TB
ペグ/ブリッジ GOTOH SG360-07 MG-T
/Floyd Rose Original
同左
カラーリング ブラックパーツ、Raindeer Blueのみ 表側はシースルー
裏側はパールの入った6色から選択
価格 ¥270,000 ¥700,000(キルトトップ)

E-IIとESPの比較

両者は木材、金属パーツ、電気系などでだいたい同じ方向を向いているということが、何となくわかりますね。ペグとブリッジが共にESPと共通しているのは、E-II以外ではなかなか見ることができません。型番の「MG-T」はヘッド裏側のツマミを操作することでストリングポストに弦をロックできる機能があることを示しています。本来はチューニングの安定のために開発された機能ですが、弦交換がスピーディーにできるという大きなメリットがあり、FRTモデルも含めたすべてのギターに採用されています。

ESPで使用されるホンジュラス産のマホガニーは、現在入手可能なマホガニーの中では最高のものと言われていますが、たいへん希少で入手困難な木材です。E-IIで使用されているマホガニーは原産地が記されていませんが、いろんな国から取り寄せたマホガニーが使用されています。
ネックの木材や寸法には違いは見受けられませんが、ESPのネックには「バイフレックス・トラスロッドシステム」と「サポートカーボンロッド」が仕込まれており、機能が向上しています。装飾のグレードも上がっていて、美しさの演出にも余念がありません。
両者とも特大のフレットが打ち込まれていますが、E-IIでは標準的なニッケル合金製のものが、ESPでは滑りと耐久性に優れるステンレス製のものが、それも世界的に定評のあるジェスカー社製のものが使用されています。
ピックアップについては、フロントにトレブルのきらめきが得られるものが、リアにはパワーのあるものがそれぞれ選ばれています。E-IIに搭載されるピックアップはセイモア・ダンカンのレギュラーモデルですが、ESPではそれぞれのホライゾンに対してカスタムショップ製の特別仕様が別個に搭載されており、このピックアップ単体での発売はされていないようです。

ESPはこだわるところを限界までこだわり抜いた最高級品という位置づけであり、さらにこだわる人に向けてオーダーメイドも受け付けています。いっぽうE-IIはグレードの差こそあれ、プロフェッショナルの要求に耐えうる性能と品質を持っており、むしろE-IIの方が自分にフィットすると感じるプレイヤーも数多くいます。安いからと妥協して買うのではなく、むしろ積極的に選ぶギターだと言えるでしょう。

E-IIのラインナップ

では、E-IIのラインナップを一望してみましょう。ESPを引き継いでいるものもE-IIオリジナルのものもありますが、そのバリエーションは多岐に上ります。

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