メキシコ製フェンダー・テレキャスター徹底分析!

[記事公開日]2025/12/8 [最終更新日]2025/12/18
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

メキシコ製フェンダー・テレキャスター

フェンダー社は、アメリカのコロナ工場(カリフォルニア州コロナ)メキシコのエンセナダ工場(ババ・カリフォルニア州エンセナダ)という二つの直営工場を持っています。エンセナダ工場の生産体制は「コロナ工場以上」とも言われ、フェンダーでは現代志向の「Player II」シリーズとヴィンテージ・スタイルの「Vintera II」シリーズを主軸としつつ、アーティストモデルも積極的に生産しています。
今回は、このエンセナダ工場で生産されるいわゆる「フェンダー・メキシコ(MEX)」のテレキャスターに注目してみましょう。


  1. よくあるご質問「メキシコ製って、どうなの?」
  2. メキシコとUSAを比べてみよう
  3. メキシコ製テレキャスターのラインナップ
  4. 生産完了モデル

よくあるご質問「メキシコ製って、どうなの?」

これについては、メキシコ製ストラトキャスターのページで解説しています。エンセナダ工場について、生産体制について、製品の品質についてなどのテーマに触れています。興味がある人は、ぜひ読んでみてください。

よくある質問「メキシコ製の品質ってどうなの?」 | メキシコで作られるフェンダー・ストラトキャスター徹底分析!

アメリカのコロナ工場もメキシコのエンセナダ工場も、同じ木材を使用して同じ生産体制を敷いています。メキシコ製のギターは求めやすい価格帯のギターを作っているのであって、品が悪いから安いというわけではありません。両工場とも、カスタムショップに所属するマスタービルダーの技術指導のもとで製造技術の維持と向上に努めており、フェンダーの名に恥じない品質のギターを生産しています。

メキシコとUSAを比べてみよう

メキシコとUSAでは、加工技術や仕上がりの美しさに差が出るわけではありません。とはいえ価格の差はかなり歴然としていますね。その違いはどこにあるんでしょうか。人件費の話はさておき、ギター本体の仕様を比較検証してみましょう。

メキシコvsUSAテレキャスター
上:メキシコ代表:Player II Telecaster(¥110,000)
下:USA代表:American Professional II Telecaster(\291,5000)

3倍近い価格差が付いていますね。この価格差はどこに由来するんでしょうか。

「Player II テレキャスター」は、現代の若いプレイヤーに向けた標準的な現代仕様のテレキャスターです。対する「アメリカン・プロフェッショナルII」は、USA製の標準機で、時代を見据えつつ、さらに一歩先を行く高機能な現代版に仕上がっています。では、この二本を比較してみましょう。

ボディ/ネックの比較

USAとメキシコ製は、同じサプライヤーから仕入れた木材を使用しています。その意味で、アルダーやアッシュ、メイプルやローズウッドなど主要な木材に有意な差異はありません。とはいえ木目や重量などで優秀な木材が優先的にUSAに振り分けられ、価格に反映されている、と一般的に言われてはいます。しかし同様に、音響上の性能に有意な優劣は見られない、とも言われています。

ボディ塗装に違いがある

分かりやすい大きな違いは、ボディ塗装に見られます。USAはポリウレタン塗装が基本で、メキシコ製はポリエステル塗装が基本。ポリウレタン塗装は塗膜が薄くできるかわりに工数が多くて価格を抑えにくく、ポリエステル塗装は塗膜が厚めになる代わりに工数が少なく価格を抑えやすい、という違いがあります。
音響面では、ポリウレタン塗装は木材の振動を比較的抑制しにくく開放的な弦振動が得られやすい、ポリエステル塗装は硬質な塗膜に由来するタイトな弦振動が得られやすいと言われます。この違いは仕様に由来する個性であり、価格の差こそあれどちらが優れているかは意見が分かれます。
一方でネックについては木材/塗装ともに共通であり、いずれも指板のエッジがロールオフ加工され、良好な演奏性です。ネックシェイプやフレットで仕様上の相違はあっても、品質上の有意な相違は見られません。

電気系の比較

電気系には有意な相違が見られます。

  • Player II(MEX):Player Series Alnico V Single-Coil Teleピックアップ、1V1T、3WAYセレクタースイッチ
  • American Professional II(USA):V-Mod II Single-Coil Teleピックアップ、1V1T(トレブルブリード回路&シリーズモード)、3WAYセレクタースイッチ

フェンダーでは各モデル用にピックアップも開発しています。Player IIのピックアップは、輝く高域と引き締まった低域が持ち味。対するAmerican Professional IIのピックアップは、テレキャスター王道のサウンドに繊細さを増強しています。
Player IIの回路系はシンプルで、1ボリューム1トーン&3WAYセレクタースイッチ。American Professional IIはシンプルな操作系を継承しながら、ボリューム操作時にEQバランスを維持できる「トレブルブリード回路」を備え、トーンノブのスイッチでリア+フロントを直列つなぎで使用する「シリーズモード」が利用できます。


金属パーツ

金属パーツでは特に、ペグとブリッジに注目してみましょう。

  • Player II(MEX):クルーソン型ペグ、6連ブロックサドル
  • American Professional II(USA):ロトマチック型スタガード・ペグ、調整済み3連ブラスサドル、2WAYブリッジ

Player IIでは定番系ど真ん中のパーツが採用されています。クルーソン型ペグはフェンダー伝統のスタイル、6連サドルはオクターブ調整に有利です。対してAmerican Professional IIでは堅牢なペグと新しい設計のブリッジが採用され、グレードの差がついています。

付属品

Player IIにはギグバッグとロッド調整用レンチが、American Professional IIにはハードケースとロッド調整用レンチ、サドル調整用レンチが付属。付属品は「おまけ」ではなく、付属品の価格も本体価格に含まれます。とはいえ「ギグバッグはいらないから安くしろ」といった買い方はできません。


以上、いろいろな項目についてMEXとUSAを比較しました。グレード的な違いや価格の差について、まあまあ納得できるのではないでしょうか。シンプルにまとめているPlayer IIに対し、最新の理念を積極的に採用するアメリカン・プロフェッショナルII(USA)、という「コンセプトの違い」がグレードの差となって表れているのが分かりますね。

メキシコ製テレキャスターのラインナップ

ではここから、エンセナダ工場で作られるテレキャスターのラインナップをチェックしていきましょう。テレキャスターのラインナップは、

  • モダン(現代的)なスタイル
  • トラッド(伝統的)なスタイル
  • アーティストモデル

という3タイプに大別できます。それぞれについて見ていきましょう。

モダン(現代的)なスタイルのテレキャスター

トラッド(伝統的)なスタイルのテレキャスター

トラッドなスタイルのテレキャスターは、「Vintera II」シリーズとしてまとめられており、指板Rやネックシェイプなど当時の寸法のほか時代ごとのブランドロゴ、ヴィンテージ・スタイルのペグ&ブリッジを採用することで在りし日の名機の姿を再現しています。適度な握り心地が得られるグロス仕上げのネックも、ヴィンテージ・スタイル定番の仕様です。音域も伝統の21フレットですが、細めで背の高いヴィンテージ・トール・フレット採用により、ヴィンテージ・フィールを維持しながらも押弦はラクです。

なお、現代版のテレキャスターと異なり、フロントピックアップはボディに直接マウントされていますから、高さを調節するためには一旦ピックガードを取り外す必要があります。

アーティストモデル

アーティストモデルについてはアーティストご本人の愛機の外観だけでなく、シグネイチャー・ピックアップを開発することでサウンドまで再現する気合の入り方です。ファンならずとも、各ジャンルに特化した尖ったテレキャスターとして使用できます。

インドネシア製のテレキャスター

「フェンダー」の名義で、インドネシアの工場で作られるテレキャスターも存在していますが、エンセナダ製と近いグレードの扱いなので、こちらで紹介します。

以上、エンセナダ工場で作られるテレキャスターをチェックしていきました。USAに比肩するクオリティがありながら手に入れやすい価格でリリースされている、魅力的なギターです。ぜひ実際に触れてみてください。

※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。