ディマジオのハムバッカーについて

[記事公開日]2023/9/20 [最終更新日]2025/5/29
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

7弦用と8弦用

多弦モデルについては、7弦用の品番が「DP7××」、8弦用が「DP8××」と非常に分かりやすくなっています。しかしその数字は通し番号ではないらしく、番号順に並べるとリリース年は前後します。なお、多弦用のシングルコイルについてもこちらに掲載しています。多弦モデルに使用する磁石はすべてセラミックです。

Blaze(DP700 / DP701 / DP702)

スティーヴ・ヴァイ氏のシグネイチャー7弦ギター、Ibanez「UV70P」。このモデルでは3基のピックアップがBlazeで統一されている

HSH配列を想定した「Blaze」は、中域をカットし、締まった低域と伸びる高域が特徴の7弦用ピックアップです。3基とも低音を生かして刻むリフを効果的に聴かせるのにもっとも良好な、いわばドンシャリサウンドに設定されています。中域は抑えめですが太さは十分に残っているので、単音弾きのソロにも十分対応できます。
リリース年:1990

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Super Distortion 7 / 8(DP712 / DP812)

Dimarzion Super Distortion 「スーパーディストーションと言えばダブルクリーム・コイル」とは言うけれど、日本国内ではブラックが流通している。

銘機「Super Distortion」の8弦バージョン。音質やパワーはほぼオリジナルモデルそのままですが、低音部は膨れあがらないように若干タイトになり、少しパワーも増すことで、8弦ギター用に調整が施されています。
リリース年:2014

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D ACTIVATOR 7(DP719 / DP720)

Dimarzio DP720

「D ACTIVATOR 7」は、パッシブのままアクティブの良さを再現し、かつパッシブの利点を全て保持する名機「D Activator」の7弦版です。二つのコイルが互いに補完することで、「タイトな低音と豊かなハーモニクスを持ち合わせながら、クリアかつパワフルで抜けが良い」というアクティブの良い特性を再現しながらハードなピッキングにも負けない広いヘッドルームを実現させています。第7弦の低い音域でも濁らず、ヘヴィリフのアタック感をしっかり出力します。
リリース年:2007

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D ACTIVATOR 8(DP819 / DP820)

Dimarzio DP820

「D Activator 8」はアクティブの良さを取り入れた名機「D Activator」の8弦版で、第8弦の太さを考慮し出力はやや抑えめ、周波数特性を広く設定しています。デュアル・レゾナンス・コイル技術により二つのコイルを相互補完的に機能させることで、低音域はパーカッシブと表現できるほどにアタックが立ち、高域は刺さるというより切れ味の良さが得られます。
リリース年:2011

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PAF 7(DP759) / PAF 8(DP859)

Dimarzio PAF

多弦用のPAFは、モダンかつヘヴィな方向に行きやすい多弦用ピックアップという分野において、50年代のクラシックなハムバッカーサウンドの得られる個性派です。
PAF 7」は、セラミック磁石にアルニコ5のパワーとアルニコ2の低磁力を持たせ、「Virtual Vintage」シリーズと同じ技術をいくつか組み合わせることで、マイルドな高音、クリアな低音、そしてオープンでウォームなサウンドを達成しています。
リリース年:2000

PAF 8」は、クラシックなPAFサウンドを8弦ギターの広大な音域に最適化させた、甘い高域/ウッディな中域/クリアな低域を持つモデルです。クリーンは煌びやかに響き、ヘヴィなオーバードライヴでも潰れ過ぎることなく、透明さとピッキング・ダイナミクスを維持します。
リリース年:2012

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アーティストのシグネイチャーモデル


Joe Satriani – Europe Earth Tour 2023 – CLUB JOE VIP Experience
ジョー・サトリアーニ氏は、ディマジオとの付き合いが大変長いギタリストの一人。

アーティストモデルについては、旧式のモデルもラインナップされています。熱心なファンにとっては、敬愛するアーティストが当時使っていた同じピックアップを今からでも手に入れることができるわけです。
なお、これらアーティストモデルのピックアップを検討する上では、各アーティストがどんなギターにどのようにマウントしているかが大いに参考になります。木材構成はもとより、ネック用ならフレット数は重要な要素です。またエスカッションやピックガードを介するのか、ボディに直接マウントするのかも重要な要素になります。

Tosin Abasi(ANIMALS AS LEADERS)


ANIMALS AS LEADERS – Physical Education (Official Music Video)

トシン・アバシ氏は、2台の8弦ギターとドラムという変則的な編成のトリオ「ANIMALS AS LEADERS」を率いるギタリストです。氏のシグネイチャーモデルはタッピングやスウィープ、スラップなどあらゆる表現を1台の多弦ギターでカバーできます。

Javier Reyes(Mestis / ANIMALS AS LEADERS)


Cognitive Contortions Play through by Javier Reyes

ハビエル・レイエス氏は、トシン・アバシ氏の相棒として「ANIMALS AS LEADERS」に参加しつつ、自身のバンド「Mestis」でも活躍するギタリストです。氏の演奏スタイルはメタルの枠に収まらず、クラシック、ジャズ、ラテン・ミュージックなどの多様な要素を含んでおり、卓越したテクニックで8弦ギタリストの最前線に立っていると目されています。

Joe Satriani


Chickenfoot – HighwayStar (Live)

ジョー・サトリアーニ師匠は、ギター・インストという演奏スタイルが決してニッチではない、むしろロックミュージックの王道の一つだと証明したギタリストの一人です。大ヒットした二枚目「Surfing with the Alien(1987)」以来アルバムごとにさまざまなコンセプトを打ち立てて振り幅の大きな作品群を展開するほか、達人ギタリスト3人の競演「G3」の活動にも積極的です。3世代あるブリッジ用ハムバッカーは全て現役で、世代が若くなるにつれてパワーが上がっています。

さらに詳しく:
ジョー・サトリアーニ(Joe Satriani)

Steve Vai


Steve Vai – Teeth of the Hydra (Official Music Video)
3つのネックと数々のギミックを備える、ギターの範疇を超えたギター「Hydra」。ヴァイ氏を昔から知るファンならば、ここまでの演奏を見せつけられても決して驚きはしない。しかし、還暦を過ぎてこのいかにも重量のあるギターを立奏できる、このご健勝ぶりは驚愕に値する。

スティーヴ・ヴァイ氏は、人間を辞めたかのような演奏技術と音楽の探求精神が世界的に支持されるギタリストです。ピックアップへの探求心も強く、さまざまなシグネイチャーモデルをリリースしています。

さらに詳しく:
スティーヴ・ヴァイ(Steve Vai)

John Petrucci(Dream Theater)


Dream Theater – At Wit’s End (from Distant Memories – Live in London)

ジョン・ペトルーシ氏は、プログレッシブ・メタルバンド「Dream Theater」を率いるギタリストです。氏はデビュー当時からフロントにAir Norton、リアにSteve’s Specialという組み合わせを愛用していました。2000年代に入ってからは、ご自身の音楽的追求の手をピックアップにまで伸ばしています。

Steve Morse


Deep Purple – Smoke On The Water (Live, 1999, Australia)

スティーヴ・モーズ氏はカントリー・ミュージックに由来するハードピッキングを持ち味とする達人ギタリストです。自身のバンドやソロで活躍しましたが、Deep Purpleの一員としても長らく存在感を発揮しました。

Eric Johnson


Eric Johnson – “Hard Times”

エリック・ジョンソン氏は「地球上で最も尊敬されるギタリストの一人」と評される達人ギタリストで、持ち前の暖かなリードトーンは「ヴァイオリン・トーン」と呼ばれています。人間の領域を凌駕した耳の良さを持っており、ギターのアウトプットジャックにワッシャーがあるかないかでの音の違いを聞き分けることまでできると言われています。

Jake Bowen(Periphery)


Periphery – Wildfire (Official Music Video)

ジェイク・ボーウェン氏は、Djent(ジェント)の旗手として支持されるプログレッシブ・メタルバンド「Periphery(ペリフェリー)」に所属するギタリストです。バンドでボーウェン氏はバッキングボーカルのほかシンセサイザーやプログラミングも担当しています。

モデル名 DP ポジション 磁石 出力 低域 中域  高域
BLAZE (N) 700 neck Ceramic 280 6.5 4.5 5.5
BLAZE (B) 702 bridge Ceramic 380 7.5 4.5 6.0
EVOLUTION 7 704 bridge Ceramic 420 6.5 7.0 6.5
X2N 7 705 bridge Ceramic 510 6.0 5.5 6.0
D SONIC 7 706 bridge Ceramic 390 6.5 6.0 5.5
LIQUFIRE 7 707 neck Ceramic 270 6.0 7.5 4.5
CRUNCH LAB 7 708 bridge Ceramic 410 6.0 5.5 4.5
IONIZER 7 (N) 709 neck Ceramic 295 7.0 6.0 7.0
IONIZER 7 (B) 711 bridge Ceramic 425 6.0 7.0 5.5
SUPER DISTORTION 7 712 N/A Ceramic 435 8.0 7.5 5.0
TITAN 7 (N) 713 neck Ceramic 280 5.5 6.0 5.5
TITAN 7 (B) 714 bridge Ceramic 415 5.0 6.0 5.0
IMPERIUM 7 (N) 715 neck Ceramic 250 5.5 5.5 5.5
IMPERIUM 7 (B) 716 bridge Ceramic 325 6.5 8.0 4.5
D ACTIVATOR 7 (N) 719 neck Ceramic 380 4.0 5.0 8.0
D ACTIVATOR 7 (B) 720 bridge Ceramic 460 6.0 6.0 6.5
RAINMAKER 7 (N) 723 neck Ceramic 275 6.0 6.0 5.0
DREAMCATCHER 7 (B) 724 bridge Ceramic 370 6.5 8.0 4.5
ILLUMINATOR 7 (N) 756 neck Ceramic 270 6.0 7.0 5.0
ILLUMINATOR 7 (B) 757 bridge Ceramic 410 6.0 5.5 5.0
PAF 7 759 ALL Ceramic 220 6.0 4.5 5.5
AIR NOTON 7 793 neck Ceramic 260 7.0 7.0 5.0
IONIZER 8 (N) 809 neck Ceramic 345 6.5 6.0 5.0
IONIZER 8 (B) 811 bridge Ceramic 440 6.5 7.0 4.5
SUPER DISTORTION 8 812 N/A Ceramic 440 7.5 7.5 5.0
ECLIPSE 8 (N) 813 neck Ceramic 270 5.5 4.5 6.0
ECLIPSE 8 (B) 814 bridge Ceramic 382 6.0 5.0 5.5
D ACTIVATOR 8 (N) 819 neck Ceramic 360 5.5 6.0 6.5
D ACTIVATOR 8 (B) 820 bridge Ceramic 450 6.0 6.5 6.0
PAF 8 859 ALL Ceramic 260 6.0 5.5 5.0

7弦および8弦用ハムバッカーの仕様比較(品番順)
各データは、日本向けディマジオ公式サイト(https://www.dimarzio-jp.com/)より引用。DPは型番、出力の単位はmv(ミリボルト)。低域/中域/高域については聴感上の目安であり、電気的な出力など具体的な数値を反映しているものではない。

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