《ヴィンテージをリスペクトした現代のギター》Guild「SURFLINER」

[記事公開日]2022/7/3 [最終更新日]2022/7/3
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

Guild SURFLINER

ギルド「サーフライナー(SURFLINER)」は、創業70年の老舗「ギルド」が約40年ぶりにリリースする新作のエレキギターです。1960~1970年代に作られた同社のギターからインスピレーションを受けたという非対称のボディシェイプに、レトロ感と現代風味をバランスよく配合させたギルドらしいモデルとして仕上がっています。今回は、このギルド「サーフライナー」に注目していきましょう。


Guild Surfliner Demo
10万人以上のフォロアーを持つ若き達人、ソフィー・ジュリアーニ女史。ネオソウル系のギターインストを得意とし、オンラインレッスンサイト大手「pickupmusic」の教材にも採用されています。

Guild「SURFLINER」の特徴

ギルドらしい大胆なデザイン


Guild Surfliner Creation
ギルドの名機からさまざまな要素をもらい受けて完成させたデザイン。全身から立ち上るレトロ感は、古いギターからデザインのヒントを得ているため。しかしそこに現代的なテイストを加え、新旧の要素が入り乱れながらも単なる寄せ集めに終わらないまでに、
しっかりプロデュースされている。

サーフライナーのデザインは存在感をしっかり主張しながら、老舗ブランドらしいレトロな雰囲気と現代的なセンスを巧妙にミックスさせています。楽器本体の全体像はギルドのいろいろな名機からデザインのヒントを貰っていますが、これまでに無かったデザインも取り入れられており、全く新しい楽器として完成しています。

SURFLINER:ヘッド ブランドロゴは80年代式の、やはりどこか懐かしさを感じさせる書体。クルーソンタイプのペグもレトロ風味。しかし表面にはブランドロゴのみ、裏面にモデル名を配置する、というのは最近の流行。またヘッド角のある設計なので、ストリングガイドの無い、スッキリとしたデザインにまとまっている。

SURFLINER:コントロール コントロールノブに汎用品なんか使わない。それがギルド。小さな所にもしっかりブランドを主張する。

SURFLINER:ジョイントプレート ブランドロゴの「G」で切り抜くという、大胆にも程があるジョイントプレート。このようなデザインは、恐らくだが世界初。

SURFLINER:ブリッジ 独特の渋みを感じさせるニッケルメッキは、レトロ感の演出には欠かせない。しかし、TOMブリッジ&裏通しという設計はそれほどレトロっぽくはない。

個性的な操作系と現代的な演奏性

SURFLINER:ボディバック ネック裏はサラサラで、滑らかに移動できる。ボディ裏はコンター加工されており、抱え心地が良い。

Cシェイプ、弦長648ミリ(フェンダースケール)、ナット幅42.5ミリというネックはどんな人にもどんなジャンルにもフィットできるオーソドックスな寸法です。ミディアムジャンボフレットとサテン仕上げという現代的な仕様も相まって、ギターの個性的なルックスとは裏腹の、握りやすく弾きやすいネックとなっています。

ジョイント部はヒールカットこそないもののエッジ部分が丸く整えられており、またネックは18フレット地点でボディと接続する設計になっており、ハイポジションでの演奏性はかなり良好です。「23フレット」という音域は、モダンな感じには行きたくないけど普通の22フレットよりは拡張したい、というギルドのこだわりが垣間見えます。

SURFLINER:スイッチ このモデルのために新たに考案された「Guild Rocker Pickup Switching System」。各スイッチをピックガードに留めるネジが無い、という整ったデザインが何とも秀逸。

「ギルド・ロッカー・ピックアップ・スイッチングシステム」と名付けられたピックアップ切り替え機構が独特です。3つのスイッチは各ピックアップのON/OFFとなっており、シンプルな構成ながらSSH配列のピックアップの全ての組み合わせが可能です。3つともOFFだと音が出なくなりますから、理論上はどのピックアップでもスイッチング奏法が可能です。

守備範囲の広い、オリジナルのピックアップ

SURFLINER:ピックアップ サウンドの心臓部ピックアップも当然オリジナル。

ピックアップは、フロント&センターに新開発「DeArmond Aerosonic」、リアに「LB-1(リトルバッカー)」というSSH配列です。LB-1は60年代から使用されているギルドの代表的なミニハムバッカーで、ホロウギターを思わせるような太く丸いサウンドが持ち味です。新開発のシングルコイル「DeArmond Aerosonic」は鋭く透き通ったサウンドが持ち味で、リアのLB-1とのマッチングも考慮して設計されています。

3種のカラーバリエーションでラインナップ展開

SURFLINER:ラインナップ 左から、Sunset Orange、White Sage、Catalina Blue

3タイプのカラーバリエーションはギルドUSA工場のあるカリフォルニアの大自然からインスピレーションを受けており、3種とも木目が透けて見えるシースルーカラーです。なお、「ホワイトセージ」は米国南西部とメキシコ北西部に自生する、常緑の多年生低木です。「カタリナ」島は南カリフォルニア沖のサンタカタリナ湾に浮かぶ島で、スキューバダイビングやシュノーケリングが人気です。

楽器本体はポプラ製ボディ、メイプル製ネック&指板です。ヘッドは大きめですがボディバランスは良好です。


以上、ギルドの新作「サーフライナー」をチェックしていきました。ギルドらしさと現代的なテイストをカジュアルな感じにまとめた、完成度の高いギターです。ショップで見かけたら、ぜひ手にとってみてください。

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