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フェンダーの「アコースタソニック(Acoustasonic)」シリーズは、エレキギターとアコースティックギターの境界線をまたぐ、次世代のギターです。これまでギターを作ってきた人類の歴史に最新のテクノロジーが交錯することで、一台二役の便利ギターとしても、音楽の可能性に挑戦する新兵器としても利用できます。これまでテレキャスター(2019年)とストラトキャスター(2020年)がリリースされていますが、集大成として遂にジャズマスターがリリースされました。今回はこの、アコースタソニック・ジャズマスターに注目していきましょう。
The American Acoustasonic Jazzmaster | American Acoustasonic Series | Fender
開発に5年を要したという、アコースタソニック・シリーズの集大成。本格的なアコースティック・サウンドからローファイなピエゾ、ダーティなオーバードライブまであり、シリーズ中もっとも個性的なギターだと言えるでしょう。
これまで「アコースタソニック・テレキャスター」と「アコースタソニック・ストラトキャスター」について紹介しているので、アコースタソニックの概要についてはざっと見るだけにしておきましょう。アコースタソニックは、だいたいこんな感じのギターです。
「ジャズ用」というそもそもの思想とは裏腹に、ジャズマスターはパンクやオルタナといった、荒々しいサウンドを持つギタリストにとって特別な意味を持つギターです。ジャズマスター版アコースタソニックをリリースするのは、このストラトでもないテレキャスでもない、先進的な尖ったミュージシャンに多く愛された、ジャズマスター独自のキャラクターが重視されたからです。
Sonic Youth – The World Looks Red (Live)
オルタナの祖とされる「ソニック・ユース」。ギタボを務めるサーストン・ムーア氏のトレードマークと言えば、やはりジャズマスター。
Been There All The Time – Dinosaur Jr.
シングルコイルながら大きめでパワーもあるピックアップは、ドライヴサウンドとの相性が良い。ロックバンドでダーティーにガッツンガッツン弾く、これが現代のジャズマスター。
ジャズマスターのボディ形状は、くびれ部分の位置をずらした「オフセット・ウェスト」が最大の特徴です。これにより、立って弾いても座って弾いても良好に抱えられます。大メーカーのレギュラーモデルとしては、オフセット・ウェスト形状のアコギは、今のところおそらく本機よりほかはありません。
アコースタソニック・ストラト&テレキャスの操作系は、エレキの標準的な配置をかなり意識しています。これに対してアコースタソニック・ジャズマスターの操作系は、ブリッジより随分とボディエンド側へと移動しています。こんな位置に操作系を持ってきたジャズマスターは、他にはなかなか見られません。
ピッキングを邪魔するものは、どこにもありません。アコギとしてはこれが本来の姿かもしれませんが、むしろ「思い切りラフに演奏しても大丈夫」という考えがあったものと見られます。
ジャズマスターのボディは、ストラトよりもテレキャスよりも大きな体積を持っています。ボディ容積が増えることによって、他のアコースタソニックよりも温かみのある、小型のパーラーギターのような味わい深い自然な生音が得られます。さすがに普通のアコギの音量にはかないませんが、自宅で演奏するにはじゅうぶんな音量です。
専用の「アコースタソニック・ショウバッカー」ハムバッカー・ピックアップは、シリーズ中で最も強烈なエレクトリックサウンドを創り上げています。「1ハム」とはフェンダーのギターとしてはまことに大胆な設計ですが、近年のジャズマスターがロックをガンガン奏でるギターとして愛されていることを象徴しています。
本機は他のアコースタソニック同様、5WAYセレクタースイッチの各ポジションにAとB二つのサウンドを割り当て、Mod(事実上ブレンド)コントロールノブを使用して、サウンドメイクをします。Modノブを片方に回しきった状態がA、反対側に回しきったらBです。ノブの回し方加減で二つの音をブレンドすることで、無限とも言えるサウンドバリエーションが得られます。それぞれの音色を見ていきましょう。ポジション番号は、フロント側が5です。
ポジション5は、まさにアコギの王道、雄大なD-28風のサウンド、乾いたJ-45風のサウンドです。特にがっつりかき鳴らすのに適しています。
ポジション4は、マホガニーを共通項とする、大小のアコギです。独特の暖かさから、特にフィンガーピッキングが良好です。
ポジション3は、繊細なタッチが生きる定番サウンドに、楽器本体への打撃音をキャッチするボディ・センサーをブレンドします。ボディを叩いてリズムを出すようなスタイルは、こちらのポジションで演奏することになります。
ポジション2は、現代のジャズマスターだから採用されたであろう、ちょっと音質が悪い感じの痩せたピエゾの音で、歪んじゃった具合をブレンドで調整します。アコギの空気感というよりエレキのクリーンに近い感触で、エフェクターのかけ甲斐があります。
ポジション1は力強いハムバッカーサウンドで、ほんのちょっと歪んでいる音と、しっかり歪んでいる音との組み合わせです。ドライブペダルを追加すれば、メタルトーンまで行けます。「エレキギターのクリーンが用意されていない」というのが興味深いところです。エレキのクリーンが欲しい人は、代わりにポジション2を使いましょう。
以上、フェンダー「アメリカン・アコースタソニック・ジャズマスター」をチェックしました。王道系のアコースティックサウンドをカバーしながら、鋭いピエゾやぶっといハムバッカーといったサウンドまである、尖った個性を持ったギターです。このギターで、ぜひ新しい音楽を創造してください。
アコースタソニック・ジャズマスターを…
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