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2016年に発表されたグレッチの「ストリームライナー・コレクション」は、レトロなルックスと新開発のピックアップ、そして手に入れやすい価格を特徴とする新しいシリーズです。もともと「Streamliner」は1954年から1959年まで生産されてきたフルアコで、代表機種G6120ナッシュビルの先祖に相当する由緒ある名前です。新しいシリーズ名に歴史あるこの名前を持ってくるあたり、グレッチの気合いが伝わってくるようですね。発表以来、順次ニューモデルが追加されており、見た目にも華やかなラインナップを展開しています。今回は、このストリームライナー・コレクションに注目していきましょう。
Gretsch® G2410TG Streamliner™ Hollow Body Single-Cut with Bigsby® and Gold Hardware
ホロウボディには、ゴールドパーツ仕様が新たにリリースされました。
ではさっそく、ストリームライナー・コレクションの特徴を見ていきましょう。
G2622T Streamliner Center Block with Bigsby(Torino Green)
ストリームライナー専用の「ブロードトロン(Broad’Tron BT-2S)」ピックアップは、グレッチの代表的ハムバッカー「フィルタートロン(Filter’Tron)」の鮮明度を大事に残しつつ、ギブソンのハムバッカー「P.A.F」に迫る高出力が得られるよう設計されました。
ブロードトロンはフィルタートロンゆずりの中高域を継承しながら、しっかり歪ませられる高い出力、音の太さを持っています。工場出荷時はしっかりオンマイクにセットアップされており、太くてしっかり歪むサウンドが得られます。これを弦から離したオフマイクのセッティングに変えると、グレッチらしい澄んだサウンドが得られます。グレッチらしい済んだサウンドからグレッチらしくないファットなトーンまでカバーする、「広い(Broad)」という名にふさわしい守備範囲のあるピックアップだと言えるでしょう。
また、新しく開発されたシングルコイル「フィデリソニック 90(FideliSonic 90)」は、伝統的なP-90タイプ特有の温かく力強く、そしてたくましい音色に対し、高域の輝きを増強させています。直方体のポールピースが外観上の特徴で、弦ごとの高さ調節こそ封じられていますが、本体を貫く2本のネジで弦との距離を調節できます。
Gretsch Streamliner Center Block Double Cutaway Guitars
ギブソン系とは違う軽やかさのあるサウンドですが、グレッチのサウンドを聞きなれている人が聞くと、「これが本当にグレッチなのか?」と疑ってしまうほどの、太さと甘さのある音ですね。この動画のプレイヤーのように、ルーパーでしっかり「ノれる」伴奏を作るには、日々のたゆまぬリズムトレーニングが必要です。
ストリームライナー・コレクションの電気系は、「トーンポット回路」に統一されています。この回路は「マスタートーン・ポット」を備え、ツマミの操作で無段階にトーンを調節できます。「そんなの普通じゃないか」と突っ込まれそうですが、グレッチでは3種類のトーンをスイッチで切り替えるもう一つの電気系「トーンスイッチ回路」と区別して、このように呼ばれます。
G2410TG Streamliner Hollow Body Single-Cut with Bigsby(Ocean Turquoise)
ルックスあってこそグレッチ。ストリームライナー・コレクションでも、その思想は貫かれています。濃くてシックな色調から明るいポップな色調までカラーバリエーションが豊富で、ヘッドの先からボディの末端までビシっと縁取るバインディング、モデルごとに設定された指板インレイやコントロールノブ、ボディカラーごとに選ばれるピックガード、個性的なV型テールピースやビグスビーといった存在感のある意匠は、まさにグレッチならではです。
旧モデルのFホールは、生鳴りを抑えてハウリングを防止する目的でやや小型化されていました。現在のラインナップでは、やっぱり生鳴りも必要だということで通常サイズのFホールになっています。
左から:G2420T、G2622T、G2655T
ストリームライナー・コレクションは、ネックやピックアップなど基本仕様は共通で、ボディ構造とサイズに違いのある4つのバリエーションが設けられています。ボディが大きくなるにつれて、サウンドは太く丸くなる傾向にあります。
Gretsch Streamliner G2420 Single Cutaway Hollow Body Guitars
ジャズ系のメロウなトーンがありながら「いかにもジャズ専用」というルックスではない、ということは、ギタリストによってはひとつのメリットになります。歪ませても味わい深いですね。
G2655 Streamliner Flagstaff Sunset
ストリームライナー・コレクションは、全機種で「アジャストマチック・ブリッジ」が採用されています。これはギブソンのTOM(チューンOマチック)ブリッジと同様の設計で、弦ごとにオクターブチューニングの調整が可能です。
また、それぞれブリッジがボディに固定されるので、パワフルな演奏でブリッジの位置が変わってしまってチューニングが崩壊する、ということが起きません。
ストリームライナー・コレクションは、ルックスのインパクトとはうらはらに、手になじみやすい設計が採用されています。ほかのギターからの持ち替えに違和感を覚えにくく、いろいろなジャンルで使用できます。
ネックにおいては弦長24.75インチ(ミディアムスケール)、ミディアムジャンボフレット(押さえやすい)、薄めのUシェイプグリップ(握りやすい)という仕様です。約43mmというナット幅はちょっとだけ広めですが、アコギの握り加減に近く、コードを押さえるときに隣の弦に触りにくいというメリットがあります。
木材構成は、ナトー(マホガニーの代替材)ネック、ローレル(ローズウッドの代替材)指板、合板ボディ(合板だとハウリングしにくい)という仕様です。ソリッドボディの「ジュニア・ジェットクラブ」はナトー製ボディです。代替材はマホガニーやローズウッドといった高級機御用達の高級木材と同じような強度と音響特性を持ち、何より価格が抑えられるのがメリットです。
専用のパーツや意匠を採用しながらも、さまざまなた工夫により、ストリームライナーではかなり大幅な価格圧縮が実現しました。もともと高級ブランドであるグレッチの価格に挑んだ「Gretsch Electromatic(エレクトロマチック)」シリーズの価格帯から、近い仕様のモデルならだいたい3~4割ほど、価格が抑えられています。
Gretsch Streamliner Center Block Jr.
「小さめセミアコ」は、グレッチでは今の所ストリームライナーのみの新しいギターです。このサイズでも、「歪ませながらも和音プレイが美しく響く」というハコモノの恩恵がしっかり得られます。ただし多少の「ヘッド落ち」があるので、立って弾く場合には構え方やストラップの工夫が必要です。
ではいよいよラインナップをチェックしていきましょう。ストリームライナー・コレクションのラインナップは、4タイプのボディ構造とビグスビーの有無、そしてピックアップ仕様の組み合わせで構成されています。ネック仕様こそ共通ですが、各モデルで指板インレイに違いが設けられており、ルックスにこだわるグレッチの矜持を見ることができます。
「G6120 Nashbille(ナッシュビル)」と同等のボディサイズを持つ「G2420 ホロウボディ(Hollow Body)」は、内部を完全に空洞化させたボディに加え、アコースティックギターと同じく14フレットでボディにジョイントされるネックも特徴で、アコギにちょっと近い弾き心地のエレキギターです。
ビグスビー搭載機とクロマチックII・テールピース搭載機とから選択できます。現行モデルは全機種、ヘッド側に盛り上がりのある「ハンプブロック」指板インレイ仕様です。
「G2410TG」は、ゴールドパーツがまばゆいビグスビー搭載仕様、ボディ厚を2.25インチ(57 mm)に抑えたモデルです。ボディカラーは、オーシャンターコイズ、シングルバレル、ヴィレッジアンバーの3色です。このうち深みのあるブラウンの「シングルバレル(Single Barrel)」は、最高級のウィスキーに使われる呼び名です。
「G2420T」は渋いニッケルパーツ仕様のビグスビー搭載機で、ボディ厚はグレッチで標準的な2.75 インチ(7 cm)です。ボディカラーは全てメタリック系で、キャンディアップルレッド、ゴールドダスト、ガンメタル、リビエラブルーの4色です。このうち「リビエラブルー(Riviera Blue)」はポルシェやアウディで使われているカラーリングです。
Phantom Metallic、ほか全4色
「G2420」は、上記G2420Tのトレモロレス仕様機です。弦を受け止める「クロマチックII・テールピース」は、弦を斜めに並べることで弦張力を補正し、演奏性を高める効果があります。カラーリングはエイジドブルックリンバースト、ヴィレッジアンバー、ファントムメタリック、ウォルナットステインの4色で、総じて落ち着いた印象です。
G2420を…
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「G2622 Center Block」は、スプルース製のセンターブロックをボディ中央に配置したセミアコです。センターブロックはボディエンド部分が大きく削り取られた形状になっていて、セミアコのコリコリ感こそあれ豊かな箱鳴り感が得られます。センターブロックでジョイント部分の強度が確保できるため、ダブルカッタウェイ仕様にも心配はありません。
またブリッジやテールピースは直接ネジ留めされ、ビグスビーはテンションバーを使用する「B70」が採用されています。ネジ留めは振動伝達の効率が良く、弦張力を確保できるので音に「張り」が加わります。
V字に曲げられた「Vストップテール」は、グレッチ最上位モデル「ファルコン」と「ペンギン」で使用される「Gキャディラック・テールピース」のV字から着想を得た、グレッチ独特のデザインです。
「G2622-P90」は、新型ピックアップ「FideliSonic 90」を搭載するマホガニー合板ボディのトレモロレス仕様機です。マホガニーは一般的に採用されるメイプルと比べて軽量で、音色が軽やかになる傾向があります。また楕円形の指板インレイ、矢印の刻まれたコントロールノブが、ハムバッカー搭載機とは違うキャラクターを主張しています。
カラーリングはクラレットバーストとハバナバーストの2タイプで、「クラレット(Claret)」はおフランス製赤ワインの深い赤紫色を表します。「ハバナ(Havana)」は地名でもありますが、光沢の強い毛並みが特徴の猫「ハバナブラウン(Havana Brown)」に由来するようです。
「G2622T-P90」は、上記G2622-P90のビグスビー搭載仕様機です。カラーリングはブラウンストーン、フォージグロウ、ガンメタルの3タイプで、「ブラウンストーン(Brownstone)」はニューヨーク市などのタウンハウスの外装に多く使用された褐色砂岩を意味します。
Ocean Turquoise、ほか全4色
Torino Green、ほか全4色
「G2622」は、シリーズ専用ハムバッカー「Broad’Tron」を搭載する、メイプル合板ボディ仕様です。センターブロック設計の違いこそあれ、パワーのあるハムバッカーとメイプル合板ボディとの組み合わせは、セミアコでは王道中の王道です。G2622Tの「トリノグリーン(Torino Green)」は、1960年代のフォード車で使われていました。
ひときわ目を引くでっかいブロックインレイは、50年代のグレッチによく見られた意匠です。いまどきこうしたインレイを採用しているギターはなかなか珍しく、センターブロック/センターブロックJr.、のアイデンティティを主張するポイントになっています。
限定生産されている「G2622TG-P90」は、ストリームライナー・センターブロックのピックアップを、まさかのP-90タイプに変更、キャンディアップルレッドのボディカラーとゴールドパーツであでやかに仕上げた一本です。これまでグレッチのピックアップは頑として独自路線を貫いてきましたが、そのこだわりをちょっと我慢してサウンドの選択肢を提案しつつ、いかにもグレッチらしいギンギラギンのルックスに仕上げた、新しいチャレンジです。
G2622を…
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ボディ幅14インチのコンパクトなセミアコは、ストリームライナー・コレクションで初めて採用された新しいスタイルです。ふつうサイズのエレキギターに近い弾き心地で、セミアコのエアー感を味わうことができます。ボディ材と意匠についてはG2622を踏襲しており、「Broad’Tron」機はメイプル合板ボディ、「FideliSonic 90」機はマホガニー合板ボディです。ビグスビーについては、トップマウント型の「B50」が採用されています。
「G2655T-P90」は、小さめマホガニーボディ、FideliSonic 90ピックアップ搭載のビグスビー仕様機です。ボディカラーはミッドナイトサファイア、ミントメタリック、サハラメタリックの3タイプで、いずれも裏側はマホガニーステインのツートンカラーとなっています。
「G2655T」は、小さめマホガニーボディ、FideliSonic 90ピックアップ搭載のVストップテール仕様機です。ボディカラーはブラウンストーン、フォージグロウの2タイプあります。
シリーズ専用ハムバッカー「Broad’Tron」搭載機は、Vストップテール仕様「G2655」とビグスビー仕様「G2655T」の2タイプあり、いずれもメイプル製ボディです。G2655Tの「ファーレーンブルー(Fairlane Blue)」は、1950年代のフォード車に採用されていました。
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「G2210ジュニア・ジェットクラブ」は、ナトー製ソリッドボディにナトー製ネックをボルトオンジョイントした、グレッチではありそうで無かった新しいモデルです。海外モデルではP-90搭載機も登場しており、今後の展開が期待されます。新しいモデルにふさわしく、ネックジョイントにはプレートを使わない、現代的な工法が用いられています。6弦側に並ぶ指板インレイは、グレッチ伝統の「ネオクラシック・サムネイル」です。
ソリッドな設計のラップアラウンドブリッジ、ボリュームとトーンは1個ずつ、という設計は、「シンプルかつストレート」であることを目指しています。ただし弦ごとのオクターブ調整はできず、ブリッジ本体の微調整でバランスを取ります。
4色のカラーバリエーションのうち、「ヴィンテージ・ホワイト」はストリームライナー・コレクション全モデル内で異彩を放つ存在です。このモデルのみ、コントロールノブとエスカッション(ピックアップの枠)にゴールドのものが採用されています。
G2210を…
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以上、50年代のルックスと新しいピックアップを組み合わせ、さらなる価格破壊を実現させたストリームライナー・コレクションをチェックしていきました。すでに楽器として完成してしまった感のあるホロウ/セミホロウという分野では、新しいものはなかなか作りにくいのがメーカーの悩みです。しかしグレッチはこれに挑み、見事に新機軸を打ち立てることに成功したと言っていいでしょう。
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