Epiphpne(エピフォン) SG のラインナップに注目!

[記事公開日]2017/7/5 [最終更新日]2022/4/5
[編集者]神崎聡

Epiphpne SG

エピフォンのSGは「ギブソン傘下ブランドの廉価版」としてリリースされていますから、「SGコピー」ではなく、正真正銘の「SG」です。求めやすい価格から、さっそく本物のSGを手に入れることができます。「本物としてのプライド」は公式サイトでも伺うことができ、「unlike cheap imitations that tend to be neck-heavy(ネックが重くなるような、安っぽい模造品とは違います)」と述べています。


ギターウルフ 『バッティングセンター (Music Video)』
海外アーティストからの支持も厚いロックンロールバンド「ギターウルフ」のセイジ氏はエピフォンのSGを愛用しており、G-310をベースとしたアーティストモデルが発売されたことがありました。この動画で使用しているSGも、ドットインレイ、ラージピックガード、ヘッドインレイ無し、ボルトオンジョイントという仕様からG-310をベースとしていると思われますが、ピックアップはリアに1基のみで、操作系もシンプルになっているようです。ネックの裏が縞々になっているのは指板をのぞき込まなくても演奏できる、視認性を向上させるための工夫です。

「SG」って、どんなギター?

SGはレスポールの後継機種として開発されました。

  • 薄いボディを採用しており、驚くほど軽い
  • ハイポジションがとても弾きやすい
  • 太くても重すぎないサウンドが、ロックとの相性が抜群
  • ボディに平面が多く、ステッカーの貼り甲斐がある

という特徴があり、デビュー当時から現在に至るまで、多くのロックミュージシャンに愛用されています。

SGタイプのエレキギター特集

「ギブソンではなく、エピフォンである」ことの特徴

エピフォンSG/ギブソンSG:ヘッドエピフォンSG/ギブソンSGそれぞれのヘッド

SGに限らず、エピフォンのギターにはエピフォンオリジナルのヘッド形状が採用されており、シルエットだけでエピフォン製だと判別することができます。ギターのヘッドは、ブランドがアイデンティティを主張する重要なポイントです。エピフォンのヘッドはかつてギブソンとシェアを競ったころの面影を残す、伝統を継承した形状になっています。

また、多くのモデルに「LockToneシステム」ブリッジ/テールピースが採用されています。外見上は一般的なTOM(チューン・O・マチック)ブリッジですが、弦を外しても部品がギター本体から安易に外れてしまわないよう、ブリッジやテールピース自体がスタッド(軸)に食いつくような構造になっています。これによって部品が外れてしまう不具合が予防できるだけでなく、部品が固定されることで弦振動のロスが軽減され、「従来のものよりサスティンが20%伸びる」とされています。

エピフォンSGのラインナップ

エピフォンのSGは、

  • レギュラーモデル:G-400 Pro、G-310など
  • リミテッド・エディション:Ltd. Ed. Tony Iommi SG Customなど

という2つのカテゴリーで構成されています。
まず、レギュラーモデルから見ていきましょう。

エピフォンSGレギュラーモデル

エピフォンSGのレギュラーモデルは、

の4機種で構成されています。

全機種マホガニーボディ、細身で握りやすい「スリム・テーパー・D」ネックシェイプ、先述「LockTone」ブリッジ、という仕様でまとまっており、装飾やピックアップなど細かなところに仕様やグレードの差が設けられています。「Gシリーズ(G-400 Pro、Worn G-400、G-310)」はマホガニーネック、「SG Special」はメイプルネックということから、Gシリーズ=マホガニーネックというくくりのようです。

G-400 Pro/Worn G-400

G-400 Pro/Worn G-400 上:G-400 Pro、下:Worn G-400

「G-400」シリーズの

  • ヘッドの「パイナップル・インレイ」と指板の台形インレイ
  • カバードピックアップ
  • スモールピックガード

というスタイルは、ギブソンSGスタンダードをベースしています。搭載されている「エピフォン・アルニコ・クラシック」ピックアップは、ギブソンの代表的ハムバッカー「57 Classic」のエピフォン版で、キメが細かく明瞭なキャラクターを持っています。「G-400 Pro」はエピフォンSGの最上位機種となっていますが、次点の「Worn G-400」もギター本体はほぼ同じです。ではどのように違うのか、仕様の違いを見ていきましょう。

モデル名 G-400 Pro Worn G-400
ピックアップ Alnico Classic Pro
各個にコイルタップ可能
Alnico Classic
コイルタップ無し
ブリッジ LockTone LockTone
テールピース LockTone ストップバー・テールピース
ペグ エピフォン製クルーソンタイプ
ギア比18:1
グローヴァー製ロトマチック
ギア比14:1
塗装 グロス(ツヤツヤ) サテン(サラサラ)
左用 あり なし

表:G-400 Pro、Worn G-400の相違点

両機とも基本設計は同じピックアップですが、「Pro」は配線が4本ある「4芯」設計となっており、コイルタップが可能です。それぞれのボリュームノブに仕込まれたスイッチで、コイルタップの操作を行います。
ブリッジは共通仕様ですが、テールピースに違いが出ました。「Pro」はテールピースまでスタッドにロックされ、弦を外しても落下しないようになっています。ペグの「ギア比」にも差ができていますが、この「ギア比」は、「つまみを何回転させたら軸が1回転するか」を表しており、この値が大きい方が軸の回転が緩やかで、ストロボチューナーなど高性能なチューナーを使用した高い精度のチューニングが可能となります。また、クルーソンタイプのペグはロトマチックよりも軽量なので、ヘッド側が若干軽くなったように感じます。

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G-310/SG Special

G-310/SG Special 上:G-310、下:SG Special

「G-310」と「SG Special」の

  • 「ドット(点)」ポジションマーク
  • オープンタイプのハムバッカー・ピックアップ
  • ヘッドにインレイ無し

というスタイルは、ギブソンSGスペシャルを出発点にしています。装飾をシンプルなものに留めていることに加え、両機ともボルトオンジョイント方式を採用することで、本体価格2万円近辺という比類ないコストパフォーマンスを実現しています。

https://youtu.be/088uOgNcSKI
Epiphone SG Special Electric Guitar Review
2:00以降のデモ演奏で、SG Special最大の特徴である「キルポット」がどういうものなのかがわかります。公式サイトでは「マホガニーネック」と表示されていますが、このギタリストは「ハードメイプルネック」と言っていますね。ネック裏もボディと同じ色に塗られていますが、木目の感じではやはりメイプルに見えます。

ピックアップについては両機とも

  • フロント:650R
  • リア:700T

となっており、同じサウンドキャラクターを持っています。先述の「G-400」2モデルと違って「オープンタイプ」となっており、よりパワフルなサウンドに方向づけられています。

では、両機の違いをチェックしてみましょう。

モデル名 G-310 SG Special
ネック マホガニー、ボルトオン メイプル、ボルトオン
ピックガード ラージピックガード スモールピックガード
ボリューム、トーン 2V2T 1V1T(トーンは「キルポット」)
カラー エボニー チェリー、エボニー
左用 あり なし

表:G-310とSG Specialの相違点

ギター本体では、ネック材に大きな違いがあります。ギブソンのギターはマホガニーネックを基本としているため、ネック材ではマホガニーが人気です。いっぽうメイプルは比較的安価に仕入れられることから低価格なモデルに採用されますが、非常に堅い木なので折れにくいのがメリットです。またメイプルの方が比重は重いため、SG Specialは比較的重量が増すようです。

回路にも大きな違いがあります。G-310はピックアップそれぞれにボリュームとトーンが備わっている伝統的なスタイルですが、SG Specialはマスターボリューム、マスタートーンというシンプルな設計です。そのかわりトーンポットは「キルポット」となっており、押しこんでいる間だけギターの音を全てカットすることができます。

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エピフォンSG リミテッド・エディション

エピフォンではレギュラーモデルに加え、限定生産で特別なモデルもリリースしています。特殊なカラーリングのモデルなどが頻繁にリリースされて話題となっていますが、ここでは原稿執筆時点(2017年7月)で入手可能な限定モデルを紹介します。

Ltd. Ed. Tony Iommi SG Custom

Tony Iommi SG Custom


“Loner” (Official Music Video) – Black Sabbath
ヘヴィ・メタル台頭の立役者でありながら、ブラックサバスは今なお健在。若手バンドのような派手なライブパフォーマンスこそありませんが、堂々としたたたずまいには貫禄を感じます。

ヘヴィ・メタルの先駆者と呼び声高い「Black Sabbath(ブラックサバス)」のトニー・アイオミ氏シグネイチャーモデルが、全世界2,000本限定で生産されています。バインディングを施したエボニー指板はギブソンSGカスタムの名残ですが、トニー氏のこだわりが随所に反映された、独自性の高いSGに仕上がっています。

  • ボディ/ネック共にマホガニー。
  • 24フレットのエボニー指板には、トレードマークの十字架インレイ。
  • ヒール部を滑らかに加工したぶん、ネックを深くジョイント。
  • アウトプットジャックをボディサイドに移設。
  • ギブソン製トニー・アイオミモデルハムバッカーを2基搭載

という仕様になっており、ヘッド裏にはトニー氏のサインが書かれ、エピフォンのポスターとステッカーが付属します。トニー氏が左利きであることもあって、左用もラインナップされています。

トニー氏はダウンチューニングを基本としているため、レギュラーチューニング同様の高い音を得るべくフレット数を増加したと言われています。

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Ltd. Ed. G-1275 Doubleneck

G-1275 Doubleneck

https://youtu.be/dmKeIlJq4gM
Led Zeppelin – Stairway to Heaven (Live Earls Court 1975)
このギターで第一に思い出すのはこの曲、という人もかなり多いのではないでしょうか。ギターソロ冒頭は12弦で弾いていますが、そこから一瞬にして6弦に持ち替えているのが確認できますね。

「G-1275」は、6弦と12弦を瞬時に持ち替えるために考案された驚愕の「ダブルネック」です。現在ではエフェクトやモデリングなどのデジタル技術で12弦ギターをシミュレートすることもできますが、そのためにギターを一台作ってしまうというアナログ的なアプローチには深い魅力があります。ギブソンから「EDS-1235」の名でリリースされたのが初めですが、Led Zeppelin(レッド・ツェッペリン)の名曲「天国への階段(Stairway to Heaven)」は、このギターなくしては語ることができません。

そのエピフォン版である「G-1275」は、ギブソン版の特徴をしっかり継承しており、

  • マホガニーボディ&ネック
  • スリム・テーパー・Dネックシェイプ、セットネック
  • 20フレット仕様

というギター本体に、ギブソンの名機「57 Classic」のエピフォン版「アルニコ・クラシック」ピックアップを採用しており、

  • 12弦側:カバード
  • 6弦側:オープン

とキャラクターに違いを持たせています。

「マスター3Wayセレクタ―」スイッチによってどちらかのネックの音を消すことができるため、弾かない方のネックの心配をすることなく演奏に集中することができます。ネックを持ち替えるときにはこのマスター3Wayセレクタ―も切り替えますが、スイッチのセンター位置で「両方鳴らす」という設定もできます。それぞれのピックアップは各個にセレクタ―・スイッチが備わっていますから、あらかじめ設定しておけば「12弦/フロントから6弦/リアへの切り替え」などを瞬時に呼び出すことができます。

ブリッジにはエピフォンの定番「LockTone」が採用されていますが、テールピースはこのモデルだけの「クロー(Claw:爪)」テールピースとなっていて、「爪」に引っ掛けるだけで弦を固定します。「G-1275」は6弦と12弦で合計18本も弦を使用するギターですから、従来のテールピースでは弦交換のときに18本も弦を通さなければなりません。ライブごとに弦を交換することを考えるとノイローゼになってしまいそうですが、このクロー・テールピースによっていくらか心の平静を保つことができます。

ペグには「ギア比18:1」の高精度のものが採用されていますから、12弦のチューニングもキッチリと合わせることができ、コードを美しく響かせることができます。ただし、いくら軽量なSGがベースとはいえ、ギター2台分を1台にまとめたものなので重量は約5.5kgにも達します。

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LIMITED MODEL SG Junior

Epiphone SG Junior

「リミテッド・エディション」とは違う扱いではありますが、「限定生産」という意味で、こちらで紹介します。ギブソンやエピフォンにおける「ジュニア」は「エントリーモデル」を意味し、装飾を控えたシンプルなスタイルとリアピックアップ1基のみのシンプルな電機系を特徴としています。限定生産の本機は、伝統的なSGジュニアのスタイルを継承しながらコストパフォーマンスの極限に挑んだモデルで、「本体価格¥1万ちょっと」という恐るべき価格を実現しています。

ボディはバスウッド、ボルトオンジョイント、という仕様ながらネックにはしっかりマホガニーを採用、ピックアップにはG-310にも採用されている「700T」を採用、という設計で、低価格には挑戦するけど安いだけのギターではないものになっています。これからギターを始めて巧くなって行こう、という人たちが長期的に練習できるようなギターに仕上がっており、このギターを中心とした「初心者セット」も販売されています。

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以上、エピフォンのSGをチェックしていきました。SGはレスポールと並んで人気の高いギターですが、実際に持ってみるとその軽さに驚かされることでしょう。この軽さはステージで暴れたい人にとって、重要なアドバンテージになりますよ。また、ハイポジションの弾きやすさが尋常ではないので、トラッドなスタイルのギターでソロをバリバリ弾きたいという人にもお勧めです。

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