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エドワーズ「E-THROBBER(E・スローバー)」は、トラッド風の本体を現代的にブラッシュアップした、現代のスタンダードとなるギターです。上位ブランド「ESP」の人気機種「THROBBER」を出発点にしながら、構造と操作性をもう一息シンプルにまとめたギターとして仕上がっています。今回は、このエドワーズ「E-THROBBER」に注目していきましょう。
E-THROBBERは、エレキギターの歴史をリスペクトしながら、基本性能にこだわっていらないものをそぎ落とし、必要なものの性能を高く確保しています。演奏に集中しやすく、また音作りが決まりやすい、高い演奏性と使いやすいサウンドにフォーカスしたギターです。部品点数を減らした設計は、調整に苦労したり演奏中にチューニングが狂ったりするリスクの軽減にも寄与しています。では、E-THROBBERの特徴を見ていきましょう。
E-THROBBERの木材構成は、アルダー2Pのソリッドボディ、ハードメイプルネック、ローズウッド指板というオーソドックスな組み合わせです。ここにシングルカッタウェイのボディ形状、ネックのボルトオンジョイント、そしてボディへのバインディングという設計です。これらは、1960年代式テレキャスター・カスタムより始まる「タイトかつストレートなサウンドを出すギター」の伝統的なスタイルを踏襲しています。
また、ボディの表裏には肘や脇腹への圧迫を和らげるカットが施されており、座って弾いたり高く構えたりしてもラクチンです。日本製ということもあって、細部の仕上げやネックの手触りのよさも感じられます。
ストレートタイプのように見えるヘッドは、伝統的な設計から逸脱しない範囲でさりげなくヘッド角を持たせた「CTシステムヘッド」です。全ての弦が適正な圧力でナットにかかり、各弦のテンションバランスが良好にとられ、ストリングリテイナーが不要となります。
ストリングリテイナーを排したことでデザイン的にスッキリするほか、弦が摩擦から解放されます。ロック式ペグの採用もあって、伝統的な設計のギターよりも遥かにチューニングが安定します。
ジョイント部は「スターカット」と名付けられるヒールカットが施され、ハイポジションでの演奏性を高く確保しています。この部分は削れば削るほど弾きやすくなりますが、歴史と実績のある伝統的な設計からはそれだけ遠のいてしまいます。スターカットは「プレートを介して4点留め」という伝統的な設計を守りながら、最低限の加工で飛躍的に演奏性を向上させています。
ハードテイル仕様のブリッジは、本家ESP「THROBBER」にも搭載されている、ESPオリジナルの「Custom Lab Fixed Bridge」です。弦振動を効率よくボディに伝達できるため、アーム付きのギターとは一線を画した、タイトかつストレートなサウンドが得られます。
ベースプレートとサドルがいずれもブラス削り出しで成形され、振動の伝達にたいへん優れています。ブラスの成形には鋳造(ダイキャスト)と削り出しの2種類がありますが、削り出しの方が音響性能に優れ、きらめくような高音が豊かに響きます。
またサドルがベースプレートに囲われ、ユニット全体が一体化してパーツのガタつきが抑えられます。サドル調整用のネジにはステンレスが使われているため、手汗で錆びることがありません。
ピックアップは、フロントにP-90タイプ、リアにハムバッカーという構成です。近年注目されつつあるとはいえ個性的な構成ですが、シングルコイルとハムバッカー両方の音が使えて、なおかつ音量バランスが取りやすい、使い勝手の良さがメリットです。
P-90タイプ、ハムバッカーともに、セイモア・ダンカン製品の中でとりわけヴィンテージ志向の王道ピックアップがセレクトされています。モダン志向のピックアップに比べて出力の高さやキャラクターの派手さこそありませんが、そういうところはアンプやエフェクターで十分カバーできます。ヴィンテージ・スタイルど真ん中のピックアップは、エレキギターで作られた歴史上すべての音楽の末裔であり、どんなジャンルにも挑戦できる守備範囲を持っているのです。
フロントの「SP90-1」は、1950年代のP-90と同じ製法で作られる、ヴィンテージP-90のレプリカです。フェンダー系のシングルコイルと比べて出力が高く、中域の豊かなサウンドが特徴です。トーンを絞ればジャジーな甘い音が、また低域を絞れば澄み切ったクリーントーンが得られます。またポールピースの高さを調節することができるため、各弦の音量バランスをしっかり整えることができます。
リアの「TB-59」は、セイモア・ダンカンの名機「59(SH-1)」のトレムバッカー版です。SH-1は1959年製ギブソン・レスポールに搭載されていた伝説的ハムバッカー「PAF」のレプリカで、芯の太さ、明瞭な高域、程よく抑えた中域を兼ねそなえています。50年代当時と比べて現代はギターの弦が細くなり、またアンプの出力が上がるなどしていますが、SH-1にはこうした時代の変化に応じたアレンジが加えられているので、現代の環境で王道のハムバッカーサウンドが得られます。
「トレムバッカー」は、弦間ピッチ(弦と弦の距離)をフェンダー系の寸法に合わせた仕様です。通常サイズのハムバッカーではポールピースがうまく弦の真下に来にくいところ、トレムバッカーはキチンと弦の下に収まるわけです。
E-THROBBERは3WAYセレクター仕様でコイルタップ非採用ですが、トレムバッカーが4芯設計なので、コイルタップに代表される電気系のアップデートも比較的カンタンです。
EDWARDS「E-THROBBER」のラインナップは、スプラッシュブルー・メタリック(新色)、リーフグリーン・メタリック(新色)、ブラックの3色で展開しています。現代のバンドサウンドを意識した、可愛らしくも渋くもあるカラーリングです。
以上、エドワーズ「E-THROBBER」をチェックしていきました。グループ全体ではESP版の廉価版という立ち位置ですが、1)ボディに空洞を設けてボディ鳴りに柔らかさを加え、2)HH配列を採用して5種類のサウンドバリエーションがあるESP版に対し、EDWARS版では1)空洞は非採用でタイトな鳴りを作り、2)P-90&ハムバッカーのピックアップ構成を採用しており、アプローチの違う独立したモデルとして仕上がっています。
また、新しい設計や現代的なパーツを採用していながらも、実績ある伝統的なエレキギターの構造に敬意を払った設計になっています。ショップで見かけたら、ぜひ手にとってみてください。
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