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フェンダーの新シリーズ「メイドインジャパン(MJ)・モダン・シリーズ」は、高度な演奏技術が求められる現代のプレイヤーに、「最高峰のプレイアビリティとトーン」を提供すべく開発されました。今回はその中でも3モデルが発表された「メイドイン・ジャパン・モダンストラトキャスター(以下、モダンストラト)」に注目し、機能や特徴をチェックしていきましょう。
メイドインジャパンのフェンダー・ストラトキャスター徹底分析!
ではさっそく、3機種のモダンストラトに共通する、特徴的な仕様をチェックしていきましょう。フェンダーのストラトは一見すると区別しにくいですが、中身はすごいことになっています。
モダンストラトのヘッドには、金属の薄板でフェンダーのブランドロゴとモデル名のみが記されている、フェンダーUSAのモダン系最高峰「アメリカン・エリート」と共通する、スッキリと洗練されたデザインになっています。このヘッドは、モダンストラトが「日本製フェンダーにおけるモダン系最高峰」であることを象徴していると見ていいでしょう。
「フェンダー・ジャパン」時代からの伝統で、日本製フェンダーには特に「フレット数は21」という制限がかけられていました(まあまあ例外あり)。このたび「日本製でありながら22フレット仕様を採り入れた、モダン系にしっかり振り切ったモデルが遂に登場した」のは、フェンダー社が大きく方向転換した、ひとつの事件です。MJモダン・シリーズの投入によって「日本製のギターを検討しているけど、22フレットが欲しい」という人の選択肢にフェンダーが入れられるわけで、日本製モデルがフェンダー社にとって、それだけ有力な商品だと結論付けられたのだと推察できます。
3ピース構成のアルダーボディのトップは、中央から両サイドへ緩やかな曲線を描いて薄くなっていく加工が施されます。この形状は美しさを演出し、重量を軽減させる効果がありますが、それに加えて「ピックを持つ手の動きを邪魔しにくい」という演奏性のメリットがあります。また、このボディトップは「フェンダー・ジャパン」時代から今なお根強い人気を誇っている「エアロダイン」シリーズの象徴的な仕様でもあります。
高級機では、中央で張り合わせる2ピースでボディを構成するのが一般的です。しかしMJモダン・シリーズではここにあえて3ピースを採用してきました。日本製フェンダーとしては最高グレードに値するシリーズでの3ピースには、疑問の声も挙がりそうです。しかし3ピースのほうが価格を下げることができ、また剛性を上げることができます。モダンストラトにはシースルー系のカラーリングがありませんから黙っていれば分からないものを、ちゃんと明らかにするあたりに優良企業の心意気を感じさせます。
ネックについては、フェンダーのモダン系最強最新鋭「アメリカン・エリート」シリーズの仕様をおおむね受け継いだものになっています。
こうした仕様はネックのどのポジションでも適切な演奏性が得られ、「現在もっとも弾きやすい」と考えられています。また、指板材には厳選したローズウッドを使用しています。
フェンダーはエレクトロニクスに強いメーカーであり、特徴的なモデルには必ず新たなピックアップを投入します。今回の新シリーズ開発に際しては、
というピックアップ構成になっており、シングルコイルはハムノイズを極限まで撃退したクリアなサウンドが得られ、ハムバッカーではオルタナやラウド系のジャンルでも使える、強力かつまとまりのあるサウンドが得られます。
ペグやブリッジも最新版になっており、ペグは背面から弦をロックする「ロック式ペグ」が採用されています。ロック式ペグはチューニングの安定に大きく寄与するとともに、弦交換の時間短縮にも大いに寄与します。
ブリッジは2点支持のトレモロと、ブロックサドルの組み合わせというモダン系定番仕様です。2点支持はヴィンテージ・タイプの6点支持に比べてアームの操作が軽く、摩擦がかかるところが少ないのでチューニングの安定度も高くなります。また「ポップイン・アーム」が採用されており、アームの着脱は押し込む/引き抜くというシンプル操作です。アームの押し込みは2段階あり、1段階目でトルクのかからない、いわゆる「プラプラ」な状態、もう一息押し込むとトルクがかかり、空中で保持できる状態になります。
モダンストラトの特徴をチェックしていきましたが、これは他のストラトと比べるとどうなのでしょうか。他モデルと比較して、モダンストラトの特徴をさらに突き詰めていきましょう。
まずは、価格が近いモデルでの比較を試みてみましょう。
価格の近いものを探したら、ちょうど正反対のコンセプトで作られているモデルがありました。旧式のストラトから、モダンストラトはどこにたどり着いたのかについても、考えていきましょう。
Fender Road Worn Series 50s Tele & 60s Strat Guitars
適度に傷んだ風格のある外観、チャキチャキのストラトサウンド。ヴィンテージ・スタイルと言えば、まさにこういうものを連想しますね。
MADE IN JAPAN MODERN STRATOCASTER(SSS) | ROAD WORN ’60S STRATOCASTER | |
価格 | ¥ 153,000 (税抜) | ¥ 152,750 (税抜) |
コンセプト | モダン系(日本製最強最新鋭) | ヴィンテージ系(60年代イメージで現代版アレンジ) |
ボディ | アルダー製、ポリエステル塗装 | アルダー製、ニトロセルロースラッカー塗装 |
カラーリング | 塗りつぶし5色 | サンバースト、ホワイトの2色 |
ヒールカット | あり(非対称ジョイントプレート) | なし(長方形ジョイントプレート) |
表:ストラト価格/コンセプト/ボディ比較
まずは価格、コンセプト、ボディの比較です。価格差はわずか250円です。仕様が近くて価格も近いというモデルはなく、価格が近いなら仕様が違う、という住み分けのできた製品群が構成されています。
両機ともボディはアルダーですが、塗装は違いますね。いわゆるポリ塗装は現代における最新クラスの塗装で、発色がよく頑丈です。ヴィンテージ・スタイルならラッカー塗装こそ至高で、独特の触感が支持されます。しかしこちらは一般にダメージに弱く、また高価です。
ハイポジションの演奏性を向上させるヒールカットですが、旧式のストラトでは非採用が基本です。
MADE IN JAPAN MODERN STRATOCASTER(SSS) | ROAD WORN ’60S STRATOCASTER | |
ネック/指板材 | メイプル/厳選ローズウッド | メイプル/パーフェロー |
ネックシェイプ | C to D コンパウンド | Cシェイプ |
トラスロッド | ヘッド側に開口 | エンド側に開口 |
指板R | 9.5 to 14 コンパウンド | 7.25”(648mm) |
フレット数 | 22 | 21 |
フレットサイズ | ミディアムジャンボ | ナロートール |
ナット幅 | 1.675″ (42.5 mm) | 1.650″ (42 mm) |
表:ストラトネック比較
ネック関連ではところどころに違いがありますね。USA/MEXでは上位機種しか使用できないローズウッドが、日本製ならまだ使用できます。とはいえ木材の原価で言えば、パーフェローの方が高価です。ネックシェイプ、指板R、フレットの数とサイズについて、というように押弦に関わるところは随分と変更されています。
ネックエンド側にトラスロッドが開口しているのは、ネックを取り外すことができるというフェンダー最大の特徴を活かした設計ですが、調整のためにいちいちネックを取り外さなければなりません。モダンストラトでは、ネックを付けたまま調整できます。
MADE IN JAPAN MODERN STRATOCASTER(SSS) | ROAD WORN ’60S STRATOCASTER | |
ピックアップ | 4th Generation Noiseless | Tex-Mex Single-Coil Strat® |
操作系 | ボリューム、フロントトーン、センター+リアトーン、5Wayセレクター | ボリューム、フロント+センタートーン、リアトーン、5Wayセレクター |
ブリッジ | 2点留めシンクロナイズド・トレモロユニット、ブロックサドル、ポップインアーム | 6点留めシンクロナイズド・トレモロユニット、ベントサドル |
ペグ | ロトマチックタイプ、ロック式 | クルーソンタイプ |
表:電気系/パーツ類比較
第4世代ノイズレス・ピックアップは、特殊な設計でハムノイズを撃滅させた高級機で、低域もじゅうぶんに出るレンジの広さが特徴です。「Tex-Mex」は、カスタムショップ製の名機「テキサス・スペシャル」のメキシコ版です。
モダンストラトの「センターのトーンがリアにもかかる」という設計は、フェンダー現代仕様では標準的なものです。ROAD WORN’60Sの操作系はもうひとひねり加えられており、リアのトーンは単独です。
ブリッジ/ペグについては機能面でモダンストラトに軍配ですが、
という方向に分けられています。
以上、60年代モデルと2019年モデルの仕様比較でした。ヴィンテージ・スタイルの人気は衰えず、60年代モデルの存在意義は大です。これに対して、演奏性、チューニングの安定、ノイズ対策といった性能面において、モダンストラトには数々のアドバンテージがあることがわかりますね。
では次に、「最強最新鋭」というコンセプトが近いモデルとの比較を試みてみましょう。
日米モダン系対決の様相ですが、さてこちらではどんな違いが見つかるでしょうか。
Fender American Elite Stratocaster HSS
HSSならザクザクのメタルも行けます。この人はイレズミ入ってて顔も怖いですが、押弦は必ずフレット付近という丁寧な演奏、解説については仕様やサウンドについて、特殊配線について、優しく話してくれます。メタルの人は、一見コワいけど実は誠実なイイ人なんですよ。
MADE IN JAPAN MODERN STRATOCASTE HSS | AMERICAN ELITE STRATOCASTER HSS SHAWBUCKER | |
価格 | ¥ 153,000 (税抜) | ¥ 253,800 (税抜)~¥ 258,800 (税抜)指板材により変動 |
ボディ | アルダー製ボディ、ポリエステル塗装 | アルダー製ボディ、グロスポリウレタン塗装 |
カラーリング | 5種(全て塗りつぶし) | 4種(サンバーストあり) |
表:ストラト価格/ボディ比較
約10万円という価格差は、そうとうなアドバンテージではないでしょうか。ボディ仕様はおおむね共通ですが、モダンストラトのボディには、トップに曲面加工、周囲にバインディングが巻かれていて、独特な雰囲気です。
MADE IN JAPAN MODERN STRATOCASTER HSS | AMERICAN ELITE STRATOCASTER HSS SHAWBUCKER | |
ネック | メイプル製、C to Dコンパウンド・バックシェイプ、サテン仕上げ | 同左 |
トラスロッド | ヘッド側に開口。スカンクストライプあり | ネックエンド側に開口。スカンクストライプなし |
指板 | 厳選ローズウッド製、9.5″to 14″コンパウンド・ラジアス、ナット幅42.5mm | エボニーもしくはメイプル製、9.5″to 14″コンパウンド・ラジアス、ナット幅42.8mm |
フレット | ミディアムジャンボ、フレット数22 | 同左 |
表:ストラトネック比較
ネックについては共通する仕様が多いことが分かりますが、指板材には日米で違いがあります。
やはりトラスロッドに違いが出ていますね。アメリカン・エリートではネックエンド側に開口しつつも、ネックを付けたままロッド調整できます。これについては
という構造上の違いがあり、ナット近辺の剛性に変化が出て、弦振動に違いが出ると考えられます。サウンドについてどちらが優秀というものではありませんが、こだわる人にとっては「サウンド全体を構成する一要素」として知っておくべきポイントです。
MADE IN JAPAN MODERN STRATOCASTER HSS | AMERICAN ELITE STRATOCASTER HSS SHAWBUCKER | |
ピックアップ | 第4世代ノイズレス2基、モダンモディファイド・ハムバッカー1基 | 第4世代ノイズレス2基、ショウバッカー1基 |
操作系 | ボリューム、フロントトーン、センター+リアトーン、5Wayセレクター | ボリューム(S-1スイッチ内蔵)、フロントトーン、センター+リアトーン、5Wayセレクター。「パッシング・レーン」スイッチONで、トーン回路をカットしたリアに切り替わる |
ブリッジ | 2-Point Deluxe Synchronized Tremolo with Pop-In Arm | 同左 |
ペグ | ロック式ロトマチック | ロック式ロトマチック(ショートポスト) |
ケース | デラックス・ギグバッグ付属 | TSAロック搭載のABS樹脂Elite成型ケース付属 |
表:電気系/パーツ類比較
やはり電気系にこだわるフェンダーらしく、電気系/操作系には違いが目立ちます。ピックアップではシングルコイルこそ共通ですが、
このようにリアのハムバッカーには方向性の違いが見られます。「エリート」では「S-1」スイッチと「パッシング・レーン」スイッチという二つの特殊回路により、サウンドバリエーションと演奏性が強化されています。
ブリッジとペグについてはおおむね同様ですが、「エリート」の方がもう一歩追い込んだ仕様になっているようです。ケースについては、ギグバッグとハードケースでどちらが嬉しいかは人それぞれですが、一本だけ持っていく時にはギグバッグが便利だし、一度に何本も運ぶ時には積み重ねられるハードケースが有利です。
以上、かなり近いコンセプトの両モデルを比較しました。この二本は方向性こそ接近しており、ネック的にはほぼ同じ演奏性のようです。一方でボディカラーとピックガードの色調の組み合わせには同じものがなく、指板材も違います。電気系の機能面で言えば、「エリート」はかなり優秀な作りになっています。こうした違いと「約10万円」という価格差とのバランスを考慮すると、現代的なストラトを検討するならば、多くの人に対してモダンストラトはかなり有力な選択肢だと言えるでしょう。
では、MJモダンストラトキャスターのラインナップをチェックしていきましょう。ピックアップ配列により3タイプがリリースされています。
3タイプのモダンストラトの中で、HH配列の本機がもっとも特徴的な存在だと言えるでしょう。
という仕様はSSS機、HSS機と比べかなり硬派な、またクールな印象を与えます。
HH配列のため、ピックアップセレクターは3WAYとなり、トーンはフロントとリアそれぞれを操作します。これまでフェンダーはHH配列のストラトを何機種も発表していますが、ピックガードレス、ダイレクトマウント、という現代ヘヴィミュージック流行の仕様を取り入れたレギュラーモデルはありませんでした。ハムバッカーのダイレクトマウントは、一般に音が引き締まって硬質になります。フェンダーの伝統は背負いながらも、かなり思い切ったところにまで踏み込んだモデルだと言って良いでしょう。
MADE IN JAPAN MODERN STRATOCASTER HHを…
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オーソドックスなスタイルの中に、USA製最強最新鋭のアメリカン・エリートに匹敵する仕様を盛り込んだ、日本製最強最新鋭のストラトキャスターです。曲面を描くボディは抱えやすく、表も裏も徐々に変化していくネックはどのポジションでも弾きやすく、ハイポジションの演奏性も良好、音は良くノイズに悩まされにくく、チューニングは安定して弦交換も早い、ということであらゆる基本性能が向上しています。
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モダンストラトHSSは、日本製最強最新鋭のストラトキャスターに「モダンモディファイド」高出力ハムバッカーを搭載させたギターです。ズシンと思いディストーションを使いながらもキレイなクリーンも必要だと言う人にはこちらが良いでしょう。HHモデルと違いこちらはピックガードにマウントされているので、わずかに柔らかいニュアンスが音に含まれ、あらゆるジャンルの音楽に馴染みます。
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