ピックを作って半世紀《一爪入魂》池田工業訪問インタビュー

[記事公開日]2016/9/7 [最終更新日]2021/7/3
[編集者]神崎聡

池田工業:訪問インタビュー

月に何十万枚も生産するというピック工場を見学しました!

プレス機

IKEDA 短冊に切った板材を、プレス機で抜いていきます。

材料庫

IKEDA 材料庫です。この大きなサイズのままだと自重で波打っているんですが、ピックのサイズになると真っすぐになります。手前に出したのは、マルチカラーモザイクとベッコウ柄です。このマルチカラーモザイクは、ロック系の大物アーティストさん二人に永らくご愛用頂いています。

研磨場

IKEDA 研磨場です。ココが一番大事な工程です。天然石と研磨剤を入れて、いっしょにかき回します。今は曲げる前のサムピックを作っています。

仕上げ用の研磨機

IKEDA こちらが仕上げ用の研磨機で、一緒に混ぜる石にも違いがあります。研磨の工程には全部で3日ほどかかります。

サムピックを曲げる機械

IKEDA これはサムピックを曲げる機械です。お湯の中で柔らかくなったところを曲げて、水の中に落としていきます。機械を導入してみたものの人の手でやった方が確かなので、今でもパートのお姉さんたちに頑張ってもらっています。フィンガーピックは機械がないので、全て手作業で曲げています。

池田社長の職人芸!

ベッコウ・ピックの研磨

IKEDA(池田) ベッコウのピックを研磨してみますね。さっき事務所にあったあのベッコウと同じものをスライスしてこの厚さにして、加熱して柔らかくしてからタガネで一枚一枚抜いて原形を作ります。

IKEDA(奥野) これは社長しか持っていない技術です。私たちがやっても仕上げがガタガタになってしまいます。

ベッコウ・ピックの研磨2

IKEDA(池田) 誰でもできますよ(笑)。ここで使う泥は研磨機で使うものと同じです。一枚一枚バフがけをします。

大正琴ピック

これは大正琴のピックです。
こちらで荒削りをし、となりの機械でワックス磨きをします。

taishogoto-waxx

これに滑り止めとブランドロゴを付けたら、完成です。厚さは5.6mmで、角度の違う頂点はそれぞれ使うようです。

印刷して出荷するまで

セルロイド・ピック

IKEDA セルロイドは伝統的な素材ですが、音が良いことから相変わらず人気です。研磨が終わったものはこうして風にさらし、24時間乾燥させます。

「INFINIX」の原材料

IKEDA これが「INFINIX」の原材料です。これを溶かして型に流し込みます。「MASTER 8 JAPAN」の「8」を「∞(無限。Infinity)」と読み替えて、この名前にしました。

ホットスタンプ印刷

こちらはホットスタンプ印刷をしているところです。ちょうど「MASTER 8 JAPAN」のジャズピックを印刷しているところですね。赤いのがインクリボンで、熱を帯びたスタンプを押し付けて転写します。スタンプは亜鉛合金で作ります。

──インクリボンを使用するタイプのプリンター(熱転写プリンタ)を覚えている人は何人いるんでしょうか。

池田工業スタッフ

IKEDA この部屋には、熱転写用のスタンプがブランドごとに整理されています。ブランドごと、またアルファベット順でまとめていますが、小さなスタンプを一個さがしだすのに大騒ぎになることもあります(笑)。メーカー立ち上げ当初から約半世紀、かわらずこのやり方です。奥では88歳のおばあちゃん(初代社長夫人)が作業しています。印刷が終わったものは、まとめて出荷していきます。

──今までインタビューに行ったメーカーさんの名前がずらりと並んでいますね!

incjet-print

IKEDA こちらはインクジェットプリンタです。データを入力すれば印刷できるので便利です。今はヘアラインの印刷に透明な下地を塗って、デザインを重ねているところです。先程の苦労話で紹介したシリアルナンバーも、この機械で印刷しました。工程は以上です。

──ありがとうございました。


ikeda

以上、郡上八幡、池田工業株式会社からでした。「MASTER 8 JAPAN」のピックはさっそく話題を呼んでいます。アーティストリレーションやプロモーションなどブランド戦略がしっかりしていることもありますが、取材の中で何度も「お陰さまで」という言葉を聞きました。これまで確かな仕事を続けてきて信頼を得てきたからこそ、新しく立ち上げたブランドが注目されるのだし、信頼関係を築いてきた取引先も協力を惜しまないのでしょう。

人類未体験のピック「INFINIX」、ぜひチェックしてみてください。

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