シェクター(Schecter)のギターについて

[記事公開日]2016/1/9 [最終更新日]2022/4/5
[編集者]神崎聡

シェクター(Schecter)のエレキギター

デヴィッド・シェクターがリペアショップ「シェクター・ギター・リサーチ」をオープンしたのは1976年。以後、フェンダー向けに様々な交換用パーツを生産していきますが、やがて自社製品のみでギターを作る事ができるまでになり、ギターメーカーへと進化していきます。

投資家による企業買収を受けてピンチになったこともありますが、現在では回復。カリフォルニアで生産される量産ライン「ダイアモンドシリーズ」と、日本で生産されるハンドメイド・カスタムギターの両面を軸に、プロダクツを展開しています。

シェクター・ギターの特徴

斬新なパーツ展開

SCHECTER:ロゴ SCHECTER AD-KM-6のヘッド(左利き仕様)

シェクターの第一の特徴は、ギターメーカーとしてネックやボディなどの木工、ブリッジやペグなど金属パーツだけでなく可変抵抗器(=ボリュームやトーンのポット)まで、あらゆるパーツを高品位に生産できる生産力です。この生産力ををいかんなく発揮した、柔軟な発想でオリジナリティのあふれるパーツ展開をしています。

ブラックパーツ

AD-KM-6:ボディ AD-KM-6:ボディ

精悍なルックスのブラックパーツもシェクター発祥です。現在ダイアモンドシリーズの「ブラックジャック」、「ステルス」などで採用されています。

モンスタートーン

モンスタートーン・ピックアップ

シングルコイルのサイズでありながら、ハムバッカーを凌駕する出力が得られるシェクターオリジナルピックアップです。ハイパワーなだけでなく、スイッチの操作で通常のシングルコイルとして使用する事もできます。また、センター用はコイルを逆に巻いているので、ハーフトーンを使用する際にはノイズを軽減(=ハムキャンセル効果)できます。現在シェクタージャパンの基本モデルに搭載されているシングルコイルは全てモンスタートーンになっています。

SGRペグ

SGRペグ

ストリングポストの高さに変化をつけたストラト/テレキャス向けのペグです。これによりストリングガイドに頼らなくても、弦がナットから外れる事がなくなります。ストリングガイドにかかっていた摩擦をなくす事ができるため、チューニングの安定に寄与します。シェクタージャパンのFRT仕様のものでないモデルに標準装備されています。

ブラスナット

サックスやトランペットに使われるブラス(=真鍮)は、音の伝導率が最も良い金属です。このブラスでナットを作ったのはシェクターが初めてで、音の好みは人それぞれですが、クリアなサウンドとしっかりしたサスティーンで支持されています。

ルックスのインパクト

SGRペグ シニスター・ゲイツ シグネチャーモデル

Schecter Hellraiser Avenger Schecter Hellraiser Avengerシリーズ:残念ながら国内では流通していない

シェクターの第二の特徴は、ルックス的なアピール力です。かつてのシェクターUSAを継承しているシェクター・ジャパンのラインナップは、基本的にフェンダーのスタイルでありながら、際立った木目や思い切った色使いを採用して強烈なインパクトを発します。もちろん渋いルックスが好みのプレイヤーのために、伝統的なスタイルを守ったモデルも揃えています。

一方ダイアモンドシリーズでは、HM/HRのプレイヤーにアピールするいかついルックスが特徴です。変形ギターにはあまり手を伸ばさず、ダブルカッタウェイ、アーチトップ、片側3連ペグのものを多く発表しており、一目でダイアモンドシリーズだと解る存在感を発揮しています。

シェクターを使用している主なギタリスト

ピート・タウンゼンド

ザ・フーのギタリスト。真っすぐ伸ばした右腕をぐるんぐるん回して演奏する「ウィンドミル奏法」の達人。テレキャスタイプの楽器に2基のハムバッカーを搭載したカスタムギターを1979年から1985年頃までメインで使用していました。この2ハムのテレキャスは、非公式に「ピート・タウンゼント・モデル」と言われています。
ピート・タウンゼンド

マーク・ノップラー

イギリスのロックバンド「ダイアー・ストレイツ」の中心人物で、ボーカルとリードギターを担当。音楽的な功績が認められ、大英帝国勲章を受けています。エリック・クラプトンの「クロスロード・センター」運営資金のためにオークションで出品した彼のシェクターが5万ドル以上の値段で落札され、シェクターギター落札価格の最高記録となっています。

スティーヴ・ルカサー

ボズ・スキャッグズのバックバンドが発祥だった、スタジオミュージシャン集団「TOTO」のギタリスト。現在ではミュージックマンを使用していますが、バンドのデビュー当時はシェクターのネック、モンスタートーンのプロトタイプを搭載したカスタムストラトをギブソンレスポールと並べて使用していました。日本のギターメーカー「MOON」がシェクターのパーツで組んだ赤いストラトは、「Africa」のPVで確認する事ができます。

小林信一

小林信一シグネチャーモデル:PA-ZK-T6「トキ」

ブームとなった「地獄のメカニカルトレーニング」シリーズの著者であり、テクニシャンばかりで編成されたロックバンド「地獄カルテット」の中心人物。「上半身裸にネクタイ」というファッションが世界一似合うギタリストで、テクニックを前面に押し出すプレイスタイルは圧巻で痛快です。


その他、ヘヴィメタル、ハードロック、オルタナティブ・ロックのミュージシャンに支持されています。

  • イングヴェイ・マルムスティーン
  • ショーンイスルート(元ホワイトゾンビ)
  • ジェリー・ホートン(パパローチ)
  • エディ・ヴェダー(パールジャム)
  • ロバート・スミス(ザ・キュアー)
  • ロバート・ディレオ(ストーン・テンプル・パイロッツ)
  • プリンス
  • ショーン・モーガン(シーザー)
  • アンディ・テイラー(デュランデュラン)

シェクター・ギターのラインナップ

これまで紹介したように、現在のシェクターは日本とカリフォルニアで全く異なったアプローチの楽器を展開しています。日本ではシェクター創立からの伝統であるフェンダー的なプロダクツを展開、熟練したルシアーの手による高品位な楽器を生産、オーダーメイドも受け付けています。一方カリフォルニアのダイアモンドシリーズは韓国で製造、アメリカのシェクターショップでセットアップという行程で生産する事により、高品質と低価格化を実現するかわりに、オーダーメイドは受け付けていません。

シェクタージャパン:REXY

schecter REXY 左から:RX-2-24-CTM-TOM/CBLU、RX-2-24-CTM-TOM/ANT、RX-2-24-CTM-TOM/BAMB、RX-2-24-CTM-VTR/BGRN、RX-2-24-CTM-VTR/SBI、RX-2-24-CTM-VTR/BLT

アーチトップ/セットネック24フレット仕様、ホンジュラスマホガニーバック/4Aフレイムメイプルトップ/メイプルネック/ホンジュラスローズウッド指板と、いずれも極上の材が使われる日本製シェクター最高峰ラインナップ、完全受注生産モデルです。

Gotoh製ロックペグ「360-01 MG-T」、ピックアップ「SCHECTER SUPER ROCK III」2基はコイルタップに対応。ブリッジは裏通しタイプの「RX-2-24-CTM-TOM」、Gotoh 製 EV510TS を搭載したシンクロナイズド・タイプの「RX-2-24-CTM-VTR」の2モデルに分けられ、両モデルとも6色づつ計12色のカラーリングが用意。
コストパフォーマンスモデル「RJ」シリーズも存在します。

REXY シリーズを…
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シェクタージャパン:EX EXCEED シリーズ

シェクタージャパン EX EXCEED シリーズ Schecter JAPAN EX EXCEED シリーズ

4Aキルテッドメイプルトップやスワンプアッシュの木目が強烈なインパクトを放つ、シェクタージャパンの最高グレードです。メイプルトップのモデルにはボディ周囲にナチュラルバインディングが施され、高級感を演出しています。音の良さ、弾きやすさ、サウンドバリエーション、ルックスの全てに対する高い要求を実現することを目指し、厳選されたマテリアルと頼もしいパーツ、熟練工によるていねいな組み込みで生産されています。ピックアップ配列はHSHかSSHのどちらかで、全てのピックアップがスイッチ操作で現代風の高出力からヴィンテージライクな低出力に切り替える事ができ、ハムバッカーにはタップできるようになっています。また24フレットモデルと22フレットモデルの二つを用意しており、ここにこだわるプレイヤーの要求にきちんと応じています。

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シェクタージャパン:TRADシリーズ

SHECTOR TRADシリーズ SHECTOR JAPAN TRADシリーズ

伝統的なフェンダーのスタイルに敬意を払いながら、シェクター独自のアレンジを加えて強化したモデルです。ストリングガイドを排してチューニングを安定させるSGRペグ、音響特性に優れたブラスを採用したオリジナルブリッジ、スイッチ操作によりヴィンテージライクなサウンドにも切り替えられるハイパワーピックアップ「モンスタートーン」、通常のハイカットからローカットに切り替えられる「スプリットトーン」など、多様性と利便性、そして品質を兼ね備えた楽器です。

ダイアモンドシリーズ

SHECTOR DIAMOND SERIES Schecter DIAMONDシリーズ

シェクターの社長はフェンダーのデザインが嫌いで、フェンダースタイルのデザインを距離を置きたいと言う考えがありました。また、若手ミュージシャンも頑張れば手に入れられる高品位な楽器を生産したいという考えがあり、1998年の発表から現在のラインナップに至ります。

ダイアモンドシリーは見るからにHM/HR志向の剛胆なルックスで、Ibanezに対抗するかのように7弦、8弦、9弦まで揃えています。またピックアップは2Hが基本で、EMGやダンカンなどいろいろなものが採用されています。ボディ材はマホガニーを基本としてアッシュやアルダーのものもあり、ネックはマホガニー又はメイプルで、ボルトオン、セットネック、スルーネックのもの、と豊富なバリエーションがあり、自分の理想に最も近いスペックの一本を選ぶ事ができるようになっています。
中でもコストパフォーマンスに優れた OMEN シリーズは SCHECTOR ビギナー向けのモデルとなっています。

AD-KM-6

AD-KM-6 サムネイルをクリックして拡大
  • AD-KM-6
  • AD-KM-6:ペグ
  • AD-KM-6:ジョイント部
  • AD-KM-6:ネック
  • AD-KM-6:バインディング

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