エレキギター/ベースの新たなブランド~RYOGA~

[記事公開日]2019/6/26 [最終更新日]2024/8/25
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

HORNET

「HORNET(ホーネット。スズメバチ)」は、その名の通りRYOGAの中核を担う代表機です。ボディ/ネック共にマホガニーを使用し、リードギターに特に良好な力強く厚い音色を持っています。HORNET開発にはロックバンド「KANA-BOON」所属の古賀隼斗(こがはやと)氏も深くかかわり、最高級のマテリアルを使用したご本人シグネイチャーモデルも限定生産されています。

HORNETの基本仕様は

  • マホガニーボディ、弦長628mm、15フレット接続
  • SH配列のピックアップ、2V1Tの操作系

を基本とし、ボディ厚やブリッジ仕様、ネック構造などでバリエーションが作られます。


KANA-BOON 『それでも僕らは願っているよ』Music Video
黒いレスポール・デラックスをメインとして使用している古賀氏。黒い服装をこよなく愛するギタリストとして、またレスポールを高く構える日本人代表として知られています。執筆時点でHORNETを使用しているPVは確認されていませんが、今後ステージで登板されることが期待されます。あくまでもレスポールが好きだが、アームが使えて軽いギターを使ってみたいという古賀氏の要望が、HORNET開発のきっかけとなりました。

HORNET-G3

RYOGA HORNET-G3 上から:HORNET-G3 TPG、HORNET-G3 TPR

HORNET-G3は、

  • 45mm厚のマホガニーボディ
  • TOMブリッジ
  • マホガニー + ハードメイプル + マホガニーの3層ネック

を採用したモデルです。弦振動をより受け止めるためボディをやや厚くしたことで本体重量は約3.6kgとRYOGAではやや重ためですが、一般論としてはしっかり軽量級です。TOMブリッジには音響特性に優れるブラス製サドルが付けられ、伝統的なアルミ製テールピースが弦を受け止めます。

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HORNET-H3/SP
HORNET-H3V/SP

HORNET-H3V SP HORNET-H3V/SP

HORNET-H3/SP、HORNET-H3V/SPは、

  • 42mm厚のマホガニーボディ
  • ハードテイル(裏通し)ブリッジ
  • マホガニー1Pネック

という仕様で、ピッキングへの反応が良く、約3.3kgというかなり軽い一本です。ネックサイドのポジションマークには畜光素材を使い、暗転したステージで視認性を向上させています。

RYOGA製ピックアップを搭載した「H3」はブルーとレッド、ヴァンザント社製ピックアップを備える「H3V」はバーガンディミストとブラック、というように仕様ごとにカラーリングにも違いを出しています。

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HORNET-T3V

RYOGA HORNET-T3V 上から:HORNET-T3V TPI、HORNET-T3V TPW

さきほど注目したHORNET-T3Vは、

  • 45mm厚のマホガニーボディ
  • トレモロユニット装備
  • ヴァンザント社製の高級ピックアップ装備
  • マホガニー+ハードメイプル+マホガニーの3層ネック

という仕様です。アーミングではネックにかかる弦張力が大胆に上下しますから、ネックの芯に強固なメイプルを挿しこむことで剛性と安定性を稼いでいます。トレモロは一般的なシンクロナイズド・トレモロユニットの取り付けに準じており、ベタ付けセッティングも可能です。

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BLACKHORNET

RYOGA BLACKHORNET

BLACKHORNETは、

  • 45mm厚のマホガニーボディ
  • トレモロユニット装備
  • 木材表面の凹凸を感じられる「オープンポア」仕上げ
  • マホガニー1Pネック

という仕様で、KANA-BOOM所属、古賀氏ご本人仕様のシグネイチャーモデルをレギュラーライン向けにアレンジしたモデルです。マホガニーへのこだわりはそのままに、価格を抑えたことで手に取りやすくなっています。ご本人仕様と同様にブリッジ下には「ザグり」が施され、自然なビブラートがかけられる他、ある程度ならばアームアップも可能です。非常に薄い塗装ならではの、倍音豊かで柔らかく明るい響きが特徴です。

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HORNET-TOKIO

RYOGA HORNET-TOKIO

HORNET-TOKIOは、

  • 45mm厚のマホガニーボディ
  • マホガニー1Pネック
  • コイルタップ付きハムバッカー1基
  • 世界的アーティスト、ShojonoTomo氏の描き下ろしグラフィック

という仕様で12本限定生産されています。「Tokio」は「東京」のドイツ語、スペイン語、フィンランド語訳です。ギターを弾いているキャラクター「Mr.TOKIO」を中心としたポップなデザインは、ステージで強烈な個性を発揮します。

リアハムバッカー1基でボリュームとコイルタップのスイッチのみ、という潔い仕様ですが、フロントピックアップ用の穴が開いていないためジョイント部の剛性が極めて高く、「1ハムならではのタイトなサウンド」を得ることができます。弦ごとにサドル位置を設定したオリジナルのバー・ブリッジは、サドルとブリッジが一体でパーツ点数が少なく、そのため振動伝達に優れ、楽器本体のタイトさを後押しします。

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BUMBLE

「BUMBLE(バンブル。Bumblebeeはマルハナバチの意)」は、先述したHORNETのスタイルを引き継ぎながら、特にボーカルも担当するギタリストに向けたアレンジにより、まったく異なる方向のギターとして仕上がっています。

  • アユース+メイプル+アユースのボディ構造
  • TLタイプブリッジと、ボディ裏のブラス製ブロック
  • ハードメイプル3層ネック

といった仕様ですが、もっとも注目すべきは「軽量なことで知られるバスウッドよりも軽い」と言われる「アユース材」をボディに使用しているところで、これにより「ソリッドギターながら僅か3.1kg」という本体重量を実現させています。歌いながら演奏して、MCもやってという忙しいギターボーカルにとって、軽量で重量バランスのよい「自分が動きやすいギター」はとても心強い味方となるでしょう。

一般的にあまり軽量なボディでは音像がぼやけてしまいますが、

  • ボディ中央にメイプル材を配置
  • ボディ裏にブラス製「弦留め」ブロックを配置

などさまざまな工夫が加えられ、バンドアンサンブルでは邪魔になる不要な低音域が整理された、軽やかながらしっかりとした芯のあるサウンドが得られます。

メイプル製ネックがメイプルのセンター部にセットインされるという工法ですが、「それならばいっそスルーネックにしてしまったほうが早かったのでは」とも考えられます(参照:ネックの材質・形状について)。しかしBUMBLEのボディ中央は、表にカーリーメイプル、裏に同じ厚さのハードメイプルという美観と機能を兼ね備えた二層構造です。ここにメイプル3層ネックが挿入されるためには、セットネックという工法が必要だったわけです。

BUMBLE-F4 / BUMBLE-F4V

RYOGA BUMBLE-F4 上から:BUMBLE-(F4 TPR、F4 TPS、F4V TPB)

BUMBLE-F6 / BUMBLE-F6V

RYOGA BUMBLE-F6 上から:BUMBLE-(F6 TPB、F6 TPI、F6V TPR)

BUMBLEはフロントにふつうサイズのシングルコイルピックアップを備える「F4」、フロントにP-90タイプのピックアップを備える「F6」の2タイプがあり、それぞれにピックアップをヴァンザント社製に換装したバリエーションモデルがリリースされています。

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CICADA

ソリッドギター的なサイズながらエアー感のあるサウンドを持つ「CICADA(シカーダ。蝉)」はHISTORYの渡辺香津美シグネイチャーモデル「Tidewater(タイドウォーター)」の開発コンセプトを引き継いだセミアコです。最高のジャズギターを作るべく開発されたTidewaterに対し、CICADAはロックバンドでの使用に最適化された設計となっています。

CICADA-G2

RYOGA CICADA-G2

セミアコの標準機「CICADA-G2」は、

  • 20mmのライトアッシュトップ、40mmのマホガニーバック、ホロウ構造
  • 弦長638mm(HORNETとSKATERの中間)
  • 1Pマホガニーネック、エボニー指板

というギター本体で、約3.1kgという軽量化を実現させています。

Fホールの無いボディ内部は外周に沿って大きくくり抜かれており、冷たい水の中で100年以上眠ってしっかりと熟成されたメイプル材「ヘリテイジウッド」製のトーンブロックが、ブリッジ直下に配置されます。ヘリテイジウッドは倍音の音響特性に優れ、トップからバックまで効率よく振動を伝達することから、薄型のボディながら豊かな生鳴りが得られます。

軽量なボディでも重量バランスはやはり良好で、ロック系のギタリストが長めのストラップで構えても、水平気味にしっかりと落ち着きます。

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SKATER

「SKATER(スケーター/Pond Skater : アメンボ)」はRYOGAギターラインナップの中で唯一、

  • ボルトオンジョイント
  • 弦長648mm
  • 24フレット

というネック仕様を採り入れたモデルです。弦長を活かした張りツヤのあるパリっとしたサウンドが持ち味で、特にコード弾きを中心とする現代のバンドにフィットする設計になっています。

また、一般的なエレキギターがおおむね12フレット地点でストラップを装着するのに対し、SKATERは6弦側のホーンを短めに設計し15フレットの地点で装着します。これによりストラップが演奏者の身体にもうひといき寄り沿うような形になり、立奏時のフィット感が向上します。それでも重量バランスはしっかり計算されており、

  • エンド方向にやや延長したボディ形状
  • 6弦側へ約3cm移動させたエンドピン

などの工夫によって、両手を離しても水平ぎみにきちんと収まる良好なバランスがとられています。

SKATER-H3

RYOGA SKATER-H3

ハードテイル仕様の「SKATER-H3」は、

  • 38mm厚のアルダーボディ
  • ハードメイプルの3層ネック

という仕様で、約3.1kgという超軽量を成し遂げたモデルです。ネック裏は着色され、スモークされたようなシックな雰囲気を演出しています。

採用されているWSC社製ブリッジは、ブリッジプレート/ブロックサドル共に、音響特性に優れる亜鉛製です。亜鉛は鉄よりもう一息軽量で、サウンド面だけでなく本機の軽量化にも寄与しています。

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SKATER-T3V

RYOGA SKATER-T3V

トレモロ仕様の「SKATER-T3V」は、

  • 45mm厚のライトアッシュボディ
  • サーモウッド・メイプルとブビンガの5層ネック

という仕様で、本体重量は約3.9kgとRYOGAではやや重ためです。

サーモウッドは加熱処理で熟成させた木材で、処理前の状態に比べて寸法が安定し、響きが良くなります。ヴィンテージギターの「長い時間を経てこそ得られる枯れた鳴り」を再現する素材として、Sagoを皮切りに各社が使用しています。

搭載されているピックアップはいずれもヴァンザントで、サーモウッドのネックと相まって、現代的な演奏性がありながら、古き良き名曲で耳に馴染んだヴィンテージ系のサウンドが得られます。

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以上、RYOGAのギターに注目していきました。
RYOGAは全モデルがオリジナルという自由を武器に、エレキギターの伝統に敬意を払いながら、新しい木材構成、新しいサウンド、新しい演奏性を世に訴えます。ショップでRYOGAを見かけたら、ぜひその音と演奏性に刺されてみてください。
RYOGAは次々と販売店舗を拡大していきます。公式ホームページからRYOGA取扱店舗一覧は随時更新していきますので、最寄りの楽器店の名前を見つけたら気軽に問合せしてみてください。

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