エレキギターの総合情報サイト
「RYOGA(リョウガ)」はスズメバチをマスコットキャラクターに据え、日本人アーティストのライブパフォーマンスを支えるために設立されたオリジナルブランドです。アーティスト・リレーションを重ねて完成したRYOGAラインナップは、2017年8月のデビュー以来さっそく話題になっています。今回はRYOGAに注目していきましょう。
1: RYOGAとはどういうブランドか 1.1:「スズメバチ」にかける思い 1.2: 全モデルにこだわる「重量バランス」 1.3: スピード感溢れるサウンド 1.4: 少量生産のプレミアム感 2: 代表機種に見るRYOGAの特徴 2.1: 伝統を尊重しながら現代音楽の要求に応えるギター本体 2.2: 機能と重量バランスを考慮した、オリジナルのヘッドストック 2.3: シンプルかつ的を得た電気系 2.4: 信頼のGOTOH製金属パーツ 3: RYOGAのラインナップ 3.1: HORNET 3.2: BUMBLE 3.3: CICADA 3.4: SKATER
レスポールやストラトキャスターなど伝統的なエレキギターは、当然ながら平均的な欧米人に合わせて設計されています。これに対して、
従来からある伝統的なスタイルのエレキギター/ベースは、平均的な日本人の体格に対しては大きくて、重いのではないか・・・。「もっと弾きやすく、もっと動きやすく、そのパフォーマンスを更に向上させる楽器」を創りたい、
という想いからRYOGAの基本コンセプトが立ちあがりました。
弾きやすさや軽さを追求し、重量バランスにもこだわり抜いたエレキギター/ベースは、ギターがもつ普遍的な美しさは残しつつも、既存のシェイプには縛られないオリジナル・デザインとして誕生しました。設計から根本的に見直し、演奏性のみならず、そのサウンドにもこだわることで、オリジナル・ピックアップの開発などを通じ「時代にマッチするサウンド」までも獲得しています。これらの「進化」は、プロと呼ばれるアーティストにはもちろんのこと、今日ギターを始める初心者にとっても大きなメリットとなります。次世代のスタンダードとしてあらゆるギタリスト/ベーシストに「新しい楽器」を提案するブランドです。
ヘッドにはスズメバチのロゴ(SKATER LE)
マスコットキャラクターのモチーフは、主に東南アジア(日本)を生息地とするオオスズメバチ。小さいながらも非常に強い、というイメージは世界的にも広く知られています。RYOGAには「海外に進出する日本人アーティストに、日本のブランドの楽器を持って世界に羽ばたいていってほしい」という想いがあり、これを日の丸を背負ったスズメバチのロゴで表現しています。
RYOGAでは
伝統的なギターの中には「手を離したらヘッドが垂れ下がる(=ヘッド落ちする)」といったギターやハイポジションが弾きにくいギター、いわば「楽器に人間が合わせるようなギター」が多いが、これからのエレキギターはそうあるべきではない
という考えの元、「ライブパフォーマンスを向上させる」というコンセプトにもあるように、RYOGAでは構えた時のバランスの良さ、特にストラップで構えた時のバランスの良さが全モデルで追求されています。ヘッド重量を軽減させたりエンドピンの位置を再検討したりといった数々の工夫によって、両手を離してもヘッドが落ちてこない、全モデルで一様に水平ぎみに落ち着く、理想的なバランスが達成されています。
ボディ側に重心を持つバランスは取り回しが良く、ライブパフォーマンスをしっかりバックアップしてくれます。またこれは座って演奏する時にも良好で、楽器を安定させるのに苦労を必要としません。それはライブステージの場に限らず、自宅での個人練習やDTM録音制作、スタジオ練習においても扱いやすく、あらゆる局面でそのメリットを感じることでしょう。座奏時と立奏時のポジション変化が少ないことで、自宅練習で弾けたのにスタジオで弾けない、といった残念なシチュエーションも軽減できるはずです。
エフェクターを多用せずとも、アンプにプラグインするだけで比較的容易に、現代的なロックサウンドが得られます。薄めのボディから得られるレスポンスが良くスピード感溢れるサウンドを、音の分離が良くキレのあるオリジナル・ピックアップがアウトプットします。手元のボリューム操作だけで、クリーンからクランチ、ドライブサウンドまで多彩な表情を見せてくれます。
全国展開する量販店のブランドながら、RYOGAは「1モデル6〜12本」という大胆な小ロット生産を採っています。個性を大切にするギタリスト/ベーシストにとっては「同じものを持っている人が少ない」というのは大きなメリットになります。また販売店を通じて送られてくるユーザーからの声を「次のロットで迅速に反映させる」という開発上のメリットもあり、常に進化していく態勢になっています。
HORNET-T3V TPI
ではさっそく、RYOGAラインナップの核となるモデル「HORNET(ホーネット)」シリーズより「HORNET-T3V」をピックアップして、新しい楽器を世に訴えるRYOGA製品の特徴を追ってみましょう。
マホガニーを基調とする木材構成とセットネックという構造から、HORNETは一見すると既存のエレキギターに似ているようにも見えますが、中身には独自性が詰まっています。RYOGA全モデルに共通して、ボディデザインは左右非対称のくびれを持ち(オフセット・ウェスト)、立って構えるとき、座って構えるときいずれにおいても良好なポジションに収まるように計算されています。
一般的なギターと比べるとHORNETのネックは深く挿さっており、15フレットから先がボディです(15フレット接続)。これによってボディから突き出しているネックの長さが2フレット分短くなり、ネックの剛性が向上します。ネック本体は「ハードメイプルをマホガニーで挟む」という新しい構造で、マホガニーのみで構成されるネックより、遥かに剛性を稼ぐことができます。ジョイント方式とネック構造の両面でネック剛性が上げられており、楽器としての反応の良さ、弦振動の力強さ、サスティンの豊かさが強化されています。また、ネックの重心がボディ側に寄るので、ヘッド落ち解消の一助にもなっています。
ジョイント部には滑らかな「ヒールカット」が施され、また1弦側のカッタウェイは思い切り深く削られており、ハイポジションでの非常に高い演奏性を実現しています。弦長は628mmで、近年流行している「25インチ(約635mm)」よりもぐっと短く、手の小さいプレイヤーにとっても快適な演奏ができます。
全モデル共通の形状が採用されているヘッドに文字はなく、スズメバチがインレイで埋め込まれているのみ。スッキリしつつ格調高いデザインで、小さく二股に分かれたヘッド先は、クリップチューナーの使用を想定しています。
開発コンセプトのとおり、重量バランス、特にヘッドの重量には深くこだわっています。ヘッド自体を小型化、ペグには精度の高いロトマチックタイプとしながら、そのつまみにはプラスチック製を指定して軽量化するなど、「ヘッド落ち」の対策がしっかりとられています。ペグはナットから弦がまっすぐ伸びるように配置され、ナットからペグまでのストレスを最小限に軽減、チューニングの安定度を向上させつつ、素直な弦鳴りも獲得しています。
HORNET-T3V TPWのボディ
フロントにはボディにダイレクトマウントされたシングルコイル、リアにパワーのあるハムバッカーをエスカッションマウント。SH配列のピックアップはシンプルながら必要十分で、各々に独立した2ボリュームにより、シングルコイルのサウンドを活かしたクリーンやクランチから、ハムバッカーならでの太く歪むリードまで作り出せます。想像を超えた多彩なトーンを生む合理的な配列です。
多くのRYOGA製品に搭載されるピックアップは、現代のロックサウンドに最適と言える現代的なニュアンスを持ったオリジナルモデルとなります。いっぽうここで注目しているHORNET-T3Vのように型番に「V」の付くモデルには、ヴィンテージ系の定番として知られる ヴァンザント製が採用されています。モデルごとに特徴を活かしたサウンドになっていますので、店頭で弾き比べてみても良いでしょう。「ポイントを絞ったシンプルなコントロール」を重視し、あえてコイルタップは備わっていませんが、4芯構造のピックアップのため後からの改造は比較的容易に可能なようです。
2V1Tのコントロールノブとピックガードは意匠を合わせており、リッチにまとまった雰囲気をギターに帯びさせています。
HORNET-T3V TPWのペグ
ペグとトレモロユニットには、精度の高さが世界的に認知されているGOTOH(ゴトー)社製のものが採用されます。ロック式ペグはギア比18:1(つまみを18回回すと軸が一周する)という高精度で、シビアなチューニングが可能です。上位モデル「510」シリーズを採用したトレモロユニットは、現代的なスタイルながらトレモロブロックは重量のある鉄製、サドルはブラス製、というように永らく「良い」と考えられている仕様を踏襲しています。
では、RYOGAのラインナップをチェックしていきましょう。RYOGAのラインナップは
という5タイプを基本モチーフとし、マイナーチェンジでバリエーション展開しています。5つのタイプはキャラクター設定が明らかで、どんなプレイヤーに手に取ってもらいたいか、しっかり方向づけされています。
SKATER LE、HORNET LEC
RYOGAの「LE」および「LEC」シリーズは、学生さんら若い人たちにとって求めやすい価格帯のエントリークラス。演奏性や重量バランスなど、既存モデルの基本設計はそのままに、生産地を変更して価格を大幅に圧縮したシリーズとなっています。
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